パトリシア・バーバー/ナイト・クラブ
JAZZ Vocal 2
2012年02月21日
Patricia Barber / Night Club
パトリシア・バーバー。通好みの渋いジャズ・ヴォーカルとピアノ。アクのある低い声質にグルーヴィーな本格的ピアノ・インプロビゼーション。その独特のジャズ世界はクセになりますね。ナイトクラブの雰囲気が伝わってくるクールでブルーな作品。パーソネルは、パトリシア・バーバー (vo, p)、チャーリー・ハンター (g)、マイケル・アーノポル、マーク・ジョンゾン (b)、アダム・クルツ、アダム・ナスバウム(ds)。2000年シカゴ録音。Blue Note。
不思議な感覚の作品です。個性的です。クールな歌に乾いたギターの音色が実によくマッチしています。J・ロンドンとB・ケッセルの組み合わせが思い起こされます。バーバーのピアノも静溢な中に確かなソウルを感じさせてくれます。
非常にクールなジャズ。そして、感情というか情念が込められた重い音楽でもあります。聴くたびにその魅力に確実に嵌ってゆきますね。ほのかに輝く美しさ、注意しないと気づかないけれど、一度その輝きに開眼するともう毎日涙するような感動の連続です。
好きです、決して面と向かっては言えない。恥ずかしさもあるけれど、軽々しく言葉にしてしまうこともできない深い想い。このもどかしい気持ちを内に秘めながら醒めた表面で接する自分にうんざり。憧憬の念が日ごと募ります。最高の賛辞を贈りたくなる作品。
全12曲。スタンダードが並びます。8曲目のボサノヴァや11曲目の映画「男と女」の主題歌なども入っていて楽しめます。静かな夜にひっそりと一人で聞く音楽。渋すぎてもう堪らない。貴女の魅力には降参です。完全に参っています。
1. Bye Bye Blackbird
2. Invitation
3. Yesterdays
4. Just For A Thrill
5. You Don't Know Me
6. Alfie
7. Autumn Leaves
8. Summer Samba
9. All Or Nothing At All
10. So In Love
11. A Man & A Woman
12. I Fall In Love Too Easily
Patricia Barber - vocals, piano
Michael Arnopol - bass (5, 9, 10)
Adam Cruz - drums (4, 5, 6, 8, 9, 11)
Charlie Hunter - 8-string guitar (4, 6, 11)
Marc Johnson - bass (1, 2, 3, 7, 8)
Adam Nussbaum - drums (1, 2, 3, 7, 8)
YouTubeからやはり渋い映像と音楽を1本引用させていただきましょう。Estateというボサノヴァ系のスタンダード曲。原曲の憂いあるメロディに馴染んでいる人にはバーバーのセンスが伝わるはず。そんなバーバーのきわどい歌と、M・ジャクソンを彷彿とさせるビブラフォンとの組み合わせがこれまたクールでグルーヴィー。この種の魅力を一度知ってしまうと貴方も同じ穴の狢(むじな)、もう逃れられない、辞められません、ってね。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Patricia Barber / Night Club
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:53
キアラ・シヴェロ/ラスト・クォーター・ムーン
JAZZ Vocal 2
2012年02月14日
Chiara Civello / Last Quarter Moon
ここ1週間毎日のように聞いているキアラ・シヴェロのデビュー作品。特にボサノヴァ・アレンジがたくさんあって実に心地よいアルバムなのですね。ポップだけれどしっとりした情感、優しく自然な声質に和みます。恋心や傷心が静かにゆっくりと癒されることでしょう。今夜も厳冬の中、自宅で一人キアラの歌を聴きながらゆっくりと溶けていきます。パーソネルは、キアラ・シヴェロ (vo)他。2004年NY録音。Verve。
キアラ・シヴェロ(1975〜)はローマ出身。バークレー音楽院に学び、辣腕プロデューサーのラス・タイトゥルマンと知り合って米国でデビュー。英語、イタリア語だけでなく、ポルトガル語でボサノヴァも歌います。作詞作曲もこなす。
ラスト・クオーター・ムーンとは21夜から23夜の頃の月のことを示しており、始めの終わり、終わりの始まりといった意味を持つ。キアラ自身が月暦からヒントを得て命名したとのこと。
私の場合、想い出は音楽と繫がります。このキアラ・シヴェロのデビュー作はずっと記憶に残る希少な一枚になることでしょう。淡く儚いけれど素敵な恋の記憶。人を好きになることは人生の贈り物。結末はたいてい辛く悲しいけれど、心が大きく揺れる一瞬の喜びは生の輝かしい瞬間。
届かない熱い想いは自分の中の奥深いどこかに昇華して結晶を形作ります。その結晶化された純粋な感情は生きることの素晴らしさを改めて実感させてくれることでしょう。甘く切なく、そして辛い、けれど、熱い感情の高まりの感覚はずっと長く身体の中に快い記憶として宿ります。
キアラ・シヴェロの歌と音楽を聴いていると、そうした切ない負の想いがプラスの方向にじんわりと転化されていくのが実感できます。純粋な心が静かに全体を覆って、生きていることそれ自体が安らぎに満ちた幸せなものであることを感じさせてくれます。
全14曲。最後の2曲はボーナス・トラック。静かな夜に静かに一人聴く音楽。後半のボサノヴァ・アレンジの曲が特に素敵です。鎮静で美しい歌の5曲目、生を謳歌する7曲目、悲しくも美しいボサノヴァの11曲目など。実に素晴らしい心あるアルバムですね。
1. Here Is Everything
2. The Wrong Goodbye
3. Ora
4. Caramel
5. Parole Incerte
6. Last Quarter Moon
7. Nature Song
8. In Questi Giorni
9. Sambaroma
10. Trouble
11. Outono
12. I Won't Run Away
13. Beijo Partido
14. Sambaroma(Extended Version)
Chiara Civello (vo), Miguel Zenon (as), Alaine Mallet (p), Adam Rogers (g), James Genus (b), Clarence Penn (ds), Ben Street (b), Mike Mainieri (vib), Russ Titelman (prod).
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Chiara Civello / Last Quarter Moon
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:26
チコ・ハミルトン/エリントン組曲
JAZZ others 3
2012年02月02日
Chico Hamilton / The Original Ellington Suite
今日はチコ・ハミルトンですね。エリック・ドルフィーが独立直前にサイドメンとして在籍していた58年の作品。ドルフィーの個性はすでに十分明らかになっていますが、まだ少し伝統的な香りがあり、その微妙なところがおもしろいのですね。ドルフィーの陽性で極めて快調な吹奏を捉えたドルフィー・ファンには貴重で堪らない作品。パーソネルは、エリック・ドルフィー (as,fl,bcl)、ネイト・ガーシュマン (cell)、ジョン・ピサノ (g)、ハル・ゲイラー (b)、チコ・ハミルトン (ds)。Pacific Jazz。1958年LA録音。
エリック・ドルフィー(1928-64)が冴えています。肩を張らず自然体で分かり易いところが好感持てますね。晩年のドルフィーは特にそうですが、ドルフィー名義の作品はいずれも哲学的で小難しいところがあって、それはそれでよいのですがけれど、本作のドルフィーは基本的に明るくてあっさり味で、サイドメンという気易さのためなのかどうか、気負いがないのでしょう。
エリントン作品集になっていまして、実はもう一つのおエリントン集というのがありまして、そちらが本家で、こちらは長くお蔵入りになっていてずっと後になって発掘されたもの。ハミルとンがドルフィーの個性の出た本作をよい出来と感じなかったという説もあるようです。ハミルトンは室内楽クラシックのような格調高いジャズ(チェロ弾きを多用したり?)を求めていて、その中で時にむき出されるドルフィーの本性を快しとしなかったのかもしれません。
その後のドルフィーは、1960年以降大活躍をすることになります。例えば、1960年だけでも、リーダー作として「アウトワード・バウンド」「アウト・ゼア」、ミンガス・グループへの参加、それにブッカー・リトルとの双頭コンボ活動がスタートします。リーダー作では、いかにも室内楽的なチェロ弾き(ロン・カーター)を入れたりして、ハミルトンの影響下にあったように思えます。
全9曲。エリントン・ナンバーが並びます。ドルフィーは、すでに3管を吹き回すことを覚えていたようですね。私はアルトが実に調子よく聞こえます。その艶のある響きはいったい何なのでしょう。エリントン楽団のジョニー・ホッジスを思い出させてくれます。アドリブ・ラインも多くはオーソドックス、多少アクが出ている感じで、後年の全編アクというものとは雲泥の差があります。
たいてい2コ−ラス目で少しはじけるのですね。最初は抑え気味に、そのうちちょっと冒険してみようような。個性を発散したくてしたくてうずうずしている感じが伝わってきますし、その微妙なところが案外おもしろいのですね。吹っ切れて突っ走る、自分の世界に浸ってしまうと付いていけないのですが、自重しながら少しだけはじけるというところが本作のいい味と思われます。
アルト吹奏は2, 4, 7, 9曲目、フルートは1, 3, 5,曲、バスクラリネットは6, 8曲目です。やはりアルト演奏がスリルがあっていいですね。圧倒的な存在感。ギターやチェロとの不可思議な空間ではあります。9曲目などは後年のドルフィーそのままなのですね。コルトレーンよりも早い時期に新主流派らしい音を表現していたと言えるでしょう。面目躍如。
1. In A Mellotone
2. In A Sentimental Mood
3. I'm Just A Lucky So And So
4. Just A-Sittin' And A-Rockin'
5. Everything But You
6. Day Dream
7. I'm Beginning To See The Light
8. Azure
9. It Don't Mean A Thing
Eric Dolphy(as,fl,cl), Nate Gershman (cello), John Pisano (g), Hal Gaylor (b), Chico Hamilton (ds).
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Chico Hamilton / The Original Ellington Suite
関連エントリはこちらから。
→エリック・ドルフィー/ファイブ・スポットのエリック・ドルフィーVol.1
→エリック・ドルフィー/アット・ザ・ファイブ・スポットVol.2
→エリック・ドルフィー/ラスト・デイト
→エリック・ドルフィー/アウト・ゼア
→ エリック・ドルフィー/イリノイ・コンサート
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:19
ニコラ・コンテ/リチュアルズ
JAZZ others 3
2012年01月31日
Nicola Conte / Rituals
今日はニコラ・コンテですね。クラブ・ジャズで大人気のイタリア人DJであり、ギタリスト、作詞作曲家、プロデューサーですね。本作は彼の3作目のアルバム。ラテン系の快適なボサやサンバ、ジャズワルツのスタイリッシュ・サウンドが新世代ジャズを感じさせます。パーソネルは、ホセ・ジェームス、アリーチェ・リチャルディ、キム・サンダース、キアラ・シヴェロ (vo)、ファブリツィオ・ボッソ、ティル・ブレナー (tp)、ジャンルカ・ぺトレラ (tb)、グレグ・オズビー (as)、ダニエル・スカナピエコ (ts)、ティモ・ラッシー (bs)、ピエトロ・ルッス(p)、テッポマキネン(b)、ロレンツォ・トゥッチ (ds)他。Universal。2008年。
たまには浮気というか、ちょっといつもと違うものを聞いてみたくなるものです。それが案外よかったりして、自分の中に新しい音楽枠ができてゆくのですね。酸いも辛いも甘いも実体験して百戦錬磨の耳が鍛えられてゆくのだと思います。モダン・ジャズは成熟して、ネオ・ハード・バップがもてはやされるけれど、それはマンネリ化の裏返し、新世代の息吹が身近なところにあることを感じます。
本日のニコラ・コンテは私にとって新しい未知のミュージシャンです。クラブ・ジャズの世界では超の付く著名人らしいですが。確かに本作を何度も繰り返し聴いていますと、単に表面的に着飾った子供だましの音楽ではなく、魅力的な楽曲があり、おしゃれなリズムがあり、渋いグルーヴもありと、極上のエンターテイメントであることが明らかなのです。
ただ、売れ線というか、どうすればイカした音楽になるかってことを知り尽くしていて、これでもかという感じで来られるとそれが少し鼻につくということは多少あるかもしれません。スタイリッシュという形容詞にはそういうところがあって、表裏一体、ぎりぎりのところで勝負してくるのですね。マイルス・デイヴィスがやはりいつもそういう目線であったと私は感じています。斬新さ・創造とエンターテイメント・商業的成功。
本作は13曲中、11曲がコンテ作曲のオリジナル。また、11曲がヴォーカルものです。アリーチェ・リチャルディ、キアラ・シヴェロ、キム・サンダース、ホセ・ジェームスの4名の今とてもホットなジャズ歌手がフィーチャーされています。どの曲もメロディとリズムが素敵です。いい雰囲気のカフェで流れているような音楽ですね。ブラスがうまく使われています。それに各ソロもふつうにハード・バップしていて極めてジャジー。
1. Karma Flower (Chiara Civello)
2. The Nubian Queens (Jose James)
3. Like Leaves In The Wind (Jose James)
4. Love In (Kim Sanders)
5. Awakening (Jose James)
6. Paper Clouds (Chiara Civello)
7. I See All Shades Of You (Alice Ricciardi)
8. Macedonia
9. Song Of The Seasons (Alice Ricciardi)
10. Red Sun (Kim Sanders)
11. Black Is The Graceful Veil (Kim Sanders)
12. Caravan
13. Rituals
14. The Nubian Queens (Jose James, Samba Version)
YouTubeから2004年2作目「Other Directions」からKind of Sunshineのプロモーション映像?をピックアップしてみました。新鮮なジャズを感じます。ギターを弾いているのがニコラ・コンテ。壁の写真はゴダールですね。この曲を聴いてビートルズのTommorrow Never Knowsを連想するのは私だけ?
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Nicola Conte / Rituals
関連エントリはこちら。
→ アリーチェ・リチャルディ/カムズ・ラブ
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:16
アリーチェ・リチャルディ/カムズ・ラブ
JAZZ Vocal 2
2012年01月30日
Alice Ricciardi / Comes Love
21世紀イタリアのジャズがマイブームです。今日はミラノ出身の女性ヴォーカル、アリーチェ・リチャルディの Blue Note デビュー作。ハイレべルの実力派。しっとりとした個性的な歌唱は大物の雰囲気。パーソネルは、アリーチェ・リチャルディ (vo)、ロベルト・タレンツィ(p)、マルコ・ボヴィ (g)、パオロ・ベネディティーニ、ニール・マイナー (b)、ウィル・テリル (ds)、ガエターノ・パルティピロ (as,fl)、ファブリツィオ・ボッソ (tp)他。Blue Note。2006-07年NYC&Uboldo録音。
アリーチェ・リチャルディ (1975〜) の歌声を初めて耳にしたのは、彼女が2曲だけ参加したニコラ・コンテのアルバム Rittuals です。少しくぐもったスモーキーヴォイスが印象的でした。早速に続けて評判の本作を聞いたのですが、かなり異なった印象を抱きました。
まず驚いたのが、アリーチェはあのカーメン・マクレエにとても似ているということです。カーメン・マクレエの歌唱は独特なもので、よく似た歌い方をする人は稀なので、最初はその意外性に驚きました。特にバラッドでは類似性が高いと思います。確かにアリーチェ自身が影響を受けた歌手として挙げている中に、マクレエの名があり、まあ納得なのですが。ちなみに、他には、ビリー・ホリデイ、シャーリー・ホーン、エラ・フィッツジェラルドの名が挙っています。
メリハリのある中音域、少しくぐもった暖かい高音域、丁寧に言葉を重ねる歌い回し、優しげでしっとりした情感など、まだ若いのにとても落ち着いた雰囲気と確固とした個性が感じられます。名門 Blue Note レーベルからアルバムを出すほどですからその実力はすでに認められているようですね。
あと、本作の特筆すべきはその音質が私の好みに一致していることです。ヴォーカルの録音はピンからキリまであって、人の歌声を録音によって最もよい形で再現するのは容易でないのだと思います。本作の音は、適度にリバーブが効いており、子音が明確でまろやかな女性の声が素敵に捕えられていると思います。バックの楽器とのバランスもよいです。
全13曲。ヴォーカル・アルバムとして楽しめる内容です。5曲目が説得力のある歌唱が光るスロー・バラッド。ミディアム・テンポの佳曲7曲目がしなやかで彼女の特徴がよく出ています。イタリア語で歌う13曲目がカンツォーネ風の哀愁が漂いエキゾチックでいい感じ。
1. Comes Love
2. Summer Song
3. Give Me The Simple Life
4. I Was Doing Allright (The Goldwyn Follies)
5. I'm Gonna Laugh You Right Out Of My Life
6. Who Cares (As Long As You Care For Me)
7. If I Should Lose You
8. The Boy Next Door
9. I'll Remember April
10. Ghost Of Yesterday
11. Here Lies Love
12. By Myself
13. Le Tue Mani
YouTubeから2008年の映像を引用させていただきましょう。ファブリツィオ・ボッソやルカ・マンヌッツァらとの共演ライブです。場所はイタリアはナポリ。とてもいい感じのジャズ・フィーリングが伝わってきますね。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Alice Ricciardi / Comes Love
関連エントリはこちら。
→ ニコラ・コンテ/リチュアルズ
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投稿者 Jazz Blogger T : 20:36
ケニー・ドーハム/マタドール
JAZZ Trumpet 2
2012年01月25日
Kenny Dorham / Matador
ケニー・ドーハムとジャッキー・マクリーンの2管クインテットの本作はハード・バップの大人気盤。昔ジャズ喫茶でよく見かけた特徴あるジャケット。いいモダン・ジャズに理屈はいらない。とにかくすり切れるくらい繰り返し聴きましょう。パーソネルは、ケニー・ドーハム (tp)、ジャッキー・マクリーン (as)、ボビー・ティモンズ (p)、テディ・スミス (b)、J.C.モーゼス (ds)。United Artists。1962年NYC録音。
やはりジャッキー・マクリーン(1931〜2006)が抜群にいいんですね。角張った、ちょっと窮屈な感じのトーンがグルーヴィーな数フレーズを奏でますともう堪らない。これこれ、これですね。ぐいぐいそそられますね。まあマクリーンがその魅力を発揮できるのも、ドーハムをはじめとする他のメンバーのサポートと中南米雰囲気の曲調のお陰なのですが。
ケニードーハム(1924〜72)は、いつもながらの安定した演奏です。ドス黒いグルーヴを発散させながら、全体のトーンを形作っています。忘れてならないのが、J.C.モーゼスの奔放でポリリズミックなドラミングです。モーゼスはこの時期エリック・ドルフィーともいい録音を残していますね。(→エリック・ドルフィー/イリノイ・コンサート )このドラムがあってこそスリルあるインプロヴィゼーションが繰り広げられるのでしょう。
本作が録音された60年代前半はハード・バップから新主流派という変化の時代。本作がマンネリ化したハード・バップとは一味違うのは、そうした急な時代の潮流に遅れまいとする演奏者らの共通の緊張感のなせる結果なのでしょう。マクリーンは純粋なるバッパーなのですが、この時期バッパーとして一皮剥けた演奏を披露しています。
あと、アーシーなピアノが随所に光るボビー・ティモンズ(1935〜74)のことも忘れてはなりません。ドーハムとはジャズ・プロフェッツからの盟友。その後アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズで大活躍しましたが本作の62年以降活躍の機会が激減してしまいますね。
本作は、ドーハム、ティモンズ、モーゼスという最高のサポートを得たマクリーンが絶好調のアルト吹奏を聞かせる快心の作品と言えるでしょう。まるで水を得た魚のように自在に吹きまくり、時にモーダルに吹っ切れるマクリーンの魅力がしっかりと刻印されています。
全6曲。4曲目と5曲目がそれぞれマクリーン1管とドーハム1管のカルテット演奏。やはり4曲目のマクリーンのアルトが冴え渡っています。同曲でのティモンズのソロもいいですし、モーゼスの重量級シンバルがまたいいのですね。
1曲目から、ドーハムが好むミディアム・テンポの変拍子調ラテン・テイスト。黒いファンキーな感覚がいいです。マクリーンがすでに少し壊れ気味に大胆なアプローチ。モーゼスの血気盛んなハードなドラミング。テディ・スミスのベースも踊るようにアクセントを決めています。
2曲目はドーハムが得意とするブルージーでスリルある素敵な演奏。マクリーンのソロもカッコいい最高のパーフォーマンス。やはりモーゼスが実に多彩なバッキングで煽り続けます。3曲目はチャップリンの映画主題歌スマイルですね。愛らしいメロディが個人的にも好きですが、ドーハムのキュートなさばき具合が実にいい味。マクリーンのソロも溌剌とした演奏。
1.EL MATADOR
2.MELANIE PART1〜3
3.SMILE
4.BEAUTIFUL LOVE
5.PRELUDE
6.THERE GOES MY HEART
Kenny Dorham (tp), Jackie McLean (as), Bobby Timmons (p), Teddy Smith (b),
J.C.Moses (ds).
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Kenny Dorham / Matador
関連エントリはこちらから。
→ ケニー・ドーハム/静かなるケニ-
→ ケニー・ドーハム/カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム
→ ケニー・ドーハム/アフロ・キューバン
→ ケニー・ドーハム/ショート・ストーリー
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:02
ティエリー・ラング/プライベート・ガーデン
JAZZ Piano 4
2012年01月24日
Thierry Lang / Private Garden
最近一番感激してここ1週間ずっと聞いているジャズ・ピアノです。ティエリー・ラングのトリオもの。奥行き感のある品よいタッチ、繊細でしなやかな感性、静かで熱いロマンティシズム。いわゆる癒し系なのですがジャズ特有のきりりとした美意識と緊張感が芸術性を表出しています。パーソネルは、ティエリー・ラング (p)、イヴォール・マレベ (b)、マルセル・パポー (ds)。1993年スイス録音。Plainis Phare。
4曲目のジャイアント・ステップスがまず耳を奪います。コルトレーンの名作が実は非常に美しい音楽であったことがスローテンポによるコード進行を噛み締めることで示されています。何とみずみずしい美しさに溢れた音楽なのでしょう。思わずため息が出る夢見るような心地よい音楽にうっとりさせられます。こんな感動は久しぶりです。
同曲のトミー・フラナガンやテテ・モントリューのピアノ演奏とは全く異質の世界ですね。途中からベース&ドラムを伴いながらミディアム・テンポで壮快に幸福の讃歌を歌い上げます。主題メロディが最後の方にスロー・テンポでほんの少し顔を出して、ああ、ジャイアント・ステップスだったことが思い起こされます。憎いけど素敵すぎる演奏です。
ティエリー・ラング(1956〜)はスイス生まれですでに50代半ばのヨーロッパ中堅実力派ピアニスト。90年代からコンスタントにアルバムを発表していますが、知る人ぞ知るっていう感じでそれほど著名ではないですね。私も昨年はじめて彼のアルバムを聴いて、すぐにお気に入りフェイバリット・ピアニストになりました。その後、今年にかけて彼のアルバムを何枚も聴いてきましたが、本作がその中でも高い完成度のアルバムであると感じています。
ジャイアント・ステップスがあまりに印象深いので、とにかくそれを書くという勢いで書いていますが、他の曲にもそれぞれに味わいがあってよい具合なのです。ラングのピアノには、ビル・エヴァンスに通じる深い静による恍惚があり、エンリコ・ピエラヌンツィに近い流麗なエレガンスがあります。
1 A Ster To My Father
2 Nunzi
3 Stella By Starlight
4 Giant Steps
5 Boulevart Perolles
6 Private Gerden
7 I Hear A Rhapsody
8 Nane
Thierry Lang (p), Ivor Malherbe (b), Marcel Papax (ds).
YouTubeからLangさんにご登場願いましょう。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Thierry Lang / Private Garden
関連エントリはこちら。
→ ティエリー・ラング/リフレクションズ I
→ ジョン・コルトレーン/ジャイアント・ステップス
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:02
レニー・トリスターノ/鬼才トリスターノ
JAZZ Piano 4
2012年01月15日
Lennie Tristano / Tristano
クール・ジャズで有名なレニー・トリスターノの代表作と知られる名作。地味ながらその調和のとれた端正な風情が確かにいいんですね。淡白であっさりとしたいわゆる飽きの来ない魅力があります。粋なジャズBGMとしては最高の1枚かもしれません。パーソネルは、レニー・トリスターノ (p)、リー・コニッツ (as)、ジーン・ラメイ、ピーター・インド (b)、アート・テイラー、ジェフ・モートン (ds)。1955年録音。Atlantic。
レニー・トリスターノ(1919-78)は盲目の白人ピアニスト。クール・ジャズというムーブメントがバップからハード・バップに移る時期の1940年代後半から50年代前半にありました。その代表選手がこのレニー・トリスターノとその一派ですね。
ビル・エヴァンスやデイブ・ブルーベックはじめその後の白人著名ジャズマンが大勢いますが、黒人のジャズとは明らかに異なる雰囲気、その白人(正確にはユダヤ人と言い切った方がより正しいのかもしれません)のイカしたジャズの原点を形作ったのがレニー・トリスターノであったと言えるのでしょう。あのマイルス・デイヴィスもまさにその影響下に独自のジャズ・スタイルを築き上げたと言って過言ではありません。
しかしながら、クールと一括りにした場合はそうであっても、個別的に見ればトリスターノ派のジャズは孤高のそれであり、クールの先鞭をつけたという意味では先駆者なのでしょうが、その個性を受け継いだのは、L.コニッツ、W.マーシュ、P.インド、B.バウアー、J.モートンら直系のジャズマンのみでした。適切な例ではないですが、ネアンデルタール人が現代人の祖先でなく、現代人とは支流の関係にある別の種ということに今の学説は落ち着いていますが、混血があったりということでは少なからず影響を与えているようです。トリスターノ一派は、そういう意味では、モダン・ジャズのクールという分野の先駆者には違いないのですが、その先は別れて細い支流になってしまったということだと思われます。
ところで、cool っていう英語は、格好いいとかイカしたという意味で使われますが、ここで使われているクール・ジャズという表現も、ソウルとかセンチメントとかの情念世界とは対極にある、さらりと凛とした涼やかな雰囲気を示す、やはり粋で格好いいということに繋がっているのだと思います。
トリスターノ派のクール・ジャズの中で最もポピュラリティの高い作品を残してきたのはアルト・サックス奏者のリー・コニッツです。トリスターノが残した作品が決して多くないので仕方ないのでしょうが、やはりトリスターノのピアノ演奏は独特の雰囲気があります。コニッツ名義の名作「サブコンシャス・リー」では当然ながらトリスターノがリーダーのような感じですね。
全9曲。前半4曲がピアノ・トリオ、後半5曲がライブでコニッツを含むカルテット演奏です。前半のトリオ演奏はトリスターノの典型的個性的な演奏が聞かれます。その中低音域を中心とした明晰で冷徹な音の連なりが新鮮です。このアドリブ・ラインはまさにコニッツのそれであることが思い起こされます。1、3、4曲目はまさにそういうトリスターノですね。
2曲目はブルース曲。トリスターノのブルース演奏というとこんな風になるのですね。やはり感情を極力排したものですが、それでもメロディ・ラインから感じられるフィーリングはブルースのそれであり、これも十分ありだと思われます。
コニッツが加わった後半の5曲は、コニッツが他の作品で表現してきたものの上質なものが示されていると言えるでしょう。私はこれらの演奏が好きです。ジャズ史的には前半の演奏が価値あるのでしょうが、後半5曲はそういう意味では、トリスターノ御大が自ら参加したにもかかわらず、ライブ聴衆を意識した寛いだセッションという印象です。
コニッツの加わった演奏は、前半の求道的な要素が無く、エンターテイメントとして十分に楽しめるものになっています。55年の録音ですので、ハード・バップが全盛になりつつある時期だけに、コニッツのアルト吹奏には、クール一辺倒ではない明らかに温かい情が音楽の中に宿っています。トリスターノのピアノにもずっと小さいながら同様なものが感じられます。
やはりコニッツのくすんだアルトの音色と独特ながら愛らしいメロディ構築が魅力です。トリスターノのピアノは明らかに通常の冷厳な演奏とは異なるエンターテイメントを前面に押し出した分かり易い演奏になっています。それがなかなかよい感じなのですね。クール的な中に適度な温もりがあって聞き易いジャズなのですね。BGMに流しておくのに丁度よい具合なのではと思います。
1. Line Up
2. Requiem
3. Turkish Mambo
4. East Thirty-Second
5. These Foolish Things
6. You Go To My Head
7. If I Had You
8. Ghost of a Chance
9. All The Things You Are
YouTubeから1965年当時のソロ演奏をピック・アップしてみました。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Lennie Tristano / Tristano
関連エントリはこちらから。
→リー・コニッツ/サブコンシャス・リー
→リー・コニッツ/モーション
→リー・コニッツ/ヴェリー・クール
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投稿者 Jazz Blogger T : 01:08
ティエリー・ラング/リフレクションズ I
JAZZ Piano 4
2011年12月31日
Thierry Lang / Reflections I
ティエリー・ラングというピアニストのことをご存知でしょうか。スイス出身のジャズ・ピアニスト。ジャズ・ファンの
方ならきっとご存知の方も多いに違いありません。私にとっては本作が初めてのラング体験。その深く濃厚なリリシズム溢れるピアノに魅せられてこのところ繰り返し聞いています。パーソネルは、ティエリー・ラング (p)、へイリ・ケンジッヒ (b)、ペーター・シュミドリン (ds)。2003年録音。i.d.Records。
ティエリー・ラング(1956~)はスイス出身のジャズ・ピアニスト。ビル・エヴァンスの流れを汲む思索的な粘っこいピアノ・タッチとヨーロッパのピアニストらしい耽美的で清澄感のあるリリシズムが印象的です。単に甘く優しいというだけでなく、ジャズ・ピアニストが基本的に具備すべきジャズ魂やメロディック・センス、それにそれらを表現できるテクニックがありますね。従って、当然のごとくにハイレベルなジャズを味わわせてくれることになるのです。
音楽探検を続けていてよかったと思うことがたまにありますが、ティエリー・ラングとの出会いは後年になってみるときっと今年一番の収穫になっているのかもしれません。新たな音源を求めなくても今の守備範囲内でそこそこに楽しめているわけなのですが、貪欲にハングリーに探検していますと、やはり確実にヒットしていくのだと思いますし、それがそうした努力の継続の賜物だと思っています。求めるものに出会うべくして出会うというのは現代のような世界的情報社会では当然のことに違いありません。
例えば、6曲目 Moon Princess に聞かれる深い情感は音楽、特にジャズでこそ得られる最高の悦楽の一つであると私は信じており、この種のジャズにずっと憧れを持って待ち望んでいたことを思い知らされています。エヴァンスはじめ、デニー・ザイトリン、エンリコ・ピエラヌンツィ、スティーヴ・キューンら私が敬愛するジャズ・ピアニスト達に終始求め続けてきたある特定のリリシズムがここにはしっかりと根付いていることを発見するのです。
4曲目 Private Garden や5曲目 Waiting For A Wave、それに8曲目 Nostalgie らはミデイアム・テンポの流麗な音列が清涼感とその中に潜むラングの美意識を感じさせてくれます。ピエラヌンツィに通じる上品で優美な感性。ヨーロッパのジャズ・ピアニストが持つ最も良質な部分。淀みなく流れる魅惑のパッセージの連続はブルース精神と対極にあるけれど同種のグルーヴ感を醸し出しています。
1. Le Sablier
2. Three Lines
3. Wounds
4. Private Garden
5. Waiting For A Wave
6. Moon Princess
7. Your Notes
8. Nostalgie
Thierry Lang (p), Heiri Kaenzig (b), Peter Schmidlin (ds).
YouTubeからトリオ演奏をピック・アップしてみました。佳曲ミディアム・テンポの軽快な演奏。溢れ出る美的センスにとても共鳴するとともに、ジャズ・ピアノの愉しみを感じて心浮かれてきますね。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Thierry Lang / Reflections I
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:39
ジェリー・マリガン/マリガン・ミーツ・モンク
JAZZ Sax 3
2011年12月25日
Gerry Mulligan / Mulligan meets Monk
ジェリー・マリガンとセロニアス・モンクが共演する世評高い作品をご紹介します。録音時57年後半のモンクはコルトレーンとの歴史的な共演を果たしておりもっとも好調な時期と言えるでしょう。ジャズの本質がよく見えてくるアルバムではないかと思っています。パーソネルは、ジェリー・マリガン (bs)、セロニアス・モンク (p)、ウィルバー・ウェアー (b)、シャドウ・ウィルソン (ds)。1957年NY録音。Riverside。
ジェリー・マリガンはバリトン・サックスの第一人者として著名ですね。困難な楽器を吹きこなすという点では若くして夭逝したサージ・チャロフの方が恐らく上なのでしょうが、いかんせんチャロフには残された作品が少な過ぎました。また、エリントン楽団のハリー・カーネイも有名ですね。ライブ演奏でのエリントンはいつもソロ奏者の名前を口頭で紹介するので主要メンバーの名前はいやがおうにも記憶に残りますね。
私にとってのマリガンのアルバムといえば、長く愛聴した「パリ・コンサート」をまず挙げることになるのですが、レコードのみでCDでの発売がないようなのですね。54年の録音で、ボブ・ブルックマイヤーとの2管編成。典型的なビ・バップでもあり、マリガンの朴訥気味の吹奏が魅力ですね。この朴訥だけれど紡がれる音列に味があるので、その旨味を知ると病み付きになってしまうのですね。マリガンにはそうした独特の雰囲気があると思うのです。
本作はそうしたいわば同類とも言えるマリガンとモンクの組み合わせですから、その特徴が倍加されているということになりますね。洗練とか流暢さは微塵もなく、訥々とした語り口で語られるジャズがここにあるのですが、その演奏から得られる心地よさはまさに極上のジャズ体験と言えるものに違いありません。心に訴えるものは決して楽器演奏テクニックの上手下手が主な要素でないということが分かるというものです。
現代のジャズ・プレイヤーの水準からすると考えられないことですが、モンクやマリガンらの個性は際立っています。それと、バリトン・サックスの音色が面白いということも一つありますね。吹く強弱によって音色が微妙にコントロールされているようです。強く吹く時に音が割れる感じが私は特に好きなんですね。
全9曲。別テイクが入っていますので実質的には6曲になります。聞き慣れたモンクの曲が中心ですね。1曲だけマリガンの曲。全体に不思議と飽きが来ないのですね。BGM的に流していてもいいですし、じっくりと聴き込むことも可能です。
マリガンのバリトンの調べというか音色に郷愁があっていいですね。3曲目 Sweet and Lovely がその不可思議だけど愛らしいメロディと不器用そうなバリトンの組み合わせが面白いですね。バリトンサックスの魅力って、不細工だけどそれが可愛らしく思えるというフレンチドックやボストンテリアらの愛玩犬の魅力に通じるものがあるように思われますがいかがでしょうか。
1. 'Round Midnight
2. Rhythm-A-Ning
3. Sweet And Lovely
4. Decidedly (Take 4)
5. Decidedly (Take 5)
6. Straight, No Chaser (Take 3)
7. Straight, No Chaser (Take 1)
8. I Mean You (Take 4)
9. I Mean You (Take 2)
Gerry Mulligan (bs), Thelonious Monk (p), Wilbur Ware (b), Shadow Wilson (ds).
NYC, August 12, 1957,
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Gerry Mulligan / Mulligan meets Monk
関連エントリはこちらから。
→ジェリー・マリガン/ナイト・ライツ
→ジェリー・マリガン/アット・ストリーヴィル
→ジェリー・マリガン&ポール・デスモンド/ブルース・イン・タイム
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:38
アート・ファーマー/アーリー・アート
JAZZ Trumpet 2
2011年12月23日
Art Farmer / Early Art
アート・ファーマーのトランペットの凛とした佇まいが好きなんですね。本作は1954年録音でファンキー前夜のバップ系ファーマー本来の静かに歌うトランペットの響きが魅力的。哀愁とグルーヴ感のある最高に素敵なジャズです。パーソネルは、アート・ファーマー (p)、ソニー・ロリンズ (ts)、ホレス・シルバー (p)、パーシー・ヒース (b)、ケニー・クラーク (ds)、ウィントン・ケリー (p)、アジソン・ファーマー (b)、ハービー・ラブレ (ds)。1954年NY録音。Prestige。
アート・ファーマー(1928〜99)は派手さはないですが安定した渋い腕達者で訥々とした哀愁ある吹奏で忘れがたい印象を残しています。私にとってワン・ホーン・アルバム「アート」が学生時代からの愛聴盤です。本作はそれに匹敵するファーマーの魅力に溢れたアルバムと言えましょう。ソニー・ロリンズが3曲のみ参加していますが、ほとんどファーマーのワン・ホーン作品という印象です。
全10曲。前半5曲がロリンズとホレス・シルバーらとの、後半5曲がウィントン・ケリーらとの共演になります。4曲目と5曲目のバラッド演奏が当時のファーマーの典型的な演奏で素晴らしいですね。抑制された丁寧な指使いで静かに朗々と歌います。シルバーのピアノのサポートも可憐でgood。
6曲目以降の後半はファーマーとウィントン・ケリーががっぷり四つに組んだ最強のモダン・ジャズ。6曲目は快調なミディアム・テンポの佳曲。ファーマーの魅力はこの種のキュートな歌もので存分に発揮されますね。ウィントン・ケリーのグルーヴィーなソロも好印象。7曲目のバラッドでは安定したファーマー節が聞かれます。数コーラスのアドリブ展開が渋くて素敵です。
8曲目風と共に去りぬでは早い目のテンポで颯爽と吹き抜けてゆきますね。ケリーのソロも含めて典型的なハード・バップ演奏が実に心地よい。9曲目はブルージーなバラッド。ファーマーの哀感あるトランペットとケリーのグルーヴなピアノがいずれも素晴らしい最上級のもの。
1. Soft Shoe
2. Confab In Tempo
3. I'll Take Romance
4. Wisteria
5. Autumn Nocturne
6. I've Never Been In Love Before
7. I'll Walk Alone
8. Gone With The Wind
9. Alone Together
10. Pre Amp
Art Farmer (tp), Sonny Rollins (ts), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds), Wynton Kelly (p), Addison Farmer (b), Herbie Lovelle (ds).
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Art Farmer / Early Art
関連エントリはこちらから。
→アート・ファーマー/アート
→アート・ファーマー/モダン・アート
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投稿者 Jazz Blogger T : 11:08
ジェシ・ヴァン・ルーラー/ライブ・アット・マーフィーズ・ロウ
JAZZ Guitar 1
2011年12月22日
Jesse van Ruller / Live at Murphy's Law
今夜はお気に入りのジャズ・ギタリストのジェシ・ヴァン・ルーラーですね。トリオ演奏のライブ盤。最高に渋いジャズ。ギター・トリオでのライブ演奏がジェシの実力からすると最もフィットしていると思います。パーソネルは、ジェシ・ヴァン・ルーラー (g)、フランツ・ヴァン・デル・ホーヴェン(b)、マタイン・ヴィンク(ds)、ヨス・マクテル(b)、ヨースト・ヴァン・サイク(ds)。2004年オランダ・ハーグ録音。55 Records。
ジェシ・ヴァン・ルーラーは私にとって最もお好みのジャズ・ギタリスト。昨年ご紹介した「ヨーロピアン・クィンテット」 は1994年録音のデビュー盤ですね。若手ジャズマンの登竜門として著名なセロニアス・モンク・コンペティションで優勝した逸材。
静かな夜に一人の時間を満喫する際に聴くにはもってこいの素敵すぎるジャズです。単に甘いだけでなくて、ジャズ本来のスリルのあるところが渋いのですね。繊細で多彩な技能と歌心で華があり聴衆を決して飽きさせません。
ピアノのないベースとドラムのトリオ演奏の方がより自由な演奏ができるのでしょう。ジェシのギターが全編に渡って縦横無尽に歌います。そういう意味で最高のパーフォーマンスが繰り広げられているのです。
全8曲。選曲もいいですね。1曲目にエリントン「極東組曲」から佳曲 Isfahan がくるところが凄いですね。ビル・チャーラップのアルバムでも取り上げられていて意外な感じに驚きましたが、ここでのジェシのミディアムテンポの演奏は1番手として実にしっくりとぴたりと嵌っている感じがします。漂う哀愁感とさらりとしたクールさは、ジョニー・ホッジスの麗しいアルトサックスの調べとはまた違った魅力に溢れています。
どの曲の演奏も素晴らしいの一語に尽きます。もう聞き惚れてしまう類の素敵なギターです。バラッドでは 7曲目 Goodbye がいいです。美しく悲しい調べの中にほのかな光と慰めが感じられます。後半のアドリブ・ラインが渋くてかっこいい。とても癒されます。
2曲目 Along Came Betty の少しロック調のセンスが現代的な新しさを感じさせてくれます。3曲目 The End of a Love Affair にはギター、ベース、ドラムの3者が一体となった濃密な空間があります。8曲目 Sandu はクリフォード・プラウン作のブルース系の曲。ノリのよいアドリブが冴えています。
1. Isfahan
2. Along Came Betty
3. The End of a Love Affair
4. Detour Ahead
5. Get Out of Town
6. Nobody Else But Me
7. Goodbye
8. Sandu
Jesse van Ruller (g), Frans van der Hoeven (b), Martijn Vink (ds), Jos Machtel (b), Joost van Schaik (ds). Recorded in 2004 at Murphy's Law, Hague, Netherlands.
YouTubeから2004年当時の同様なトリオ演奏をピック・アップしてみました。本CDとよく重なる繊細で美的な演奏です。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Jesse van Ruller / Live at Murphy's Law
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:10
ヘンリー・マンシーニ/ピンク・パンサー
Popular Music
2011年12月20日
Henry Mancini / Pink Panther
こんばんは。今日は2年ほど前に知り合った大好きな映画音楽から。ヘンリー・マンシーニは恐らくは古き良き映画音楽の一番の巨匠と言っても過言ではないでしょう。サントラ盤はいずれも鑑賞用ミュージックとしても高水準にありますね。ピンク・パンサーはマンシーニの代表作の一つであり、そのジャズ的なフィーリングを楽しめる最高に豊かでゴージャスなお薦め音楽。1963年録音。
映画音楽の作曲家には大好きな音楽家が何人かいます。ヘンリー・マンシーニ、ニーロ・ロータ、ミシェル・ルグラン、フランシス・レイ、バート・バカラック、エンリオ・モリコーネなど。中でもヘンリー・マンシーニ(1924〜94)は多くの著名なメロディを世に送り出しています。
例えば、50年代〜70年代では、58年「黒い罠」61年「ティファニーで朝食を」61年「ハタリ!」62年「酒とバラの日々」63年「シャレード」63年「ピンク・パンサー」64年「男性の好きなスポーツ」65年「グレートレース」66年「アラベスク」66年「地上最大の脱出作戦」67年「いつも2人で」67年「暗くなるまで待って」70年「男の闘い」70年「ひまわり」71年「わが緑の大地」74年「ザッツ・エンタテインメント」75年「華麗なるヒコーキ野郎」などがありますね。
「ティファニーで朝食を」はムーンリバーで超有名ですし、「酒とバラの日々」はジャズでもよく演奏されるスタンダードな曲、「シャレード」や「ひまわり」はその美しいメロディに誰しも聞き覚えがあることでしょう。また、「ピンク・パンサー」の主題曲はまさに映画音楽の代表選手のような魅力的で斬新な音楽ですね。
さて、ピンク・パンサーの主題曲は有名ですし素敵な曲なのですが、実は私の興味はそれ以外にありまして、言わば、主題曲は掴みの役割を果たしておりまして、奥の方でひっそりと咲く可愛い小花の魅力を伝えることが本日の目的になりますね。
ヘンリー・マンシーニは自身ピアノやサックスを演奏したということで、メロディ・メーカーであるだけでなく、楽器の使い方に巧みがあったと思われます。人声コーラス、オーケストレーション、サックス、ハーモニカなどに特徴と魅力があります。「ティファニーで朝食を」でもふんだんに使われたあの温かいコーラスの響きはマンシーニ世界を象徴する香り豊かな雰囲を醸し出しています。
さて、ピンク・パンサーのサウンド・トラック盤である本作品には全16曲が納められています。私のお好みは、まずは、3曲目の少しけだるいけれど優しく哀愁のあるトランペットによるメロディラインと弦楽器と女性コーラスのため息の出るような柔らかな響きが素敵ですね。ハーモニカもいいです。
4曲目はいかにも画像の背景に流れてそうなマンシーニらしい曲想。男性コーラスのロマンス感のあるニュアンスもいいです。10曲目は主演のピーター・セラーズのために作られたラテン調の明るい曲想。エキゾティックなジャズの香りが素敵。こうしたラテン感覚もマンシーニはお得意の筆さばきのようでしたね。
11曲目はもっともお気に入りの曲。ピアノの響きが好きです。クロード・ソーンヒルを思わせる静かだけれど限りなく優しく慈悲深いメロディ・ライン。バックのオーケストレーションも美しいもの。恋をしている時に聞けばきっと涙するような素敵な曲でしょう。
1. The Pink Panther Theme
2. It Had Better Be Tonight (Instrumental)
3. Royal Blue
4. Champagne And Quail
5. Village Inn
6. The Tiber Twist
7. It Had Better Be Tonight (Vocal)
8. Cortina
9. The Lonely Princess
10. Something For Sellers
11. Piano And Strings
12. Shades Of Sennett
13. The Return Of The Pink Panther (Parts I & II)
14. The Greatest Gift (Instrumental)
15. Here's Looking At You Kid
16. Dreamy
YouTubeから1本ここにアップしておきましょう。ヘンリー・マンシーニが自ら指揮する演奏です。
VIDEO
実はこの音楽には深い思い入れがあります。だいぶ以前に知り合った人から借りたCDなのですが、それほど興味もなくたまたまああ知ってる知ってるというノリで聞いた主題音楽なのですが、その後ろの方に素敵な曲がひっそり佇んでいるのを発見したのですね。それはその人がまさにそんな印象であって、知るほどに魅力を増すという点でいつまでも忘れられない、そんな思い出のある人&音楽との出会いだったのです。
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Henry Mancini / Pink Panther
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:13
マックス・イオナータ/コーヒー・タイム
JAZZ Sax 3
2011年12月12日
Max Ionata / Coffee Time
現代イタリアを代表するテナー・サックス奏者マックス・イオナータの快心のアルバムを紹介しましょう。ファブリツィオ・ボッソをゲストに加え、ルカ・マンヌッツァがピアノでなくハモンド・オルガンを奏するカルテット演奏。これぞ21世紀の今を感じさせ最高のモダン・ジャズではないかと聞き惚れてしまいます。パーソネルは、マックス・イオナータ(ts)、ファブリツィオ・ボッソ(tp)、ルカ・マンヌッツァ(p)、ロレンツォ・トゥッチ(ds)。2010年ローマ録音。Albore Jazz。
マックス・イオナータがリーダーということで、同じネオ・ハードバップ路線とは言えファブリツィオ・ボッソやルカ・マンヌッツァのリーダーものとは多少違ったものになっていると思われます。ハモンド・オルガンを使っていることもあるのですが、単純なファンキーではなくて、新鮮な感覚が明らかに付加されています。
ルカ・マンヌッツァのオルガン演奏はピアノ演奏とはまったく別物のような印象です。足でベースを刻んでいるのでしょう、アドリブ・ラインは右手1本のシングルトーンに聞こえます。ハモンドオルガンのベース音はあの空気が震えるような重厚な音圧感が個人的に好きなのです。マンヌッツァの演奏は、ジミー・スミスのような陽性のファンキー一辺倒ではなくて、渋めにグルーヴするラリー・ヤング系です。
それにしても、ボッソのテクニックというのは恐るべしというか、手の届かない痒いところをいとも簡単に吹き抜けてしまうのですね。自在に操られるアドリブ・ラインは圧倒的なものです。イオナータは太く豪放な演奏がやはり魅力ですが、リーダーとして抑え気味というかよくコントロールされた知的な演奏を行っています。
本作はフロントの二人が全くもって素晴らしいこと、曲想がモーダル調でバップやファンキーというワンパターンを感じさせないこと、オルガンの渋いバッキング、8ビートのハードドライビングなドラミングのバッキングなどなど、今を感じさせる高密度ジャズです。
昔1960年代にマカロニ・ウェスタンというイタリア製西部劇が流行しました。「荒野の用心棒」や「夕陽のガンマン」など懐かしい映画がありました。ジュリアーノ・ジェンマやクリント・イーストウッドらの名優を生み、またエンリオ・モリコーネの哀愁ある音楽が著名ですね。西部劇というのは米国の開拓時代の話で、日本でいえばチャンバラ物や銭形平次、水戸黄門のような位置に当るのですが、なぜかその伊製西部劇が本国の映画以上に世界的にヒットしたわけですね。
今のイタリア・ジャズ界のムーブメントというのは、50年代60年代ハードバップ〜新主流派モード路線のモダン・ジャズの本流を約50年を経て現代風かつ正統的に再現しているという点で何やら似たような構図が見えるわけです。本家を凌ぐ出来映えを示すことが当然に起ってしまうのですから、ここでのボッソ、マンヌッツァ、イオナータらは将来名演奏家としてジャズ史に残って行くのかもしれません。
全9曲。どれも素敵な演奏です。まず1曲目はミディアム調の明朗な曲想で快適なソロが続きます。オルガン伴奏の独特の雰囲気が面白いですね。古さを感じさせない、何か斬新な感覚があるのです。また、3曲目はカリプソ風で明るい陽光が降り注ぐ浮き浮きしてくる演奏であり、ボッソのトランペットの魅力が存分に味わえる演奏。
6曲目がまたクールなジャズです。ロック調のオルガンとドラムのハードで粘っこいバッキングが現代を感じさせてくれますね。マンヌッツァのソロ演奏が素敵です。スティーブ・キューン70年代のローズの演奏を思い起してしまいます。7曲目 Mona Lisa がアップテンポの快演。イオナータのテナーが力強くていい感じ。
8曲目スタンダード曲 All Blues でのマンヌッツァのオルガン演奏がファンキーに弾けています。イオナータがまた渋いソロをとってくれます。9曲目は最後を締める静かなバラッド。オルガン伴奏の雰囲気が素敵です。
1. Coffee Time (Max Ionata)
2. In 'n' Out (Joe Henderson)
3. Donna (Gorni Kramer)
4. Kiss (Prince)
5. E.S.C. (Luca Mannutza)
6. Safari (Luca Mannutza)
7. Mona Lisa (Max Ionata)
8. All Blues (Miles Davis)
9. Chan's Song / Dedicated to Gianni Basso (Herbie Hancock)
Max Ionata (ts), Fabrizio Bosso (tp, flh), Luca Mannutza (org), Lorenzo Tucci (ds).
Recorded in Roma, 2010.
YouTubeからマックス・イオナータの映像をアップさせていただきましょう。渋めの演奏です。ドラミングがやはりいい具合で好きです。ルカ・マンヌッツァのピアノもデリケイトないいソロをとっています。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Max Ionata / Coffee Time
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投稿者 Jazz Blogger T : 00:11
アントニオ・ファラオ/ソーン
JAZZ Piano 4
2011年12月11日
Antonio Farao / Thorn
最近はじめて聴いたイタリア人ピアニスト、アントニオ・ファラオの作品を紹介しましょう。現ジャズ界において、中堅どころでは最も注目されている実力派ピアニストの一人、アントニオ・ファラオの2000年の録音。テクニックに裏打ちされた感性と音楽性が高いレベルで表出された上質で豊かなジャズ音楽です。パーソネルは、アントニオ・ファラオ(p)、クリス・ポッター(sax)、ドリュー・グレス(b)、ジャック・デジョネット(ds)。2000年NY録音。Enja。
アントニオ・ファラオ(1965〜)は、98年に初リーダー作「Black Inside」以降、次々とリリースされる作品を通じて、今最も旬のジャズ・ピアニストの一人と目されているようですね。私にとっては本日エントリの「ソーン」がファラオ初体験になるのですが、何度も聞き返してはその評判に違わぬ優れたピアニストという認識を持ちつつあります。
このところ、イタリア・ジャズを集中的に聴く毎日を過ごしています。2000年以降のイタリア・ジャズ界はその才能あるタレント達の活躍と彼らが創り出す高品質のアルバム群によって、それはまさに世界の中心的な発信地になっているようですね。
ピアニストでは、アントニオ・ファラオ(1965〜)、ルカ・マンヌッツァ(1968〜)、ステファーノ・ボラーニ(1972〜)らがこの世代に当り、その前の世代には、著名なエンリコ・ピエラヌンツィ(1949〜)やレナート・セラーニ(1958〜)がいますね。
私の最近の興味は、特にルカ・マンヌッツァとアントニオ・ファラオの2人にあり、彼らがどんなピアニストであり、どんな音楽を作り出そうとしているのか、その辺りのことを明らかにしたいと思っていまして、その探索は始まったばかりです。
マンヌッツァは、ファブリツィオ・ボッソやマックス・イオナータらと共に50年代60年代のハード・バップや新主流派の典型的な王道モダン・ジャズ路線を、自分達の理想とする現在最高の洗練さて持って再構築しているように見えます。
アントニオ・ファラオについては、本日現在、私はまだ本作しか聴いていない状況ですので何も言えないと思いますが、やはり何と言うか、その磨き抜かれた技量と音楽性に立脚して、モダン・ジャズの持つ普遍的な魅力を極めたい、あるいは、その高みに達したいという、強靭な魂や意志を感じますね。
ファラオのピアノは時に激しくパワーとテクニックで聴く者を圧倒するような力があります。本作ではジャック・デジョネットが加わることでそれを後押ししていますね。それとは対照的に、数曲の学曲においては、鎮静した美しく粘っこい演奏が繰り広げられています。この深い思索的なピアニズムが私的には非常に魅力的です。
全9曲。トリオ演奏とマルチ・サックス奏者のクリス・ポッターが加わったカルテット演奏があります。一番印象に残った演奏は4曲目 Epoche です。ポッターのソプラノ・サックスとファラオのピアノが織りなす退廃的なムードが素敵です。神秘的というか悪魔的というか、音楽には何らかの隠された暗部のようなものがあると一層魅力的になるものなのです。クラシックでは作曲家のスクリャービンが、また、ジャズ界でもウェイン・ショーターがそれを的確に示しています。
女性のイニシャルと思われる曲名の7曲目 B.E. が次に好きです。エヴァンス・ライクな内省的な美しいバラッド演奏です。ファラオのピアノには、ジャズ・ピアノが持つべき香(かぐわ)しい芳香がありますね。少し強めの体臭の方がクセになるというか、引きつけて止まないものがありますが、それほどでもなく中庸で適度な感性を感じます。
9曲目も同様な路線で、ファラオがヨーロッパのピアニストであることを思い起こさせる内容です。短調のメロディが品よく流麗に紡がれてゆくエレガントなピアノです。2曲目 Time Back もやはりトリオ演奏ですが、デジョネットのエンカレッジングなバッキングを伴って、ファラオのピアノが縦横無尽にジャズ的奔放さとしなやかな音楽性を披露してみせます。これぞジャズという素敵なジャズ・ピアノです。
1. Thorn
2. Time Back
3. Preludio
4. Epoche
5. Caravan
6. Arabesco
7. B.E.
8. Tandem
9. Malinconie
Antonio Farao (p), Chris Potter (sax), Drew Gress (b), Jack DeJonnette (ds).
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Antonio Farao / Thorn
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投稿者 Jazz Blogger T : 11:55
ローマ・トリオ/チャオ・チャオ・バンビーナ
JAZZ Piano 4
2011年12月07日
Roma Trio / Ciao Ciao Bambina
今日は最近集中的に聴いているイタリア人ピアニスト、ルカ・マンヌッツァのピアノ・トリオ作品をご紹介しましょう。21世紀に入ってイタリアのジャズが熱く燃えていますね。ネオ・ハード・バップとも呼べるこの潮流は本物のモダン・ジャズです。このトリオ・メンバーはその中心的ミュージシャン達。私のお好みに名を連ねるルカ・マンヌッツァとの出会いは今年後半の個人的な発見となりました。新鮮な感覚が魅力です。パーソネルは、ルカ・マンヌッツァ (p)、ジャンルカ・レンツィ (b)、ニコラ・アンジェルッチ(ds)。Venus。2007年ローマ録音。
ルカ・マンヌッツァ(1968〜)は40才代前半の中堅どころ。ファブリツィオ・ボッソらのグループのメンバーとして著名です。そのピアノの魅力は、小気味よく歌う右手の新鮮なフレージング感覚。誰と似ているのでしょう。例えば、ウィントン・ケリーからブルース臭さが抜けて洗練だけを取り出したような、とでも表現しましょうか。あるいはラス・フリーマンの淡白系エレガンスを能弁にしたような。エヴァンス的な演奏もできるのだけれど、バップ系の強い打鍵とアクセントを伴ったハード・ドライビングな演奏により魅力がありそうです。
本トリオのリーダー格のドラム、ニコラ・アンジェルッチの演奏が刺激的でいいですね。本作あるいは本トリオの新鮮な感覚は彼のドラミングと精妙なアレンジにかなり依存していそうですね。べースを含めて3者の関係性と調和が素晴らしいですね。密度の濃い上質なジャズが出来上がっています。
ヴィーナス・レーベルの中にあって、このローマ・トリオのものは斬新かつ高い音楽性ゆえ目立っていますね。芸術を感じさせる音楽であること、ある種の緊張を強いられたりスリリングな感覚を味わうことなど本作が持つ魅力は、ジャズを聴く醍醐味そのものであります。
全11曲。素敵な演奏が並びます。繰り返し聴くほどにどの曲にも平板でない何か新しいものが埋め込まれているのがわかります。お気に入りは、5曲目の Moon And Sand。ベース・ソロの後のマンヌッツァのソロが渋くて美しくて好みです。うねる指使いと繊細なタッチが素晴らしいですね。標題曲9曲目 Ciao Ciao Bambina は有名なイタリアのカンツォーネ曲。斬新なアレンジで独特のジャズに仕上げており、マヌッツァの軽快なピアノが快活なドラムの上を駆け巡ります。
2曲目 Solar、4曲目 Anche Un Uomo、8曲目 Maramao Oerche Sei Morto、10曲目 That's Allでは新鮮なドラミングが冴え渡り、本ピアノ・トリオの真骨頂を聞くことができます。新鮮なジャズ・フィーリング。
1. All Of You
2. Solar
3. Amarsi Un Po'
4. Anche Un Uomo
5. Moon And Sand
6. Just One Of Yhose Things
7. Torna A Surrient
8. Maramao Oerche Sei Morto
9. Ciao Ciao Bambina
10. That's All
11. Celestina's Waltz
Luca Mannutza (p), Gianluca Renzi (b), Nicola Angelucci (ds).
Rec. July 16,2007,Rome (Venus Records VHCD1002)
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Roma Trio / Ciao Ciao Bambina
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:16
ジャン・イヴ・ティボーデ / Conversations With Bill Evans
JAZZ Piano 3
2011年11月30日
Jean-Yves Thibaudet / Conversations With Bill Evans
一風変わったジャズ・ピアノ作品。フランスのクラシック・ピアニストであるジャン・イヴ・ティボーデがビル・エヴァンスの作品をソロで演奏した素敵なアルバムです。静かに流れるエヴァンス・ライクな演奏はとても印象深く、濃厚なジャズではなく、品のよいコンテンポラリーなピアノなのです。パーソネルは、ジャン・イヴ・ティボーデ(p)。1997年録音。
ジャン・イヴ・ティボーデ(1961〜)はラヴェルやサティら近代フランス作曲家のピアノ作品などで著名な中堅ピアニスト。テクニックがしっかりしており、音響に対するこだわりのあるクラシック・ピニアスト。クラシック以外にも関心が高く、ジャズでは本作品の他にデューク・エリントンやガーシュインの作品集があります。
このビル・エヴァンスとの会話と題した作品にはエヴァンスのレパートリーとしておなじみの著名なスタンダード曲が集められています。専門のアレンジャー4人によって編曲されたものをティボーデが譜面通りに演奏しているという形式のようです。ジャズ本来のインプロヴィゼーションは全くないと言ってよいですが、アレンジの中にその要素を組み込まれておりジャズ的なフィーリングもそこそこに楽しめることができます。
何と言ってもピアノの音色が美しく和音の響きが素晴らしいのですね。エヴァンスのピアノ・スタイルをかなり意識したアレンジになっており、和声の歌わせ方はエレガントを感じます。クラシックのピアニストが演奏するジャズはそれほど期待しない方がよいですが、本作品に関しては相当にいい線いっていると思います。それは編曲が十分にハイレベルなためであり、ジャズ・ファンに限らずピアノ作品が好きな人にとってはそれなりに楽しめる内容になっていると思います。
全12曲。どの曲にも上品さと洗練が感じられます。個人的には4曲目 Noelle's Theme が好きです。美しい響きと印象的な演出で、女性が好みそうな雰囲気のある美的な演奏です。6曲目Here's That Rainy Day もいいですね。10曲目 Peace Piece も素敵です。
1. Song For Helen
2. Waltz For Debby
3. Turn Out The Stars
4. Noelle's Theme
5. Reflections In D
6. Here's That Rainy Day
7. Hullo, Bolinas
8. Love Theme From 'Spartacus: Love Theme From 'Spartacus'
9. Since We Met
10. Peace Piece
11. Your Story
12. Lucky To Be Me
YouTubeからラヴェルの『鏡』から「道化師の朝の歌」をティボーデの2010年の演奏で。音がいいですし、ラヴェル作品の持つエスプリや香りがそこはかとなく表現された素敵な演奏ですね。音の響きが本日紹介したエヴァンス集と通じるものがあるのは決して偶然とは思えません。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Jean-Yves Thibaudet / Conversations With Bill Evans
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:41
トーマス・エンコ/Someday My Prince Will Come
JAZZ Piano 3
2011年11月29日
Thomas Enhco / Someday My Prince Will Come
今日は仏人若手ジャズ・ピアニストのトーマス・エンコにご登場願いましょう。流石にヨーロピアンな品のよい香りがそこはかとなく漂いまして、その絶妙なピアノ・タッチが実に心地良いのですね。繊細でありながら充実した力とセンスがみなぎっておるわけです。逸材の予感を感じさせる日本デビューアルバム。パーソネルは、トーマス・エンコ (p)、ジョアキム・ゴヴィン(b)、ニコラス・シャリエ(ds)。デヴィット・エンコ(tp, fh)。Blue in Green。2009年。
1988年生まれということですから若干23歳。それにしても成熟した旨い音楽を奏でますね。クラシック音楽のしっかりとした土台があるのでしょう、脇が固いといいますか、ピアノの打鍵に無駄がなく強く、ピアノを存分に弾きこなしているという感じがします。
高い音楽性が全体に伝わってきます。静の空間や音の余韻をうまく表現していると思います。リズミカルに弾かれる急速調の演奏の中にも、何かしら品性というか知性のようなものが漂うので、聴いていて疲れないのです。
私は最近クラシックのピアノ音楽にどっぷりと浸かる毎日なので、エンコ青年のピアノにはとても信頼感が持てるのです。YouTubeで聴くことのできるエンコ青年の演奏はもうクラシックとジャズのほどよい調和の世界です。ジャズなのかクラシックなのかその区別も意味がないようなコンテンポラリーな音楽空間を形作っています。
全12曲。まず、1曲目シューマンの聞き慣れた可愛いメロディに少し面食らいます。「子供の情景」は7曲目の「トロイメライ」が有名ですが、1曲目の「見知らぬ国と人々について」が出てくるところが渋いですね。こちらも愛らしいメロディなのです。そのアドリブは優しくて流麗でとてもいい感じです。
4曲目は自作曲。きりりと締まりのある印象的な曲。リリカルな演奏の9曲目がやはり好きです。冒頭にブラームスの間奏曲のメロディが引用されて、おやっと思うのですが、その後ふつうに I Love You Porgy になって、最後はなんとショパンの別れの曲で閉めるという不思議な世界です。心優しい響きに魅了されます。
表題曲 Someday My Prince Will Come がとても素敵で美しい世界ですね。クリアな音質と瑞々しいタッチが素晴らしい。力強さの中に品格があります。グルーヴ感もしっかりとあって典型的なジャズ・ピアノの世界を表現しています。
1. Kinderszenen Op.15 ( Scenes From Childhood ) No. 1 - About Foreign Lands And People ( 「子供の情景」~見知らぬ国と人々について )
2. Yesterdays
3. I Fall In Love Too Easily
4. Nanou's Spice Cupboard
5. Three Hours After Midnight
6. You And The Night And The Music
7. My Funny Valentine
8. Where Are We Sailing To?
9. I Loves You Porgy ~ Etude Op.10 No. 3 ( 別れの曲 )
10. Whisper Not
11. Someday My Prince Will Come
12. Walking on The Sunny Side
THOMAS ENHCO (p), JOACHIM GOVIN (b), NICOLAS CHARLIER (ds), DAVID ENHCO (tp, fh).
YouTubeからトーマス・エンコ青年の動画をアップしておきましょう。豊かな音楽性が伝わってくるソロ演奏です。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Thomas Enhco / Someday My Prince Will Come
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投稿者 Jazz Blogger T : 20:36
イリアーヌ/サムシング・フォー・ビル・エヴァンス
JAZZ Piano 3
2011年11月27日
Eliane Elias / Something For Bill Evans
イリアーヌのビル・エヴァンスへのトリビュート・アルバムです。イリアーヌの夫君はエヴァンス晩年のレギュラー・トリオのベーシスト、マーク・ジョンソンですし、イリアーヌの才能を見いだしたのはやはりエヴァンス・トリオのかつてのベーシスト、エディ・ゴメスでした。本作品はそんなエヴァンスと縁のあるイリアーヌのエヴァンスに対する静かだけれど思いの深さが伝わる素敵な一枚です。パーソネルは、イリアーヌ・イリアス(p, vo)、マーク・ジョンソン(b)、ジョーイ・バロン(ds)。2007年NY録音。Somethin'Else。
イリアーヌに私が魅せられたのはつい最近この1年くらいのことです。ボサノヴァ関係のアルバムがどれもこれも素晴らしいので一遍に好きになりました。イリアーヌのピアノはエヴァンスのような深い思索や内省的な情念などは希薄で、あっさりとした薄味の中にエレガンスと優しさが品よく佇んでいます。ハーモニーの使い方に決して内に向かわず明るさと柔らかさがある感じです。
ヴォーカル(というより弾き語りですが)は上手い下手とか以前にブラジル&ボサノヴァ系独特の素人然とした自然体の歌唱であり、ピアノの方も強い主張やアクが無く女性らしいしなやかなもので、特に際立ったものがあるわけでないのですが、雰囲気とかセンスが非常に具合がよくてそういった全体のバランス感覚や音楽性が優れているように感じます。
静かに自然にゆったりと時に少し気だるく音楽を慈しむような演奏なのですね。癒し系の音楽。あくせくせずに音楽を楽しんでくださいというノリですね。押しつけや泣かせるといった強い主張が無く、それが逆に一つの特徴と言えるのかもしれません。淡々と自分がよしとするものを静かに語りかけてくる音楽とでも言えましょうか。
全18曲。うちヴォーカル付きが6曲。3〜4分の曲が並びます。品のよい素敵なジャズがBGM的に流れて行きます。静溢でリリカルな10曲目 My Foolish Heart が好きですね。当たり前過ぎて面白みがないのかもしれないけれど。5曲目 Waltz for Debby がやはり良いですね。自然で無理がなくそこはかとなくロマンの香りが漂ってくる演奏&歌唱です。ポルトガル語で歌われる9曲目 Minha が暗めだけれどいい感じ。
少し主張を感じるのは、エヴァンス作の有名曲7曲目 Blue in Green。 ここでの演奏はボサノヴァ調で少しリズミックに静かに流れて行きますがこんなアレンジは初めて聞くものですね。まあ悪くはないですし繰り返し聴いていますと耳に馴染んできてごく自然な印象を感じますね。これも彼女のセンスというものでしょう。
本作のきっかけとなったのは、エヴァンスが死の直前にマーク・ジョンゾンに託した未発表曲のオリジナル・テープ。そこには Here's Something For You とEvanesque という2曲が納めれており、前者はそのまま本作品17曲目に聞くことができます。
1. You And The Night And The Music
2. Here's Something For You
3. A Sleepin' Bee
4. But Not For Me
5. Waltz For Debby
6. Five
7. Blue In Green
8. Detour Ahead
9. Minha (All Mine)
10. My Foolish Heart
11. But Beautiful/Here's That Rainy Day
12. I Love My Wife
13. For Nenette
14. Evanesque
15. Solar
16. After All
17. Introduction To Here's Something For You
18. Re: Person I knew
Eliane Elias(p,vo), Marc Johnson(b), Joey Baron(ds).
YouTube から Here's Something For You をイリアーヌとマーク・ジョンソンのデュオでどうぞ。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。
→ Eliane Elias / Something For Bill Evans
関連エントリはこちらから。
→イリアーヌ/夢そよぐ風
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:31
アート・ペッパー/ロンドン・ライブ1980
JAZZ Sax 3
2011年11月25日
Art Pepper / London Live 1980
アート・ペッパーの晩年の作品から最近気に入ってよく聴いているアルバムを紹介します。70年代以降の復帰後のペッパーは多くのアルバムを出していますが、このロンドン・ライブこそは最高の寛ぎパーフォーマンス。パーソネルは、アート・ペッパー(as)、ミルチョ・レビエフ(p), ボブ・マグヌソン(b), カール・バーネット(ds)。1980年ロンドン録音。
ジャズ・ファンにとってアート・ペッパー(1925-1982)は非常に大きな存在ですね。50年代の天才的なきらめきを印したアルバム群はサックス・ジャズの金字塔と言えましょう。70年代以降の復帰後も素晴らしい演奏を残していますが、復帰前があまりに神懸かり的であったばかりに、多少損をしていると思われます。
私は復帰後のペッパーは凡人らしくなって親近感があったり、ジャズを聴いて寛ぐという点においてはまったくもって復帰後の方がその目的に合うように思います。例えば、バド・パウエルに「バド・パウエルの芸術」という47年と53年の演奏を記録した名盤がありますが、特にA面の47年の方は芸術という表現も妥当かと思われるような格調高く品格ある天才そのものの演奏ですね。晩年のパウエルはそうした神懸かり的なものが希薄になった分だけ、楽しめるといいますか、気楽に寝転がって聞き流して適当に楽しめるわけです。
ペッパーの場合も似たようなところがあって、切れ味鋭い一本勝負とも言える隙のない完璧な演奏をしていた頃よりも、少し凡庸さや冗長さが加わることよって聞く側にも余裕というか遊びみたいなものが生じてくるのですね。芸術鑑賞ではなくて、エンターテイメントとして聞く状況が整っているわけなのです。録音時間が長くなっていたり、ライブ演奏が多くてより臨場感があったり、ジャズ本来の魅力を堪能できる環境下での演奏が多くなっているのです。
そうした意味で本作のロンドンでのライブ演奏は最高の一枚です。日常的に聴くジャズはやはりこういう寛ぎをもたらしてくれるお気楽で元気の元になるジャズがよいですね。特にライブ盤であることはジャズ特有の臨場感や即興性を楽しむ上で必須の要素です。ペッパーほどの実力者にとってはライブ演奏の方が上で主張してきた私好みの演奏を繰り広げることができ、結果的に寛ぎのあるエンターテイメントな作品となるのだと思います。
77年のヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ盤がやはり復帰後の代表作なのでしょうが、発掘される形で後年になって日の目を見た本作の方に私は愛着があります。音質も悪くなく、バックのレギュラー・メンバーとの息もぴったりで、切れのよい元気溌剌なサックス・プレイは実に壮快です。同じ時期、同じメンバーでのパリ・ライブってのもありますが、残念ながら音質が劣るためにこちらロンドン・ライブが数段上でしょう。
このペッパーの快演を聴いていますと、やはり愛聴盤であるところのマイルス・デイヴィスのライブ盤「プラグド・ニッケル」を想起させられます。ともに過去を払拭、いや刷新するような高エネルギーに満ち溢れていて、その内面の充実や輝きがよく伝わってくるというか、心に深く分け入ってくる強烈な演奏なのです。こういうジャズこそ一番に愛すべきと私は思っています。
全5曲。2曲目ミシェル・ルグラン作「思い出の夏」の美しいメロディを料理するペッパー節がなかなか渋いですね。レビエフのピアノもいい感じです。3局目スタンダード Stella By Starlight も同様な路線で、渋柿のようにしわがれたバラッド演奏に凄みを感じさせられます。4曲目のジョビンの名曲「イパネマの娘」もメリハリの効いた鋭いアクセントの中にしなやかな黒豹のような品格と機敏さを漂わせています。このクセになる粘っこさは私が求めて止まない本流のジャズそのものなのですね。
1.Cherokee
2.The Summer Knows
3.Stella By Starlight
4.A Girl From Ipanema
5.This Blues of Mine(Blues In E-Flat)
Art Pepper (as), Milcho Leviev(p), Bob Magnuson(b), Carl Burnett(ds).
詳しくはアマゾンでどうぞ。
→ Art Pepper / London Live 1980
関連エントリはこちら。
→アート・ペッパー/モダン・アート
→アート・ペッパー/ザ・リターン・オブ・アート・ペッパー
→アート・ペッパー/ミーツ・ザ・リズム・セクション
→アート・ペッパー/ジ・アート・ペッパー・カルテット
→アート・ペッパー/ゲッティン・トゥゲザー
→アート・ペッパー/ジ・アート・オブ・ペッパー
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:54
ロバート・ラカトシュ/貴方と夜と音楽と
JAZZ Piano 3
2011年11月24日
Robert Rakatos / You and the Night and the Music
今日は大のお気に入りのハンガリー出身のジャズ・ピアニスト、ロバート・ラカトシュのトリオ作品。研ぎ澄まされた洗練と透徹した美学を体現する21世紀を代表するジャズ・ピアニスト。美しく硬質でクールなタッチとセンスは本作(澤野工房での3作目)において匂い立つような輝きを放っています。パーソネルは、ロバート・ラカトシュ (p)、トーマス・スタベノウ(b)、クラウス・ワイス(ds)。2007年録音。澤野工房AS077。
澤野工房はいまやヨーロピアン・ジャズといえば澤野工房というくらいに著名になった日本のレーベル。大阪は通天閣のある街として有名な新世界という下町の商店街から発祥した澤野工房。私も以前に偶然に店舗に遭遇しましたが、そのことはすでに過去エントリに書いています。→ウラジミール・シャフラノフ/WHITE NIGHTS
さて、ロバート・ラカトシュは私にとって最近の多くのジャズ・ピアニストの中で特にお薦めのピアニストなのです。2作目の Never Let Me Go については既に本ブログにて絶賛していますね。本作は同じ路線でなのすが、サイドのベースとドラムが前回の若手でなくベテランで強力になっています。
ラカトシュのピアノ・スタイルは、所謂エヴァンス派に分類されるち思うのですが、その魅力は静溢なクール・ビューティという点なのですね。しかも、単なるクールではなくて、そのよく歌うアドリブ・ラインはクリア・タッチで粘っこくグルーヴ感が適度にあったりと、ほんの少し聞いただけですぐに魅了されてしまうのです。美学と言えるような透徹した洗練さを感じます。
全12曲。現代的な高水準のピアノ・トリオ演奏であることが一目瞭然です。私の好きな典型的な演奏は、例えば、5曲目の静かなバラッド Lamentですね。全編ほぼラカトシュのアドリブで占められており、前半の物憂い醒めた表現が徐々に熱を帯びて、昼間部では豊かに自由に飛遊し、終盤には美しく静かに閉じるという、結晶のように壊れそうで繊細な美学を示す5分ほどの素敵な演奏です。
11曲目 Lotus Blossom も静かな中にひっそりとほのかに輝く青白い炎。1曲目 I Should Care や3曲目 Scandia Skies はラカトシュの得意とするミディアム・テンポの歌物。これぞジャズ・ピアノというメリハリのあるキュートな歌心が冴えています。小気味よく繰り出されてくるイディオムとその連なりには美と力が宿り、自然に流麗に下流へと流れて行くのです。
1. I Should Care
2. Fragile
3. Scandia Skies
4. Moose The Mooche
5. Lament
6. Sepia
7. The Blessing
8. Gloaming
9. Whisper Not
10. Back Home Blues
11. Lotus Blossom
12. You And The Night And The Music
Robert Lakatos : piano
Thomas Stabenow : bass
Klaus Weiss : drums
関連エントリはこちら。
→ニコレッタ・セーケ/ア・ソング・フォー・ユー
→ロバート・ラカトシュ/Never Let Me Go
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投稿者 Jazz Blogger T : 00:10
シンガーズ・アンリミテッド/イン・テューン
JAZZ Vocal 2
2011年11月23日
The Singers Unlimited / In Tune
今日はジャズ・ヴォーカルから素敵な一枚。女1人男3人からなるシンガーズ・アンリミテッドは1970年代以降その素敵なハーモニーでジャズ・ファンを魅了してきたモダン・ジャズの代表的ヴォーカル・グループ。本日は彼らのデビュー作であり代表作とも言える素晴らしい作品をご紹介しましょう。パーソネルは、ジーン・ピュアリング、ボニー・ハーマン、ドン・シェルトン、レン・ドレスラー(vo)、オスカー・ピーターソン(p)、ジリ・ムラーツ(b)、ルイ・へイズ(ds)。1971年ドイツ・ヴィリンゲン録音。MPS。
秋から冬に季節が移り行くそんな静かな夜にシンガーズ・アンリミテッドの美しいハーモニーを無性に聞きたくなりました。アカペラもいいのですが、オスカー・ピーターソンのリリカルなピアノが伴奏を務める素敵な本作「In Tune」は優しくて品がよくて真に心が癒されてゆくのが実感できるアルバムなのです。
ジャズ・ヴォーカルには複数人で歌唱するグループが数少ないですが存在感のあるグループがありますね。その中でも、シンガーズ・アンリミテッドThe Singers Unlimited(theが付くのですね)は、1950〜60年代にハイ・ローズというフォー・フレッシュマンと人気を二分した男性4人グループのリーダーであったジーン・ピュアリング(1929-2008)がグループ解散後に新たに作ったグループで、アカペラと多重録音を取り入れた新鮮なハモーニーで世界的な人気となった代表的なジャズ・ヴォーカル・グループです。
ジャズ・アカペラと言えば、このシンガーズ・リミテッドというほどに有名ですね。テレビ・コマーシャルなどで、多重録音による独特の分厚いこの種の響きを耳にする機会もたまにあります。ただ、そうした性格上、彼らの活動はスタジオ録音、即ち、レコードやCDのみに限られてていたのですね。このシンガーズ・アンリミテッドを世に送り出したのがオスカー・ピーターソンであり、本作はそうしてできた彼らのデビュー作、共演作なのです。
オスカー・ピーターソンのピアノはそれほど好んで聞く機会は多くはないので、私には語り尽くすことなど到底できませんが、本作では、ピーターソン自らが推すヴォーカル・グループを好サポートすべく、そのせいかどうか分かりませんが、そのピアノが極めて美しく魅力的なのですね。本当にセンスがよいというか、ブルースやジャズ的な泥臭さとは全く無縁の都会的で洗練されたリリカルなピアノを披露しています。
シンガーズ・リミテッドの歌唱についても、少し控えめというか、ピーターソンのピアノと対等の位置レベルで、とにかく上品にまとめれれています。全11曲すべてバラード系のしっとりした演奏です。紅一点のボニー・ハーマンの声質がソフトで慈愛に満ちていてやはり大好きです。静かな寒い夜に一人孤独を噛み締めた若き日々を思い出します。そんなノスタルジーに浸ります。
1. Sesame Street
2. It Never Entered My Mind
3. Children's Game
4. The Gentle Rain
5. A Child Is Born
6. The Shadow Of Your Smile
7. Catherine
8. Once Upon A Summertime
9. Here's That Rainy Day
Gene Puerling, Bonnie Herman, Don Shelton, Len Dresslar (vo), Oscar Peterson (p), Jiri Mraz (b), Louis Hayes (ds). Recorded at MPS Studios, Villingen, July 1971.
詳しくはアマゾンでどうぞ。
→ The Singers Unlimited / In Tune
関連エントリはこちら。
→シンガーズ・アンリミテッド/ジャスト・イン・タイム
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投稿者 Jazz Blogger T : 12:16
テテ・モントリュー/ボディ・アンド・ソウル
JAZZ Piano 3
2011年09月20日
Tete Montoliu / Body and Soul
今日はテテ・モントリュー、久しぶりの登場です。紛れもない天才ジャズ・ピアニスト。盲目であることが彼に神の手と感性を与えたと。耳にタコができるほどに繰り返し聞いてきたお気に入りのライブ盤をご紹介します。パーソネルは、テテ・モントリュー (p)、ジョージ・ムラーツ(b)、ジョー・ネイ(ds)。1971年ミュンヘン録音。Enya。
テテ・モントリューのピアノをご存知の方も多いと思います。私ももちろんその真価をよく分かっているつもりでいました。特に、その前人未踏と言えるテクニックと、歳を重ねるうちにバラッド演奏等に聞かれるその情念の深さ具合に、ただならぬ魅力を感じつついつもいつかお近くにと念じておりました。
例えば、本作2曲目Old Folks や4曲目 Nightingale に聞かれる奥深い慈愛とでも言いたくなるような饒舌だけど優しく静かに心に訴えかけてくるピアノ演奏に、私はもう痺れっぱなし惚れっぱなしなのです。好きで好きで堪らない。もうすべてを受け入れて成すがまま、好きにして状態ですわ。
痒いところに手が届くというか、その執拗で飽くなき掘り下げ方、こちらが懇願してもその手を休めず、次々と手を変え品を変え、繰り出される手練手管の数々、その押し寄せる快感の波に、もう止めてください、堪忍してください、気が狂います、お願いしますお願いします、と叫んだまま、あ〜あ〜逝きます逝きます、ついには大往生を遂げてしまうのでございました。
何だか、荷風(もちろん姓は永井ね)にでもなった気分になってきますが、テテ様はそんな凄腕の持ち主。海千山千のジャズ好きももうテテさん貴方の手にかかればたいていメロメロでござんすよ。5曲目 Body and Soul はなじみの常連。私はこれには持ちこたえられますよって。しばしの休息とご歓談とまいりましょう。
6曲目 Lament もおなじみながら、深い愛情が込められていますね。事後の余韻を客観的に味わうのに丁度いい感じですわね。今夜も貴方に恥ずかしい姿をお見せして終いには無茶苦茶にされて、でもこれ本望でござんす。私は本に幸せ者でござんすよ。ありがたや。それで次はいつですの?
いけませんね。テテ・モントリューさんにあまりにも失礼ではないですか。スペインというかカタロニア人は快楽主義者に違いないと思うわけです。人間の酸いも辛いも知り尽くし、行き着くところに行き着いたらテテ・モントリューを聞きましょう。聞いてブラボーと言いましょう。
1. Sweet Geogia Fame
2. Old Folks
3. Blues
4. A Nightingale Sang In Berkeley Square
5. Body And Soul
6. Lament
Tete Montoliu (p), George Mraz (b), Joe Nay (ds).
Recorded live at the Domicile in Munich, in Apr 1971.
YouTubeからテテ・モントリューの信じがたいピアノ演奏を見てみましょう。これで盲目とはもう天才としか言いいようがないですね。速弾きだけでなく、次々に湧き出てくるフレーズの洪水とその高い音楽性にはもう唖然とするばかり。それによく見れば可愛くてとってもいい男。とぼけた顔してババンバン。貴方にはもうメロメロですわ、どうぞお好きなままに、と女でなくとも言いたくなるほど。
VIDEO
もう1本。少し若い70年代ものから。当時からの十八番レパートリーBody and Soul。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Tete Montoliu / Body and Soul
関連エントリはこちらから。
→テテ・モントリュー/テテ
→ケニー・ドーハム/ショート・ストーリー
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:20
スティーブ・キューン/亡き王女のためのパヴァーヌ
JAZZ Piano 3
2011年09月19日
Steve Kuhn / Pavane for a Dead Princess
今日はスティーブ・キューンの比較的近年の作品から一枚紹介しましょう。クラシックのピアノ小品をジャズにアレンジするという安易な企画ながら、期待以上にキューンらしい節度ある美的ピアノが香る詩的なジャズ音楽となっています。パーソネルは、スティーブ・キューン (p)、デビット・フィンク (b)、ビリー・ドラモンド (ds)。2005年NYC録音。Venus。
スティーブ・キューンのピアノが好きです。といっても70年代くらいまでの若いキューンしか知らなくてその当時の彼の数枚のアルバムのことなのですが。近年venusに吹き込まれた多くの作品はほとんど聞いてなくて実は本作が初めてなのです。
本作を手に取った理由は、個人的に最近よく聞いているクラシックのピアノ曲がずらりと並んでいたことと、やはりまだ聞いてない近年のキューンの演奏が非常に気になっていたからです。あまり期待していなかったというのが本音ではあります。
繰り返し聴いていますと、キューン往年のあの魅惑のピアニズムとタッチが少しながら感じられて、これいいんじゃないかと思われるのでした。甘いメロディをキューンはさらりと流しますね。そのあっさりとした感触の中にも、時おり見せる知的なリリシズムが品がよすぎて私は胸がキュンとなってしまうのです。
そう、スティーブ・キューンの美意識というかセンスが私にはぴったりくるのですね。上品で節度があって、押し付けるところがない、そんな凛とした佇まいの中に、静かにしかも朴訥に紡がれる何気ない音の連なりが私の琴線に触れる瞬間があるのですね。これはとても繊細なことなので、うまく説明ができませんが、分かる人には分かってもらえると思うのです。
1. I'm Always Chasing Rainbows
~Fantasy Impromptu (F. Chopin)
2. Pavane For A Dead Princess (M. Ravel)
3. Moon Love
~Symphony#5 2nd Movement (P. Tchaikovsky)
4. One Red Rose Forever
~Ich Lieve Dich (E. Grieg)
5. Swan Lake (P. Tchaikovsky)
6. Nocturne In E♭Major Op9,No2 (F. Chopin)
7. Reverie (C. Debussy)
8. Prelude In E Minor Op29.No4 (F. Chopin)
9. Full Moon And Empty Arms
~Piano Concerto#2 3rd Movement (S. Rachmaninov)
10. Pavane (G. Faure)
11. Lullaby (J. Brahms)
Steve Kuhn (p), David Finck (b), Billy Drummond(d).
YouTubeから2007年頃の演奏をピックアップしました。ピアノのタッチが実に美しいですし、紡がれる音がキューンの美学を如実に示しているように思われます。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Steve Kuhn / Pavane for a Dead Princess
関連エントリはこちらから。
→スティーブ・キューン/エクスタシー
→スティーヴ・キューン/スリー・ウェイブズ
→スティーヴ・キューン/リメンバリング・トゥモロウ
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投稿者 Jazz Blogger T : 16:08
チャールズ・ミンガス/道化師
JAZZ others 3
2011年09月18日
Charlie Mingus / Crown
今日はチャーリー・ミンガスの名盤「道化師」ですね。ジャズはやはりこうでなくっちゃというグルーヴ感に満ちた味わい深いミンガス・ジャズ。ミンガスの重いベースによる強靭なリズム&ブルースと粘っこいフロントのアドリブ・ソロが冴える印象派ジャズ物語。パーソネルは、チャーリー・ミンガス (b)、カーティス・ポーター (as,ts)、ジミー・ネッパー (tb)、ウェイド・レ-ジ (p)、ダニー・リッチモンド (ds)。1957年NYC録音。Atlantic。
「直立猿人」(1956)に続くミンガス・ジャズの2作目ですね。いずれも名盤の誉れ高い作品です。「直立猿人」のフロントは、アルトのジャッキー・マクリーンとテナーのJ. R,モンデローズ、こちら「道化師」のフロントは、アルトのカーティス・ポーターとトロンボーンのジミー・ネッパーです。これらフロント・ラインの力強くブルージーなインプロビゼーションが鍵を握りますが、いずれも素晴らしい内容ですね。
前者の二人は直立猿人だけでミンガスの元を去りましたが、後者の二人はその後もミンガスに気に入られたのかよく使われています。特にジミー・ネッパーのトロンボーンの響きはミンガス・サウンドを形作る象徴的なものとなりました。ちなみにカーティス・ポーターはシャフィ・ハディのことで非常にいいサックス奏者ですね。ほぼミンガスのアルバムでしか聞くことができませんが。
カーティス・ポーター、ジミー・ネッパー、ダニー・リッチモンド、それにミンガスの強靭なバックが揃えば、まさにそこは独特のミンガス・ワールドなのです。時に荒々しく怒り、時に極めて優しく美しく、時にブルージーでグルーヴ感のある素敵なジャズ。スモール・コンボとは思えない分厚いサウンドは、曲名に示されるようなある種の具象性を備えるに足ります。
基本的にミンガスのジャズはブルースがベースですね。作編曲に才のあるミンガスは素敵なメロディラインを埋め込むことにより、ミディアム・テンポのブルースはスマートで魅力に富んだ演奏となります。例えば、チャーリー・パーカーを想起させる3曲目でのグルーヴィーな味わいはミンガス・ジャズの典型的な魅力を表現した演奏です。構成力のあるインプロビゼーションは何度もテイクを重ねた結果であろうことが想像されます。
1. Haitian Fight Song
2. Blue Cee
3. Reincarnation Of A Love Bird
4. The Clown
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Charlie Mingus / Crown
関連エントリはこちらから。
→ チャールズ・ミンガス/直立猿人
→ チャールズ・ミンガス/メキシコの想い出
→ チャールズ・ミンガス/ミンガス・アー・アム
→ チャールズ・ミンガス/ジャズ・ポートレイツ
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投稿者 Jazz Blogger T : 00:08