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セルソ・フォンセカ/スローモーション・ボサノヴァ
2012年06月16日
Celso Fonseca & Ronaldo Bastos / Juventude
セルソ・フォンセカ。ここ1ヶ月最も頻繁にiPodで聞いている音楽を紹介しましょう。21世紀のボサノヴァの旗手セルソ・フォンセカ。本作は癒し系comfortableサウダージ。ボサノヴァに求める美学がここにあります。一日中BGMで流したい、本気でそんな気にさせてくれます。パーソネルは、セルソ・フォンセカ (vo, g, arr) 他。2001年。リオデジャネイロ。
このところボサノヴァをたくさん聞いています。これまではジョビンを中心にしてその周辺しか知らなかったのですが、きっともっと他にもいいものがあるに違いないと80年代以降現在に至るボサノヴァを手当たり次第に探索しています。ボサノヴァというより、広くMPB(Musica Popular Brasileira)というのが普通になりつつあるようですが。
今もまだ探検の途上ではありますが、自分にとっていくつか大きな発見があり、セルソ・フォンセカの音楽との出会いはその最大の一つです。他には、マルコス・ヴァーリやイヴァン・リンス等が新たに知り得たブラジリアン・ミュージシャンです。いずれまたここで紹介することになるでしょう。
セルソ・フォンセカは1956年リオ・デ・ジャネイロ生まれのカリオカ。母国ブラジルでは、ギタリストとしてジルベルト・ジル、カエターノ・ヴェローソ、ミルトン・ナシメントをはじめ数多くのトップ・アーティストのレコーディングやツアーに参加。プロデューサーとしてもジルベルト・ジル、ガル・コスタ、ダニエラ・メルクリ、ダウーチらを手掛け、数々の傑作を生み出しているとのこと。
セルソ・フォンセカの魅力は、ジョアン・ジルベルトのようなつぶやき系の渋いヴォーカルとギターが生み出すサウダージ感覚にあります。ジョアン・ジルベルトに比して柔らかい声質とビート感のある音楽作りが独特の癒し空間を生み出します。素敵な曲を書くこともできます。センスがきっと抜群にいいのですね。
全14曲。どの曲も静かに優しくメロディを奏でて軽快なリズムを刻みます。この幸せな音楽に耳を傾けているとこわばった心が自然に溶解していくようです。フォンセカの人間的な歌声と美しい伴奏のハーモニーが全体を包み込んで心身ともに癒されてゆくのが実感できます。
1. Samba E Tudo
2. Satélite Bar
3. O Que Restou Do Nosso Amor (Que Reste I'll De Nos Amours)
4. Slow Motion Bossa Nova
5. Valeu
6. Ledusha Com Diamantes
7. A Voz Do Coracao
8. Dylan Em Madrid
9. Feito Pra Voce
10. Miles Ahead Of Time
11. O Sorriso De Angkor
12. Meu Carnaval
13. La Piu Bella Del Mondo / Citação: A Voz Do Morro
14. Juventude
YouTubeからフォンセカの雰囲気が感じられるものをピックアップしてみました。本作のサブ表題曲 Slow Motion Bossa Nova。フォンセカのヴォーカルとギターから形作られるサウンドは独特の魅力に溢れています。
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同じ曲を別の演奏で。何度聞いても飽きないのはいい音楽である証拠。こちらのフォンセカはガットギターを弾いています。ピアノが繊細で美しいです。
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本作で1番のお気に入り曲がYouTubeにCD音源そのままにありましたのでここに拝借させていただきましょう。13曲目 La Piu Bella Del Mondo「この世で最も美しいもの」と題された曲は過去のヒット曲のカバーになりますが、そのリズム感覚とフォンセカのヴォーカルが醸すサウンドメイクは独特のサウダージの魅力を伝えています。ちなみに画像は有名女優ら美形のオンパレードですが何人くらいをご存知でしょう。
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セルソ・フォンセカのCDアルバム(公式HP、試聴可)→ Celso Fonseca
詳しくはアマゾンでどうぞ→ Celso Fonseca & Ronaldo Bastos / Juventude
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投稿者 Jazz Blogger T : 14:51
ヘンリー・マンシーニ/ピンク・パンサー
2011年12月20日
Henry Mancini / Pink Panther
こんばんは。今日は2年ほど前に知り合った大好きな映画音楽から。ヘンリー・マンシーニは恐らくは古き良き映画音楽の一番の巨匠と言っても過言ではないでしょう。サントラ盤はいずれも鑑賞用ミュージックとしても高水準にありますね。ピンク・パンサーはマンシーニの代表作の一つであり、そのジャズ的なフィーリングを楽しめる最高に豊かでゴージャスなお薦め音楽。1963年録音。
映画音楽の作曲家には大好きな音楽家が何人かいます。ヘンリー・マンシーニ、ニーロ・ロータ、ミシェル・ルグラン、フランシス・レイ、バート・バカラック、エンリオ・モリコーネなど。中でもヘンリー・マンシーニ(1924〜94)は多くの著名なメロディを世に送り出しています。
例えば、50年代〜70年代では、58年「黒い罠」61年「ティファニーで朝食を」61年「ハタリ!」62年「酒とバラの日々」63年「シャレード」63年「ピンク・パンサー」64年「男性の好きなスポーツ」65年「グレートレース」66年「アラベスク」66年「地上最大の脱出作戦」67年「いつも2人で」67年「暗くなるまで待って」70年「男の闘い」70年「ひまわり」71年「わが緑の大地」74年「ザッツ・エンタテインメント」75年「華麗なるヒコーキ野郎」などがありますね。
「ティファニーで朝食を」はムーンリバーで超有名ですし、「酒とバラの日々」はジャズでもよく演奏されるスタンダードな曲、「シャレード」や「ひまわり」はその美しいメロディに誰しも聞き覚えがあることでしょう。また、「ピンク・パンサー」の主題曲はまさに映画音楽の代表選手のような魅力的で斬新な音楽ですね。
さて、ピンク・パンサーの主題曲は有名ですし素敵な曲なのですが、実は私の興味はそれ以外にありまして、言わば、主題曲は掴みの役割を果たしておりまして、奥の方でひっそりと咲く可愛い小花の魅力を伝えることが本日の目的になりますね。
ヘンリー・マンシーニは自身ピアノやサックスを演奏したということで、メロディ・メーカーであるだけでなく、楽器の使い方に巧みがあったと思われます。人声コーラス、オーケストレーション、サックス、ハーモニカなどに特徴と魅力があります。「ティファニーで朝食を」でもふんだんに使われたあの温かいコーラスの響きはマンシーニ世界を象徴する香り豊かな雰囲を醸し出しています。
さて、ピンク・パンサーのサウンド・トラック盤である本作品には全16曲が納められています。私のお好みは、まずは、3曲目の少しけだるいけれど優しく哀愁のあるトランペットによるメロディラインと弦楽器と女性コーラスのため息の出るような柔らかな響きが素敵ですね。ハーモニカもいいです。
4曲目はいかにも画像の背景に流れてそうなマンシーニらしい曲想。男性コーラスのロマンス感のあるニュアンスもいいです。10曲目は主演のピーター・セラーズのために作られたラテン調の明るい曲想。エキゾティックなジャズの香りが素敵。こうしたラテン感覚もマンシーニはお得意の筆さばきのようでしたね。
11曲目はもっともお気に入りの曲。ピアノの響きが好きです。クロード・ソーンヒルを思わせる静かだけれど限りなく優しく慈悲深いメロディ・ライン。バックのオーケストレーションも美しいもの。恋をしている時に聞けばきっと涙するような素敵な曲でしょう。
1. The Pink Panther Theme
2. It Had Better Be Tonight (Instrumental)
3. Royal Blue
4. Champagne And Quail
5. Village Inn
6. The Tiber Twist
7. It Had Better Be Tonight (Vocal)
8. Cortina
9. The Lonely Princess
10. Something For Sellers
11. Piano And Strings
12. Shades Of Sennett
13. The Return Of The Pink Panther (Parts I & II)
14. The Greatest Gift (Instrumental)
15. Here's Looking At You Kid
16. Dreamy
YouTubeから1本ここにアップしておきましょう。ヘンリー・マンシーニが自ら指揮する演奏です。
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実はこの音楽には深い思い入れがあります。だいぶ以前に知り合った人から借りたCDなのですが、それほど興味もなくたまたまああ知ってる知ってるというノリで聞いた主題音楽なのですが、その後ろの方に素敵な曲がひっそり佇んでいるのを発見したのですね。それはその人がまさにそんな印象であって、知るほどに魅力を増すという点でいつまでも忘れられない、そんな思い出のある人&音楽との出会いだったのです。
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Henry Mancini / Pink Panther
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:13
マイケル・ブルック/ハイブリッド
2010年08月18日
Michael Brook/Hybrid
今日は前回に続きブライアン・イーノ絡みのアンビエント・ミュージックの名作をご紹介しましょう。斬新でクール、不思議な魅力のある音楽です。若い頃に購入して繰り返し聞いてきたアルバムです。パーソネルは、マイケル・ブルック (g)、ブライアン・イーノ (p, b, treat)、ダニエル・ラノワ (b, perc, treat) 他。1985年録音。EG Records。
マイケル・ブルックはカナダ・トロント出身のギタリスト。本作はイーノとの共作で、アフリカやインド、特にアフリカの土俗的なリズムに焦点を当てて独特の音楽世界・雰囲気を醸しています。メロディを歌うギターやシンセらの現代的な音と魔術的に繰り返される土臭い打楽器のリズムが不思議によく調和してます。このセンス、最近改めて聴き直して感激しています。斬新でクールな音楽なのです。
マイケル・ブルックのギター音楽センスにブライアン・イーノがアフリカン・ビートとアンビエントなトリートメントを施した格好です。イーノはこの少し前の時期にトーキング・ヘッズのプロデューサーとして「リメイン・イン・ライト」という名作を残していますが、まさにアフリカン・ビートを導入してそのポリリズムとロックとの融合を成功させたばかりでした。本作はそのコンセプト上の延長線にあるアンビエント音楽と言えるでしょう。
全8曲。1曲目hybrid は執拗で魔術的なアフリカン・ビートの上をバス・フルート風のシンセ音がオリエンタルな旋律を奏でます。不可思議な世界です。ここでしか聞けない、ロックな音楽ですね。Hybrid とはその題名通り異質なものの組み合わせということですね。2曲目Distant Village もまたアフリカンな恒久的に続くと思えるリズムの上を軽快にシンセ音が疾走していく実にイカした音楽です。3曲目Mimosa は走り疲れた身体を癒すような静かな瞑想的な音楽。アフリカの漆黒の闇夜の雰囲気です。4曲目 Pond Life は効果音として鳥の鳴き声を使って湖水の夜の雰囲気を映しているのかしら。これもアンビエント音楽と言えるのでしょう。
5曲目Ocean Motion はインドを思わせる重厚なリズムの上を広がりのある深遠なシンセ音がゆっくりと瞑想的に漂うまさに典型的なアンビエント音楽です。聞いていて実に心地よいですね。こんな音楽を自分で作ってみたいと思わされる魅惑の音宇宙です。6曲目Midday もやはりオリエンタルなインド的なリズムの上をシンセらしくない人間的な音の主旋律が浮遊する不思議な音楽です。
7曲目Earth Floor はYoutube で聞けます。画像は特に関係ないようですがとりあえずここにアップしておきましょう。和楽器の笙のような音(シンセによる合成音)の不協和音の重なりが、途中から粘着質の臭い立つような土着のビートを伴って、不思議な調和世界、魅惑の音世界を形造っています。なんてクールな音楽なんでしょう。極めて独創的と言えるものでしょう。
1. Hybrid
2. Distant Village
3. Mimosa
4. Pond Life
5. Ocean Motion
6. Midday
7. Earth Floor
8. Vacant
Michael Brook (g, b, perc, mix), Brian Eno (b, p, treatment), Daniel Lanois (b, perc, treatments), Gordon Phillips, Dick Smith (conga, perc), Russel Mills (Art & Design).
Recorded at Bob & Dan Lanois' Studio.
試聴はMichael Brook Official Siteへどうぞ。→ Michael Brook / Hybrid
詳細はアマゾンでどうぞ。→ Michael Brook / Hybrid
関連エントリはこちら。→ ブライアン・イーノ&ハロルド・バッド / アンビエント2
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投稿者 Jazz Blogger T : 11:13
ブライアン・イーノ&ハロルド・バッド/アンビエント2
2010年05月27日
Harold Budd & Brian Eno/Ambient 2: The Plateaux of Mirror
久しぶりの更新です。ブライアン・イーノとハロルド・バッドのアルバム。現代環境音楽の先駆的名作でしょう。これぞ癒し系。繰り返し聞くほどに耳に馴染んでくる素敵な音楽。iPodに入れて毎日のように聞いています。
押し付けられる何がしかの音、騒音、流行りの音楽、テレビや宣伝音であったり、電車や飛行機の中での大騒音、都会に住む我々現代人は、無視できぬ音どもに囲まれて生活しています。iPodを聞く行為というのはもしやそれら雑音から自らを守るために止むに止まれぬ行為であるのかもしれません。虫や鳥の声、川のせせらぎ、風のささやきなど自然の音を音楽として風情を感じた古人のセンスが自分たちの中にもあるのでしょう。
イーノの音楽は静寂の中に寡黙にゆっくりと静かに語ります。詩的です。決して多くを語らず哲学的で朴訥です。単純なメロディやモチーフが繰り返し語られます。いつも静かにマイペースでいつものところに佇んでいます。私は時にそのイーノのいる場所に立ち寄ってみたくなるのです。そこには優しくて包み込んでくれるような安らぎがあるのです。麻薬的というか不思議な吸引力があります。
ブライアン・イーノのことはいずれじっくりと書いておくべきと思っていました。学生の頃からずっと気になる存在なのでした。最近またとみにその魅力が増してきたように思われます。家具の音楽とかいってエリック・サティがこの種の環境音楽の先駆者とすれば、イーノは現代における先導者でしょう。アンビエント・ミュージックという新しい概念の音楽を創出し、コンポーザーとしてだけでなく、プロデューサーとして活躍しています。
イーノによれば、「アンビエンス」ambienceとは音楽が作り出す環境を意味し、音楽が置かれる環境environmentとは区別されると。アンビエント・ミュージックは興味深いと同時に無視できるものでなければならない。また、アンビエンスの機会、それは雰囲気atmosphereであり、あるいは人をとりまいている影響力である。いいかえれば、周囲の空気に付与された色彩tintであると。
思えばイーノとの出会いは学生の頃、大学の学祭で部活でカフェのようなものを開きイーノとロバート・フリップの共作「No Pussy Footing」をずっと流し続けたのでした。その不可思議だけど魅惑の音楽に感銘を受けました。ある先輩が選んだBGMでしたが、そのセンスに脱帽しました。その先輩は美学専攻でロックに造詣深くいろいろ影響を受けました。フリップとの共作では「Evening Star」も印象的。いずれもイーノによって作り出されるリズムやアルペジオからなる曲調の上を、フリップが自由に繰り出すインプロビゼーション・イディオムとその特異なデイストーションされたギターサウンドが魅力ですね。
本作も共作です。イーノは単独作品より共作の方が魅力的な作品が多いように思われます。「Another Green World」は単独作品として世評高いようですが、確かにその斬新さは凄いとしても楽しむための音楽としては少し物足りなく感じられます。共作ではイーノは相手のパーフォ-マンスをいかに引き出し魅力ある音楽に仕立てるか、指揮者やミキサー、そしてプロデュ-サーを兼務しているような印象です。あまり関係ないですが、ウィンドウズ立ち上げ時の短いスタート音の作者としても知られていますね。イーノはWindows95、ロバート・フリップがVistaとのこと。
個人的な話ですが、最近、温泉やスパに行く機会が増えています。そうした施設でたまに音楽が静かに鳴っていることがありますね。刺激ないけれど邪魔にもならない、癒しの空間に相応しい音楽、まさにアンビエント・ミュージックです。環境音楽やヒーリング・ミュージックという範疇のものもあるような気がします。本作のアンビエント・シリーズがそうした音楽の最初の走りなのだと思われます。最初の作品は「Music For Airports」ということで空港で流す音楽を意図したもののようですが、本作「The Plateaux of Mirror」邦題「鏡面界」ということで、Plateaux は仏語で合わせシンバルの意なので、鏡の合わせシンバルという意になりますね。鏡でできたシンバルということでしょうから、音が合わせ鏡の中で永く響き渡るようなイメージになりますがいかがでしょう。
日向敏文のピアノ音楽にも近いものがあります。ゆったりと刻まれるリズム、素朴だけど魅力的なメロディとピアノの美音。イーノの音はリバーブなどの効果を巧みに駆使して、さらに意味ありげな美音に仕上げています。空間に放たれた一音一音は前の音、次の音と次々に重なり合って立体的な音宇宙を形造ります。静かに繰り返されるモチーフが音宇宙の空間的な広がりを感じさせ、何度も繰り返されることである恍惚境に誘(いざな)われるのです。それがまさに癒しというものです。
前10曲。前半4曲と8、10曲目、特に4、8、10曲目が好み。いずれも聞くたびに新しい魅力を感じさせられます。単純なようでいて奥深い音楽。時に崇高なもの、時にエロティシズムを感じさせる不思議な音楽です。自分も真似してこんな音楽を作ってみたいと思わされます。すぐにでも手が届きそうに思えるのですね。そんなはずないのですがね。でも、Reasonという音楽作成ソフトをある縁あってつい最近入手したときその可能性を感じたりしました。この話はまたいつか別の機会にしたいと思います。
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Harold Budd & Brian Eno/Ambient 2: The Plateaux of Mirror
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:00
アントニオ・カルロス・ジョビン/リオ・リヴィジテド
2009年03月25日
Antonio Carlos Jobim/Rio Revisited
今日はボサノバから最近よく聞くアルバムを紹介します。ジョビンとガル・コスタの共演ライブ盤。ガル・コスタの透き通った美しい歌声がとても魅力的で好きです。パーソネルは、アントニオ・カルロス・ジョビン(vo, p)、ガル・コスタ(vo)、パウロ・ジョビン(g)、ダニロ・カイミ(fl)、他。1987年ロサンジェルス録音。
投稿者 Jazz Blogger T : 20:51
吉俣良/篤姫
2008年11月03日
吉俣良/篤姫
今日はNHK大河ドラマ『篤姫』のサウンドトラック盤です。大河ドラマは毎年見るようにしていますが、今年2008年の『篤姫』は幕末の世に薩摩に生まれ徳川に嫁いだ篤姫の波乱の人生を描いていて毎回楽しみにしています。弦楽器主体の音楽がとても素晴らしいのでここにエントリしました。
年末に近づいてくると大河ドラマも終盤に入りますね。今年の『篤姫』も11月に入って竜馬の死と大政奉還が放送され、いよいよこれから江戸城無血開城と大奥の消滅、篤姫は明治を質素に生きてゆくことになるのでしょう。大奥の篤姫周辺、将軍達、幕末の志士達など、時代のうねりの中で奔走する歴史上の人々の志や愛などが巧みに描かれています。
この『篤姫』を見始めた頃より音楽がいいなとずっと思っておりました。印象的なメロディを持つ弦楽器主体の音楽が実に魅力的です。大河ドラマの音楽でこれいいなと思うことはほとんど初めての経験です。この夏くらいに娘がサウンドトラックのCDを購入しましたので、私もちょっと借りてコピーさせてもらい、iPodで日常的に聞いています。
音楽担当は吉俣良(1959~)という鹿児島出身の作曲家とのこと。10年くらい前から映画やTVの音楽に携わり、最近とみに人気を集めつつある方のようです。私はこの篤姫しかたぶん知らないのですけれど、吉俣良という方はセンスのとてもよい優れたメロディ・メーカーだと思われます。どの曲にもいい味があるのですね。
吉俣良オフィシャルWEBサイト→吉俣良Official Website
本CDには全26曲が収められています。最近の放送ではこのCDに入っていない曲もときどき聞かれますが、よく使われる曲はほとんど網羅されています。各曲は2~3分と短いものが多いです。私の好きな曲は、どれも素晴らしくて選びようがないくらいです。まさに名曲の揃い踏み。そんな中で敢えて挙げるとすれば、6、7、15、19、25でしょうか。いずれも低めの弦が美しいメロディを心地よく響かせます。
ただ一つだけ残念なのは音質です。音楽ホールとかでなく恐らくスタジオ録音なのでしょう。音に奥行きとか艶が若干ですが欠けているように思います。音楽自体は素晴らしいだけに惜しい気がします。
1. 篤姫(メインテーマ)
2. 吉左右(きっそう)
3. 篤と
4. つつぐれのとき
5. 火の穂(ほのほ)
6. そでのしぐれ
7. ふとか山
8. 良し
9. 蕊(しべ)
10. 嫋嫋(じょうじょう)
11. 戦ぐ花(そよぐはな)
12. 於一咲む
13. 御
14. みふゆつく
15. 素意
16. 遮蔽
17. 玉響(たまゆら)
18. 正鵠(せいこく)
19. 瑞雲
20. ひたあを
21. 雲の路
22. 一葉知秋
23. 水の葉
24. 里の緒
25. 驀地
26. すずしろのはな
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ 吉俣良/篤姫
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:47
アストラッド・ジルベルト/おいしい水
2008年10月30日
Astrud Gilberto / The Astrud Gilberto Album
今日はボサノバからアストラッド・ジルベルトのデビュー・ソロ・アルバムを紹介しましょう。邦題は『おいしい水』、英語では"The Astrud Gilberto Album"。パーソネルは、アストラッド・ジルベルト(vo)、アントニオ・カルロス・ジョビン(vo,g)、ジョアン・ドナート(p)、バド・シャンク(fl,sax)、マーティ・ペイチ(arr)、他。1965年米ハリウッド録音。Verve。
アストラッド・ジルベルト(1940~)は、著名アルバム『ゲッツ・ジルベルト』(1963年)でいきなり歌手デビューし、シングルカットされた「イパネマの娘」の大ヒットとともにボサノバの歌姫として絶大な人気を得ました。本作は1965年に製作・リリースされた彼女のデビュー・アルバムです。
アストラッド・ジルベルトは決して上手いとは言えない歌手ですが、思うにボサノバではそのメロディとリズム、ハーモニーの3要素がいずれも非常に魅力的なので、歌手の上手い下手はあまり重要でないのかなと感じます。もちろん歌が上手い方が演奏としてベターなのに決まっていますが、歌手の役割にはアントニオ・カルロス・ジョビンらの作る美しいメロディを平坦に紹介することに大きな意味があると思うのですね。
元夫のジョアン・ジルベルトのつぶやくような個性的な歌い方も奇妙といえば奇妙ですし、A・C・ジョビンも歌うことが多いのですがアストラッド・ジルベルトよりもっと素人っぽいですね。でもそれらは繰り返し聞いてればそれなりに違和感なく聞けるから不思議です。それに、ボサノバの魅力には素敵なメロディだけでなく、何と言っても独特のボサノバのリズムがあります。そのリズムの基本はギターにあり、ジョアン・ジルベルトが原型を作ったと言われるそのギター奏法はボサノバ特有の寛いだ雰囲気を醸し出します。
あと、ハーモニーというかアレンジの妙っていうのがボサノバ音楽にはあると思うのですね。本作ではマーティ・ペイチという米西海岸のジャズバンドのリーダー&アレンジャーが担当していてそれなりによい具合ですが、ボサノヴァ・アレンジの大御所クラウス・オガーマンやデオダートらのアレンジってもっと洗練や粋がありますね。裏筋を舐めるような、ソコソコと痒いところに手が届くような快楽印の音使い楽器使い。華麗なオーケストレーションだけでなく、フルートやトロンボーン、それに朴訥だけどツボを押えるピアノなど。
ところで、アストラッド・ジルベルトが歌手になったきっかけというのがほとんど偶然からのものだそうですね。先の『ゲッツ・ジルベルト』中の「イパネマの娘」はジョアン・ジルベルトがポルトガル語で歌った後、アストラッド・ジルベルトが英語で歌っていますが、これはプロデューサーのクリード・テイラーが英語の歌詞を入れたいとの希望があって、たまたまスタジオに居合わせた彼女が自分なら少しは英語で歌えると申し出たことがきっかけだそうで、夫君は反対したもののテイラーと他の参加メンバーらが賛成してレコーディングに至ったと。(参照→Astrud Gilberto Biography )
さらには、同曲はシングルカットされてポピュラーソングとして大ヒットしますが、そのシングル盤の方はアストラッドのみの歌になっていまして、元は5分ほどあった曲をジョアンの歌をカットすることで3分以内にしたとのこと。当時はラジオなどで流すために3分内というのがシングル・ヒットのための必須要件だったのですね。アストラッドはジョアンと1964年に離婚して息子たちを引き取って米にて活動、ジョアンはその後ミウシャというやはりボサノバ歌手と再婚、その間にできた娘ベベル・ジルベルトが現在歌手として活躍中ですね。
他のボサノバ女性歌手の有名どころでは、シルビア・テレス、エリス・レジーナ、ガル・コスタ、ミウシャなどが私の好みになりますが、アストラッド・ジルベルトは彼女らに比して明らかに歌は上手くはないですし、声質もまあ平凡です。ナラ・レオンが近い感じ。ただ、素人っぽさの中にある種の魅力的な透明感と虚無感があること、それに自身もそう思っていたかどうか知りませんが、自分の声を一つの楽器に見立てて主旋律を器楽的に歌うことに徹しているふしが感じられます。その傾向は自身の客観的価値を知るほどにその後の活動の中でより強化されていったように思います。
本作は、11曲中10曲がA・C・ジョビンの作品(4以外)で、7曲を英語、残り4曲を母国語ポルトガル語で歌っています。いずれもボサノバを代表する有名曲ばかりでさながらボサノバ名曲集です。アストラッド・ジルベルトの歌は素朴で可憐、まるで隣のきれいなお姐さんが気取りなく風呂場で歌っているような雰囲気(リヴァーブ強め)。曲自体がどれも素敵なのですぐに馴染んでしまいます。個人的には7曲目のジンジが彼女のアンニュイな感じがいい具合に出ていて好きです。あと、ピアノが私の好きなジョアン・ドナートなのも聞き所。流石に独特のセンスと音使いが光ってます。
1. ワンス・アイ・ラヴド Once I Loved
2. おいしい水 Agua de Beber
3. 瞑想 Meditation
4. アンド・ローゼズ・アンド・ローゼズ And Roses And Roses
5. 悲しみのモロ O Morro (Nao Tem Vez)
6. お馬鹿さん How Insensitive
7. ジンジ Dindi
8. フォトグラフィア Photograph
9. 夢みる人 Dreamer
10. あなたと一緒に So Finha de Ser Come Voce
11. サヨナラを言うばかり All That's Left Is To Say Goodbye
iTunes Music Store では試聴可能です。→ アストラッド・ジルベルト/おいしい水
Astrud Gilberto (vo), Bud Shank (fl,sax), Stu Williamson (tp), Milt Bernhart (Trombone), João Donato (p), Antonio Carlos Jobim (g,vo), Joe Mondragon (b), Marty Paich (arr), Rudy Van Gelder (Mastering), Guildhall String Ensemble, David Hassinger (Engineer), Jack Maher (Original Liner Notes), Michael MalatokCover design), Creed Taylor (Producer).
Recorded at RCA Studios, Hollywood, California; January 27-28, 1965.
関連エントリはこちら。
→アントニオ・カルロス・ジョビン/イパネマの娘
→エリス・レジーナ&アントニオ・カルロス・ジョビン/エリス&トム
→ベベル・ジルベルト/タント・テンポ
→ミウシャ&アントニオ・カルロス・ジョビン/コンプリート&モア
→ジョアン・ドナート/ボッサ・ムイト・モデルナ
→小野リサ/サウダージ
最後に You Tube から 「イパネマの娘」(1964年)をアップしておきます。スタン・ゲッツも映ってます。外は雪なのですね。
Astrud Gilberto Stan Getz Ipanema 64
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投稿者 Jazz Blogger T : 16:35
ミウシャ&アントニオ・カルロス・ジョビン/コンプリート&モア
2006年09月30日
Miucha and Antonio Carlos Jobim / Complete and More
今日は最近聴きこんでいるアルバムです。私にとってのボサノヴァ音楽は繰り返し聞くうちにその魅力が増してくることが多く、いわば興味の尽きない奥深い音楽なのですが、本作は全編ジョビンの曲でもあり、やはり特にそういう類になります。複雑なメロディの奥にそっと魅惑の美が佇んでいるのです。ミウシャという名歌手とジョビンの歌とピアノの組み合わせ、素敵な一枚です。
77年の「Miucha & Antonio Carlos Jobim」と79年の「Miucha and Tom Jobim」の2枚のアルバムを1枚にカップリングしたお得な一枚です。ミウシャの声質が豊かでハスキーで深いですね。ジョビンもミウシャを高く評価していたことが頷けます。「ジェット機のサンバ」などは私にとってこの曲のスタンダード演奏であり魅力に満ちたものですね。しっとりと歌い上げる前半のミウシャの低目の声やジョビンがコパカバ~ナ~ア~とバックでハモる部分などは興趣があります。
ジョアン・ジルベルトの最初の妻はご存知アストラッド・ジルベルトですが、2番目の妻がこのミウシャで、2人の娘がベベウ・ジルベルトですね。本作ではポーナス・トラックとして、子供時代のベベウがミウシャ、ジョビンとともに幼い声を最後のトラックで聞かせてくれます。
そういえば、昨日日帰りで東京に出張しましたが、その往路の飛行機でいつも朝の通勤電車で会う素敵な女性と偶然に出くわしました。丁度私の前の席で乗車時に先に座っていた彼女と目と目が合いました。あまりに急でしたので、一瞬の間合いのあとすぐに彼女であることを悟りました。先方も同様なことを感じたようでした。これは神の思し召しではないかと思い、チャンスをうかがっておりましたが、羽田に着いて飛行機を降りる際には、彼女はそそくさと後ろに注意を払うことなく前へ向かってゆくのでした。モノレールも同じ車両に乗りましたが、特にどうということのないもので、結局、終点浜松町で何もないまま別れることになりました。まあこんなものです、私の場合。心の内をそう簡単に行動に移すことがないのです。
その方は歳の頃30過ぎ、瞳が日本人にしては異常に薄い茶色、肌が色白、それに小柄な体躯ながら左右に張り出した胸など、南米白人~ハーフのような奔放な雰囲気を醸しています。前の席でしたので様子をたまに見るに、料理レシピに添削を加えていまして、なにやら編集に関わるキャリア・ウーマンの風情です。通勤電車では携帯電話でメールをチェックしている姿しか知りませんが。この半年ほど週3回くらい毎朝同じ車両の同じ扉に二駅間だけ乗ります。来週はどうなりますことやら。
本作ミウシャの歌声をこの1週間くらい毎日のようにiPodで聴いていますので、何やらその女性と重なってしまします。勝手にこちらで想像を膨らませてイメージを固定してしまっています。
1. VAI LEVANDO
2. TIRO CRUZADO
3. COMIGO E[´] ASSIM
4. NA BATUCADA DA VIDA
5. SEI LA[´](A VIDA TEM SEMPRE RAZA[~]O)
6. OLHOS NOS OLHOS
7. PELA LUZ DOS OLHOS TEUS
8. SAMBA DO AVIA[~]O
9. SAIA DO CAMINHO
10. MANINHA
11. CHORO DE NADA
12. E[´] PRECISO DIZER ADEUS〈MIUS[´]HA E TOM JOBIM〉
13. TURMA DO FUNIL(NO BAIXO LEBRON)
14. TRISTE ALEGRIA
15. AULA DE MATEMA[´]TICA
16. SUBLIME TORTURA
17. MADRUGADA
18. SAMBA DO CARIOCA
19. FALANDO DE AMOR
20. NO[´] CEGO
21. DINHEIRO EM PENCA〈BONUS TRACK〉
22. CA[´]LICE(DUET WITH BEBEL GILBERTO)
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Miucha and Antonio Carlos Jobim / Complete and More
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:38
日向敏文/アイシス
2006年03月11日
日向敏文/アイシス
今日は春の気配を感じさせるのんびりした休日の昼下がりを久しぶりに自宅でゆっくり過ごしながら日頃聞けない音楽を楽しみました。その中で特に、日向敏文さんのピアノ・ソロに身を委ねていますと忙しい日常では容易には感じがたい幸せな気分になれたのでした。このありがたい感覚を記すべく筆をとりました。
1988年イタリアはローマのセントマリア大聖堂で録音されたというピアノの清らかな音がまずもって薄汚れたわが魂を浄化してくれるかのようです。残響がこだまする透明な心地よい響きがこの我が家の居間をも別世界にいざなってくれるのですね。その淡白ながら心に訴えかけるメロディがひたすらに美しく輝いているのです。
ラベルやスクリャービンのピアノ曲のような洗練された構築美や品格はないにしても、俗に落ちないポピュラリティとシンプルな耽美感が身近で理解しやすい音楽となっています。全14曲、いずれも数分の小品ながら魅力に満ちた印象的なピアノ演奏です。リラックスしながらこのピアノを聞いていますと私は心の底から癒されます。
1. Ode to Unknown
2. Last Troubaudour
3. Anxiety
4. ISIS
5. Xenon
6. Avenus..., Last Year
7. More
8. Rondeau
9. Ombra Azzura
10. Ritz Song
11. Soliloquy
12. A Remark You Made
13. I'ii Always Remember
14. Epilogue
どれも甲乙つけがたい美しくて清らかな日向ワールドなのですが、敢えて好きな曲を選ぶとすれば、8曲目のRondeauですね。荘厳で構造的な美が光り輝いています。と、ここまで書いて、すでに過去エントリに本作品を取り上げていることに気がつきました(笑)。2004年9月と1年半くらい前ですが。
→日向敏文/アイシス
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ 日向敏文/アイシス
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:39
アントニオ・カルロス・ジョビン/波
2005年09月03日
Antonio Carlos Jobim / Wave
今日はアントニオ・カルロス・ジョビンの『波』です。この作品はボサノヴァ・インストゥルメンタルの名作でありジョビン代表作の一つです。クラウス・オガ-マンのアレンジも最高の出来映え。パーソネルは、アントニオ・カルロス・ジョビン(p, celeste,harpsichord)、アービー・グリーン、ジミー・クリーヴランド(tb)、ホメオ・ペンケ、ジェローム・リチャードソン(fl,piccolo)、ロン・カーター(b)、ドン・ウン・ロマーノ、クラウジオ・スローン(ds)、クラウス・オガーマン(arr,cond) 他。1967年NJ録音。A&M。
やはりジョビンは素晴らしい。本日休日の昼下がり日頃聞けていない音楽をいろいろ聞いてみた際に改めて感じた率直な思いです。最近はいつの間にかなぜかジャズに集中しておりクラシックやボサノヴァなど結構お好みの音楽から疎遠になっていましたので時間のあった今日はジャズ以外を中心にゆっくり楽しんでみたのでした。
ジョビンの音楽には美しいメロディと魅惑的なボサノヴァのリズム、それに盟友オガーマンによる洗練された麗しのハーモニーとがあり、音楽としての基本の3拍子が最高レベルに備わっていると私は思います。それにジャジーなセンスも随所に散りばめられておりましてジョビンのボサノヴァこそまさに現代の快楽&癒し系ミュージックの原点といったような印象を持っておりますです。
本作の『波』はそうしたジョビン・ボサノヴァの最高傑作と言われる作品です。BGMとしてこれほど素敵な音楽は他にないと断言できそうなくらいに安らぎと寛ぎの空間を演出してくれますね。耳を澄まして一つ一つの楽器の音に注意を集中しながら聴きましても十分に鑑賞に堪える音楽でありますね。とりわけジョビンの叩くピアノには音数が少なくて朴訥なのですがツボを押えたといいますか痒いところに手が届くように音楽的なセンスが本当に素晴らしいと感じますね。
クラウス・オガーマンのアレンジの妙が冴えています。ホメオ・ペンケの奏するバス・フルートの幽玄な響き、アービー・グリーンの吹くトロンボーンの柔らかな音色、それに弦楽器オーケストレーションによる見事なハーモニー。特に私はオーケストレイションの奏でる対位法的な裏筋メロディにはいつもメロメロにされてしまいます。もうどうにでも好きにして状態です。
まあジョビン原曲の美しさをオガーマンがこれ以上ないくらいに巧みに演出しているといった構図です。この2人はジョビンのアメリカデビュー作『イパネマの娘』でボサノヴァ音楽の一つの典型的なスタイルを生み出し、本作『波』でその究極の完成に至ったと言えるのではないでしょうか。ちなみに録音はジャズのブルーノート・レーベルでお馴染みのニュージャージーにあるルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオで行われています。ベースはロン・カーターです。そういえば、クラウス・オガーマンは先年ダイアナ・クラール『ルック・オブ・ラブ』で素晴らしいアレンジ・テイストを披露してその健在振りを示しましたね。
1.Wave
2.Red Blouse
3.Look to the Sky
4.Batidinha
5.Triste
6.Mojave
7.Dialogo
8.Lamento
9.Antigua
10.Captain Bacardi
詳しくはアマゾンへ。試聴も可能。→ Antonio Carlos Jobim / Wave
JR.comでは試聴可能です。→Antonio Carlos Jobim / Wave
関連エントリーはこちら。
→アントニオ・カルロス・ジョビン『イパネマの娘』
→アントニオ・カルロス・ジョビン『コンポンザー』
→エリス・レジーナ&アントニオ・カルロス・ジョビン『エリス&トム』
→ダイアナ・クラール『ルック・オブ・ラブ』
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:41
T.レックス/ザ・スーパー・ベスト・オブ・T・レックス
2005年07月09日
T.Rex / The Super Best of T.Rex
今日は懐かしのロック・グループ、T・レックスのことを書きましょう。ビートルズ解散後の70年代前半のイギリスのロック・シーンは雨後の竹の子のごとくに際立った才能が次々と現れるブリティッシュ・ロックの最盛期だったと言えるでしょう。リーダーのマーク・ボラン(1947~1977)はそうした時代に現れたロック史に残る先駆者でした。グラム・ロックと呼ばれるブギーのリズムを取り入れた斬新なサウンドを生み出し、数多くの美しいヒット曲を飛ばしました。本作はT.レックスのヒット曲を集めたベスト盤です。
私はT.レックスのヒット曲にとても魅力を感じてきました。1週間ほど前に本ブログに書くべきアルバムを考えていたときにふとT.レックスのことが脳裏を掠めました。大学生になってジャズの魅力に取り付かれるまでには多種多様な音楽を受け入れてきた背景がありまして、私の中ではT.レックスの音楽に忘れがたい強烈で好意的な印象があるのでした。ここ数日改めてT.レックスのベスト盤とかに耳を傾けてみましたところ、意外にも学生時代に覚えた感激と全く同種のものを感じることができたのでした。
T.レックスの先鋭的な響き、それはギターによるメロディックで特徴的なリフと、ドラムとホルン、サックスによる独特のブギー調のロックのリズム、それにマーク・ボランの退廃的なヴォーカルにあります。つまり、しっかりした特徴的なリズムと非常に魅力的なメロディを持った8ビートのロック、その上にカリスマ的なボランの個性が備わっていますので、多くの若者が容易に受け入れることができるというわけですね。
私はほぼリアル・タイムでT.レックスの音楽を知り、その後も折に触れて繰り返し聴き返していますが、その魅力が色褪せることは決してありませんでした。今もこうしてT.レックスを聴きながら快適な気分で書いています。取分けその明快なリズムと魅惑的なギター・リフが分かりやすくて取っ付き易いのですね。
1971年の後半から73年の前半にかけて大ヒット曲が矢継ぎ早にリリースされて行きました。1曲だけでも大したものなのに10曲近くの名曲が生み出されています。凄い密度です。才能というのはきっとこういうことを言うのでしょう。メタル・グゥルーやテレグラム・サム、20センチュリ・ボーイなどはロック史に燦然と輝く名曲ではないかと密かに思っております。
1971年 7月 シングル「ゲット・イット・オン」をリリース
9月 アルバム「電気の武者」をリリース
11月 シングル「ジープ・スター」をリリース
1972年 1月 シングル「テレグラム・サム」をリリース
5月 シングル「メタル・グゥルー」をリリース
7月 アルバム「ザ・スライダー」をリリース
9月 シングル「チルドレン・オブ・ザ・リボリューション」をリリース
12月 シングル「イージー・アクション」をリリース
1973年 3月 シングル「20センチュリ・ボーイ」をリリース
3月 アルバム「タンクス」をリリース
6月 シングル「ザ・グルーヴァー」をリリース
収録曲は下の23曲です。ライブ演奏が一部用いられています。
1.メタル・グゥルー
2.ゲット・イット・オン(ライヴ : モノラル録音)
3.20センチュリー・ボーイ
4.テレグラム・サム(ライヴ : モノラル録音)
5.ジープスター(ライヴ : モノラル録音)
6.ホット・ラヴ(ライヴ : モノラル録音)
7.ライド・ア・ホワイト・スワン(ライヴ : モノラル録音)
8.チルドレン・オブ・ザ・リヴォリューション
9.イージー・アクション
10.ザ・グルーヴァー
11.サマータイム・ブルース(ライヴ : モノラル録音)
12.ザ・スライダー
13.深紅色の月
14.ロンドン・ボーイズ
15.ライト・オブ・ラヴ
16.ラヴ・トゥ・ブギー
17.地下世界のダンディ
18.ジップ・ガン・ブギー
19.トラック・オン
20.心はいつもロックンロール
21.夢みる夜の魔女
22.レーザー・ラヴ
23.ティーンエイジ・ドリーム
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ T.Rex / The Super Best of T.Rex
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:42
アントニオ・カルロス・ジョビン/イパネマの娘
2005年06月18日
Antonio Carlos Jobim / The Composer of Desafinado, plays
今日はアントニオ・カルロス・ジョビンの歴史的名作『イパネマの娘』です。インストゥルメンタルのボサノヴァとして間違いなく最高傑作でしょう。ジョビン自ら演奏する美しい代表曲集でありボサノヴァを聞くならまずこの一枚からというお勧めの一枚。1962年NY録音。
1962年の歴史的なカーネギー・ホールのコンサートでボサノヴァが一躍脚光を浴び、スタン・ゲッツ、ジョアン・ジルベルト、ジョビン、それにアストラッド・ジルベルトらによる『ゲッツ/ジルベルト』で決定的な大衆性を博することになりますが、ジョビンはこれらでのピアノ演奏で作曲者としてだけでなくピアニストとしても人気を得ました。そうした流れの中で本作は同年62年録音のジョビンの演奏家としてのソロ・デビュー作に当ります。アレンジはクラウス・オガーマンでこれ以降20年くらいコンビを組むことになる盟友です。
アントニオ・カルロス・ジョビンの魅惑的なメロディがジョビン自ら弾くシングル・ノートのピアノとクラウス・オガーマンの巧みなオーケストレーションによって上品で心地よくて味わい深い極上の音楽に仕上げられいます。全12曲、ジョビンの初期代表作が並びます。壮観です。「イパネマの娘」「デザイフィナード」「おいしい水」「コルコバード」「ハウ・インセンティブ」「ワン・ノート・サンバ」などなど、ボサノヴァを知らぬ人でもどこかで聞いたことがあるであろう有名なメロディが続きます。
1. The Girl From Ipanema
2. Amor Em Paz :: Once I Loved
3. Agua De Beber
4. Vivo Sonhando :: Dreamer
5. O Morrow Nao Tem Vez (Favela)
6. Insensatez :: How Insensitive
7. Corcovado
8. Samba De Uma Nota So :: One Note Samba
9. Meditation
10. So Danco Samba :: Jazz Samba
11. Chega De Saudade :: No More Blues
12. Desafinado
JR.comでは試聴可能です。→Antonio Carlos Jobim / The Composer of Desafinado, plays
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Antonio Carlos Jobim / The Composer of Desafinado, plays
関連エイントリー→『ダイアナ・クラール/ルック・オブ・ラブ 』
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:44
男と女/オリジナル・サウンド・トラック
2005年06月13日
Un Homme Et Une Femme/ Original Soundtrack
今日は映画『男と女』のオリジナル・サウンド・トラックをご紹介しましょう。主題曲はご存知フランシス・レイのダバダバダで有名なメロディですよね。映画はクロード・ルルーシュ監督、主演ジャン・ルイ・トランティニャン、アヌーク・エーメ、1966年フランス作品。感覚派には堪らない映像と音楽の素敵な融合。そしてこのサウンド・トラックがまた素晴らしい内容で映画音楽としては間違いなく最高の一つでしょう。
このアルバムは長年親しんできた大切な一枚です。1曲目のダバダバダの主題曲は半音を駆使した不思議なメロディなのですが何と魅惑的な音楽なのでしょう。何度続けて聞いても飽きることがない稀有な音楽なのですね。A・C・ジョビンの影響を感じさせるピアノのアクセントが実によい具合なのです。私の場合最も素敵な曲を一曲だけ選べと言われたらこの曲を選ぶことに躊躇はしないのではないでしょうか。優柔不断ながら何となく妙に自信があるのですね。1,4,7は同じ曲のアレンジ違いです。
このアルバムの素晴らしいところは主題曲だけでなく他に収められた曲たちも実によい出来であるということです。ピエール・バルーの歌う2曲目なども仏流のサンバなのですがそのセンスの良さには脱帽ものですね。バルーは映画の中でもアヌーク・エーメの夫として出演していましたね。
続く3曲目が実に美しいメロディでして、フランスのエスプリといいますか、情感の篭ったハスキーでセクシーでもある女性歌手の歌声と、ベースの深い音楽的な動き、ジャジーなピアノの魅力的なアクセント、ギターのリズムが有機的に渾然一体化しています。ほんと素晴らしい。最高の賛辞を送りたくなる1曲です。6曲目はこの3曲目のアレンジ違いで、こちらはインストゥルメンタルです。リズミカルな行進曲風な主題の中を弦楽器が美しいメロディを裏側から奏でていましてこれもなかなか素敵な内容です。映画ではトランティニャンが車に乗ってアヌーク・エーメを想定して独り言を言うシーンで使われていましたっけ。
4曲目は主題曲の編曲違いで男女のデュエット。それに1曲目が全編ダバダバダでしたがこちらには歌詞がついています。この演奏も実に美しいですね。やはりハモンド・オルガン(?)が特徴的なのと、同様にピアノがアクセントになっていますね。
5曲目は美しい原曲が弦楽器により奏でられています。もうロマンティックが止まらないという感じです。ため息が出るような世界ですね。海辺のシーンが思い出されます。シルエットに写る子供達とともに心が触れ合って共鳴しつつある男と女。その揺れる心象を映すような美しいメロディ。8曲目は同じ曲のヴォーカル・ヴァージョンでして、これがこのアルバムの隠れた名作でしょう。詩的なピアノとハモンドオルガンをバックに歌われる男女の醒めつつも内に秘められた深い想い。なんかまた恋に落ちてみたいなと思いますですね。
今日は久しぶりにこの『男と女』オリジナル・サウンドトラックをじっくり聴きました。やはり素晴らしい。フランシス・レイは天才だなあと改めて思いました。そして恋の気分を少し思い出させてもらいました。ありがとう。今日はいい夢が見れそうです(笑)。
1. Un Homme Et Une Femme
2. Samba Saravah
3. Aujourd Hui Cest Toi
4. Un Homme Et Une Femme
5. Plus Fort Que Nous
6. Aujourd Hui Cest Toi
7. A Lombre De Nous
8. Plus Fort Que Nous
9. A 200 A Lheure
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Un Homme Et Une Femme/ Original Soundtrack
amazon.comもご参考まで。→Un Homme Et Une Femme/ Original Soundtrack
関連する過去エントリー。→ 『男と女/クロード・ルルーシュ&フランシス・レイ 』
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:45
ナラ・レオン/美しきボサノヴァのミューズ
2005年06月07日
Nara Leao / Dez Anos Depois
今日はボサノヴァからとても渋い一枚をご紹介させていただきます。ナラ・レオン『美しきボサノヴァのミューズ』。ギターやピアノなど最小の伴奏でナラ・レオンの美声にてジョビンの名曲がアコースティックに演奏されます。心が洗われるようなシンプルで美しいボサノヴァ音楽の典型的な境地です。1971年パリ録音。ナラ・レオン亡命中の録音とか。お勧めです。
政治的な活動をしていたとのことですがそんな個人の世俗的なことには頓着せずともこの音楽は純粋に楽しめるものです。アントニオ・カルロス・ジョビンの名曲の数々が極めて淡々と奏でられます。ギターをバックに歌われる詩的な世界これは一種の美学と言えるものです。
私はこの種のナチュラルで美しい音楽がとても好みなのです。あきが来ない類の音楽というのでしょうか。原曲の美が隠しようも無く露にされています。全24曲ですがさながらボサノヴァ名曲集です。1~14曲目はまさにボサノヴァのヒット・メドレー。透明なナラ・レオンの歌が魅力的です。これぞくせになる座右の音楽。
例えば2曲目のワン・ノート・サンバという曲は典型的なボサノヴァ曲。シンプルな曲だけに演奏者のセンスが如実に現れます。リバーブのよくきいた音ですが2本のギター伴奏で歌われるレオンの声質と雰囲気は最高に素晴らしいものです。これには脱帽です。イパネマの娘にも同種の美が輝いています。1942年生れ89年47才で没。
1,ハウ・インセンシティブ
2.ワン・ノート・サンバ
3.白と黒のポートレイト
4.コルコヴァード
5.イパネマの娘
6.ポイズ・E
7.想いあふれて
8.ボニータ
9.あなたと私
10.フォトグラフ
11.オ・グランヂ・アモール
12.エストラーダ・ド・ソル
13.ポル・トーダ・ミーニャ・ヴィーダ
14.ジザフィナード
15.私の恋人
16.まじめな青年
17.ヴォウ・ポル・アイー
18.平和な愛
19.サビアー
20.メディテーション
21.春
22.まなざし
23.オウトラ・ヴェス
24.ジマイス
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Nara Leao / Dez Anos Depois
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:46
エリス・レジーナ&トゥーツ・シールマンス/ブラジルの水彩画
2005年04月26日
Elis Regina&Toots Thielemans/ Aquarela Do Brasil
今日はエリス・レジーナとトゥーツ・シールマンスの共演盤の『ブラジルの水彩画』ですね。ボサノヴァの名盤です。自在で流麗なレジーナの歌声とシールマンスの心地よい口笛とハーモニカのハーモニー。しかも名曲が満載です。1969年録音。
静かな夜一人じっくりとエリス・レジーナの歌に耳を傾けますと音楽の素晴らしさがほのかに辺り一面を覆いつくしてやはり彼女こそ最高のボサノヴァ歌手なのだなと実感させられますね。レジーナのアルバムといえば以前にご紹介したジョビンとの共演作『エリス&トム 』がすぐに思い浮かびますが、本作のトゥーツ・シールマンスとの共演も同等レベルのうっとりするような素敵な内容だと思いますね。繰り返し聴くほどにその深い味わいが増してくるという本当に愛すべきアルバムなのですね。
6曲目のヴォセ、このリラックス感はボサノヴァの真骨頂。エリスの微笑みを感じる歌声とトゥーツの口笛が美しくてクセになる音楽です。7曲目の小舟、これがまた大々々好きな曲なのですね。エリスのしっとりした歌声が響いて来る最初のワンコーラスで完全にノックアウトされてしまいます。それに12曲目のヴォルタがまたしみじみと歌い込まれていまして堪らないものがあります。
上の3曲だけで私はもうほんと大満足なんです。この3曲を繰り返し聴きます。3回ずつくらい聴きますと、幸せいっぱいでお腹いっぱいの気分になりますね。ああ今日も一日が無事に終わりました、ありがとう感謝です、って感じになるのです。もしこのアルバムのことをご存知なくて、ボサノヴァに少しでも興味のある方がいらしたら、是非とも下にお示ししたリンクから試聴できますので一度お試しあれ。ボサノヴァの魅力と深い味わいを感じることができるかもですよ♪
1. Wave
2. Aquarela Do Brasil
3. Visao
4. Corrida de Jangada
5. Wilsamba
6. Voce
7. O Barquinho
8. O Sonho
9. Five for Elis
10. Canto de Ossanha
11. Honeysuckle Rose
12. Volta
amazon.comでは試聴可能です。→Aquarela Do Brasil
JR.comでは試聴可能です。→Aquarela Do Brasil
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:47
ミシェル・カミロ&トマティート/スペイン
2005年04月15日
Michel Camilo & Tomatito/ Spain
今日はドミニカ共和国出身の鬼才ピアニストのミシェル・カミロと、現代スパニッシュ・フラメンコ・ギターの最高峰であるトマティートによる夢のデュオ・アルバム『スペイン』。ジャズとフラメンコの融合(フュージョン)を超絶技巧のテクニックの二人が見事な作品に仕上げています。パーソネルは、ミシェル・カミロ(p)、トマティート(g)。1999年録音。
本作、ジャケットはきわめて安易な作りですが、中味は折り紙付きの超一級品です。思わず時を忘れて聞き惚れてしまう類のコンテンポラリー音楽。シンプルなアコースティックな響きと少し哀愁を帯びたスパニッシュの香りが実に素晴らしい。これクセになりますよ。
ミシェル・カミロは大好きな粋なラテン系のジャズ・ピアニスト。抜群のセンスです。結構多くのアルバム、しかも渋いやつを出しています。そのうちまたいくつかをご紹介することになると思いますが。一方、フラメンコ・ギターのトマティート、実はほとんど知りません。私が知るのはこのアルバムのみです。テクニックがあっておおこれはフラメンコですぞという程度です。ちょいと古いですがパコ・デ・ルシアやアル・ディ・メオラはフュージョンとして聞いていましたが。
ギターとピアノのデュオと言えばすぐ思い出すのがビル・エヴァンスとジム・ホールの『アンダーカレント』ですね。この組み合わせは結構に難しいかもと思います。一方がメロディを奏でるとき、一方は伴奏をするということで、この掛け合いとバランスがポイント。本作『スペイン』の両者は共にツアーを重ねてきただけあって、その呼吸がぴたりと決まっています。共に卓越したメロディストですから、一体感のある絶妙なデュオが聞けるというものです。
全8曲。アルゼンチンのギタリスト、ルイス・サリナス作の8.Aire de Tangoと6.Para Troilo Y Salganが素晴らしい。特に8の麗しい曲調とそれを目一杯引き立たせる両者の自在の即興演奏には深い感動を覚えます。私はこの種の筋の通った美が織りなすモザイク模様のカタストロフィーに堪らなく魅力を感じます。その美音の洪水には、どうぞ好きにして、もっとむちゃくちゃにしてください状態になりますね。お勧めです。
1. Spain Intro
2. Spain
3. Besame Mucho
4. A Mi Nino Jose
5. Two Much/Love Theme
6. Para Troilo Y Salgan
7. La Vacilona
8. Aire De Tango
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:51
ビートルズ/アンソロジー2
2005年03月29日
The Beatles/ Anthology 2
今夜はビートルズを楽しんでいます。この『アンソロジー2』ってご存知でしょうか?実は私つい最近になってこういう作品があることを知りました。中学生の頃に夢中になって聞いたビートルズはこの10年20年くらいはまともに聴いたことがなかったのですね。ですからこんな素敵なアルバムが10年近く前に発売されていたなんてこと自体全く知りませんでした。実はこれ正規に発売されている公式のレコードやCDに収められていない別テイクやライブばかりを集めたビートルズ・ファンには大変に貴重なアルバムなのですね。
年代別に全部で3枚がリリースされていまして、この『アンソロジー2』は1965年から1968年の中期の『ヘルプ!』『ラバー・ソウル』『リボルバー』『サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツクラブバンド』『マジカル・ミステリー・ツアー』に対応するものが集められています。3枚の中では最も聞き応えのある内容だと思います。楽曲は下記に示していますが、同じ曲でもいくつものテイクが収録されていたりして、よく知る最終テイクにいかにしてたどり着いていったかが少し分かるというわけです。
驚きの連続であるとともに最高に楽しめる内容です。公式のアルバムを相当に聞き込んでいる人ほどそのおもしろみをより感じることができると思います。私の場合は正直言ってジョン・レノンの凄みをいやというほど再認識させられたように思います。基本的にラバー・ソウル辺りからスタジオ録音を中心にした活動になり、いろいろ趣向を凝らした録音を行うことになってゆくわけですね。ポール・マッカートニーの曲では美しいメロディを割とストレートに表現するパターンが多いのですが、ジョン・レノン自作曲ではアレンジが明らかにポイントになっている場合が多いのですね。曲の原型や途中の試行錯誤みたいなものを聴くことが出来ますのでアレンジの変化が如実に示されます。ジョンの才能というのは原曲の持つ独特のニュアンスを個性的なアレンジの妙によりラジカルでありながらとてもイカしたカッコいいものに仕上げるセンスにあるのだなあとつくづく感じたりします。
全45テイクが納められています。まずは、4の「悲しみをぶっ飛ばせ」でジョンの美声と美しい楽曲に酔いましょう。テイク5ですがほぼ完成されていることが分かります。それに7のポールがギター伴奏のみで歌う「イエスタデイ」を聞きましょう。素朴な味わいで名曲の生の姿を感じることができます。11では同じく「イエスタデイ」のライブ演奏が捉えられています。ジョージ・ハリソンがポールのことをリバプールから出てきた素人のように紹介していますね。14は名曲「ノルウェーの森」です。テイク1とは思えないほど原型がほぼ出来上がっているのがわかります。ジョージのシタールがちょっと耳につく感じがしておもしろいですね。そして、17が大好きな「トゥモロウ・ネバー・ノウズ」。これもテイク1ですか。かなり公式テイクとは異なりますが、すでにジョンの声が機械的にゆがめられており構想がほぼ完成していることがわかります。さすがに凄い創造性に感心です。23の「アイム・オンリー・スリーピング」もテイク1ですでに完成に近いですね。こうしてみてきますとジョンの場合アレンジのアイデアは早い時期から相当に考慮されていることがよくわかります。
Disc2にはいきなり「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」がデモ、テイク1、テイク7と3バージョンが続きまして、いかにしてあの名曲が出来上がったのかがよく分かるというものです。基本的にはやはりデモとテイク1のレベルですでにアイデアがほぼ固まっているのですね。ほんとジョンの構想力の才には驚きの連続です。テイク7では後半に逆回転テープ採りのイカしたリンゴ・スターのドラムが結構長く録音されていましてさらに例のジョンのクランベリー・ソースというつぶやきも入っていますね。この不思議な世界と次の「ペニー・レイン」の爽やかな出だしの印象は最終盤と同じです。14の「アイ・アム・ザ・ウォルラス」ではテイク16と相当に繰り返していることが分かります。確かに納得が行かなかったのでしょうが、これはこれで最終バーションほどの完成度はないにしてもジョンのボーカルの扱いが十分に先鋭的で魅力的であります。15では「フール・オン・ザ・ヒル」のデモがポールのピアノの弾き語りですね。これも原曲の生の素晴らしさが映えてとてもいいと思いますね。20は大好きな「アクロス・ザ・ユニバース」のテイク2。これもほぼ完成されていましてジョンの素敵な生のボーカルをシンプルなアレンジで聴くことができます。
Disc: 1
1. Real Love
2. Yes It Is - (combination of take 2 and master)
3. I'm Down - (take 1)
4. You've Got To Hide Your Love Away - (take 5, mono)
5. If You've Got Trouble - (previously unreleased)
6. That Means A Lot - (previously unreleased)
7. Yesterday - (take 1, Paul McCartney solo)
8. It's Only Love - (false start and take 2, mono)
9. I Feel Fine - (mono, live)
10. Ticket To Ride - (mono, live)
11. Yesterday - (mono, live)
12. Help! - (mono, live)
13. Everybody's Trying To Be My Baby - (mono, live)
14. Norwegian Wood (This Bird Has Flown) - (take 1)
15. I'm Looking Through You - (alternate take)
16. 12-Bar Original - (previously unreleased)
17. Tomorrow Never Knows - (take 1, "Mark 1")
18. Got To Get You Into My Life - (take 5, mono)
19. And Your Bird Can Sing - (take 2)
20. Taxman - (take 11)
21. Eleanor Rigby - (TRUE instrumental)
22. I'm Only Sleeping - (mono, instrumental rehearsal instrumental)
23. I'm Only Sleeping - (take 1, mono)
24. Rock And Roll Music - (mono, live)
25. She's A Woman - (mono, live)
Disc: 2
1. Strawberry Fields Forever - (mono, demo)
2. Strawberry Fields Forever - (take 1)
3. Strawberry Fields Forever - (take 7, mono)
4. Penny Lane - (alternate mix)
5. Day In The Life, A - (alternate take blend of alternate takes)
6. Good Morning Good Morning - (take 8)
7. Only A Northern Song - (alternate take blend of alternate takes)
8. Being For The Benefit Of Mr. Kite! - (take takes 1 & 2)
9. Being For The Benefit Of Mr. Kite! - (take 7)
10. Lucy In The Sky With Diamonds - (alternate mix)
11. Within You Without You - (TRUE instrumental)
12. Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise) - (take 5, mono)
13. You Know My Name (Look Up The Number) - (extended, stereo version)
14. I Am The Walrus - (take 16)
15. Fool On The Hill, The - (mono, Paul McCartney demo)
16. Your Mother Should Know - (take 27)
17. Fool On The Hill, The - (take 4, alternate version)
18. Hello, Goodbye - (take 16)
19. Lady Madonna - (alternate mix)
20. Across The Universe - (take 2)
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ The Beatles/ Anthology 2
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:52
ビル・スナイダー/ミュージック・フォー・ホールディング・ハンズ
2005年03月25日
Bill Snyder/ Music for Holding Hands
今日はビル・スナイダーというピアニストの作品です。ホレス・ハイト楽団の主役ピアニストの幻の名盤が日本初登場、世界初CD化。メロウで美しい癒し系のピアノ・サウンドは極上。ムード・ピアノ・ファン必聴のピアノ・トリオの名演です。
ムード・ピアノといえばすぐ思い浮かぶのが映画『愛情物語』(1956年)で有名になったカーメン・キャバレロの演奏するショパンのノクターン作品9-2をアレンジした「To Love Again」でしょう。実はこの映画はエディ・デューティンというピアニストの伝記映画なのですが、むしろキャバレロでなくビル・スナイダーがぴったりの適役であったというのが当時からの定評です。個性の強いキャバレロよりも品のよいスナイダーの方がデューティンに近いというわけですね。
今もやっているのかどうか知りませんが、FMでジェット・ストリームという番組があり夜23時以降でお休み前の寛ぎのひと時に海外旅行をキーワードにした語りと口当たりのよいBGM音楽を流していました。たまに聞いたその番組の印象に最も似合うのがこのビル・スナイダーのピアノ演奏です。パリやローマなどヨーロッパの旅への誘いを妙にロマンティックに彩ってくれそうですね。
海外で思い出しましたが以前にニューヨークに行った際にウォール・ストリートのマクドナルドで昼食を取る機会があり、吹き抜けの2階部分でピアノ生演奏が行われていまして、その曲調がこのビル・スナイダーのような雰囲気のお洒落でジャズ風香りのある上質なカクテル・ピアノなのでした。流石にNYは違うな、マクドで品のよい生演奏か、と驚いた記憶があります。ちなみに、すぐそばに後にテロで破壊されることになるワールド・トレード・センター・ビルがあり観光スポットになっていましたね。
このアルバムはユニバーサル・ピアノ&スウィート・コレクション として2003年に世界初CDとして発売された10枚のうちの1枚です。これはユニバーサルが誇る豊富なカタログ群より癒しのピアノもの作品を精選したコレクション。堅苦しくなくリラックスして聴くには最適の作品ばかり。他にはカーメン・キャバレロ、エリス・ラーキン、アンドレ・プレヴィン、ヘイゼル・スコット、エディ・ヘイウッド、ビリー・テイラーらのピアノ作品です。
1.ジ・イレヴンス・アワー
2.マイ・オウン・トゥルー・ラヴ
3.ザ・ガール・ネクスト・ドア
4.ヤンガー・ザン・スプリングタイム
5.マナクーラの月
6.アイル・フォロー・マイ・シークレット・ハート
7.ザ・ハイ・アンド・ザ・マイティ
8.夢見る頃を過ぎても
9.アズ・タイム・ゴーズ・バイ
10.マイ・ディアリスト
11.フォーリング・イン・ラヴ・アゲイン
12.アイル・シー・ユー・アゲイン
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Bill Snyder/ Music for Holding Hands
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:53
ケイ・リラ/インフルエンシア・ド・ジャズ
2005年03月19日
Kay Lyra/ Influencia Do Jazz
今日はボサノヴァの大御所カルロス・リラの娘ケイ・リラのデビュー・アルバム『インフルエンシア・ド・ジャズ』。Bossa Novidade(新機軸ボッサ)の一つです。パーソネルは、ケイ・リラ(vo)、マウリシオ・マエストロ(arr,g,vo)、ジョルジ・エルダー(b)、ヒカルド・コスタ(ds)、ホベルチーニョ・シルヴァ(perc)、ヒカルド・ポンチス(as,fl)、マルセロ・マルチンス(ts)、パウロ・セルジオ・サントス(cl)、シキート(g)、クラウヂオ・ギマリャンィス(g)他。2004年リオ録音。
カルロス・リラはジョビンらが第1世代とすれば第2世代に当る著名な男性ボサノヴァ歌手&作曲家です。本作にも収めれられている1.Voce E Eu(あなたと私)や6. Influencia Do Jazz(ジャズの影響)などの有名曲もカルロス・リラの曲です。このカルロス・リラを父に米国女優のケイト・リラを母に生れたのがケイ・リラです。米国のバークリー音楽院で学びやドイツでオペラなどもかじったとのこと。1998年よりブラジルのリオを中心に音楽活動を開始しその美貌からモデルを兼業。本作は昨年秋に出たデビュー・アルバムです。
ボサノヴァは大御所の娘達の台頭が目立ちますが、一部には日本で作られて本国ブラジルに逆輸入されるパターンが増えてきているとか。本作もそうした1枚のようです。全13曲。決して悪くないです。声質はよいですし、しっとり歌う情緒はさすがにリラの娘という感じですね。ボサノヴァの歌手ってうまいのだか下手だかわからない方が多いですし、センスがあれば決して上手くなくてもサマになるってところがありますからね。
全体のアレンジもオーソドックス、正統派です。上質のボサです。この1曲目1.Voce E Euを聞きますとボサノヴァ特有のほんわかとした暖かみを感じてとてもいい気分になります。2. Sim, Deve Ser Amorや3. Forestも素晴らしい。それと、4が日本語なんですが、これがちょっと微妙です。日本語で聞くと少し変な感覚になりますね。10. Ne Me Quitte Pasは仏語ですがね、まだこちらは違和感それほど感じません。あと英語とポルトガル語の全4ケ国語です。
1. Voce E Eu
2. Sim, Deve Ser Amor
3. Forest
4. Sambinha Bacana
5. With A Song In My Heart
6. Influencia Do Jazz
7. Saudade Fez Um Samba
8. Minha Namorada
9. Tea For Two
10. Ne Me Quitte Pas
11. Nenem
12. O Negocio E Amar
13. Foolish Summer
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Kay Lyra/ Influencia Do Jazz
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:54
シルビア・テレス/アモール・エン・ハイ・ファイ
2005年03月04日
Sylvia Telles/ Amor em Hi-Fi
今日はボサノヴァの名歌手シルビア・テレスの初期の名作『アモール・エン・ハイ・ファイ』をご紹介しましょう。ボサノヴァがまだ世界的に大ヒットする前の1960年に録音されています。リオデジャネイロ出身のシルビア・テレスはボサノヴァの勃興期を代表する歌手。66年に32才の若さで交通事故死しています。
私にとってボサノヴァの女性歌手といいますとまずこのシルビア・テレスが思い浮かびます。他にもエリス・レジーナ、アストラッド・ジルベルト、ナラ・レオンらが有名ですね。テレスはボサノヴァ初期に活躍して若くして亡くなったということで、その素敵な歌声と残された名唱などで特に印象に残る歌手です。
テレスの歌は何枚かのアルバムで知るのみですが、その味わいのある歌声は哀歓とキュートさが混ざり合った素晴らしいものです。本作はテレスの魅力を伝える代表的な1枚です。ジャジーな演奏もあり個人的に特に好んで聞くアルバムです。
全11曲。オーケストラをバックにボサノヴァやジャズ・スタンダードをじっくりしっとりと歌います。7.ジンジや9.ワン・ノート・サンバはとても有名なジョビンの曲ですがシルビアの歌はそれらの曲の定番と思えるほどに素晴らしい内容です。2のジャズ・スタンダードのメドレーでもとても味わいがあります。3.コルコバド、4.テテも文句なくいいです。10や11なども何とも素敵な歌唱です。10では立派な仏語も披露していますね。こうして1曲ずつじっくり聴きますと、ほんとテレスの素晴らしさがよくわかります。
1.SAMBA TORTO
2.ALL THE WAY/THE BOY NEXT DOOR/THEY CAN'T TAKE THAT AWAY FROM ME
3.CORCOVADO
4.TETE
5.SE E TARDE ME PERDOA
6.CHORA TUA TRISTEZA
7.DINDI
8.OBA-LA-LA
9.SAMBA DE UMA NOTA SO
10.GARDEZ MOI POUR TOUJOURS
11.NAO GOSTO MAIS DE MIM
詳しくはamazon,co.jpでどうぞ。→ Sylvia Telles/ Amor em Hi-Fi
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:55
アントニオ・カルロス・ジョビン/コンポーザー
2005年02月28日
Antonio Carlos Jobim / Composer
今日はアントニオ・カルロス・ジョビンです。自作曲をジョビン自ら歌う2枚の名作を中心にカップリングしたとてもお得な一枚。もし私が無人島に一人で一枚のCDを持って行くことになったら恐らく選ぶであろう究極の一枚です。①1~12 『The Wonderful World of Antonio Carlos Jobim』全曲。ネルソン・リドル楽団。1965年録音。②13~14『Love, Strings and Jobim 』より。デオダート編曲。1966年録音。③15~28『A Certain Mr Jobim』全曲。クラウス・オガーマン編曲。1969年録音。
私にとってジョビンという音楽家は最も敬愛する作曲家です。目をつむって少し思い浮かべるだけでも、「ジサフィナード」「コルコバード」「イパネマの娘」「波」「おいしい水」「フェリシダージ」「ジェット機のサンバ」「メディテーション」「思いあふれて」.......などなど、とめどなく美しいメロディが浮かんできます。ほとんど奇跡です。一度聴くだけでは容易には理解できないのですが、繰り返し聴くうちにその不思議で奇妙な音の連なりが虚ろな光を放ちはじめ終いには眩いばかりに光輝いてくるという、そんな印象です。
本作は自作の有名曲をジョビンが自ら歌った2枚のアルバムとプラスαをカップリングした大変お買い得な一枚です。実は長く私の心を潤してくれている大の愛超盤なのです。ジョビンの歌自体は決して旨いとは言えるものではありませんが、素晴らしいメロディを作曲者自らの歌&演奏でじっくり味わうにはこれに勝るものはありません。ボサノヴァのリズムとジョビンの素敵なメロディをめいっぱい堪能することができます。複雑でキュートなメロディはまさに飽きることのない音楽です。聴くたびに新たな喜びが発見されるのです。
全28曲。前半は品のよいネルソン・リドルとの共演。途中2曲がデオダート編曲のインストルメンタル。後半は大御所クラウス・オガオーマンとの息の合った共演。どの曲も味わいのあるものですがオガーマンの鮮やかなオーケストレーションが特に印象深いですね。今の気分では、10のジェット機のサンバ、18&26.Photograph、21&25.Esperanca Perdida、6. A Felicidade、1. She's A Carioca などの演奏がとてもいいです。今晩あらためて聴きましてやっぱジョビンは最高!の念を実感しています。
1. She's A Carioca
2. Agua De Beber
3. Surfboard
4. Useless Landscape
5. So' Tinha De Ser Com Voce
6. A Felicidade
7. Bonita
8. Favela
9. Valsa De Porto Das Caixas
10. Samba Do Aviao
11. Por Toda A Mimha Vida
12. Dindi
13. Hurry Up And Love Me ia
14. Pardon My English
15. Bonita
16. Se Todos Fossem Iguais A Voce :: Someone To Light Up My Life
17. Off-Key :: Desafinado
18. Photograph
19. Surfboard
20. Outra Vez :: Once Again
21. I Was Just One More For You :: Esperanca Perdida
22. Estrada Do Sol :: Road To The Sun
23. Don't Ever Go Away :: Por Causa De Voce
24. Zingaro
25. Esperanca Perdida :: I Was Just One More For You
26. Fotographia :: Photograph
27. Por Causa De Voce :: Don't Ever Go Away
28. Desafinado :: Off-Key
JR.comでは試聴可能です。→Antonio Carlos Jobim / Composer
amazon.co.jpでも試聴可能。→ Antonio Carlos Jobim / Composer
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:57
日向敏文/ピアノ・ソロ
2005年02月17日
日向敏文/ピアノ・ソロ
今日は日向敏文です。『ピアノ・ソロ』。これは素敵な素敵な私の大切な宝物です。同じことを感じている方きっと大勢いらっしゃるだろうなと思います。このブログに来てくれる方でそういう方は確率的にはそう高くないかもしれませんが、もし、いらっしゃればコメントなどを通してご意見などいただければうれしいです♪(←何この絵文字!いかんいかん!軟弱!)。
ピアノという楽器が大好きな私にとってこのアルバムはとても身近なものです。ショパンやスクリャービンら巨匠は別格として、ジャズやコンテンポラリーの優れたピアノ音楽を愛する者にとって日向敏文の音楽はまさに座右に必携というものです。過去の名作を一堂に集めた再録音盤。
以前、そう半年くらい前にもISISというアルバムを紹介しています。→日向敏文 ISIS 本作は過去の名曲を網羅した日向のピアノ作品の集大成と呼べるものです。日向のピアノ世界には独特の孤高の美学が存在します。このアルバムは私にとってはその美を確認・検証するためにあります。
もし自分がもう一度人生をやり直せたら、私は絶対に日向のようなピアニストや作曲家として生きたい、本当に真剣にそう思います。自由な創造&芸術活動に対する一種の憧憬の念は歳を重ねるごとに強まるばかりです。シンプルですぐ手が届きそうに聞こえる日向の音楽はそんな幻想を抱かせてくれます。自分にも創れるのではないかと錯覚させるものがあります。
全26曲。少し重めですが私のようなピアノ大好き人間には貴重な一枚です。いくつかお好みの曲をピックアップしますと、17.ロンドがやはり一番好きですね。構築物の美学。それに、9.オデ・トゥ・ザ・アンノウン、あと、21~25はISISの美の世界です。親しみみある26.異国の女たちがピアノ・ソロで聞けるのもありがたいですね。
1.メゾン・ブランシュ(ニュー・ヴァージョン)
2.リトル・プレイヤー
3.夏の猫
4.メイン・タイトル
5.プレモニション
6.ペイヴメント
7.ペンティメント
8.オータム(ニュー・ヴァージョン)
9.オデ・トゥ・ザ・アンノウン
10.ラスト・トラバドール
11.アングザエティー
12.アイシス
13.ゼノン
14.ブリング・ミー・バック・ホーム(ニュー・ヴァージョン)
15.アヴェニュー…,ラスト・イヤー
16.モア
17.ロンド
18.オンブラ・アズーラ
19.ペイガン・ヒム(ニュー・ヴァージョン)
20.ミラン・アンド・オシリス(同)
21.リッツ・ソング
22.ソリロキー
23.ア・リマーク・ユー・メイド
24.アイル・オールウェイズ・リメンバー
25.エピローグ
26.異国の女たち(ニュー・ヴァージョン)
ご購入はamazon.co.jpでどうぞ。→ 日向敏文/ピアノ・ソロ
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:58
ベベル・ジルベルト/タント・テンポ
2005年02月06日
Bebel Gilberto / Tantotempo
今日はボサノヴァからベベル・ジルベルトの大ヒットアルバム「タントテンポ」をご紹介しましょう。ボサノヴァの生みの親ジョアン・ジルベルトと歌手のミウシャを母に持つブラジル新世代の女性シンガー、ベベル・ジルベルトの代表アルバム。1999年録音。
日常的に聴く音楽を大きく分ければ、ジャズ、クラシック、そしてボサノヴァという3つのジャンルに分けることができそうなくらいに、ボサノヴァをはじめとするブラジル音楽は私にとって欠かせないアイテムになっています。現代のブラジル音楽は癒し系という点では最高のワールド・ミュージックだと私には思われます。
本アルバム『タント・テンポ』は、現代のボサノヴァを代表する存在のベベル・ジルベルトの本格的なデビュー・アルバムです。ベベルは、66年、リオ・デ・ジャネイロ生まれで著名音楽家の両親の元に幼少の頃から英才教育を受け、9歳でプロの音楽家としてのキャリアをスタート。89年に、1stアルバム・ミニ・アルバム『ベベウ・ジルベルト』を発表。ブラジル音楽界きってのサラブレッド・シンガーとして注目を浴びると同時に、天賦の才能としか言いようのないヴォーカル・ワーク、抜群のリズム感と柔らかな歌声で、大きな支持を獲得するに至ります。本作『タント・テンポ』では伝統的な歌とともにコンテンポラリーな味わいが十分に発揮された傑作となっています。
1. Samba Da Bencao
2. August Day Song
3. Tanto Tempo
4. Sem Contencao
5. Mais Feliz
6. Alguem
7. So Nice (Summer Samba)
8. Lonely
9. Bananeira
10. Samba E Amor
11. Close Your Eyes
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:59
ローリング・ストーンズ/シングル・コレクション
2004年11月30日
Rolling Stones / Singles Collection
ローリング・ストーンズは中学生の頃に夢中になって聞きました。60年代のヒット曲にはビートルズに十分対抗しうるカッコイイ曲がたくさんあります。優等生のビートルズも当然大好きでしたがバンカラ風のストーンズには何やら共感めいたものを感じていました。最初聴いたときは、何だこりゃ録音バランスがひどいレコードだなあというのが印象としてあり、それはボーカルとバックの楽器とを同時に一発で録音するということで、そんな荒削りなところも魅力の一つだったのかもしれません。このCDはローリング・ストーンズ60年代のシングル・レコードを全て集めた所謂ヒット曲集です。3枚セットのCDですがストーンズの名曲の多さには改めて感心します。
ローリング・ストーンズは60年頃に結成され、ミック・ジャガー(vo)、キース・リチャーズ(g)、ブライアン・ジョーンズ(g)、ビル・ワイマン(b)、チャーリー・ワッツ(ds)の5人組みに固定された63年くらいからヒット曲を連発してビートルズと並ぶ人気を獲得します。ブライアンは69年に脱退後変死し、ミック・テイラーが後釜に入ります。70年代以降も延々と続きますが私の興味は主に60年代にあります。
数年前にもヒット曲を集めた同様の フォーティー・リックス という2枚組CDが発売されていますが、そちらは60年代に1枚、それ以降に1枚という割り振りになっておりまして、当然60年代を1枚20曲に押し込みますと漏れ出る名曲が出てくるわけで、実際、We Love You、2000 Light Years From Home、As Tears Go By、Little Red Rooster、Time Is On my Side、Dandelion、Lady Janeといった私の大のお気に入り曲が抜け落ちています。今日ご紹介している3枚組は60年代だけで3枚全58曲ですからほぼ網羅できるというものです。それくらいストーンズのヒット曲は多いということですね。
個人的なお好みは、Street Fighting Man、She's A Rainbow、We Love Youがまずあり、さらに上に挙げた曲、それにGet Off My Cloud、Honkey Tonk Womenなど、それにSatisfactionやJumpin' Jack Flashらの大ヒットは別格です。特に、Street Fighting Manの典型的なロックンロールのリズム感は素晴らしくて、中学生時代の私のテーマ曲といってもよい曲でしたね。いまだにあのギターのキーンという共鳴音を聴くたびに武者震いをしてしまいますが、ローリング・ストーンズの魅力の多くはキース・リチャーズの特徴的かつ魅惑的なギター・リフを基調とするストレートなロックン・ロール、その純正さにありますね。チャーリー・ワッツの叩くドラムにビル・ワイマンのベースが載って、ミック・ジャガーの黒っぽいボーカルが雄たけびを上げるという、それら直球勝負が力強くて男らしくて堪らない、まさにストーンズこそがロックの原点という感じですね。
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Rolling Stones / Singles Collection
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:00
ジョアン・ドナート/ボッサ・ムイト・モデルナ
2004年11月19日
Joao Donato/A Bossa Muito Moderna
こんにちは。今日はジョアン・ドナートです。ボサノバ黎明期の渋めのピアノ・コンボ演奏です。パーソネルは、ジョアン・ドナート(p)、セバスチャン・ネト(b)、ミルトン・バナナ(ds)、アマウリイ・ロドリゲス(perc)。1963年録音。
ジョアン・ドナートはボサノバ創成期に活動を開始し60~70年代に活躍したキーボード奏者かつ作曲家です。ジョアン・ジルベルトやアントニオ・カルロス・ジョビンらとともに偉大なボサノバ・ミュージシャンとして有名です。一時引退していましたが、90年代半ば小野リサらのアルバムを手がけた後は完全復帰して現在も精力的に活動されています。
このアルバムは自作曲だけでなく、ジョビンやセルジオ・メンデスらの曲をフィーチャーした、極めてオーソドックスな渋すぎるくらいのピアノ演奏です。ドナートのピアノ・ソロを存分に味わうという意味ではこれ以上のよき題材はありません。私のようなドナート・ファンにとりましては宝物のようなアルバムなのです。全12曲いずれもほとんどジャズのピアノ・トリオ・アルバムのようですが、よくよく聴きますとドナートならではの洗練された極上のボサノバ・テイストが感じられます。
来日したドナートを紹介しているこんなサイトさんもあります。→ ジョアン・ドナートがやってきた/CORCOVADO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Joao Donato/A Bossa Muito Moderna
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:01
小野リサ/サウダージ
2004年11月17日
Risa Ono/Minha Saudade
こんにちは。今日は小野リサです。小野リサのアルバムはBGMとして聞くにはもってこいの癒し系ミュージックですね。安定的に心地よい音楽が流れてくるという点では安心してどれをかけても裏切られることがまずありません。ボサノバや一般のポピュラーの有名曲をボサノバ風に仕立てた音楽は天気のよい休日の午前などに聞きますととてもくつろいだ雰囲気が醸し出されます。
ただ、深夜など個人的に集中して聞き込む対象としては正直少し物足りないところもあったりしますね。数多く出ているそんな小野リサのアルバムの中で、今日ご紹介するアルバムは、かなり筋が通っていてじっくり聞くにはもってこいの例外的なアルバムではないかと思うのですね。
それはジョアン・ドナートというボサノバを代表するような高名なピアニスト兼作曲家との共作で、ドナート色の強く出た仕上がりになっていることが主な要素だと思います。全曲ドナートの曲で、アレンジもドナート、そして、ピアノまたはエレピの演奏もドナートなのですね。
ジョアン・ドナートのピアノ演奏はかゆいところに手が届くというようなお洒落でハイセンスなものです。あの元祖癒し系アルバム、マイケル・フランクス「スリーピング・ジプシー」中の2曲でピアノ演奏しています。他はジョー・サンプルなのですが、その2曲でのドナートのピアノが抜群に素敵なものですから、それ以来ドナートの大ファンになりました。ドナートのリーダー・アルバムについては近いうちにまた別枠でご紹介したいと思っています。
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Risa Ono/Minha Saudade
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:02
アナ・カラン/おいしい水
2004年11月16日
Anna Caram /Sunflower Time
こんにちは。今日はアナ・カランの登場です。現代のブラジル音楽の粋を伝える好アルバム、アナ・カランの大人気盤です。ボサノバをはじめとするブラジル音楽は今や高水準のワールド・ミュージックとして認知されていますが、その代表の一人がこのアナ・カランです。95年、ロンドンとサンパウロで録音。
2曲目のバート・バカラック作のカーペンターズのヒット曲、「クロス・トゥ・ユー」のアレンジが素晴らしいと思います。原曲の良さをカリオカ風にさわやかにまとめていまして、これはもうリゾート気分に浸れる快楽印ミュージック。ついつい繰り返し聴いてしまいますね。4曲目のスティービー・ワンダーの名曲「オーバージョイド」は彼女のギターだけをバックにした弾き語りで、本来の彼女の透明で官能的な歌声が魅力的です。
1、6、9曲目はあのロンドン・ジャズ・ファンクの大御所ジャン・ポール・ブルーイ・モーニックのアレンジ&プロデュースでロンドン録音。1曲目のジョビンの有名曲「おいしい水」がクラブ風のサウンドに仕上がっていて興味深いものがあります。6曲目のジョルジ・ベンの大ヒット曲「マシュ・ケ・ナダ」も斬新なアレンジです。ブラジリアン・コンテンポラリー・ミュージックは60年代のボサノバ勃興期からそのアレンジに優れた特徴がありましたが、このアナ・カランのアルバムもそうしたよりよいアレンジと音楽の創造を貪欲に追求する姿勢が感じられます。
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Anna Caram /Sunflower Time
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:03
エリス・レジーナ&アントニオ・カルロス・ジョビン/エリス&トム
2004年09月24日
Elis Regina&Antonio Carlos Jobim/ Elis&Tom
こんにちは。今日はボサノバから1枚を選んでみました。当然のごとくアントニオ・カルロス・ジョビンのものとなります。これはここ5年くらいで最もよく聴いているCDだと思います。エリス・レジーナという最高の女性ボサノバ歌手を迎えてのデュエットもありの74年録音です。全曲ジョビンの作です。
ボサノバを聴き出したのは、学生時代にジャズとして聴いた"ゲッツ・ジルベルト"を別にすれば、30歳を過ぎてからです。もちろん、ジャズにはボサノバ風の演奏がそこかしこに多々ありますので区別すること自体あまり意味ないことかもしれませんが。まあアントニオ・カルロス・ジョビンのことを偉大な音楽家と認識したのが意外と遅かったということですね。
数多くの有名曲を作曲しています。味わいのある曲、噛めば噛むほどいい味の出てくる曲の何と多いことか。ボサノバという音楽を世界共通のものとしたという功績はこのジョビンの作り出した曲たちに大きく依存しているのではないかと私は思います。
このアルバムに収められている曲について触れておきますと、大変有名なコルコバード以外にはどの曲もそれほどメジャーというものではありません。しかし、よく聴きますとどれも味があってほんと素晴らしいと思えるものもあります。私にとって繰り返し聞きたくなるアルバムというのは、心地よさに加えて聴くたびに何か新しい発見をする醍醐味があるものということになります。このジョビンとエリスのアルバムはまさにそんな魅力を持った音楽です。特にお気に入りを挙げますと、1,三月の雨、5.トリステ、6.コルコバード、8.白と黒のポートレイト、9.もう喧嘩はしない、11,フォトグラフ、13.バラに降る雨、14.無意味な風景、などになります。エリスの透き通った声としっとりと歌うバラッドには降参です。ジョビンの歌声にもそのうち慣れてくるのですね、不思議と。
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:04
ドナルド・フェイゲン/ナイト・フライ
2004年09月17日
Donald Fagen/The Nightfly
こんにちは。今日はドナルド・フェイゲンです。昨日のマイケル・フランクスのスリーピング・ジプシー以外にもう一枚だけお勧めのAORを選ぶとすれば、このスティーリー・ダンのドナルド・フェイゲンのソロ・アルバムになります。82年録音。
このドナルド・フェイゲンのアルバムはこの時期の米西海岸の"粋"を代表する音楽といえるでしょう。この上なく洗練されたポピュラー音楽です。ロック、ジャズ、R&Bなどがせめぎ合って、最もバランスのよい着地点はまさにここですよという強い主張と自信を感じます。特に5曲目のNew Frontierが素晴らしい出来です。渋くてカッコいい大ヒット曲ですね。私の密かなお気に入りは4曲目のマキシンなのですけどね。この曲にも同様の洗練があるのですが、少し哀歓がただよっていまして、夏から秋にかけて過ぎ去った一夏のほろ苦い思い出の海を連想させてくれる、切ないけど心地よい世界ですね。BGMや車内などでたまに聴くには最適の音楽です。
こちらの方も記事にされています。→http://blog.livedoor.jp/x_hikaru_x/archives/6198497.html
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:05
マイケル・フランクス/スリーピング・ジプシー
2004年09月16日
Michael Franks / Sleeping Gypsy
こんにちは。今日はちょっと変化球です。このヘタウマ系ボーカルのマイケル・フランクスの大ヒットCDは有名曲「アントニオの歌」でよく知られる大人のための都会風ボサノバ系フュージョンAOR(Adult Oriented Rock)です。いわば元祖癒し系musicです。77年録音。アントニオって猪木さんではないですよ、アントニオ・カルロス・ジョビンに捧げられた曲とのことです。
私、このアルバムを長年BGMとして聴いてきました。その意味でまさしく愛聴盤です。全8曲どの曲も素敵です。敢えて好きな曲を選択するとすれば4と8のボサノバ系でしょうか。特に8がお気に入り。4と8のピアノはジョアン・ドナートなのですがそれがとてもいいのですね。ちなみに他の曲のピアノはジョー・サンプルです。ドナートのピアノにはボサノバ本流らしいグルーヴィのセンスが満ち溢れているのです。
マイケル・ブレッカー(ts)、デヴィット・サンボーン(as)、ジョー・サンプル(key)、ラリー・カールトン(g)らフュージョン系の大御所が参加しています。この世界を知らない耳の肥えた30才以下くらいのお若い方にお勧めです。おじさん達はこういうのを聴いて愛を語ってきたのですよと。ちなみに、マイケル・フランクスこの18日でなんと60歳。来月20日(水)、ブルーノート東京でライブをやるらしいです。
JR.comでは試聴可能です。→ Michael Franks / Sleeping Gypsy
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Michael Franks / Sleeping Gypsy
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:06
キング・クリムゾン/暗黒の世界
2004年09月12日
"Starless and Bible Black" The King Crimson
こんにちは。今日はプログレッシブ・ロックのキング・クリムゾンの登場です。個人的には、中高生時代はまさに受験戦争に巻き込まれていまして、自由に享受できる音楽だけが自我の開放できる場として異様に肥大化していたように思います。当然、ロックについても回りの影響を受けまして人並み以上に思い入れを持って聴いてきました。ハード・ロックやプログレとして、Deep Purple、ELP(Emerson, Lake & Parmer)、Yes、Red Zeppelin、Pink Floyd、そしてこのKing Crimson等々ですね。 70年代前半はリアルタイムで同時代世代として受けとめてきました。今、現在そのころの音楽を聞き直してみて、当時よりも高い評価を与えることができると思えるのがこのロバート・フリップのキング・クリムゾンの世界でして、特に73、74年頃の録音です。
いろいろな音楽を聞いてきますと嗜好は当然変化します。クラシックやジャズの世界は深いものがありまして、その良さを理解するには過去にそれなりに多様なものを受け入れて、かつ、十分に消化できているということが前提になるのかもしれません。その意味で所謂(いわゆる)ロックという音楽ジャンルは割合に理解しやすく、若い時分にも取っ付きがいいものですね。その点で、King Crimosonの70年台前半、フリップ、ジョン・ウェットン、ビル・ブラッフォード、それにデビット・クロスという相互理解のある最強のコラボレーションによる、ライブでのインプロビゼーションを主とする音世界は、ジャズの洗礼を受けた耳にも十分に聴き応えのあるものになっています。高度という表現は適切でないかもしれませんが、私にとってはその美意識に深く共鳴するものを感じることができるということです。1作目のセンセーショナルですが少々甘過ぎる "クリムゾン・キングの宮殿 " からはじまる試行錯誤の末の、フリップという芸術家にとっての一つの到達点ではなかったかと私には思えるのです。お気に入り曲は、1、2、3、6、7、8などシンプルな楽曲に惹かれまして、特に、2、3、7、8 ですね。2や3での緊張感は当時のロックというジャンルを越えた、どこにでても通じる普遍的な世界を示しているように思えるのですが、いかがでしょう。
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:07
ビートルズ/リボルバー
2004年09月05日
リボルバー/ザ・ビートルズ
こんにちは。今日はビートルズについて書きましょう。私にとってのビートルズの1枚をよくよく考えて選ぶとすればこのリボルバーになってしまうのですね。ビートルズ・サウンズなるものがあるとすれば、それはラバーソウル、リボルバー、サージェントペッパーズの1965~67年に出されたアルバムが象徴するサウンドなのかなと勝手に思っていますが、それはもし極論が許されるならばジョン・レノンの音楽性の成熟に行き着くのではないかと考えています。
ポール・マッカートニーは稀代の天才メロディー・メーカーであり、外的環境にあまり影響を受けずとも、例えば、この時期、Yesterday以降、コンスタントに有名メロディー、Michelle、Eleanor Rigby、Here There and Evrywhere、Hey Jude、Penny Rain、などなどを着実に紡ぎ出してゆきますね。まあソウルフルなR&Bもテリトリーとしてありますが。一方、スタイリストであり芸術家であるジョン・レノンの場合は、時代の趨勢であるエレクトリックやサイケデリックなどを巧みに取り入れつつ、ロックにおける先端性と芸術性をいかに体現するかを志向していたように思えます。その結実がこの時期のアルバムに反映されることで、ビートルズ全体としても単なるアイドル・グループから音楽芸術を担うアーティストのレベルにまで達することになると考えるのです。
前作ラバーソウルで、すでにその兆しは十分に感じられるわけです。例えば、Norwedian Woodはインド楽器シタールをはじめて取り入れたJ・レノンの曲ですが、その後のビートルズ・ライクなサウンドの典型を示しています。リボルバーではそれがさらに深みを増しており、その典型はShe Said She SaidやTomorrow Never Knowsなどに聴かれますが、J・レノンの感性と才気がほとばしるような凄みを感じます。これらの実験的ともいえる試みは、後のLucy in the Sky with DiamondやStrawberry Fieles Foreverなどで一つの極みに達するのでしょうか。I'm Only Sleeping、And Your Bird Can Sing、Doctor Robertらもレノンの軌跡として興味あるものです。
追加すべきは、ジョージ・ハリスンの貢献があります。前作ラバーソウルで示した美しい曲If I Needed Someoneから、リボルバーではTaxman、Love You To、I Want to Tell Youという各々個性的な3曲を提供しておりその存在感を強めています。また、P・マッカートニーのベースラインの動きも楽曲の多様性に伴い変化のあるものになってきていますが、これもビートルズ・サウンズが高い音楽性を示す要因のひとついえるでしょう。
詳しくはアマゾンでどうぞ。→リボルバー/ザ・ビートルズ
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:09
日向敏文/ ISIS アイシス
2004年09月02日
日向敏文/ISIS
こんにちは。今日は日向敏文という音楽家です。ご存知の方も多くいらっしゃると思います。この方の詩的なピアノ曲は私のFavoritesの一つです。
東京ラブストーリーなどのTV音楽を手がけたりされて有名な方ですが、ジャンル分けするとすれば何なのでしょうかね。私にはクラシック系現代環境音楽?という感じです。エリック・サティやブライアン・イーノらが、ちょっとかけ離れすぎてるかもしれないけれど連想されますね。音だけで映像が浮かんでくる、イメージ膨らむそんな音世界なのです。
1985年にデビューされ10枚以上のCDを出されています。このISISはピアノ曲ばかりを集めたものです。どの曲も素敵なモチーフを持っています。例えば、8曲目のRondeauなどは日向の典型的な音世界だと思います。ショパンやドビュシーらの優しいピアノ曲をお好みの方には受け入れやすい音楽でしょう、きっと。皆さんもぜひ日向敏文の世界をご堪能してみてください。下の2枚はもっとイメージを掻き立ててくれるCDかもしれません。秋の夜長などにBGMとして静かに流しますとひとときの別世界に遊べることでしょう。
"夏の猫" 日向敏文
この夏の猫はコマーシャルで一時よく流れていた”異国の女たち"が有名ですが、ピアノ曲の表題曲"CHAT D'ETE"も素敵です。
"ひとつぶの海" 日向敏文
このCDでもピアノ曲のEnd of the summerやチェロとピアノによるPassageやReflections-Repriseもいいですね。
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:09