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ジョン・コルトレーン/ジャイアント・ステップス

JAZZ Sax 2

2005年04月14日

giant_steps.jpeg John Coltrane/ Giant Steps

 今日はジョン・コルトレーンの名作『ジャイアント・ステップス』です。シーツ・オブ・サウンズと呼ばれるコルトレーンのサックス・プレイがほぼ完成した記念すべきアルバム。異常な緊張感に満たされたコルトレーン・ジャズの美学が凝縮された一枚。パーソネルは、ジョン・コルトレーン(ts)、トミー・フラナガン(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)。6と9のみ、ウィントン・ケリー(p)、ジミー・コブ(ds)。1959年録音。Atlantic。

 今でこそコルトレーンの偉大さをよく理解していますが、ジャズ入門期の頃にその評判を本か何かで知って購入したこのレコードは何やらやたらに速いサックスだけれど余裕という遊びが無いなあとあまり感心しなかったことを記憶しています。ただ、6曲目のネイマだけは妙に惹きつけられる何かを感じとっていましたっけ。あまりに速いアドリブについていけなかった、音の連なりをしっかりと追えず、よくわからなったということです。

 ただ、真摯で切迫感のある印象は今も変わりません。ハングリーな求道者の姿勢には聴く側に対して音楽を楽しんでもらうという本来の自然な意図を微塵も感じることができないのです。これはまさに至高の芸術的な境地であって、聴衆に対するへつらいや媚びを排除した徹底した美学追及の求道的スタンス、これはやはりあっぱれというものでございましょうぞ。

 そう、多くのジャズを、娯楽として、また、俗な快楽として、ジャズを聴くことが当たり前なのですが、チャーリー・パーカーがバップのスタイルを築いたように、コルトレーンはパーカーの流れを踏襲しながら60年代以降の新主流の大きな支流を形作ったという意味で、革新を生真面目に追求した、それは大衆性とは無縁の世界であったということなのでしょう。

 今の私にとっては、このコルトレーンの音楽は以前とは比較にならないほどに楽しめる対象になってきています。そこそこジャズ遍歴を重ねて、特に50年代ハードバップに飽和された耳には新鮮で凄みのある音楽として共鳴できる、理解できるという感じです。

 レコードでは全7曲、CDではさらにプラス5曲です。1や4、それに5や7などの直球勝負にはある種の鮮烈な覚悟のような切迫感と緊張感を受けるとともに、洪水のような音の連なりとその構築美に従来のバップにはない異様な心地よさを感じることができます。さらに3などは剛速球の決め球という感じですね。美学の存在を感じずにはおれません。それに、トミー・フラナガンのピアノが実に素晴らしいということも記しておく必要があります。コルトレーンの雰囲気を敏感に感じ取って緊張とバランス感覚のある絶妙なピアノ・ソロを各曲で披露しています。あと、やはり6のネイマ、つかの間の安息、これはいつ聴いても納得の内容です。ピアノもウィントン・ケリーに代わっています。コルトレーンはソロをとらず、ケリーのピアノ・ソロのみが聴けますが、実に詩的で美しいものです。コルトレーンがやっと少しこっちを向いてくれてうれしい。この曲があって本アルバムは救われたという気がします。

1. Giant Steps
2. Cousin Mary
3. Countdown
4. Spiral
5. Syeeda's Song Flute
6. Naima
7. Mr. P.C.
8. Giant Steps - (alternate take, version 1)
9. Naima - (alternate take, version 1)
10. Cousin Mary - (alternate take)
11. Countdown - (alternate take)
12. Syeeda's Song Flute - (alternate take)


iTunes Music Store では試聴可能です。→John Coltrane - Giant Steps


詳しくはアマゾンでどうぞ。→ John Coltrane/ Giant Steps


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投稿者 Jazz Blogger T : 21:47 | トラックバック

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