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ティエリー・ラング/プライベート・ガーデン

JAZZ Piano 4

2012年01月24日

thierry_lamg_private_garden Thierry Lang / Private Garden

 最近一番感激してここ1週間ずっと聞いているジャズ・ピアノです。ティエリー・ラングのトリオもの。奥行き感のある品よいタッチ、繊細でしなやかな感性、静かで熱いロマンティシズム。いわゆる癒し系なのですがジャズ特有のきりりとした美意識と緊張感が芸術性を表出しています。パーソネルは、ティエリー・ラング (p)、イヴォール・マレベ (b)、マルセル・パポー (ds)。1993年スイス録音。Plainis Phare。

 4曲目のジャイアント・ステップスがまず耳を奪います。コルトレーンの名作が実は非常に美しい音楽であったことがスローテンポによるコード進行を噛み締めることで示されています。何とみずみずしい美しさに溢れた音楽なのでしょう。思わずため息が出る夢見るような心地よい音楽にうっとりさせられます。こんな感動は久しぶりです。

 同曲のトミー・フラナガンやテテ・モントリューのピアノ演奏とは全く異質の世界ですね。途中からベース&ドラムを伴いながらミディアム・テンポで壮快に幸福の讃歌を歌い上げます。主題メロディが最後の方にスロー・テンポでほんの少し顔を出して、ああ、ジャイアント・ステップスだったことが思い起こされます。憎いけど素敵すぎる演奏です。

 ティエリー・ラング(1956〜)はスイス生まれですでに50代半ばのヨーロッパ中堅実力派ピアニスト。90年代からコンスタントにアルバムを発表していますが、知る人ぞ知るっていう感じでそれほど著名ではないですね。私も昨年はじめて彼のアルバムを聴いて、すぐにお気に入りフェイバリット・ピアニストになりました。その後、今年にかけて彼のアルバムを何枚も聴いてきましたが、本作がその中でも高い完成度のアルバムであると感じています。

 ジャイアント・ステップスがあまりに印象深いので、とにかくそれを書くという勢いで書いていますが、他の曲にもそれぞれに味わいがあってよい具合なのです。ラングのピアノには、ビル・エヴァンスに通じる深い静による恍惚があり、エンリコ・ピエラヌンツィに近い流麗なエレガンスがあります。


1 A Ster To My Father
2 Nunzi
3 Stella By Starlight   
4 Giant Steps
5 Boulevart Perolles
6 Private Gerden
7 I Hear A Rhapsody
8 Nane

Thierry Lang (p), Ivor Malherbe (b), Marcel Papax (ds).

YouTubeからLangさんにご登場願いましょう。


詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Thierry Lang / Private Garden

関連エントリはこちら。
 → ティエリー・ラング/リフレクションズ I
 → ジョン・コルトレーン/ジャイアント・ステップス

投稿者 Jazz Blogger T : 21:02 | トラックバック

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