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ティエリー・ラング/リフレクションズ I

JAZZ Piano 4

2011年12月31日

thierry_lang_reflections_I Thierry Lang / Reflections I

 ティエリー・ラングというピアニストのことをご存知でしょうか。スイス出身のジャズ・ピアニスト。ジャズ・ファンの 方ならきっとご存知の方も多いに違いありません。私にとっては本作が初めてのラング体験。その深く濃厚なリリシズム溢れるピアノに魅せられてこのところ繰り返し聞いています。パーソネルは、ティエリー・ラング (p)、へイリ・ケンジッヒ (b)、ペーター・シュミドリン (ds)。2003年録音。i.d.Records。

 ティエリー・ラング(1956~)はスイス出身のジャズ・ピアニスト。ビル・エヴァンスの流れを汲む思索的な粘っこいピアノ・タッチとヨーロッパのピアニストらしい耽美的で清澄感のあるリリシズムが印象的です。単に甘く優しいというだけでなく、ジャズ・ピアニストが基本的に具備すべきジャズ魂やメロディック・センス、それにそれらを表現できるテクニックがありますね。従って、当然のごとくにハイレベルなジャズを味わわせてくれることになるのです。

 音楽探検を続けていてよかったと思うことがたまにありますが、ティエリー・ラングとの出会いは後年になってみるときっと今年一番の収穫になっているのかもしれません。新たな音源を求めなくても今の守備範囲内でそこそこに楽しめているわけなのですが、貪欲にハングリーに探検していますと、やはり確実にヒットしていくのだと思いますし、それがそうした努力の継続の賜物だと思っています。求めるものに出会うべくして出会うというのは現代のような世界的情報社会では当然のことに違いありません。

 例えば、6曲目 Moon Princess に聞かれる深い情感は音楽、特にジャズでこそ得られる最高の悦楽の一つであると私は信じており、この種のジャズにずっと憧れを持って待ち望んでいたことを思い知らされています。エヴァンスはじめ、デニー・ザイトリン、エンリコ・ピエラヌンツィ、スティーヴ・キューンら私が敬愛するジャズ・ピアニスト達に終始求め続けてきたある特定のリリシズムがここにはしっかりと根付いていることを発見するのです。

 4曲目 Private Garden や5曲目 Waiting For A Wave、それに8曲目 Nostalgie らはミデイアム・テンポの流麗な音列が清涼感とその中に潜むラングの美意識を感じさせてくれます。ピエラヌンツィに通じる上品で優美な感性。ヨーロッパのジャズ・ピアニストが持つ最も良質な部分。淀みなく流れる魅惑のパッセージの連続はブルース精神と対極にあるけれど同種のグルーヴ感を醸し出しています。

1. Le Sablier
2. Three Lines
3. Wounds
4. Private Garden
5. Waiting For A Wave
6. Moon Princess
7. Your Notes
8. Nostalgie

Thierry Lang (p), Heiri Kaenzig (b), Peter Schmidlin (ds).

YouTubeからトリオ演奏をピック・アップしてみました。佳曲ミディアム・テンポの軽快な演奏。溢れ出る美的センスにとても共鳴するとともに、ジャズ・ピアノの愉しみを感じて心浮かれてきますね。

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Thierry Lang / Reflections I

投稿者 Jazz Blogger T : 10:39 | トラックバック

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