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エントリ内容の一覧
ジョージ・ウォーリントン/ジャズ・フォー・ザ・キャリッジ・トレード
2006年12月18日
George Wallington/ Jazz for the Carriage Trade
今日は白人バップ系ピアニスト、ジョージ・ウォーリントンの品格を感じさせる非常に味のあるハードバップ・アルバムをご紹介しましょう。フィル・ウッズの麗しいアルトが魅力的な全体にまろやかで上質な典型的な50年代モダン・ジャズ作品です。パ-ソネルは、ドナルド・バード(tp)、フィル・ウッズ(as)、ジョージ・ウォーリントン(p)、テディ・コティック(b)、アート・テイラー(ds)。1956年録音。Prestigeレーベル。
50年代前後の白人バップ・ピアニストといえば、このジョージ・ウォーリントンかアル・ヘイグといったところでしょう。ともに優雅で品格のあるピアノが印象的です。ウォーリントンの有名な「カフェ・ボヘミア」では、ドナルド・バード、ジャッキー・マクリーンのフロントにポール・チェンバースのベースですが、本作では、バードとフィル・ウッズのフロントにテディ・コティックのベースという組み合わせなのですが、私はこの本作の組み合せが上品なセンスを感じて好みです。
バードの小気味よいトランペットが最高です。ドナルド・バードってやっぱ知的な名手なのだと実感させられます。それに、フィル・ウッズが何といっても素晴らしいのですね。その麗しい音色、力強くイマジネーションに富んだアドリブ・ライン。クインシー・ジョーンズのやはり1956年の名作「How I Feel About Jazz」で初めてウッズを聞いたときに感じたあの特徴的な暖かみのあるアルト・プレイです。いつも期待を裏切らないこの時期のウッズが私はとても好きです。安定な歌い回しとその音色が病みつきになります。
5曲目のWhat's Newは私の大好きな美しい曲。ウォーリントンの奏でる心なごむ優しいハーモニーには流石と感じ入ります。白人ベース奏者、ボブ・ハガード作曲の1938年生まれのこの曲はいかにも都会的な雰囲気のする、さりげないながらうっとりするような美しいメロディーライン。後半にウッズの切れ味鋭いアルトが満を持したように飛び込んできますと、その輝きのある響きにハッとさせられ、忘れがたい印象を残してくれます。アル・ヘイグがスタン・ゲッツと残したPrestige盤での美しいWhat's Newが思い出されます。
本作は、Blue Note独特の音色とクセを持つハードバップとは異なる、Prestigeのバランスの良い音と文化を感じさせるジャズです。Prestigeレーベルには本作のように高水準のアルバムが数多く残されていまして、とても気になる存在なのですね。全6曲。どの曲を聞いても素敵なジャズが有するスリルが感じられます。可憐な2曲目でのウォーリントン、ウッズ、バードと続く3者各ソロの上質な解釈と表現が本アルバムの魅力を象徴していると思います。お勧めアルバムです。
1. アワ・デライト
2. アワ・ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ
3. フォスター・ドゥールス
4. トゥゲザー・ウィ・ウェイル
5. ホワッツ・ニュー
6. バット・ジョージ
Donald Byrd (tp), Phil Woods (as), George Wallington (p), Teddy Kotick (b), Art Taylor (ds).
Recorded on Jan. 20.1956. Prestige Records.
詳しくはアマゾンでどうぞ。試聴も可能です。→ George Wallington/ Jazz for the Carriage Trade
関連エントリはこちら。→ スタン・ゲッツ・カルテット
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:13
エディ・ゴメス/デディケーション
2006年10月21日
Eddie Gomez/ Dedication
今日はジャズ・ベースの重鎮エディ・ゴメスの作品をご紹介します。正直言ってゴメスさんよりステファン・カールソンのピアノが素敵なのでアップしてみたというわけですが。もちろん、あのジェレミー・スタイグの強烈なフルートも聞けます。パーソネルは、ジェレミー・スタイグ(fl)、ステファン・カールソン(p)、エディ・ゴメス(b)、ジミー・コブ(ds)。1997年1月9・10日録音。Paddle Wheel。
ビル・エヴァンスとの共演で著名なゴメスですが、その後のゴメスについてはいつも気になるもののそれほど聞いてみたいといった興味が沸かない存在ではありました。ただ、ジェレミー・スタイグを擁するレギュラーメンバーって、どんな音、どんな音楽なのでしょうという素朴な好奇心がありました。そこで試しに聞いた本作が意外といったら失礼ですが、思いのほかよいデキでしたのでこのブログでもいつか紹介しようと思っておりました。
リーダー・ゴメスのベースの響きは重くてその音を味わうだけでも本作の価値があります。しかも、「What's New」や「Flute Fever」でその独特のハミング奏法で若くして有名になったジェレミー・スタイグの演奏が2曲目と9曲目で聴けますが、あの力強い奏法が健在なので何やら嬉しくなってくるのです。その上に、私にとっては新しい発見がありまして、それはピアノのステファン・カールソンが実に繊細でナチュラルで美しい音楽性を密やかに示していることです。
このステファン・カールソン、ビル・エヴァンスほど内省的でも個性的でもないですが、同系統の粘っこいリリシズムとともに北欧出身のヨーロピアンらしい川のせせらぎのような耽美的美意識がそこはかとなく漂っています。とてもバランスがよくて、ブラッド・メルドーやエンリコ・ピエラヌンティ、ビル・チャーラップのような個性は希薄ながら、中庸なバランスとナチュラルなタッチや音運びが実に耳障りがよくて、目立たないながらツボをしっかりと押えている、リーダー・ゴメスにとってはこうしたあまり出しゃばらないけど美的なピアノがきっとやりやすいんだろうなと伺われます。リニー・ロスネスやちょっと古いですがアル・ヘイグなどの耽美的ピアニストに近い印象を持ちます。
例えば、5曲目著名で心優しいディズニーメロディ When you wish upon a star に耳を傾けますと、50年代のケニュー・ドリューの繊細なピアノ演奏に通じる何か、そう、線が細くて儚いながらもひっそりと丹念に磨かれた美意識を感じることができます。6曲目 Autumn Leaves でのリリカルな演奏は感銘深いものです。
特に、8曲目ウェイン・ショーターの名作 Footprint でのゴメスとの緊張感のあるリズミックなコンビネーション、それにこの曲の持つ魔術的リリシズムが端的かつ的確に展開表現されていて、この私のフェイバリット曲のお好みの演奏になっています。それと、1曲目のやはり大好きな On green dolphin street でも同様の快調な演奏が繰り広げられており、冒頭を飾るに相応しい実に魅力的な好演です。
1. On Green Dolphin Street
2. Nardis
3. Spartacus Love Theme
4. Spider Song
5. When You Wish Upon A Star
6. Autumn Leaves
7. Just Friends
8. Footprints
9. Dedication
Recorded January 9 and 10, 1997. Jeremy Steig(fl), Stefan Karlsson(p), Eddie Gomez(b), Jimmy Cobb(ds).
amazon.comでは試聴可能です。→ Eddie Gomez/ Dedication
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Eddie Gomez/ Dedication
関連エントリはこちら。
→ ジェレミー・スタイグ 「フルート・フィーバー」
→ ケニー・ドリュー 「ケニュー・ドリュー・トリオ」
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投稿者 Jazz Blogger T : 15:16
ソニー・クラーク/リーピン・アンド・ローピン
2006年05月02日
Sonny Clark/Leapin' and Lopin'
ソニー・クラーク最後のリーダー作。最もクラークらしいグルーヴィーなピアノが聞けるお好みの傑作アルバムです。この1年後31歳で死ぬことになるクラークは晩年とはいえいつもの愛すべきクラークそのものなのです。パーソネルは、トミー・タレンタイン(tp)、チャーリー・ラウズ(ts)、アイク・ケベック(ts)、ソニー・クラーク(p)、ブッチ・ウォーレン(b)、ビリー・ヒギンス(ds)。1961年11月NYC録音。BlueNote 4091。
連休4日目の今日は運動不足解消がてら家の近くを1時間ばかりiPodを携えてウォーキングをしました。昼下がりの陽光ふり注ぐ新緑に包まれた閑静な街路を全く相応しくないソニー・クラークのジャズ・ブルースを聞きながらひたすら歩いたのでした。目に見える風景と耳に入る音楽のアンバランスを楽しみながら不思議で快適な時間が過ぎてゆきました。
ソニー・クラークのピアノ・ソロの部分が妙に印象に残るのでした。実にいい感じなのです。ファンキーというほどではないにしてもその強烈なグルーヴ感は尋常ではないです。ソニー・クラークってやはりただ者ではないなと一人ごちるというわけです。それにチャーリー・ラウズもトミー・タレンタインもいかにもB級という感じでインパクトは弱いながらも十分なテイストを放っているではありませんか。
ラウズ、タレンタインの後に待ってましたクラークのソロがいずれも凄く濃ゆ~いのです。重いシングルトーンが的確にカウンターを探り当てます。疲れを知らない中量級の重いハードパンチャー。次々と繰り出されるしぶといブローにTKOに追い込まれるのです。
2年ぶりのリーダー作とあってクラークの張り切る姿勢が感じられ、まさに本領を発揮しているに違いありません。アルバムとしても愛着の持てる内容にまとまっていると思います。ラウズのテナーがファンキー調の牽引役としてよく機能しています。
5曲目Voodooはクラークの典型的なブルース、ジャズの醍醐味を示していてこれがまずとても素晴らしい。いずれのソロも素敵ですがやはりクラークのソロには唸らされます。ソニー・クラークの真髄、真骨頂のような演奏です。粘りのあるフレージング、ブルージーなフィーリングなどはクラークがなぜこれほど愛されるかを如実に教えてくれる典型例だと思います。1曲目 Somethin' Special は少しアップテンポですが同様なマイナーブルースで、こちらでもクラークの暗めながらよくスイングするピアノが聞きものになっています。
3曲目Melody For Cはミディアムテンポのキュートで明るい素敵な曲。ラウズのテナーがさすがに冴えてます。クラークのソロも実に心地よいものです。2曲目はラウズに代わってこの曲だけアイク・ケベックが登場して優しいバラッド演奏です。まずもってクラークの作曲の才が湛えられるべきです。そしてケベックが哀愁のあるメロディを情緒豊かに歌い上げます。骨太でアーシーなテナーを吹くアイク・ケベックはあまり有名ではないけれど、同時期の1961年にはブルーノートに3枚のリーダー作を残す活躍ぶりです。
全体に聞き応えのあるハイレベルな内容になっています。本作は少し地味であまり目立たないアルバムかもしれませんが、ソニー・クラークの他の著名なアルバムと同列に並べることのできる力作だと思います。麻薬に手を染めて短く燃え尽きた一人の才能あるジャズマン、その遺品として大事に慈しみたくなるような愛すべき音楽。ハードバップ・ファンにはお勧めです。
1. Somethin' Special
2. Deep In A Dream
3. Melody For C
4. Eric Walks
5. Voodoo
6. Midnight Mambo
Tommy Turrentine (tp), Charlie Rouse, Ike Qebec (ts), Sonny Clark (p), Butch Warren (b), Billy Higgins (ds). NYC, 1961. 11. 13.
詳しくはアマゾンでどうぞ。→Sonny Clark/Leapin' and Lopin'
Amazon.comでは試聴可能です。→ Sonny Clark/Leapin' and Lopin'
iTunes Music Storeにはこちらからどうぞ(試聴も可能)。
→ Sonny Clark/Leapin' and Lopin'
ソニー・クラークの過去エントリはこちら。
→ ソニー・クラーク/クール・ストラッティン
→ ソニー・クラーク/ダイヤル・S・フォー・ソニー
→ ソニー・クラーク/ソニー・クラーク・クィンテッツ
→ ソニー・クラーク/ソニーズ・クリブ
→ ソニー・クラーク/ソニー・クラーク・トリオ(Time)
→ ソニー・クーラク/ソニー・クラーク・トリオ(BlueNote)
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:29
ソニー・クラーク/クール・ストラッティン
2006年01月01日
Sonny Clark / Cool Struttin'
今日は有名なアルバム、ソニー・クラークの『クール・ストラッティン』です。本国米国では知る人ぞ知る名手以上にはなり得なかったといわれるソニー・クラークのBN3作目ですが、日本ではジャズ史上屈指のベストセラーとなりました。ジャッキー・マクリーンのBNデビュー作でもあります。パーソネルは、アート・ファーマー(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ソニー・クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。1958年NYC録音。BlueNote1588。
iTunes Music Store(試聴&購入可)
2006年の正月元旦はソニー・クラークの大ヒット・アルバムでスタートであります。ファンキーなジャズがまさに全回といったところです。マクリーンの不器用で角張ったアルトがクラーク作の魅力的なメロディ・ライン上を踊りますがその様が妙に心地よく響きます。このマクリーン同様アート・ファーマーにしても、淡々としながら上手すぎず少しぎこちないくらいの加減具合が微妙なバランスを保っているのです。
ソニー・クラークはすでにBN1作目ソニー・クラーク『ダイヤル・S・フォー・ソニー』(BN1570,1957)と2作目ソニー・クラーク『ソニーズ・クリブ』(BN1576,1957)という愛すべき優れた作品においてそのピアニスト&作編曲者としての才を発揮していますが、さらに本作では名曲及び逸材マクリーンを得てその評価を確実にしたものと思われます。それら諸作の音楽的な格差はほとんど微小に等しく、ひとえにジャケット・デザインの話題性から一躍人気盤になったものと私個人的には踏んでいます。
このジャケットに写る素敵なおみ足の持ち主は謎のままですが、例のアルフレッド・ライオン夫人ではないかという通説がささやかれています。それは、スリー・サウンズ『ムーズ』(BN4044,1960)やアイク・ケベック『ボッサ・ノッバ・ソウル・サンバ』(BN4114,1962)でジャケット・モデルとなっているルース・メイソンです。ドナルド・バードのライブ盤(BN4060)では司会者として彼女の肉声を聞くこともできます。
1. Cool Struttin'
2. Blue Minor
3. Sippin' At Bell's
4. Deep Night
5. Royal Flush - (bonus track)
6. Lover - (bonus track)
Personnel: Sonny Clark (piano); Jackie McLean (alto saxophone); Art Farmer (trumpet); Paul Chambers (acoustic bass); Philly Joe Jones (drums). Producer: Alfred Lion. Reissue producer: Michael Cuscuna. Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, New Jerey on January 5, 1958. Originally released on Blue Note (81588). Includes liner notes by Nat Hentoff and Bob Blumenthal.
iTunes Music Storeでは全曲の試聴&購入が可能です。
→ Sonny Clark / Cool Struttin'
CD購入はアマゾンでどうぞ。→ Sonny Clark / Cool Struttin'
関連エントリはこちら。
→ ソニー・クラーク『ダイヤル・S・フォー・ソニー』(BN1570,1957)
→ ソニー・クラーク『ソニーズ・クリブ』(BN1576,1957)
→ ソニー・クラーク『ソニー・クラーク・トリオ』(BN1579,1957)
→ ソニー・クラーク『ソニー・クラーク・クインテット』(BN1592,1958)
→ ソニー・クラーク『ソニー・クラーク・トリオ』(Time,1960)
→ スリー・サウンズ『ムーズ』(BN4044,1960)
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:31
ミルト・ジャクソン/オパス・デ・ジャズ
2005年11月14日
Milt Jackson / Opus de Jazz
今日はミルト・ジャクソンの名盤『オパス・デ・ジャズ』ですね。私はMJQのミルト・ジャクソンよりも本作のように独立したリーダー作のミルト・ジャクソンの方に魅力を感じてきました。渋くてブルージーでほどよくファンキーなのです。パーソネルは、フランク・ウェス(fl,ts)、ミルト・ジャクソン(vib)、ハンク・ジョーンズ(p)、エディ・ジョーンズ(b)、ケニー・クラーク(ds)。1955年NY録音。Savoy.
フルートが入って少しお洒落な雰囲気です。そういえば、ヘレン・メリル『ザ・ニアネス・オブ・ユー』の雰囲気に似ています。フルートを吹くのはフランク・ウェス、ご存知の通りカウント・ベイシー楽団の花形奏者の一人ですね。ベイシー楽団50年代の名盤でウェスのソロ演奏を聞くことが出来ます。80才を過ぎた今も現役ジャズマンとして活躍中とか。軽やかなフルートとは対照的な豪快なテナーも吹きますが、本作では2曲目でそのテナーが聞かれます。
それにハンク・ジョーンズのピアノがまた渋いのですね。例えば、2曲目のピアノ・ソロのところなどはハンク・ジョーンズならではの上品かつ上質のブルース・センスが光っています。この3者、ウェスのフルート&テナー、ハンク・ジョンーズのピアノ、それにミルト・ジャクソンのヴァイブの組合わせが絶妙な相乗効果を示しています。とっても興味深い別世界のジャズなのですね。典型的な3曲目の静溢でブルージーな演奏などは何度聞いても飽きない渋いものです。私はミルト・ジャクソンのこの種の音空間が大好きですし、これからもずっと愛してゆくことになろうことを感じています。
派手にスイングするジャズもよいですが、たまにはこうした落ち着いたジャズも格別のものがあります。秋の深夜一人で孤独を友にしながらゆったりした自由な時間を過ごすのにはもってこいのBGMかもしれません。きっといつもの日常とは異なる福よかな時が流れて行くことでしょう。
1. Opus De Funk 13:28
2. Opus Pocus 7:31
3. You Leave Me Breathless 6:31
4. Opus And Interlude 6:31
Milt Jackson (vibraphone); Frank Wess (tenor saxophone, flute); Hank Jones (piano); Eddie Jones (bass); Kenny Clarke (drums). Recorded on October 28, 1955.
JR.comでは試聴可能です。→Milt Jackson / Opus de Jazz
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Milt Jackson / Opus de Jazz
関連エントリはこちら。
→ミルト・ジャクソン『ミルト・ジャクソン・クァルテット』
→ヘレン・メリル『ザ・ニアネス・オブ・ユー』
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:34
フレディ・レッド/シェイズ・オブ・レッド
2005年11月11日
Freddie Redd / Shades of Redd
今日はフレディ・レッドの代表作『シェイズ・オブ・レッド』をご紹介いたしましょう。フレディ・レッドはあまり有名なピアニストではないですが、BNに残した2枚のリーダー・アルバムその他数枚で真摯なジャズ・ファンの胸に深く刻印されている鬼才です。パーソネルは、ジャッキー・マクリーン(as)、ティナ・ブルックス(ts)、フレディ・レッド(p)、ポール・チェンバース(b)、ルイス・ヘイズ(ds)。1960年NY録音。BlueNote4045.
特徴的な優れたメロディのブルース曲が印象に残ります。それにジャッキー・マクリーンとティナ・ブルックスという味のある2管サックスのフロントが素敵です。内容的には典型的なハード・バップになりますね。全作フレディ・レッドのオリジナルとのことですから作編曲の才能は相当のものがあります。きっとホレス・シルヴァーやソニー・クラーク並みなのでしょう。
例えば、6曲目Just A Ballad For My Baby での哀歓のある主題と表現がとてもいいです。主題メロディをマクリーンがしっとりと紹介し、ブルックスがそれを受けて癒し系の音色でもって優しく応えます。それを2回繰り返した後、レッドの美しいピアノ・ソロを挟んで再びブルックスの素晴らしいソロが続きます。マクリーンは主題紹介のみの役回りでして、ブルックスとレッドの哀愁漂うセンスが実にいい感じなのです。
それに7曲目Oleなどはまるで自動車のTVコマーシャルに出てきそうなくらいインパクトのある愛らしいメロディです。主題紹介の後は快調なミディアム・テンポのブルースとして3者の巧みなソロが聞かれます。また、3曲目Shadows でも同様に魅力的な主題がまず示されて、それを腕達者のマクリーンとブルックスがさらにおいしく料理するというパターンなのですね。ここでのブルックスとレッドの深い感情移入を感じさせてくれるソロ展開には唸らされます。
やはりティナ・ブルックスのテナーに私は敏感に反応してしまうのですね。野太い音に耳を澄ませば憂いに満ちた繊細なハートが感じられます。そこへフレディ・レッドの孤独な佇まいのピアノがよく呼応しているのです。印象に残る独特の世界です。
1. The Thespian
2. Blues-Blues-Blues
3. Shadows
4. Melanie
5. Swift
6. Just A Ballad For My Baby
7. Ole
amazon.comでは試聴可能です。→Freddie Redd / Shades of Redd
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Freddie Redd / Shades of Redd
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:35
ホレス・シルヴァー/ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー
2005年11月05日
Horace Silver / The Stylings of Silver
今日はホレス・シルヴァーの愛すべき名作『ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー』といきましょう。NY国連ビル前でポーズをとるシルヴァー。この妙に新鮮で心魅かれるジャケット同様、中味も分かりやすいファンキー・ジャズが魅力的です。アート・ファーマーとハンク・モブレイのテナーの魅力が横溢していますね。パーソネルは、アート・ファーマー(tp)、ハンク・モブレイ(ts)、ホレス・シルヴァー(p)、テディ・コティック(b)、ルイス・ヘイズ(ds)。1957年NY録音。BlueNote1562.
ときどき無性にホレス・シルヴァーを聞きたくなるときがあるものなのです。その可愛げのある主題メロディ、小気味良いアンサンブル、それにその明るいノリなど。ブルーノート4作目の本作と次作の『ファーザー・エクプロレイションズ』の2枚は特にそうしたシルヴァーらしさを最も感じさせてくれる私にとって大切な作品になっています。老舗が持つ安らぎと落ち着きとでもいうのでしょうか。
アート・ファーマーとハンク・モブレイのフロントが暖色のなごみ系なのが良いのですね。この時期のファーマーは美しい音色で実に安定した歌い回しですし、モブレイのしなやかでソフトな独特の吹奏が存分に披露されています。シルヴァー・クインテットのトランペットは、ケニー・ドーハム、ドナルド・バード、ファーマー、ブルー・ミッチェルと変遷してゆきますが、私にはファーマーが最もシルヴァーとの相性が良いように思われます。
全6曲。いずれも渋くて飽きの来ない味わい深い演奏です。2曲目ミディアム・テンポのThe Back Beat などはシルヴァーのファンキー・ジャズの典型的な音だと思います。ここでのモブレイのテナー・ソロと続くファーマーのソロがともにとてもいかしていますね。6曲目スタンダードのMy One And Only Love でのファーマーのソロがまた素晴らしいものですし、続くモブレイの丁寧な歌い回し、そして二人を支えるシルヴァーの美しいバッキングなど、いずれも聞き応えがあります。
1. No Smokin'
2. The Back Beat
3. Soulville
4. Home Cookin'
5. Metamorphosis
6. My One And Only Love
amazon.comでは試聴可能です。→The Stylings of Silver
詳しくはamazon.co.jpでどうぞ。→ The Stylings of Silver
関連エントリはこちら。
→ホレス・シルヴァー『ファーザー・エクプロレイションズ』
→ホレス・シルヴァー『ソング・フォー・マイ・ファーザー』
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:36
ジャズ・クリスマス・パーティ
2005年11月04日
Jazz Christmas Party
今日はクリスマスを題材にしたよくあるオムニバス盤をご紹介しましょう。ジャズのクリスマス・アルバムと言えば、私の中では、シンガーズ・アンリミテッドのものと本作とが筆頭格としてまず浮かびます。本作はワーナー・ブラザーズによって所属ジャズ・スター達を起用して製作されたアルバムです。ボブ・ジェームス、アル・ジャロウ、マイケル・フランクスらの大御所をはじめとして、ブラッド・メルドー、マーク・ターナー、ラリー・ゴールディングスらの若手~中堅の実力者らを一堂に会した、軟弱なアルバム・ジャケットからは想像しがたい本格的な真摯なジャズ・アルバムなのです。1997年NYC録音。
全12曲、楽しさとともにジャズの深みを知ることのできる面白いアルバムです。私のお勧めは何といいましても6曲目のブラッド・メルドーのピアノとラリー・ゴールディングスのオルガンのデュオによるお馴染みのメロディSilentNightです。この演奏を紹介したいがために本作をエントリしたようなもの、それくらいに素敵な演奏と私は感じているのですね。
ブラッド・メルドーは哲学的で深い音楽世界を醸すことのできる稀有なピアニストですね。彼の奏でる音楽には音の間を演出することにより生じる深遠な空間が常に形作られます。いわば精神的にあくまでも豊穣な音楽です。10曲目でもそうしたメルドーのトリオ演奏が聞かれますが流石に深いですね。で、6曲目に戻りますけれど、こちらはラリー・ゴールディングスというオルガンがいい感じなのですね。
ジャズ・オルガンといいますと、ジミー・スミスがダントツで著名なわけですが、私は数枚、そうあの黒猫とかスポーツカー&女のジャケットのやつなどでその嗜好が私の中には無いことを実感しました。スミスさんは根っからの根アカ系なのですね。サックスやピアノ奏者にもいろいろなセンスの違いがあるものでして、オルガン奏者にもジミー・スミスとは異なるセンスを持つジャズマンがいると思うのです。まだまだ探索はこれからですが、昔ではラリー・ヤング、最近ではこのラリー・ゴールディングスあたりがよいかなと少し思いつつあるところなのです。
このラリー・ゴールディングスのオルガンが分かりやすくて、その低音ベースが心地よくて、それにメルドーとのバランスが妙に良き感触だったりして、繰り返し何度も聴いてその良い具合に納得するのでした。オルガンの音楽について思い起こしますと、やはりあの映画『男と女』のサウンド・トラック、そうフランシス・レイの音楽が脳裏に焼きついています。ユーモラスな映画冒頭のすぐ後に海の映像とともに流れるオルガンによる美しいメロディ、それにレース優勝の祝賀会でA・エーメからの電報を受け取るJ.L.トランティニャンがパリへと向かおうとするはやる気持ちを象徴するかのようなオルガンの音色、これらはサウンド・トラック盤には入っておらず映画を観るしかないのですが。
ついでですが、8曲目Kevin Mahogany の歌声がジョニー・ハートマン風の渋いもので聞き応えありです。
1. Santa Claus Is Coming To Town - Joshua Redman
2. Celebrate Me Home - All Jarreau
3. A Cradle In Bethlehem - Kirk Whalum
4. I Bought You A Plastic Star For Your Aluminum Tree - Michael Franks
5. Our First Christmas - Gabriela Anders
6. Silent Night - Larry Goldings & Brad Mehldau
7. Have Yourself A Merry Little Christmas - Boney James
8. I'll Be Home For Christmas - Kevin Mahogany
9. Pure Imagination - Mark Turner
10. Christmas Time Is Here - Brad Mehldau Trio
11. Personent Hodie (Sing Aloud On This Day) - Bob James Trio
12. White Christmas - Bela Fleck & Bob James
amazon.comでは試聴可能です。→Jazz Christmas Party
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Jazz Christmas Party
関連エントリはこちら。
→ブラッド・メルドー『ソングス』
→フランシス・レイ『男と女』サウンド・トラック
→クロード・ルルーシュ『男と女』
→マイケル・フランクス『スリーピング・ジプシー』
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:33
チック・コリア&ゲイリー・バートン/イン・コンサート
2005年09月04日
Chick Corea & Gary Burton / In Concert
今日はチック・コリアとゲイリー・バートンのデュオの傑作『イン・コンサート』をご紹介します。スイス・チューリッヒでのライブ演奏。その見事なまでの一体感と音楽美にはジャズを超越した現代音楽の最も美しい部分が表現されているように感じられます。パーソネルは、チック・コリア(p)、ゲイリー・バートン(vib)。1979年チュリッヒ録音。ECM Records。
基本的にチック・コリアもゲイリー・バートンもその饒舌的な話法を可能とするテクニックと音楽性でもって従来の4ビート・ジャズでは飽き足らなくてもっとスピード感のある例えば8ビートのロック・リズムでのより自由で即興性に富むジャズ音楽を目指していたであろうという点で両者が共鳴するものを感じます。さらには、そうした表現技法に留まらずに両者の親和性を最も際立たせているのが耽美的な音楽観と言えるでしょう。本作や以前のスタジオでのデュオ作品『クリスタル・サイレンス』で聞かれる調和と一体感を肌で感じれば両者に共通の土壌があることを肯定せざるを得ません。
このピアノとヴィブラフォンの音が幾重にも重なり合い衝突しながらもあたかも一つの楽器とまごうほどに融和しつつ天上へと昇華してゆく音世界の構築美はどうでしょう。これはジャズという自由で自律的な音楽形式の中でしか育まれない類の音楽美だと思われます。お互いが奔放かつ自在に発散しながらも一方で自然に収斂されてゆくその統一性は尋常なものではありますまい。決して恣意的なものではないだけにその異様なほどの調和美には恐れながらも驚嘆を禁じえないのです。
この種の想像を超える音楽的一体感には一種のエロティシズムさえ感じられます。お互いを本能的にフェロモンに従って引き付けあうような生来の相性の良さ、時を超越して出会うべくして出会った運命の仕儀。そんなことを思い巡らされるほどにこのライブ・アルバムで聞かれる音楽には異様なまでに不思議で美しい世界観が映し出されています。ライブであるからこそより自然な発露が導き出されたのだろうとも思われます。
また、ECMレーベルの音はこうしたライブ演奏でも決してそのポリシーを外さないのだと納得させられます。コリアのピアノの音が透明でクリアーであたかも宙を舞うような何ともECM的なサウンドであります。音世界を自由に浮遊しているような幻想性を感じさせる素晴らしい音。ヴィブラフォンの余韻とピアノ音が微妙に共鳴する際に覚える快感は本アルバムを忘れがたいものにしてくれます。ひたすら耽美的な3曲目クリスタル・サイレンスや4曲目Tweakが私の好みに一致します。
1. Senor Mouse
2. Bud Powell
3. Crystal Silence
4. Tweak
5. Falling Grace
6. Mirror, Mirror
7. Song To Gayle
8. Endless Trouble, Endless Pleasure
JR.comでは試聴可能です。→Chick Corea & Gary Burton / In Concert
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Chick Corea & Gary Burton / In Concert
関連エントリーはこちら。
→チック・コリア『ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:09
ミルト・ジャクソン/ミルト・ジャクソン・カルテット
2005年08月31日
Milt Jackson / Milt Jackson Quartet
今日はミルト・ジャクソンの渋い一枚『ミルト・ジャクソン・カルテット』です。MJQのミルト・ジャクソンとは少し違ってブルージーでグルーヴィーなヴァイブです。バラッド系が中心の選曲で私はこちらの方が断然好みになります。パーソネルは、ミルト・ジャクソン(vib)、ホレス・シルバー(p)、パーシー・ヒース(b)、コニーケイ(ds)。1955年NY録音。Prestige。
ミルト・ジャクソンの味のあるヴァイブの魅力をじっくり聴くという点で本作は最も適した一枚に違いありません。それに意外なほどに妙に上品なホレス・シルバーのピアノが控えめで大変に好ましいのですね。シルバー以外の3人がMJQのメンバーであり肩身が狭いのはわかりますが、きっとミルト・ジャクソンの渋い音色とジャズ・テイストに敬意を表してその調和を重んじた、そんな印象にも感じられます。
MJQ以外にも録音の多いミルト・ジャクソンですが私は本作が最も好きであります。amazon.comのレビュー評を見ますとboring(退屈)という言葉が使われたりしていますが、欧米人の多くはこうした繊細なセンスを真っ当に評価できる耳を持たぬのだろうと私は勝手に解釈しています。確かにざっと聞き流せば刺激に乏しい凡庸な音楽に聞こえるかも知れませんが、よ~く噛み締めて聴き入りますればそこにはそうした忍耐を惜しまなかった者だけに許される桃源の世界があるように思います。
MoonrayやThe Nearness of Youなどに聞かれるグルーヴィな感触にはミルト・ジャクソン独特の美学が満ち溢れています。そのヴィブラフォンの深くて余韻のある音色がまた素敵でありますね。今もNearness of Youを聞きながら書いていますが心の底から本当に癒されますという感じですね。素敵なジャズです。それに全編にわたるホレス・シルバーの抑えたピアノが確実にジャクソンをサポートしているのが印象に残ります。シルバーのこの種のサイドワークの達者ぶりには流石に面目躍如の感を持ちます。
1. Wonder Why
2. My Funny Valentine
3. Moonray
4. Nearness of You
5. Stonewall
6. I Should Care
Milt Jackson (vib), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds). Recorded in New York City; May 20,1955.
amazon.comでは試聴可能です。→Milt Jackson Quartet
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Milt Jackson Quartet
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:11
ハンプトン・ホーズ/フォア・リアル
2005年08月24日
Hampton Hawes / For Real !
今日はハンプトン・ホーズの『フォア・リアル』です。テナーを加えたカルテット演奏。数年後にあのビル・エヴァンス・トリオでの演奏で名を馳せることになるスコット・ラファロも参加。パーソネルは、ハロルド・ランド(ts)、ハンプトン・ホーズ(p)、スコット・ラファロ(b)、フランク・バトラー(ds)。1958年LA録音。Contemporary Records。
ハンプトン・ホーズは私のお好みのピアニストの一人です。フニクリフニクラと独特のリズムを刻んで繰り出されてくる音の連なりは躍動的でよくスイングする言わばジャズ・テイストに溢れたものです。ワン・パターンのところもなくはないですがブルース系の曲で聞かれる絶妙の間合いやタイミングの心地よさには堪らない魅力があるのですね。
本作はハロルド・ランドの多弁気味のテナーが参加して、音と音の間(ま)を活用するホーズのピアノとよき対照をなしています。従来のホーズの得意とするピアノ・トリオ演奏とは少し趣きが異なって知的な輝きを感じさせる内容といえるでしょう。それに名ベース奏者のスコット・ラファロが彩りを添えており、味わいのあるクールなジャズに仕上がっていると思います。
レナード・フェザーによるライナーノーツにはアンドレ・プレヴィンの言葉が引用されています。「ハンプトン・ホーズは決してその影響力について十分に理解されてこなかった。多くのピアニストはホレス・シルヴァーから影響を受けたというが、そのうちの半分は実のところハンプトン・ホースに負うているのである。ホーズはシルヴァーよりテクニックがあり、そのフィーリングに裏付けられたテクニックが多くのピアニストのスタイルを形作っているのである。」
全6曲。いずれもいい調子です。2曲目のWrap Your Troubles In Dreams でのグルーヴ感は他ではそうそう聞けるものではありますまい。
1. Hip
2. Wrap Your Troubles In Dreams
3. Crazeology (Little Bennie)
4. Numbers Game
5. For Real
6. I Love You
Hampton Hawes (piano); Harold Land (saxophone); Scott LaFaro (bass); Frank Butler (drums). Recorded at Contemporary Records, Los Angeles, California on March 17, 1958. Originally released on Contemporary (7589). Includes liner notes by Leonard Feather.
JR.comでは試聴も可能です。→ For Real !
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Hampton Hawes / For Real !
関連エントリーはこちら。
→ハンプトン・ホース『ザ・トリオVol.1』
→ハンプトン・ホース『ザ・トリオVol.2』
→ハンプトン・ホース『オールナイト・セッションVol.1』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:13
ビル・パーキンス&ジョン・ルイス/グランド・エンカウンター
2005年08月23日
Bill Perkins & John Lewis / Grand Encounter
今日は『グランド・エンカウンター』と題されたモダン・ジャズの名盤をご紹介いたしましょう。イースト・コーストから2名、ウェスト・コーストから3名のジャズメンが邂逅して生れた極めて上品な口当たりのよい作品。パーソネルは、ビル・パーキンス(ts)、ジョン・ルイス(p)、ジム・ホール(g)、パーシー・ヒース(b)、チコ・ハミルトン(ds)。1956年LA録音。Pacific Jazz。
この5名のうちでイーストの2名と言いますと、MJQのジョン・ルイスとパーシー・ヒースですね。東西ジャズメンの融合によって生れた名作といわれますが、私にはその音調はどうも西海岸風の乾いた音が優っているように聞こえます。いわばあっさり味で品のある西がこってりしたアクの強い東に事も無げに肩透かしか何かを食らわして危なげなく勝利しているようにしか見えないのですね。
ジョン・ルイスらMJQ組が本来的に優雅で知的な東海岸らしからぬ個性を持っていますので、製作サイドから見ると目論見通りの予期された融合ということだったのかもしれません。ビル・パーキンスとジム・ホールが典型的な西の音ですしね。まあ、ソニー・ロリンズ『ウェイ・アウト・ウェスト』やアート・ペッパー『ミーツ・ザ・リズム・セクション』らの同様な主旨の作品ではもっとその対比がおもしろい結果になっていると思うのですけれどね。
いずれにしましても、本作はその題名から予想されるものがどうあれその内容は非常に調和の取れた閑静な佇まいと高貴で香り高い品格を感じさせるという秀逸なジャズ音楽に仕上がっています。ジョン・ルイスの資質がビル・パーキンスやジム・ホールらの個性を引き立てることに見事に成功したという印象になります。全6曲。落ち着きと寛ぎのある味わい深いジャズです。特にジム・ホールをフィーチャーした5曲目スカイラークが渋くて好きです。
1. LOVE ME OR LEAVE ME
2. I CAN'T GET STARTED
3. EASY LIVING
4. 2 DEGRESS EAST-3 DEGRESS WEST
5. SKYLARK
6. ALMOST LIKE BEING IN LOVE
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Bill Perkins & John Lewis / Grand Encounter
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:15
キース・ジャレット/生と死の幻想
2005年08月14日
Keith Jarett/Death and The Flower
今日はキース・ジャレットのアルバム『生と死の幻想』をご紹介しましょう。近年はトリオによるスタンダード演奏が主体ですが、デビュー間もない頃はサックスを加えたカルテット演奏も重要な位置にあったようです。パーソネルは、デューイ・レッドマン(ts)、キース・ジャレット(p)、チャーリー・ヘイデン(b)、ポール・モチアン(ds)、ギレルミ・フランコ(perc)。1974年NY録音。Impulse Records。
恥ずかしながら私はキース・ジャレットのことあまり詳しくありません。ケルン・コンサートはじめ話題になったアルバムが70年代より多数ありましたが何となく濃いかなってずっと敬遠してきました。多少食わず嫌いなところもありますが。本作の『生と死の幻想』は学生時代から長く聞いてきた例外的なアルバムです。テナーが入って分かりやすいモダン・ジャズとして聞くことができるからです。
私の若い頃はラジオやジャズ喫茶などの限られた情報源しかなく、さらに本や雑誌、それに自分のそれまでの収集したレコードなど、そうした情報を最大限に生かしながら主に中古レコード購入によって新しい分野を開拓してゆくのでした。現在のネット上のオンラインストアやリアルのCDショップでの試聴ができる現在の状況は本当にありがたいと感じます。
当り外れを経験しながら自分の好みが少しずつ明確になってくるということもありますが、おおよそ定評のあるものを購入するよう心がけますので最初はよくないと判断して放っておいたものが何年か後にああいいじゃないかということも数多く経験しました。耳が確実に変化してゆくのですね。ですから、敬愛するジャズ評論家後藤雅洋氏も書物の中で同様の主旨のことを述べていらっしゃると思いますが、取り合えずあまりこだわりを持たずに定評あるアルバムを50枚とか100枚くらいの単位でとにかく広く浅く聞いてみるというのがジャズに入り込む最初の方法論としてはよいのかなと思います。
さて本作ですが豊かな叙情とジャズ・フィーリングがあって悪くない内容だと思います。全3曲。特に表題曲後半の盛上りがgoodです。露骨なセンチメンタルな表現だけですと重過ぎるのですけれど、適度の緊張と粘りがあって、何より美しい構築物のようなジャズに仕上がっています。土の香りのするエロティシズムが感じられ、そして、プラトー期を経てオーガズムに達するというキース・ジャレットの得意?のパターンが繰り広げられています。キース・ジャレットの演奏には総じて長いものが多くこれは多分に満足なオーガズムが得られるまでとにかくやり通すというそんな印象を持ちますが、こんなことを書けばジャレット・ファンからブーイングが出るに違いありません(笑)。
参考のために、ジャケットに記されたキース・ジャレットの言葉を下に引用しておきましょう。
ぼくらは誕生と死の間で生きている。あるいは、そうなのだと都合よく自分に納得させている。しかし、実は、ぼくらは自分たちの生のあらゆる永遠の瞬間に、生まれつつあると同時に死につつもあるのだ。したがって、ぼくらは花のようであることにもっと努めなければならない。というのは、それは毎日のように自らの誕生と死を経験しているからだ。(清水俊彦 訳)
1. Death And The Flower
2. Prayer
3. Great Bird
KeithJarrett(p, ss, perc), Dewey Redman(ts, perc), Charlie Haden(b), Paul Motian(ds), Guilherme Franco(perc).
amazon.comでは試聴可能です。→Keith Jarett/Death and The flower
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Keith Jarett/Death and The Flower
関連エントリーはこちら。
→キース・ジャレット『』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:16
チャールズ・ミンガス/ミンガス・アー・アム
2005年08月05日
Charles Mingus/Mingus Ah Um
今日はチャーリー・ミンガスの代表作の一つ『ミンガス・アー・アム』を聞いています。本作はクセのある個性的なメンバーを束ねながらミンガス・サウンドの個性が際立つという、いつもながらのミンガス一流の音楽性が直に感じられるアルバムなのです。パーソネルは、チャールズ・ミンガス(b)、ジョン・ハンディ(as)、シャフィ・ハディ(ts)、ブッカー・アーヴィン(ts)、ジミー・ネッパー、ウィリー・デニス(tb)、ホレス・パーラン(p)、ダニー・リッチモンド(ds)。1959年NY録音。
チャーリー・ミンガスは自身のジャズ・ワークショップを組織したり、独自色の濃い作品を数多く残したりと、通常のベース奏者に納まらないクリエイティブな音楽家です。小グループで色彩感のある分厚いサウンドを響かせ、ソロイストの個性を生かした深いジャズ・テイストを撒き散らし、さらにはユーモアや風刺精神を持った音楽を通じて社会性のあるプロパガンダを展開するといった、何というか人間的なエネルギーに満ちた特異なミュージシャンなのですね。
ミンガスの音楽に聞かれるスモール・エリントンといったコンボとしての調和感と実力のある若手らにより示される真摯なインプロヴィゼーションとがこの時期のミンガス作品を真に価値あるものにしています。私にとってはそうした純粋に音楽的な魅力がすなわちミンガス音楽の素敵な部分であって、本作のように音楽から少し遊離した社会的な主張が前面に押し出されているところには正直あまり関心がないのです。
とは言うものの、例えば、7曲目の「フォーバス知事の寓話」などその典型的な風刺的な音楽に耳を傾けてみますとその楽想の面白さと豊かさにそうしたことも忘れてしまうのですね。それに、亡くなったレスター・ヤングのことを題材にした2曲目「グッパイ・ポーク・パイ・ハット」でフィーチャーされるシャフィ・ハディのテナーや、映画『アメリカの夜』の主題歌の4曲目「三色の自画像」でのブルーなサウンドといったところには流石に素晴らしいミンガス的美学と呼べるものが確かにしっかりと存在しているのです。
1. Better Git It In Your Soul
2. Goodbye Pork-Pie Hat
3. Boogie Stop Shuffle
4. Self-Portrait In Three Colors
5. Open Letter To Duke
6. Bird Calls
7. Fables Of Faubus
8. Pussy Cat Dues
9. Jelly Roll
10. Pedal Point Blues - (bonus track)
11. GG Train - (bonus track)
12. Girl Of My Dreams - (bonus track)
Charles Mingus (piano, bass); John Handy (alto & tenor saxophones, clarinet); Shafi Hadi (alto & tenor saxophones); Booker Ervin (tenor saxophone); Jimmy Knepper, Willie Dennis (trombone); Horace Parlan (piano); Dannie Richmond (drums). Producer: Teo Macero. Recorded at 30th Street Studio, New York, New York on May 5 & 12, 1959.
JR.comでは試聴可能です。→Charles Mingus/Mingus Ah Um
詳しくはアマゾンでどうぞ。→Charles Mingus/Mingus Ah Um
関連エントリーはこちら。
→チャールズ・ミンガス『直立猿人』
→チャールズ・ミンガス『メキシコの想い出』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:17
デューク・エリントン/女王組曲
2005年07月29日
Duke Ellington/The Ellington's Suites
今日はデューク・エリントンの名作『女王組曲』です。ジャズの枠を少し越えた20世紀の美しい音楽。1958年英国リーズで開かれた芸術祭に招かれエリザベス女王に謁見するという栄誉に浴したエリントンが霊感を得て本作「女王組曲」The Queens Suitesを作曲して録音したとのこと。1959年、1971年、1972年録音。
今日先ほど夕食を採りながらTVを見ていましたらマレーネ・ディートリッヒやココ・シャネルとともにエリザベス女王のことが取り上げられていました。思わず当ブログに近いうちに書こうと思っていた本作『女王組曲』のことを思い立ち、食後すぐにレコード棚の奥深くより取りいだしてきたのでした。そしてこの1時間くらいずっと耳を傾けておるというわけでございます。
女王組曲は1~6曲目、レコードで言いますとA面に当りまして、7~12がグーテラス組曲、13~15がユウィス組曲という構成になっています。私の場合これまでほとんど女王組曲1~6のみを繰り返し聞いてきたのでした。その中でも、特に、1、3、5と奇数番目の曲がお気に入りなのです。
1曲目は「日没とモッキンバード」という題でモッキンバードの鳴き声をモチーフにした印象的な曲です。途中ジョニー・ホッジスの憂いのあるアルト・ソロが聞かれます。エリントンの音楽にはこの曲に感じられる何か高貴な品というものがいつも漂っているのですね。
3曲目 Le Sucrier Velours はフランス人が甘い鳴き声とビロードのような感触の鳥に対して使う名前とのこと。このハイセンスの美しい曲調とサックス・アンサンブルの見事な調和といいますのは初めて耳にした時から長く私の心を捉えてきたのでした。この品格はエリントンのみが表現できるエリントン美学の世界でしょう。
5曲目 The Single Petal Of A Rose バラの一片(ひとひら)は驚嘆を意味するエリントンのピアノのみによるこれまた大変美しい曲です。この曲のためだけにでもこのアルバムを手元に置いておく価値があるのではないかと私は思います。実は私もこの曲をラジオで初めて聞いて感動したときの印象が後日まで長く残って中古品を見つけたときに即、購入したというわけです。エリントン自身この曲を気に入っているようで、コンサートの最後によくこの曲を弾いたということです。
私はエリントンの音楽が単純なジャズの枠に収まらないコンテンポラリーなものであることに常に魅力を感じてきました。その意味で本作はその種の典型的な作品です。洗練と気品に満ち溢れています。エリントンの優れた資質を感じ取ることができるのですね。勿論、他方においては、優れたソロイストを擁してよくスイングする本来の伝統的なジャズ演奏も最高水準で示すことができる側面があるわけで、その懐の深さが単なるジャズマンでなく芸術家として高く評価される要因なのだと思われます。
1. Sunset And The Mockingbird
2. Lightning Bugs And Frogs
3. Le Sucrier Velours
4. Northern Lights
5. The Single Petal Of A Rose
6. Apes And Peacocks
7. Fanfare
8. Goutelas
9. Get-With-Itness
10. Something
11. Having At It
12. Fanfare
13. Uwis
14. Klop
15. Loco Madi
Duke Ellington (piano); Cat Anderson, Clark Terry, Shorty Baker, Ray Nance, Cootie Williams, Mercer Ellington, Eddie Preston, Money Johnson, Johnny Coles (trumpet); Britt Woodman, Quentin Jackson, John Sanders, Vince Prudente, Chuck Connors, Booty Wood, Malcolm Taylor (trombone); Harold Minerve, Norris Turney, Paul Gonsalves, Harold Ashby, Harry Carney, Russ Andrews, Russell Procope, Johnny Hodges, Jimmy Hamilton (reeds); Wulf Freedman (electric bass); Joe Benjamin, Jimmy Woode (bass); Jimmy Johnson, Rufus Jones (drums). Recorded in New York, New York on February 25 and April 1 & 14, 1959, April 27, 1971, and October 5, 1972.
JR.comでは試聴可能です。→Duke Ellington/The Ellington's Suites
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Duke Ellington/The Ellington's Suites
関連エントリーはこちら。
→デューク・エリントン『ブラック・ブラウン&ベージュ』
→デューク・エリントン『極東組曲』
→デューク・エリントン『エリントン・アット・ニューポート』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:20
ソニー・クラーク/ダイヤル・S・フォー・ソニー
2005年07月25日
Sonny Clark/Dial "S" For Sonny
今日はソニー・クラークの初リーダー作『ダイヤル・S・フォー・ソニー』です。BlueNoteのハウス・ピアニストのような存在となるクラーク26回目の誕生日の録音です。4曲の自作曲を持ち込んでのセッション。パーソネルは、アート・ファーマー(tp)、カーティス・フラー(tb)、ハンク・モブレー(ts)、ソニー・クラーク(p)、ウィルバー・ウェア(b)、ルイス・ヘイズ(ds)。1957年7月21日NJ録音。BlueNote1570.
ソニー・クラーク(1931~1963)は本作の半年後に録音されることになる『クール・ストラッティン』などの名作だけでなく50年代後半から60年代初にかけて数多くのBNのセッションに参加して、いわばハード・バップを代表するピアニスト。アルフレッド・ライオンに気に入られたということですね。日本での熱狂的な人気とは裏腹に米国ではあまり人気がないとのこと。残念ながら才能ある芸術家の常で30過ぎの若さで夭逝してしまいます。
本作はそのメンバーから察せられる如くに溌剌とした直球のハード・バップです。4曲目Sonny's Mood に代表される魅力的でキュートな曲調と引き続く快調なソロの連続、これはまさにホレス・シルバーの世界です。本作の中味を聞けば聞くほどライオンはクラークを第ニのシルバーに仕立て上げようとした節が感じられますね。優れた作編曲とグルーヴィーなピアノ・センス、こういう逸材はそうそう見当たりませんものね。
1曲目表題曲でのソニー・クラークのブルージーなピアノ・ソロが素敵です。それに4曲目や6曲目でも同様にクラーク独特の魅力ある粘着性の音の連なりが次から次へと紡ぎ出されてきまして、これらは一種の快感に違いありません。それに3曲目のスタンダード曲ではアート・ファーマーの丁寧な表現が光っていますのとハンク・モブレーのいぶし銀のような個性的な本領を聴くことができます。
1. Dial S For Sonny
2. Bootn' It - (mono)
3. It Could Happen To You
4. Sonny's Mood
5. Shoutin' On A Riff
6. Love Walked In
7. Bootin' It - (stereo, bonus track)
Sonny Clark (piano); Hank Mobley (tenor saxophone); Art Farmer (trumpet); Curtis Fuller (trombone); Wilbur Ware (double bass); Louis Hayes (drums). Liner Note Author: Bob Blumenthal. Recording information: Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey (07/21/1957).
JR.comでは試聴可能です。→Sonny Clark/Dial "S" For Sonny
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Sonny Clark/Dial "S" For Sonny
関連エントリーはこちら。
→ソニー・クラーク『ソニーズ・クリブ』(BN1576, 1957)
→ソニー・クラーク『ソニー・クラーク・トリオ』(BN1979, 1957)
→ソニー・クラーク『ソニー・クラーク・クインテッツ』(BN1592, 1958)
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:22
ホレス・シルバー/ソング・フォー・マイ・ファーザー
2005年07月24日
Horace Silver/Song For My Father
今日はホレス・シルバーの『ソング・フォー・マイ・ファーザー』ですね。ポルトガル出身の父親のために書かれた表題曲はじめポルトガル民謡とカリプソがファンキー調に味付けされて素敵な世界に仕上げられています。新人ジョー・ヘンダーソンのテナーが見事にしっくりきていますし、シルバーのピアノがいつもにも増してグルーヴィーに大活躍しています。パーソネルは、ブルー・ミッチェル、カーメル・ジョーンズ(tp)、ジュニア・クック、ジョー・ヘンダーソン(ts)、ホレス・シルバー(p)、ジーン・テイラー、テディ・スミス(b)、ロイ・ブルックス、ロジャー・ハンフリーズ(ds)。1963年、1964年NJ録音。BlueNote4185.
50年代半ばから60年代前半にかけての約10年間にホレス・シルバーが世に送り出した音楽はまさにハード・バップ創造とその具現そのものでした。その音楽を今現在の耳で聞きますと、ハード・バップ内での一つの発展系としてのファンキージャズいうところです。音的にはさほど新しさを感じさせてくれるものではありませんが、そこにはシルバー作の魅力的なメロディとファンキー調の極上のノリとが常に用意されていまして、楽しむ分には全く申し分のないものですし、典型的なハードバップの体現者としての恒久の価値があると言えるのではないかと思われます。
3曲目と6曲目が63年のブルー・ミッチェル、ジュニア・クックら従来のメンバーとの録音、他が64年のジョー・ヘンダーソンら新メンバーによる録音です。やはり、まず1曲目がその魅惑的な主題のために目立ちます。この種のファンキーな曲調は当時の流行でもありました。リー・モーガンの『サイド・ワインダー』やハービー・ハンコックの『テイキン・オフ』収録の「ウォーターメロン・マン」などが同様のライン上にあるでしょう。この「ソング・マイ・ファーザー」でのジョー・ヘンダーソンのソロがその筋の専門職という感じがして実によいです。
3曲目のポルトガル風というのかどうかよくは知りませんが、その美しくもマイナーな曲調とそれをベースにして繰り広げられるシルバーのソロになかなか深い味わいがあると思われます。印象的な主題が好ましい4曲目もエキゾティックな魅力にあふれています。シルバーの渋いソロの後に控えるヘンダーソンのソロがまたまた実に新鮮で酸っぱい果実のように刺激的です。
それにやはり素敵な最後を飾るべき6曲目がこのアルバムを忘れがたいものにしています。シルバーの陰影のあるピアノ表現の妙を堪能することのできるトリオ演奏です。実にクール、かっこいいですね。本作はもちろん著名な1曲目もさることながら、他の曲にも優れた出来のものがあり十分に楽しめる内容のアルバムだと思います。ちなみにジャケットの人物はホレス・シルバーの父親です。
1. Song For My Father
2. The Natives Are Restless Tonight
3. Calcutta Cutie
4. Que Pasa
5. The Kicker
6. Lonely Woman
7. Sanctimonious Sam - (bonus track)
8. Que Pasa - (Trio Version)
9. Sighin' And Cryin' * - (bonus track)
10. Silver Threads Among My Soul - (bonus track)
Horace Silver (piano); Carmell Jones, Blue Mitchell (trumpet); Joe Henderson, Junior Cook (tenor saxophone); Teddy Smith, Gene Taylor (bass); Roger Humphries, Roy Brooks (drums). Recorded at the Van Gelder Studio, Engelwood Cliffs, New Jersey on October 31, 1963, January 28, 1964 and October 26, 1964.
JR.com では試聴可能です。→Horace Silver/Song For My Father
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Horace Silver/Song For My Father
関連エントリーはこちら。→ホレス・シルバー『ファーザー・エクスプロレイションズ』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:27
ウィントン・ケリー/ケリー・グレイト
2005年07月17日
Wynton Kelly / Kelly Great
今日はウィントン・ケリーの『ケリー・グレイト』です。ウィントン・ケリーが在籍していたマイルス・コンボのリズムセクションのメンバーに、ジャズ・メッセンジャーズのフロント・ラインの二人、リー・モーガンとウエイン・ショーターが参加した人気盤。パーソネルは、リー・モーガン(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。1959.8.12.NY録音。
ウィントン・ケリーの小気味がよくてブルース・フィーリングに満ちたピアノはジャズの持つアーシーな醍醐味をいつも湛えています。マイルス・デイヴィスも 「やつは煙草に火をつけるマッチの役割をしてくれるのさ」 と言っている通り、ケリーのピアノが響くや否や一瞬にしてその空間には深いジャズ的時空が広がるのです。
本作はケリーをリーダーにした当時の精鋭クインテットによる典型的なハード・バップです。ケリーの魅力が映えるブルース調の曲が中心です。3曲目のミディアム・ブルース June Night などに耳を傾けますとウィントン・ケリーの素晴らしさが直に伝わってきます。マイルスの『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』の表題曲で見せたキュートなケリーの印象そのものです。
リー・モーガンのトランペットはいつもながら味があって全く申し分のないものです。この人はクリフォード・ブラウンほど完璧に楽器をコントロールできないようですが、少しテクニック不足のところを逆にそれをスリルのある瞬間に変えてしまうくらいに音楽的なセンスが凄いという気がいたしますね。ジャズとしてイカした演奏がどんなものかを知り尽くしていてそうしたバランス感覚が抜群なのだろうなと思います。
そして、やはりウェイン・ショーターの新感覚が随所に示されています。しかもかなり大胆な吹奏になっています。後年のショーターを知る者としてはさもありなんというところですが、モーガンやケリーとは明らかに異質で新鮮です。当時のジャズ・メッセンジャーズのボスであるアート・ブレイキーや後年のボスとなるマイルスがその場を牛耳っているわけではないので自由に伸び々々と演っているのかなとでも思えそうなくらいです。
全5曲。いずれも聴きどころのあるよい演奏だと思います。1,3,4曲目はブルース。2と5曲目はウェイン・ショーターの作曲。特に5曲目 Sydney はショーター色の濃い曲。この曲のみショーターのソロはなくケリーだけがブルージーな素敵なソロをとっています。個人的には3曲目と4曲目が好みです。4曲目ではチェンバースの少し退屈なアルコを聴くことができます。
1. Wrinkles
2. Mama "G"
3. June Night
4. What I Know
5. Sydney
Vee Jay Records。Wynton Kelly(p) Lee Morgan(tp) Wayne Shorter(ts) Paul Chambers(b) Philly Joe Jones(ds)。
iTunes Music Store では試聴可能です。→
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Wynton Kelly / Kelly Great
関連エントリーはこちら。
→ ウィントン・ケリー『ケリー・ブルー』
→ ウィントン・ケリー『ケリー・アット・ミッドナイト』
関連エントリはこちら。
→ ウィントン・ケリー『ウィスパー・ノット 』
→ ウィントン・ケリー『フル・ヴュー 』
→ マイルス・デイヴィス『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:30
ギル・エヴァンス/クールからの脱出
2005年06月01日
Gil Evans / Out of the Cool
今日はギル・エヴァンスの代表作『クールからの脱出』です。Impulseレコードの第1作として、プロデューサーのクリード・テイラーがギル・エヴァンスに白矢を立てて製作されたという記念すべきアルバム。パーソネルは、ジョニー・コールズ(tp)、ジミー・ネッパー(tb)、レイ・ベッケンステイン(as,fl,piccolo)、バッド・ジョンソン(ts,as)、レイ・クロフォード(g)、ロン・カーター(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)、ギル・エヴァンス(p,arr,cond.)他。1960年録音。Impulse Records。
ギル・エヴァンス(1912~1988)は1940年代にクロード・ソーンヒル楽団の編曲者に抜擢され精妙な音色の変化でビッグ・バンドのアレンジに革命を起こしました。そして49年にはマイルス・デイヴィス9重奏団の『クールの誕生』でジャズの新時代を開き、57年に再びマイルスと組んで『マイルス・アヘッド』、『ポーギーとベス』、『スケッチ・オブ・スペイン』など、数々の名作を手掛けていくのです。60年代以降は、自らの特異な編成のオーケストラを率いて先鋭的なアレンジで常に時代を先取ってゆくのでした。
本作の『クールからの脱出』Out of the Cool は60年の録音という古さを全く感じさせない斬新な音世界です。ジャズ・オーケストラに対する新しいコンセプトを提示することで鬼才と呼ばれたギル・エヴァンスにとっての代表作であり、いわゆるジャズ史的な名盤の一つに挙げられる評価の高いアルバムなのです。
全6曲。1曲目のLa Nevadaでのレイ・クロフォードのギターの音色などを聴きますと70年代以降のフュージョンの音かと思われるほどに新鮮なのですね。3曲目のBilbao Songなどは個人的にお好みの曲調なのでして、新しい音楽芸術を感じさせる類の印象に残る演奏だと思います。4曲目のStratusphunkなども盟友ジョージ・ラッセルの曲で興味深いリズム感を持ったブルース。5曲目のSunken Treasureではジョニー・コールズのtpをフィーチャーしながら独特のクールな音世界を映し出していますね。
1.La Nevada
2.Where Flamingos Fly
3.Bilbao Song
4.Stratusphunk
5.Sunken Treasure
6.Sister Sadie
JR.comでは試聴可能です。→Gil Evans / Out of the Cool
関連エントリーはこちら。→フラン・ウォーレン/ムード・インディゴ
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Gil Evans / Out of the Cool
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:31
カーティス・フラー/ブルースエット
2005年05月29日
Curtis Fuller / Blues-ette
今日はカーティス・フラーの人気盤『ブルースエット』です。1曲目「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」はTVコマーシャルに使われていたほど典型的なモダン・ジャズの有名曲ですね。パーソネルは、カーティス・フラー(tb)、ベニー・ゴルソン(ts)、トミー・フラナガン(p)、ジミー・ギャリソン(b)、アル・ヘアウッド(ds)。1958年NY録音。SAVOY Records。
本作に収められた「ファイブ・スポット・アフター・ダーク」の作曲者ベニー・ゴルソンはアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズのテナー兼音楽監督として知られていますがやはり作編曲者として著名ですね。テナー奏者としてはコールマン・ホーキンズやラッキー・トンプソンらのバップ系であり決してパーカー派ではなく、うねるような独特のフレージングが魅力でもあります。
この『ブルースエット』の録音日は定かではありませんが、58年11月以降、ジャズ・メッセンジャーズの仏巡業に参加していますので、それ以前の夏~秋頃だろうと言われています。ゴルソンは同時期にアート・ファーマーと組んだ名作『モダン・アート』(58年9月)も残しています。ゴルソンの作曲には、他にも例えば、「ウィスパー・ノット」、「アイ・リメンバー・クリフォード」、「ブルース・マーチ」、「ステープルメイツ」など、印象的で美しいメロディを持つスタンダード化した曲が多数ありますね。
一方の主役であるカーティス・フラーは、57年にデトロイトからNYに出てきまして、ブルーノートで多くのセッションに起用されます。ジャズ・トロンボーンではJ.J.ジョンソンの独壇場でしたが、本作がフラーにとって決定的な出世作となり、新人としてスポット・ライトを浴びることになります。この後も、フラーとゴルソンのコンビは59年にかけての短期間に合計6枚のアルバムを残しています。
全6曲。CDでは2曲の別録音ボーナスが追加されています。いずれの演奏もメロディックな曲調をベースにしたファンキーな味わいがあってジャズを楽しむにはもってこいの内容だと思います。やはり1.Five Spot After Darkでの心地よいテーマとフラーのまろやかなトロンボーンの響きが印象深いですね。テーマ・リフの後、フラー→ゴルソン→フラナガンと快調なソロが繰り広げられます。5.Love Your Spell Is Everywhereなども同様の路線。ゴルソン→フラー→フラナガン→ギャリソンと続くソロはいいずれも魅力的でして、フラーの端整で落ち着いた佇まいとは対照的なゴルソンの奔放なブローイング、それにフラナガンのツボを押えたアーシーなセンスは流石にいい感じです。
1. Five Spot After Dark
2. Undecided
3. Blues-ette
4. Minor Vamp
5. Love Your Spell Is Everywhere
6. Twelve-Inch
7. Blues-ette - (alternate take 3, bonus track)
8. Five Spot After Dark - (alternate take 2, bonus track)
JR.comでは試聴可能です。→Curtis Fuller / Blues-ette
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Curtis Fuller / Blues-ette
関連エントリーはこちら。→『アート・ファーマー/モダン・アート』
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:32
ポール・チェンバース/ベース・オン・トップ
2005年05月21日
Paul Chambers / Bass on Top
今日はポール・チェンバースのリーダー作で人気盤『ベース・オン・トップ』です。ブルーノートに3作目の本作はケニー・バレルを迎えての渋い一枚に仕上がっています。パーソネルは、ケニー・バレル(g)、ハンク・ジョーンズ(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)。1957年録音。BlueNote1569。
ポール・チェンバース(1935~69)は、本ブログではリーダー作紹介が今回初めてにもかかわらず間違いなく隠れた常連さんなのです。ページの左上の方にサイト内検索というものがあり、私自身もそれを用いてよく調べるのですが、ポール・チェンバースと入力しますと現在22の検索結果が出ます。この記事をアップすれば当然一つ増えて23になっていると思いますが、ビル・エヴァンス24、マイルス・デイヴィス23と並んで、ほぼトップ・クラスというわけですね。
意外な結果ではありますが、本ブログは50年代と60年代のメインストリーム・ジャズを中心に扱っていることから、さもありなんという結果だと思われます。55年の20才の頃にマイルス・デイヴィスのレギュラー・リズム隊に加わり、その後、数多くのレコード録音に参加して、69年というモダン・ジャズの全盛期が終わりかける時期に亡くなっていますので、50年代半ばから60年代のモダン・ジャズ最盛期に大活躍しているのですね。まさにモダン・ジャズ・ベースの申し子のような存在なのだと思うのですね。
ふだんは地味な役回りに終止するところをしっかりとリーダーシップを発揮しています。BlueNote第1作『Whims of Chambers』(BN1534)の2曲ですでにケニー・バレルらとのカルテット演奏を吹き込んでおり、本作はその延長にあることが明らかではあります。彼としてはこれくらいのホーンレスの小コンボが丁度ほどよく自らを主張できてしかも全体を支配できるという意味では適しているのだと思われます。ミンガスのように小エリントン楽団を想起させるほどの色濃い音楽性を示すタイプでもないですからね。
全6曲。普通より少しだけベースがクローズアップされた、心地良い典型的なハード・バップ・サウンドなのです。ケニー・バレルのブルージーでアーシーなギターが実に良い具合です。ハンク・ジョーンズの落ち着いた端正なピアノも、バレルとチェンバースとの組み合わせにピッタリの感じがします。曲目では、4.Dear Old Stockholmがお好みの演奏です。マイルス楽団でのおなじみの名演が同種の趣きを放ちつつも、より沈静したいぶし銀の輝きを感じさせます。それに2.You'd Be So Nice To Come Home Toがいですね。長いチェンバースのピチカート・ソロの後、満を持してバレルが登場してくる辺りにはジャズ・フィーリングの醍醐味がありますね。ただ、1.Yesterdaysでのチェンバースのアルコ(弓弾き)にはちょっと身を引きますが(笑)。
1. Yesterdays
2. You'd Be So Nice To Come Home To
3. Chasin' The Bird
4. Dear Old Stockholm
5. Theme
6. Confessin'
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:33
デューク・エリントン/エリントン・アット・ニューポート
2005年05月19日
Duke Ellington/ Ellington at Newport
今日は敬愛するデューク・エリントンさんにご登場願いました。『エリントン・アット・ニューポート』です。1956年のニューポート・ジャズ・フェスティバルでのライブ録音です。50年代のエリントン楽団の実力と音楽性が存分に発揮された名作です。パーソネルは、デューク・エリントン(p)、キャット・アンダーソン、ウィリー・クック、クラーク・テリー、レイ・ナンス(tp)、ブリット・ウッドマン、ジョン・サンダース、クェンティン・ジャクソン(tb)、ジミー・」ハミルトン(cl)、ジョニー・ホッジス(as)、ラッセル・プロコープ(as,cl)、ポール・ゴンザルベス(ts)、ハリー・カーネイ(bs)、ジミー・ウッド(b)、サム・ウッドヤード(ds)。1956年、NY、ニューポート・ライブ録音。
エリントン楽団は40年代に絶頂期を迎えましたが、50年代、60年代も高い音楽性を示すアルバムが多数ありますね。個人的にも50年代以降のモダンで、一元化したジャズの枠に納まりきらず、コンテンポラリーなエリントンの音楽が大好きです。
むしろ○○組曲と題されたアルバムにそうしたエリントンの創意や独創性が顕著ではありますが、本作の『エリントン・アット・ニューポート』ではエリントン楽団のオーソドックスな一面を示した典型的な一枚といえるものです。ただ、そうした中にも、例えば、2曲目(CDではDisc1の11曲目)の「ブルース・トゥ・ビ・ブルー」などに聞かれるサックス・セクションのコーラスが醸すエレガントな美的感覚などは通常のジャズではなかなかお目にかかれない極上の類だと思われます。その後のラッセル・プロコープのクラリネット・ソロなども同様の美学の線上にあるでしょうし、続くレイ・ナンスのブルース調のミュート・トランペット、それにエリントンのバックでサポートするピアノのエレガンス具合などほんと心地良い音楽だと思うのですね。
CDではニューポート・ジャズ・フェスティバルでのエリントン楽団の全貌が聞けるコンプリート版が出ていまして、ちなみに私の持っているもともとのLPにはA面にDisc1の9,11,13の3曲、B面にDisc2の3とDisc1の19の2曲の計5曲が収められていたに過ぎないのです。でもこの選曲は十分に当夜の雰囲気を伝えるハイライトではあると思うのです。B面1曲目(CDではDisc2の3曲目)の「ジープス・ブルース」はジョニー・ホッジスのための曲ですがそのアルト・ソロは圧巻です。憂いのある響きにはいつも唸らされますね。また、B面2曲目(CDではDisc1の19曲目)の「ディミヌエンド・アンド・クレッシェンド・イン・ブルー」でのエキサイティングなソロの連続は流石にエリントン楽団の魅力をよく伝えていると思います。
関連ページはこちら。→デューク・エリントン『ブラック・ブラウン&ベージュ』
→デューク・エリントン『極東組曲』
Disc: 1
1. Star Spangled Banner - (previously unreleased)
2. Father Norman O'Connor Introduces Duke & The Orchestra / Duke Introduces Tune & Anderson, Jackson, & Procope
3. Black And Tan Fantasy
4. Duke Introduces Cook & Tune
5. Tea For Two - (previously unreleased)
6. Duke & Band Leave Stage / Father Norman O'Connor Talks About Festival
7. Take The "A" Train
8. Duke Announces Strayhorn's A Train & Nance / Duke Introduces Festival Suite, Part I & Hamilton
9. Festival Junction - (previously unreleased)
10. Duke Announces Soloists; Introduces Part II
11. Blues To Be There - (previously unreleased)
12. Duke Announces Nance & Procope; Introduces Part III
13. Newport Up - (previously unreleased)
14. Duke Announces Hamilton, Gonsalves, & Terry / Duke Introduces Cook & Tune
15. Sophisticated Lady
16. Duke Announces Grissom & Tune
17. Day In, Day Out - (previously unreleased)
18. Duke Introduces Tune (s) And Paul Gonsalves Interludes
19. Diminuendo In Blue And Crescendo In Blue
20. Announcements, Pandemonium
21. Pause Track
Disc: 2
1. Duke Introduces Johnny Hodges
2. I Got It Bad (And That Ain't Good) - (previously unreleased)
3. Jeep's Blues
4. Duke Calms Crowd; Introduces Nance & Tune
5. Tulip Or Turnip - (previously unreleased)
6. Riot Prevention
7. Skin Deep
8. Mood Indigo - (previously unreleased)
9. Studio Concert - (excerpts)
10. Father Norman O'Connor Introduces Duke Ellington / Duke Introduces New Work, Part I, & Hamilton
11. Festival Junction
12. Duke Announces Soloists; Introduces Part II
13. Blues To Be There
14. Duke Announces Nance & Procope; Introduces Part III
15. Newport Up
16. Duke Announces Hamilton, Gonsalves, & Terry / Pause / Duke Introduces Johnny Hodges
17. I Got It Bad (And That Ain't Good)
18. Jeep's Blues - (previously unreleased)
19. Pause Track
JR.comでは試聴可能です。→ Ellington at Newport
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Duke Ellington/ Ellington at Newport
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:33
アート・テイタム&ベン・ウェブスター
2005年04月30日
Art Tatum/ Art Tatum&Ben Webster
今日はアート・テイタムとベン・ウェブスターの名作共演盤です。たまにはこういう寛ぎのあるスイング~バップ系のジャズも聴きたくなるときがあります。そんなときにこのアルバムが最適なんですね。リラックス・タイムの出来上がりです。パーソネルは、ベン・ウェブスター(ts)、アート・テイタム(p)、レッド・カレンダー(b)、ビル・ダグラス(ds)。1956年LA録音。Pablo Records。
スタンダードのバラッドが続きます。ヴィブラートのかかったベン・ウェブスターのテナーが無粋にならず絶妙なバランスで聞かせてくれますね。それに、この録音の2ヶ月後に亡くなるとは思えないテイタムの品のある小気味よいピアノさばきがとても素敵なのですね。5.Night And Dayでの出だしのところ、それに途中のソロでのテイタムのスイング調ピアノなんてのはこれは堪らないですね。
1.Gone With The Wind
2.All The Things You Are
3.Have You Met Miss Jones?
4.My One And Only Love
5.Night And Day
6.My Ideal
7.Where Or When
8.Gone With The Wind(alternate take 1)
9.Gone With The Wind(alternate take 2)
10.Have You Met Miss Jones(alternate take)
JR.comでは試聴可能です。→Art Tatum&Ben Webster
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:34
ロイ・ヘインズ/アウト・オブ・ジ・アフタヌーン
2005年04月03日
Roy Haynes/ Out of the Afternoon
今日はロイ・ヘインズのリーダー作から『アウト・オブ・ジ・アフタヌーン』です。個性際立つローラーンド・カーク、ワン・ホーンのカルテット演奏です。パーソネルは、ローランド・カーク(ts, manzello, stritch, fl)、トミー・フラナガン(p)、ヘンリー・グライムス(b)、ロイ・ヘインズ(ds)。1962年録音。Impulseレーベル。
ロイ・ヘインズは40年代末から70年代までその卓越したセンスと技術で幅広く時代を超えて活躍した稀有なドラマーの一人です。多くのジャズ名盤に名前を連ねていまして、私にとっても、バド・パウエル、サラ・ヴォーン、ミンガス、ドルフィー、チック・コリアらの名盤でお馴染みのジャズマンなのですね。ところが、リーダー作となると驚くほか少ないのですね。私も本作と『ウィ・スリー』くらいしか知りません。
ロイ・ヘインズのドラム・ソロが随所で披露されており、またリズムを取るにしてもリーダー作らしくドラムがよく目立っている作品に仕上がっています。とはいうものの、さすがにローランド・カークの個性豊かな演奏が前面に出ていますので、やはりカークの数少ないワン・ホーン作品として聴くことのになるのだと思います。2本のホーンを口に同時に咥えて一人ユニゾンをしたり、フルートでもジェレミー・スタイグのようにハミングを交えたりと、決して奇異や衒いではなくて音楽性の追求から必然として生じる演奏は十分に説得力のある素晴らしいものです。
全7曲。1曲目からローランド・カ-クの不思議と調和を感じさせるユニゾンが全回でしてその耳慣れない演奏にいきなり驚かされます。また、5、6それに7での深いブルース・フィーリングを感じさせるオーソドクスな渋い演奏を聴きますと、やはりカークが十分に正統派ホーン奏者として一流レベルであることがわかります。本作はこのカークの全容を知るにはもってこいのアルバムというわけですが、もちろんリーダーのヘインズの多彩なドラム演奏がそこかしこで結構にクローズアップされています。いずれにせよ本作は高水準のモダン・ジャズを味わうことのできる大変に好ましいアルバムといえましょう。
そして、もうひとつだけ付け加えるとすれば、トミー・フラナガンの小気味よいピアノをあげたいと思います。60年前後のフラナガンはほんと数多くのセッションに参加していまして、それがことごとくいい出来なのですね。端整でピリっとしたピアノ・ソロは常にアクセントになっていまして脇をしっかり固めるという感じがぴったりです。コルトレーンやブッカー・リトルとの共演盤など数枚のアルバムがすぐに脳裏に思い浮かびますね。
1. Moon Ray 6:42
2. Fly Me To The Moon (In Other Words) 6:40
3. Raoul 6:02
4. Snap Crackle 4:12
5. If I Should Lose You 5:50
6. Long Wharf 4:43
7. Some Other Spring 3:29
JR.comでは試聴可能です。→Roy Haynes/ Out of the Afternoon
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Roy Haynes/ Out of the Afternoon
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:35
チャーリー・ヘイデン/ナイト・イン・ザ・シティ
2005年03月31日
Charie Haden/ Night and the City
今夜はチャーリー・ヘイデンとケニー・バロンのデュオによるライブ・パーフォーマンスに耳を傾けています。これ実は最近の大のお気に入りアルバムです。深夜一人で聴くにはもってこいの渋い大人のジャズなんですね。パーソネルは、ケニー・バロン(p)、チャーリー・ヘイデン(b)。1996年NYのクラブ・イリジウムにてライブ録音。
チャーリー・ヘイデンは1937年生まれで70年代から活躍する大御所、メロディアスに歌う重いベースというイメージでしょうか。キース・ジャレット『生と死の幻想』やデニー・ザイトリン『ザイトガイスト』らのmy favoriteアルバムなどでヘイデンのベースを長く聴いてきました。90年代に入ってデュオに精力的に取り組み何枚かの優れたアルバムを残しています。本作は現代を代表するジャズ・ピアニストの一人ケニー・バロンを迎えて、最近ニューヨークで大人気のジャズ・スポット「イリジウム」にてライブ録音された定評ある作品です。その他にはハンク・ジョーンズとの『スピリチュアル』やパット・メセニーとの『ミズーリの空高く』などが著名なようですね。
全7曲、約70分の密度の濃いピアノとベースの会話が楽しめます。拍手や食器の音でしかその存在がわからないほどに聴衆の聞き入る姿が目に見えるようです。ケニー・バロンのピアノのタッチはこの上なく繊細で上品で洗練されたジャズを感じさせるものです。その典型が聞けるのが6のWaltz For Ruthで特にお勧めかな。ヘイデンが妻のルースのために書いた美しいナンバー。小気味よいパッセージが次から次に現れては消えまた現れるという心地よいピアノ音の流れには堪らないものがありますね。それに7のThe Very Thought Of Youでのバロンのブルージーで自由な多彩な表現には圧倒されますね。いずれもヘイデンのベースは確実に重心を示しながらも歌心をもって常に鼓舞し続けます。この二人の作り出す音楽には音楽に対する敬愛の念と心のこもったハートフルなものの存在が感じられますね。
本作、実はまだ購入して間がありませんがこれまでの経験からいって間違いなく長く座右に置くことになる愛すべき素敵な一枚だと確信しております。ジャズ・ピアノ好きの方には自信を持ってお勧めできますね。
1. Twilight Song
2. For Heaven's Sake
3. Spring Is Here
4. Body And Soul
5. You Don't Know What Love Is
6. Waltz For Ruth
7. The Very Thought Of You
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:36
ソニー・クラーク/ソニー・クラーク・クインテッツ
2005年03月18日
Sonny Clarkl/ Sonny Clark Quintet
今日はソニー・クラークの『ソニー・クラーク・クインテッツ』です。パーソネルは、1~2が、アート・ファーマー(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ソニー・クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)、1958年1月5日録音、3~5が、クリフ・ジョーダン(ts)、ケニー・バレル(g)、ソニー・クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、ピート・ラロッカ(ds)、1957年12月8日録音。BlueNote1592。
本作はBNの番号が付いているにもかかわらずお蔵入りになってしまったアルバム。約20年後の1977年に日本で日の目を見ることになります。これほどのアルバムが発売に至らなかったというのは不思議ですが、日本でこそソニー・クラークは人気ですが米国ではそれほどでもないようでその象徴的な出来事だと思います。
アルフレッド・ライオンは作曲に才のあるソニー・クラークを第2のホレス・シルバーに仕立てようとクインテット演奏に盛んに起用しています。『ダイヤル・S・フォー・ソニー』『ソニーズ・クリブ』『ソニー・クラーク・クインテッツ』『クール・ストラッティン』といった1957~58年の4枚のリーダー作はいずれもソニー・クラークの代表作といえる高水準のハード・バップです。
1~2は『クール・ストラッティン』からの曲。3~5が一ヶ月前の録音です。勿論この最初の2曲は『クール~』の延長線として十分に聞き応えがあるのですが、残りの録音がこれまた最高に素晴らしいのですね。ハンク・モブレイにケニー・バレル!それにクラークの組み合わせは極上に「よし!」です。シャキっとした感じはないけれどグルーヴ感では人後に落ちない3人が次々とこれでもかというくらいにイカしたソロを繰り広げています。クラークも乗りに乗って絶好調。
3.Minor Meetingではクラーク→ベレル→モブレイの順でソロをとります。クラークのソロはまさしく圧巻です。ケニー・バレルも流石に渋い演奏です。4.Eastern Incidentではモブレイ→バレル→クラーク→チェンバースの順。5.Little Sonnyではバレル→モブレイ→クラークといずれも微妙に異なる順です。モブレイもいつもの快調なソロです。
1.Royal Flash
2.Lover
3.Minor Meeting
4.Eastern Incident
5.Little Sonny
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:38