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ザ・スリー・サウンズ/ムーズ

JAZZ Piano 2

2005年07月16日

moods.jpeg The Three Sounds / Moods

 今日はBlueNoteのいわば専属ピアノ・トリオ、スリー・サウンズを聞きましょう。『ムーズ』はジャケットに何とBlueNoteオーナー、アルフレッド・ライオンの奥方を起用するという入れ込みようで、内容も彼らの魅力を湛える代表的なアルバム。パーソネルは、The Three Sounds、ジーン・ハリス Gene Harris (p)、アンドリュー・シンプキンス Andrew Simpkins (b)、ビル・ダウディ Bill Dowdy (ds)。1960.6.28.NJ録音。BlueNote4044。

 このアルバムは日頃何気なくよく聴いている一枚です。ジーン・ハリスの明快にスイングするピアノがいいですし、ベースが重心重くて骨太、それに音響がブルーノートらしい奥行き感のあるサウンド。ピアノの音は決してピアニスティックで繊細な表情を映すものではなく芯が太くて野暮ったいもの。それが返ってブルージーやドライブ感を表現するには最適なものとなってるのでしょう。

 レコードを聞きながらジャケットに見入ったり、英文ライナーノーツを読んだりというのが私の密かな楽しみですが、本作の後にA・ライオン夫人となるルース・メイソンの何と魅力的なことでしょう。他のジャケットではBN4114でも眺めることができますし、BN4060のドナルド・バードのライブ盤では司会者としてその肉声を聞くこともできます。

 そのジャケットが醸す軟弱な雰囲気とは一線を画するジャジーな内容のアンバランス加減がおもしろいのですね。安易に聞けるという意味では確かに軟派なのかもしれませんが、これもまさしくBlueNoteのジャズの一端なのだと思います。しかも60年前後といいますとBlueNoteが最もBlueNoteらしい時期ですからね。多少リバーブがきつ目に感じられる録音は気のせいでしょうか。何とかプッシュしたいという製作者の雰囲気を感じたりします。

 1曲目のLove For Sale はキャノンボール・アダレイの有名盤『サムシン・エルス』で聞かれる同名曲と雰囲気が似ていますが、これはベースの音感と動きに類似点があるからだと思います。3曲目のOn Green Dolphin Street でもベースがアクセントを示していましてその上をジーン・ハリスのグルーヴィーなピアノが心地よくスイングしています。この2曲を聞けばスリー・サウンズの基本的コンセプトがよく理解できると思います。私にとってお好みの極めて上質でエンターテイメントなピアノ・トリオなのですね。7曲目Tammy's Breeze などは本当に素敵ですぞよ。

 BlueNoteのアルフレッド・ライオンの嗜好は日本のジャズ・ファンにとって共鳴するものがあるのだと思います。ドイツから移民として渡ってきたライオン、それにジャケット写真はフランシス・ウルフ、それに録音はご存知ルディ・ヴァン・ゲルダーです。このトリオはジャズ史上に輝くBlueNoteレーベルを築いてきたのでした。下の写真はライオン(左)とウルフ(狼)ですね(笑)。

lion and wolf.jpeg
1. Love For Sale
2. Things Ain't What They Used To Be
3. On Green Dolphin Street
4. Loose Walk
5. Li'l Darlin'
6. I'm Beginning To See The Light
7. Tammy's Breeze
8. Sandu

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