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クリス・ボッティ/クリス・ボッティ・イン・ボストン
2012年08月09日
Chris Botti / Chris Botti in Boston
クリス・ボッティの素敵な世界へようこそという感じです。たまにはこうした幻想の世界に遊ぶのもいいものですね。ジャズという枠に捕われずにヨーロッパ音楽の伝統というか深みを伝えてくれる音楽でもあります。スムーズ・ジャズ。夕暮れ時の物寂しいけど安らかな一時。パーソネルは、クリス・ボッティ(tp)他。2008年Boston Symphony Hall録音。Sony。
ポピュラー色の強いジャズです。汗臭い臭いが希薄です。ヨーロッパの洗練された哀愁が漂います。クリス・ボッティのトランペットの響きはかなり衝撃でした。空中高く鳴り響くような音色は独特の郷愁を含んでいます。中性ヨーロッパの街のラッパ吹きのような何か懐かしく貧しくて、でも人間的な香りを感させる魅惑的な世界。
俗っぽさというか媚びた印象があります。トランペットのオープンで空間に伸び上がる孤独な響きは多少マイルスの音楽を思い出させてくれます。マイルスの場合はア−トとか即興という自由な印象があって大衆色が希薄になるのですが、こちらは恥じらい無くその色香をにじませています。真摯なジャズ愛好家からはきっと負のイメージになるでしょう。
中世のラッパという素朴な印象に救われます。このクリス・ボッティの音楽は精神状態によって優しい音楽が心に沁みるときがあるでしょう。本作中のしっとりした曲たちはそんな音楽です。泣かせ上手なものと分かっていても深く沁み渡るときというのは相当に参っている証拠なのだろうとも思います。
ゲストに、スティング、ジョン・メイヤー、スティーヴン・タイラー、ヨーヨー・マ、ドミニク・ミラー、ルシア・ミカレリ、キャサリン•マクフィーなど多彩な著名音楽家が参加しています。全13曲。スティーヴン・タイラーをフィーチャーしたスマイルが一番好きです。
1. Ave Maria
2. When I Fall In Love
3. Seven Days (featuring Sting and Dominic Miller)
4. Emmanuel (featuring Lucia Micarelli)
5. I've Got You Under My Skin (featuring Katharine McPhee)
6. Cinema Paradiso (featuring Yo-Yo Ma)
7. Broken Vow (featuring Josh Groban)
8. Flamenco Sketches
9. Glad To Be Unhappy (featuring John Mayer)
10. Hallelujah
11. Smile (featuring Steven Tyler)
12. If I Ever Lose My Faith In You (featuring Sting and Dominic Miller)
13. Time To Say Goodbye
YouTubeからスマイルを引用させていただきましょう。こちらは別に販売されているDVDからの映像のようです。音源はCDと同じです。こういう可憐なメロディを個性的なロック・シンガーが歌うのって割と好きなんですが、このトラックは特にその典型です。
VIDEO
こちらはキャサリン・マクフィーが歌うジャズ・スタンダード I've Got You Under My Skin。この曲は自分の中ではダイナ・ワシントンのものがお気に入りだったのですが、このマクフィーのリズミカルなトラックが新たな標準になる気配濃厚です。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→Chris Botti in Boston
DVDはこちらです。→Chris Botti in Boston
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:20
ケニー・ドーハム/マタドール
2012年01月25日
Kenny Dorham / Matador
ケニー・ドーハムとジャッキー・マクリーンの2管クインテットの本作はハード・バップの大人気盤。昔ジャズ喫茶でよく見かけた特徴あるジャケット。いいモダン・ジャズに理屈はいらない。とにかくすり切れるくらい繰り返し聴きましょう。パーソネルは、ケニー・ドーハム (tp)、ジャッキー・マクリーン (as)、ボビー・ティモンズ (p)、テディ・スミス (b)、J.C.モーゼス (ds)。United Artists。1962年NYC録音。
やはりジャッキー・マクリーン(1931〜2006)が抜群にいいんですね。角張った、ちょっと窮屈な感じのトーンがグルーヴィーな数フレーズを奏でますともう堪らない。これこれ、これですね。ぐいぐいそそられますね。まあマクリーンがその魅力を発揮できるのも、ドーハムをはじめとする他のメンバーのサポートと中南米雰囲気の曲調のお陰なのですが。
ケニードーハム(1924〜72)は、いつもながらの安定した演奏です。ドス黒いグルーヴを発散させながら、全体のトーンを形作っています。忘れてならないのが、J.C.モーゼスの奔放でポリリズミックなドラミングです。モーゼスはこの時期エリック・ドルフィーともいい録音を残していますね。(→エリック・ドルフィー/イリノイ・コンサート )このドラムがあってこそスリルあるインプロヴィゼーションが繰り広げられるのでしょう。
本作が録音された60年代前半はハード・バップから新主流派という変化の時代。本作がマンネリ化したハード・バップとは一味違うのは、そうした急な時代の潮流に遅れまいとする演奏者らの共通の緊張感のなせる結果なのでしょう。マクリーンは純粋なるバッパーなのですが、この時期バッパーとして一皮剥けた演奏を披露しています。
あと、アーシーなピアノが随所に光るボビー・ティモンズ(1935〜74)のことも忘れてはなりません。ドーハムとはジャズ・プロフェッツからの盟友。その後アート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズで大活躍しましたが本作の62年以降活躍の機会が激減してしまいますね。
本作は、ドーハム、ティモンズ、モーゼスという最高のサポートを得たマクリーンが絶好調のアルト吹奏を聞かせる快心の作品と言えるでしょう。まるで水を得た魚のように自在に吹きまくり、時にモーダルに吹っ切れるマクリーンの魅力がしっかりと刻印されています。
全6曲。4曲目と5曲目がそれぞれマクリーン1管とドーハム1管のカルテット演奏。やはり4曲目のマクリーンのアルトが冴え渡っています。同曲でのティモンズのソロもいいですし、モーゼスの重量級シンバルがまたいいのですね。
1曲目から、ドーハムが好むミディアム・テンポの変拍子調ラテン・テイスト。黒いファンキーな感覚がいいです。マクリーンがすでに少し壊れ気味に大胆なアプローチ。モーゼスの血気盛んなハードなドラミング。テディ・スミスのベースも踊るようにアクセントを決めています。
2曲目はドーハムが得意とするブルージーでスリルある素敵な演奏。マクリーンのソロもカッコいい最高のパーフォーマンス。やはりモーゼスが実に多彩なバッキングで煽り続けます。3曲目はチャップリンの映画主題歌スマイルですね。愛らしいメロディが個人的にも好きですが、ドーハムのキュートなさばき具合が実にいい味。マクリーンのソロも溌剌とした演奏。
1.EL MATADOR
2.MELANIE PART1〜3
3.SMILE
4.BEAUTIFUL LOVE
5.PRELUDE
6.THERE GOES MY HEART
Kenny Dorham (tp), Jackie McLean (as), Bobby Timmons (p), Teddy Smith (b),
J.C.Moses (ds).
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Kenny Dorham / Matador
関連エントリはこちらから。
→ ケニー・ドーハム/静かなるケニ-
→ ケニー・ドーハム/カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム
→ ケニー・ドーハム/アフロ・キューバン
→ ケニー・ドーハム/ショート・ストーリー
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:02
アート・ファーマー/アーリー・アート
2011年12月23日
Art Farmer / Early Art
アート・ファーマーのトランペットの凛とした佇まいが好きなんですね。本作は1954年録音でファンキー前夜のバップ系ファーマー本来の静かに歌うトランペットの響きが魅力的。哀愁とグルーヴ感のある最高に素敵なジャズです。パーソネルは、アート・ファーマー (p)、ソニー・ロリンズ (ts)、ホレス・シルバー (p)、パーシー・ヒース (b)、ケニー・クラーク (ds)、ウィントン・ケリー (p)、アジソン・ファーマー (b)、ハービー・ラブレ (ds)。1954年NY録音。Prestige。
アート・ファーマー(1928〜99)は派手さはないですが安定した渋い腕達者で訥々とした哀愁ある吹奏で忘れがたい印象を残しています。私にとってワン・ホーン・アルバム「アート」が学生時代からの愛聴盤です。本作はそれに匹敵するファーマーの魅力に溢れたアルバムと言えましょう。ソニー・ロリンズが3曲のみ参加していますが、ほとんどファーマーのワン・ホーン作品という印象です。
全10曲。前半5曲がロリンズとホレス・シルバーらとの、後半5曲がウィントン・ケリーらとの共演になります。4曲目と5曲目のバラッド演奏が当時のファーマーの典型的な演奏で素晴らしいですね。抑制された丁寧な指使いで静かに朗々と歌います。シルバーのピアノのサポートも可憐でgood。
6曲目以降の後半はファーマーとウィントン・ケリーががっぷり四つに組んだ最強のモダン・ジャズ。6曲目は快調なミディアム・テンポの佳曲。ファーマーの魅力はこの種のキュートな歌もので存分に発揮されますね。ウィントン・ケリーのグルーヴィーなソロも好印象。7曲目のバラッドでは安定したファーマー節が聞かれます。数コーラスのアドリブ展開が渋くて素敵です。
8曲目風と共に去りぬでは早い目のテンポで颯爽と吹き抜けてゆきますね。ケリーのソロも含めて典型的なハード・バップ演奏が実に心地よい。9曲目はブルージーなバラッド。ファーマーの哀感あるトランペットとケリーのグルーヴなピアノがいずれも素晴らしい最上級のもの。
1. Soft Shoe
2. Confab In Tempo
3. I'll Take Romance
4. Wisteria
5. Autumn Nocturne
6. I've Never Been In Love Before
7. I'll Walk Alone
8. Gone With The Wind
9. Alone Together
10. Pre Amp
Art Farmer (tp), Sonny Rollins (ts), Horace Silver (p), Percy Heath (b), Kenny Clarke (ds), Wynton Kelly (p), Addison Farmer (b), Herbie Lovelle (ds).
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Art Farmer / Early Art
関連エントリはこちらから。
→アート・ファーマー/アート
→アート・ファーマー/モダン・アート
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投稿者 Jazz Blogger T : 11:08