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リー・コニッツ/ヴェリー・クール

JAZZ Sax 2

2006年12月27日

very_cool_lee_konitz.jpeg Lee Konitz/ Very Cool

 今日は白人アルト奏者のリー・コニッツ。その絶好調時の典型的な作品です。歌心が豊かかどうかという点では少し疑問もありますが、そのいかにも冷たく醒めた抽象的っぽい肌合いとインプロヴィゼーションにはクールな感覚とともに時にカタストロフィの美学を感じさせてくれるのです。パ-ソネルは、リー・コニッツ(as)、ドン・フェラーラ(tp)、サム・モスカ(p)、ピーター・インド(b)、シャドウ・ウィルソン(ds)。1957年録音。Verve レーベル。

 ユニゾンではじまる独特のジャズ世界ではあります。そのクールと言うにはその語感の有するカッコよさげな雰囲気を今の私の耳はかなり抵抗を感じてしまいます。極めて無機的な異質世界、不思議なジャズ空間なのですね。ただ、何度も繰り返し聞いていますと、最初感じるそうした違和感、そう、コニッツのアドリブ・ラインってあまり旨みがないのでは?という印象が少しづつプラスの方向に取り崩されてゆくのです。

 初めてコニッツのこうした特殊なアルトを繰り返し聴いたのが「インサイド・ハイ・ファイ」という本作と同時期の作品です。狭い下宿で時折その皺がれた音質の堅気なアルトとテナー(B面ではコニッツのテナーが聞ける)を思い出したようにターンテーブルに載せていたのは20歳そこそこの学生時代でした。それはコニッツ的世界、その真摯、生真面目といったジャズに対峙するコニッツ的姿勢に浸ることでもありました。他のジャズではそうそう味わうことのできないsomethingを感じる機会でもありました。

 本作ではトランペットが入ることで幾分こうした求道的とも言えるような雰囲気が少し和らげられてエンターテイメント性が増しているように感じられます。私にとって白人アルトと言えば、ポール・デスモンドか、このリー・コニッツ、次いでフィル・ウッズといったところですが、こうしてたまにじっくりとコニッツの円熟期の作品を繰り返し聞いていますとその流石の至芸にあっさりと納得させられるのです。ユニゾンの出だしには多少の古さというか時代の違いを感じますものの、前のめり気味に剛速球で畳み掛けてくる低音アルトの音の流れには逆らうことができません。不思議な魅力を持つ混沌の潮の流れに身を委ねつついつの間にか遠くひとり大海に漂っている自分がそこにいるのでした。

1. Sunflower
2. Stairway to the Stars
3. Movin' Around
4. Kary's Trance
5. Crazy She Calls Me
6. Billie's Bounce


Lee Konitz (alto saxophone); Don Ferrara (trumpet); Billy Bauer (guitar); Peter Ind (bass); Dick Scott (drums). Recorded live at the Midway Lounge, Pittsburgh, Pennsylvania on February 15, 1957. Originally released on Atlantic (1273). Includes liner notes by Lee Konitz.

詳しくはアマゾンでどうぞ。→  Lee Konitz/ Very Cool

関連エントリはこちら。
 → リー・コニッツ/サブコンシャス・リー
 → リー・コニッツ/モーション

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投稿者 Jazz Blogger T : 21:11 | トラックバック

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