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チコ・ハミルトン/エリントン組曲

JAZZ others 3

2012年02月02日

chico_hamilton Chico Hamilton / The Original Ellington Suite

 今日はチコ・ハミルトンですね。エリック・ドルフィーが独立直前にサイドメンとして在籍していた58年の作品。ドルフィーの個性はすでに十分明らかになっていますが、まだ少し伝統的な香りがあり、その微妙なところがおもしろいのですね。ドルフィーの陽性で極めて快調な吹奏を捉えたドルフィー・ファンには貴重で堪らない作品。パーソネルは、エリック・ドルフィー (as,fl,bcl)、ネイト・ガーシュマン (cell)、ジョン・ピサノ (g)、ハル・ゲイラー (b)、チコ・ハミルトン (ds)。Pacific Jazz。1958年LA録音。

 エリック・ドルフィー(1928-64)が冴えています。肩を張らず自然体で分かり易いところが好感持てますね。晩年のドルフィーは特にそうですが、ドルフィー名義の作品はいずれも哲学的で小難しいところがあって、それはそれでよいのですがけれど、本作のドルフィーは基本的に明るくてあっさり味で、サイドメンという気易さのためなのかどうか、気負いがないのでしょう。

 エリントン作品集になっていまして、実はもう一つのおエリントン集というのがありまして、そちらが本家で、こちらは長くお蔵入りになっていてずっと後になって発掘されたもの。ハミルとンがドルフィーの個性の出た本作をよい出来と感じなかったという説もあるようです。ハミルトンは室内楽クラシックのような格調高いジャズ(チェロ弾きを多用したり?)を求めていて、その中で時にむき出されるドルフィーの本性を快しとしなかったのかもしれません。

 その後のドルフィーは、1960年以降大活躍をすることになります。例えば、1960年だけでも、リーダー作として「アウトワード・バウンド」「アウト・ゼア」、ミンガス・グループへの参加、それにブッカー・リトルとの双頭コンボ活動がスタートします。リーダー作では、いかにも室内楽的なチェロ弾き(ロン・カーター)を入れたりして、ハミルトンの影響下にあったように思えます。

 全9曲。エリントン・ナンバーが並びます。ドルフィーは、すでに3管を吹き回すことを覚えていたようですね。私はアルトが実に調子よく聞こえます。その艶のある響きはいったい何なのでしょう。エリントン楽団のジョニー・ホッジスを思い出させてくれます。アドリブ・ラインも多くはオーソドックス、多少アクが出ている感じで、後年の全編アクというものとは雲泥の差があります。

 たいてい2コ−ラス目で少しはじけるのですね。最初は抑え気味に、そのうちちょっと冒険してみようような。個性を発散したくてしたくてうずうずしている感じが伝わってきますし、その微妙なところが案外おもしろいのですね。吹っ切れて突っ走る、自分の世界に浸ってしまうと付いていけないのですが、自重しながら少しだけはじけるというところが本作のいい味と思われます。

 アルト吹奏は2, 4, 7, 9曲目、フルートは1, 3, 5,曲、バスクラリネットは6, 8曲目です。やはりアルト演奏がスリルがあっていいですね。圧倒的な存在感。ギターやチェロとの不可思議な空間ではあります。9曲目などは後年のドルフィーそのままなのですね。コルトレーンよりも早い時期に新主流派らしい音を表現していたと言えるでしょう。面目躍如。

1. In A Mellotone
2. In A Sentimental Mood
3. I'm Just A Lucky So And So
4. Just A-Sittin' And A-Rockin'
5. Everything But You
6. Day Dream
7. I'm Beginning To See The Light
8. Azure
9. It Don't Mean A Thing

Eric Dolphy(as,fl,cl), Nate Gershman (cello), John Pisano (g), Hal Gaylor (b), Chico Hamilton (ds).

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Chico Hamilton / The Original Ellington Suite

関連エントリはこちらから。
エリック・ドルフィー/ファイブ・スポットのエリック・ドルフィーVol.1
エリック・ドルフィー/アット・ザ・ファイブ・スポットVol.2
エリック・ドルフィー/ラスト・デイト
エリック・ドルフィー/アウト・ゼア
エリック・ドルフィー/イリノイ・コンサート

投稿者 Jazz Blogger T : 21:19 | トラックバック

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