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ケニー・ドーハム/ショート・ストーリー
2011年05月04日
Kenny Dorham / Short Story
今日はケニー・ドーハムのヨーロッパでのライブ盤から。欧州若手ジャズマンとのハード・バップの醍醐味が直に伝わってくる快演です。やはりこういうメインストリームのジャズらしいジャズが心地よいですね。若きテテ・モントリューのピアノがひと際光っています。パーソネルは、ケニー・ドーハム(tp)、アラン・ボッチンスキー(flh)、テテ・モントリュー(p)、ニールス・ヘニング・ペデルセン(b)、アレックス・リール(ds)。1963年コペンハーゲン録音。Steeplechase。
ジャズ関係の書籍や評論を最近はほとんど読まなくなったが、ジャズに興味を持ち出した頃は羅針盤というか指針となる情報を求めていろいろな文章を読んだものです。信頼してその意見に耳を傾けられる方はごく少数で、粟村政昭氏と後藤雅洋氏の2名が印象深く今でも参考にさせてもらっています。粟村氏は、「ジャズ・レコード・ブック」、「モダンジャズの歴史」という書と多くのレコードのライナーノーツによって、後藤氏は、多くの雑誌はじめ書籍によって、いずれもその感性自体への信頼(この人の薦めるものは自分も確かにいいと感じるという類)と、同時に自身の感性に自信がありそれのみで勝負していること、さらにはその感性の表現が論理的というか説得力があることです。個人的な感覚を的確に表現することは、私もこのブログの中で苦労しているので少しは分かるつもりですが、恐らくはそう容易(たやす)いものではなくて、客観性のある分析力とともに本質を見る確かな眼も必要となることでしょう。
本作品のライーナーノーツが後藤氏によって書かれているので前置きが長くなってしまいました。後藤氏は79年発売の本作においてケニー・ドーハムの魅力に開眼するとともに、本作の出来を相当に高く評価されているのです。そういえば粟村氏もトランペッター、ケニー・ドーハムについてほとんど評価していないことが上記の書籍の中に明瞭に記載されていますが、私はこの点について、意外な印象でありここは自分とは少し違うなとずっと思っていました。もちろんマイルスやクリフォード・ブラウンら偉大なジャズマンとの差は大かもしれませんが、ドーハムのハード・バッパーとしての力量は当時の50年代トランペット奏者の中でも指折りの代表選手と私は思っていますし、その渋くブルージーな演奏の魅力は日本人好みの独特の味わいがあると感じてきました。その意味で後藤氏のライナーを読んで少しほっとしたようなところがあるのです。
本作はケニー・ドーハムがヨーロッパ、コペンハーゲンに渡り、若手ミュージシャンと競演したヨーロッパ生まれながら純粋で痛快なハード・バップ・アルバムです。テテ・モントリューやニールス・ペデルセンという後年ビッグネームとなる気鋭の若手がサイドを固めており、ドーハムの演奏が素晴らしいのはそうした優れた若手を背後に控えてさぞかし頑張ったからに違いないと感じさせるものがあります。
ドーハムのことばかり書いていましたが、実は、私はこのアルバムの魅力について、テテ・モントリューのことをもっとたくさん書きたいのですね。ここでのテテ・モントリューのピアノが実に素晴らしいのです。63年ということで、55年頃から60年頃に米東海岸を中心にもてはやされたハード・バップの熱気がヨーロッパではまだまだ新しい音楽として認識されており、その中で若手の欧州ジャズマンは本場米国のジャズに負けない典型的なバップを聞かせてくれているのです。特にテテ・モトリューのピアノが繰り出す溌剌としたメロディアスなアドリブの連続にはその才能が一目瞭然であることを示すに十分な魅力が溢れています。明確で饒舌なタッチと尽きないメロディ・センス、これらは後年の活躍を明らかに予言するものです。
盲目のピアニスト、テテ・モントリューのことはすでにこのブログでも何度か書いていますが、スペイン出身でパッションに溢れ天才的なテクニックを持つメロディストという印象です。ここでの存在感は圧倒的と言えるもので、すでに個性が十分に発揮されていると思われます。また、ニールス・ペデルセンも随所に速弾きのベース・ソロを聞かせており、一流の証を示すに足るものです。トランペットとフリューゲル・ホーンという変わったフロントではありますが、それぞれに特徴があって特に違和感はありません。
全5曲。いずれも素敵な演奏と言えるものです。ドーハムのソロがメリハリがあってチャーミング、そして尽きないアイデアが頼もしい限りですね。耳を傾けていると本当に心の底から嬉しくなってくるようなジャズです。これぞ典型的なジャズの愉しみというヤツでしょう。ライブであることも一役買っていることでしょう。実にノリがよいですね。
1. Short Story
2. Bye Bye Blackbird
3. Manha De Carnival
4. The Touch Of Your Lips
5. My Funny Valentine
Kenny Dorham (tp), Allan Botchinsky (flh), Tete Montoliu (p), Niels-Henning Orsted Pedersen (b), Alex Riel (ds). Recorded at Copenhagen in 1963.
YouTubeから当時のドーハムの演奏をピックアップしましょう。1963年ストックホルムでのライブ演奏。1曲目は本アルバムと同じ曲 Short Story です。雰囲気は近いですね。渋くて黒っぽいドーハムらしいグルーヴィーなジャズです。
VIDEO
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Kenny Dorham / Short Story
関連エントリはこちらから。
→ケニー・ドーハム/静かなるケニ-
→ケニー・ドーハム/カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム
→ケニー・ドーハム/アフロ・キューバン
→テテ・モントリュー/テテ
→エリック・ドルフィー/アット・ザ・ファイブ・スポットVol.2
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:33
ルイ・スミス/ヒア・カムズ・ルイ・スミス
2005年12月04日
Louis Smith / Here Comes Louis Smith
今日はルイ・スミスですね。その後復帰するもののハードバップ全盛の58年のほぼ1年間のみ活躍して引退してしまったルイ・スミスの初録音かつ代表作の一枚です。キャノンボール・アダレイも加わって最高のモダン・ジャズに仕上がっています。パーソネルは、ルイ・スミス(tp)、キャノンボール・アダレイ(ts)、デューク・ジョーダン、トミー・フラナガン(p)、ダグ・ワトキンス(b)、アート・テイラー(ds)。1958年NY録音。NlueNote 1584。
基本的にブルーノート・レーベルの1500番台(主に55~58年春くらいまでの録音)に残されたジャズ音楽はモダン・ジャズの最も上質な部分が凝集されていると思うのです。ただし、本作は元を正せば、トランジションというマイナー・レーベルの設立者トム・ウイルソンが企画して録音したものを、ブルーノートのアルフレッド・ライオンが気に入って自分のレーベルで売り出したものとのこと。そうした経緯はあるものの1500番台の一枚として違和感は全くありません。実にライオンの嗜好がよく理解できますし、敢えて外部から購入するほどの異例のことですから、その内容の充実具合はその音楽を聞くほどに明らかなのものとなります。
例えば、5曲目South Side でのミディアム・テンポの心地よいリズムに身を委ねながら、スミス→キャノン→ジョーダンのソロに耳を傾けますと、そのご機嫌でイキのよいモダン・ジャズに自然と元気が沸いてくるのですね。ここでのスミスの明朗で腕達者の音回しを聞いていますと、クリフォード・ブラウンが56年に亡くなって、このスミスこそブラウニー直系の後継者と期待されていたろうにと多少残念に思われます。キャノンボールは当然のごとくに圧倒的なブローを聞かせてくれまして、やはりキャノボールが加わることにより本作の興趣が増していることは疑いの余地はありません。
1. Tribute To Brownie
2. Brill's Blues
3. Ande
4. Star Dust
5. South Side
6. Val's Blues
Louis Smith(tp), Cannonball Adderley(as), Duke Jordan,Tommy Flanagan(p), Doug Watkins(b), Art Taylor(ds). 1958.2.4&2.9.
amazon.comでは試聴可能です。→Here Comes Louis Smith
詳しくはアマゾンでどうぞ。→Louis Smith / Here Comes Louis Smith
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:15
マイルス・デイヴィス/ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン
2005年10月07日
Miles Davis/The Man With The Horn
今日はマイルス・デイヴィスの『ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン』です。6年のブランクを経た1981年復帰第一作のエネルギーに満ちたポップな内容のアルバムです。ほぼリアルタイムの同時代音楽として受け止めてきた私としては今だによく聴く大好きなアルバムです。パーソネルは、マイルス・デイヴィス(tp)、ビル・エヴァンス(ss)、ランディ・ホール(vo)、ロバート・アーヴィング(p)、マイク・スターン、バリー・フィナーティ(g)、マーカス・ミラー、フェルトン・クルーズ(b)、アル・フォスター、ヴィンセント・ウィルバーン(ds)、サミー・フィグエロア(perc)。1981年録音。
マイルス・デイヴィスの時代の先端を走ることへの執着とその結果としての先見性といいますのは尋常なものではありますまい。40年代後半にチャーリー・パーカーのクインテットに参加することで桧舞台に立つ機会を得たマイルスにとって、パーカーの先駆性とそれへの絶大なる賞賛を身近に脇役として接すること、そうした刷り込み体験によって時代の先頭を行くことが宿命づけられたに違いないと思うわけです。
Cool(カッコいい)へのこだわりには才能というより、そうした生き様が反映されているような気がしてなりません。そんなに器用なわけでなく凡庸なトランペット奏者でスタートしたマイルスがいかにしてcoolなジャズマンとしての賞賛を勝ち得るかという一点に集約されていると。確かに演奏家としてでなく音楽家としては天性の才があったに違いないと思います。ただ、そこには、常に先端を走ることへのこだわり、下手なりにもトランペットをかっこよく響かせるバランス感覚、最高の若手サイドメンを集めてとにかくカッコよいジャズを創るといったプロデューサーとしての才など、通常のジャズメンとは全く異なった評価軸を当てはめる必要があります。
しかも、大衆性と革新性の両立という普通にはなかなか受け入れられないスタンスをいとも簡単に成し遂げているということ、このバランス感覚は音楽家としての才能が際立っていることを明示していると思われます。一演奏者としてでなく、真の創造者(クリエイター)としての才が桁外れということでありましょう。50~80年代ジャズ芸術について、常に変遷してゆくことを宿命として予言して、その体現者としてそれを証明し続けてきた芸術家、それがマイルス・デイヴィスです。常にフロンティアを開拓すること、それこそ最大の賛辞を与えられるべきであり、マイルスは大衆性を味方につけながらそれを成し得た稀代の芸術家と呼べるに違いありません。
前置きが長くなりましたが、マイルスは50年代、60年代と常に時代の先端をひたすら走り続けてきまして、80年代初頭においてもそうした期待を本作によって裏切ることはなかったということです。本作に聞かれる際どいながらも十分に許せるcoolな音に耳を傾けますと、マイルスの本質を少しは感じ取れるような気になるというものです。マイク・スターンのアブストラクトなギターやビル・エヴァンスのソプラノ・サックスの麗しいながらも過激な音、その手本を示すようなマイルスの気合のこもったトランペットの雄叫び、そしてそれらを支える強靭なリズムと魅力的なメロディが交錯する広大な音宇宙、ここには底知れぬ魔界が広がっているかのようでです。
1. Fat Time
2. Back Seat Betty
3. Shout
4. Aida
5. The Man With The Horn
6. Ursula
Miles Davis (trumpet); Randy Hall (vocals, celeste, Moog synthesizer, guitar); Bill Evans (soprano & tenor saxophones); Robert Irving III (piano, keyboards); Mike Stern, Barry Finnerty (guitar); Marcus Miller, Felton Crews (electric bass); Al Foster, Vincent Wilburn (drums); Sammy Figueroa (percussion).
JR.comでは試聴可能です。→Miles Davis/The Man With The Horn
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Miles Davis/The Man With The Horn
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:17
ケニー・ドーハム/静かなるケニ-
2005年09月10日
Kenny Dorham / Quiet Kenny
今日はケニー・ドーハムのワンホーン・アルバムの名作『静かなるケニー』ですね。熟練のトランペッターがキュートな曲をブルーに柔らかく料理した渋いアルバム。真摯なジャズ・ファンにとっては愛すべき大切な一枚になろうかと思われるお勧めの一枚です。パーソネルは、ケニー・ドーハム(tp)、トミー・フラナガン(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)。1959年録音。Prestige。
ケニー・ドーハムは私のお好みのトランペット奏者です。そのグルーヴィーでブルージーな黒いセンスと堅実で安定感のある歌い回しには、ハード・バップの多くのトランペッターの中でも筆頭格の力量を感じます。すでにご紹介した『カフェ・ボヘミア 』や『アフロ・キューバン 』、それに今後ご紹介することになるであろう『ウナ・マス』や『マタドール』などの傑作リーダー作、さらにはサイドマンで参加している多くの作品がありますね。
本作はそんな実力者の唯一のワン・ホーン作品です。腕達者だけに安心して聞き込むことができます。トランペット・ワンホーン作品といいますのは私にとっては何か普通の編成とは異なる独特の意味合いがあるように思われます。じっくりと少しお洒落なジャズ的雰囲気に浸りたい、でもあまり深刻なのは疲れるからほどほどに楽しいヤツといった括り方とでも言いましょうか。そんな時に何気なく聞くにはもってこいなのですね。
こうしたお気に入りのトランペット・ワンホーン作としては、リー・モーガン『キャンディ 』とアート・ファーマー『アート 』、それに本作の3作品が私のお好みベスト・スリーといったところでしょう。実際よく聞くアルバムなのですね。その中でも本作は落ち着きがあってクセもあまりないので最も好きなアルバムと言えるでしょう。
ドーハムのペットにトミー・フラナガンのピアノとポール・チェンバースのベースという組み合せは申し分のない最高のものに違いありません。特に、トミフラのアッサリ味だけど鋭い切れ味のピアノがきらりと光る場面が数多くあります。
全8曲。3曲目Blue Friday と5曲目 Blue Spring Shuffle はドーハムの本領が発揮されたミディアム調のグルーヴィーなブルースです。やはりこうした演奏でのドーハムが最もドーハムらしくて聞く側としては安心ですし自然とうれしくなってくるのですね。しかしながら、2曲目My Ideal や5曲目 Blue Spring Shuffle、6曲目 I Had the Craziest Dreamら、本作が主題とする愛らしい曲での慎ましやかな吹奏もまた抜群の魅力があるのですね。スローからミディアム調でのキュートなメロディを料理する手際の良さには流石に当代一流の技を感じさせられます。
1. Lotus Blossom
2. My Ideal
3. Blue Friday
4. Alone Together
5. Blue Spring Shuffle
6. I Had the Craziest Dream
7. Old Folks
8. Mack the Knife
Personnel: Kenny Dorham (trumpet); Tommy Flanagan (piano); Paul Chambers (bass); Art Taylor (drums). Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey on November 13, 1959. Originally released on New Jazz (8225). Includes liner notes by Jack Maher. Digitally remastered using 20-bit K2 Super Coding System technology.
JR.comでは試聴可能です。→ Quiet Kenny
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Quiet Kenny
関連エントリーはこちら。
→ケニー・ドーハム『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』
→ケニー・ドーハム『アフロ・キューバン』
→リー・モーガン『キャンディ』
→アート・ファーマー『アート』
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:18
リー・モーガン/ザ・サイドワインダー
2005年08月26日
Lee Morgan / The Sidewinder
今日はリー・モーガンの大ヒットアルバム『ザ・サイドワインダー』です。サイドワインダーは米の人気TVに登場していた怪物の名前から取られたとのこと。ジャズ・ロック調の軽快なリズムと魅力的なメロディでまさに怪物のような売上ヒット・アルバムとなりました。パーソネルは、リー・モーガン(tp)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、バリー・ハリス(p)、ボブ・クランショウ(b)、ビリー・ヒギンス(ds)。1963年録音。BlueNote4157。
リー・モーガン(1938~1972)のトランペットは華麗なテクニックと艶やかなトーン、それにスタイリストとしてのカッコよいイメージで、デビュー以来早熟の天才肌で言わばハード・バップの申し子のような存在。その彼が60年代に入ってファンキー・ジャズの先端に位置するジャズ・ロック調の派手なジャズに突き進むのは至極当然のようにも見えるのでした。
58~61年のジャズ・メッセンジャーズ在籍時がやはり旬であったと思われるのですが、61年の来日直後に病気療養のため故郷のフィラデルフィアに戻ること2年、本アルバムを63年にリリースするやモーガン起死回生の一打となったばかりかブルーノート創立以来の大ヒット・アルバムという輝かしい記録を打ち立てることになるのでした。1曲目のモーガン作「ザ・サイドワインダー」は調子のよいロック・ビートに乗った親しみやすく、誰しも一度耳にしたら忘れられない魅力を持った印象深い曲です。
実のところ本作品は私にとって長い間少し距離を置いてきたアルバムです。超有名作品ということでとりあえず聞いておこうということで昔々に購入したのですが、あまりに大衆受けしやすくて安易で分かりやすい点に何かしら胡散臭いものを感じてきたのでした。ただ近頃は、ジョー・ヘンダーソンやバリー・ハリスのことを深く知るにつれて妙にその細部からじわりじわりと魅力が増してきているように思えます。特にこの時期のジョー・ヘンダーソンの斬新なテナーは一聴に値するものといえましょう。
1. The Sidewinder
2. Totem Pole
3. Gary's Notebook
4. Boy, What A Night
5. Hocus-Pocus
6. Totem Pole - (alternate take, bonus track)
Lee Morgan (trumpet); Joe Henderson (tenor saxophone); Barry Harris (piano); Bob Cranshaw (bass); Billy Higgins (drums). Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey on December 21, 1963. Includes liner notes by Leonard Feather.
JR.comでは試聴可能です。→ The Sidewinder
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Lee Morgan / The Sidewinder
関連エントリーはこちら。
→リー・モーガン『キャンディ』 (1957)
→リー・モーガン『リー・モーガンVol.3』 (1957)
→リー・モーガン『ヒアズ・リー・モーガン』 (1960)
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:19
マイルス・デイヴィス/チュチュ
2005年08月10日
Miles Davis/Tutu
今日はマイルス・デイヴィスの『チュチュ』に耳を傾けています。マーカス・ミラーがフェンダー・ベースとともに主役のような作品ですが実にカッコいい音楽なのですね。あまり好んで聞く機会は少ないのですが、たまに勢いで聞いていますね。パーソネルは、マイルス・デイヴィス(tp)、マーカス・ミラー(b)、他。1986年録音。
サンプリング音の人口的な響きがちょっと耳につきますが、センスがいいという感じはよくわかります。1曲目の表題曲などは実にイカした音楽だと思います。マイルス・デイヴィスがCBSを離れてワーナーに移籍した第1弾のアルバム。御歳60才という年齢を全く感じさせない若々しい音です。
ジャケットのマイルス自身のアップの写真が強烈な印象です。人種差別の激しい南アフリカ共和国の反アパルトヘイト運動の旗手の名をアルバム名にしたとのことです。そうしたコンセプトがジャケットに反映されているのでしょう。実にインパクトのあるジャケットですね。
80年代初頭に6年ほどのブランクを経て復帰したマイルスがCBSに吹き込んだ『ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン』や『ウィ・ウォント・マイルス』とはまたかなり異なった世界です。マーカス・ミラーのフェンダーが活躍するところは同じですが、シンセサイザーを駆使した本作はずっと時代感覚の先へ行こうとする意欲を感じさせるものと言えるでしょう。実を言うとエンターテイメントとしてはCBSの作品の方に私はずっと魅力を感じます。エレクトリックとは言え生の楽器に込められた生命感がダイレクトに伝わってくるからです。
そうした思惑とは別に本作は結構に高い評価を得ているようで、私としましてはまだまだ理解が低いのかもしれないと感じるのですね。60年代後半の『ビッチェズ・ブリュー』以降のマイルスで積極的に楽しめるのが先のCBSの2作くらいというところでして、50年代60年代の古きメインストリームジャズをベースにした頑固な耳しか持たないというのがどうも現状なのだろうと思っています。
1. Tutu
2. Tomaas
3. Portia
4. Splatch
5. Backyard Ritual
6. Perfect Way
7. Don't Lose Your Mind
8. Full Nelson
Miles Davis (trumpet); Marcus Miller (various instruments, bass, programming); George Duke (various instruments); Michael Urbaniak (electric violin); Adam Holzman (synthesizer, programming); Bernard Wright (synthesizer); Omar Hakim (drums, percussion); Steve Reid, Paulinho Da Costa (percussion); Jason Miles (programming).
JR.comでは試聴可能です。→Miles Davis/Tutu
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Miles Davis/Tutu
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:20
ケニー・ドーハム/アフロ・キューバン
2005年07月27日
Kenny Dorham/Afro-Cuban
今日はケニー・ドーハムのBN初リーダー作の『アフロ・キューバン』ですね。1曲目「アフロディジア」が近年大人気とのことですが私の場合は断然2曲目の「ロータス・フラワー」(蓮の花)が実はお気に入りなのです。パーソネルは、ケニー・ドーハム(tp)、J.J.ジョンソン(tb)、ハンク・モブレー(ts)、セシル・ペイン(bs)、ホレス・シルバー(p)、パーシー・ヒース(b)、アート・ブレイキー(ds)、カルロス・ポタート・ヴァルデス(conga)。1955年NY録音。BlueNote1535。
初代ジャズ・メッセンジャーズのメンバー4人(ドーハム、モブレー、シルバー、ブレイキー)が参加したドーハムの初期を代表するアルバムです。『カフェ・ボヘミアのジャズ・メッセンジャーズ』(BN1507)や『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム』(BN1524)はBN番号こそ小さいですが本作よりほんの少しあとの録音なのです。本作は10インチ盤をベースに12インチLP化したもの。
1~5曲目のコンガが入った演奏で最初はちょっととっつきにくいかもしれませんがそのエキゾティックなところを新鮮に感じて許容できればきっと楽しめる内容でしょう。6~9曲目は通常のハードバップ、しかもハードバップという形態が産声を挙げたばかりの時期の演奏です。いずれもドーハムの堅実で落ち着いたトランペットの音色と演奏テクニックが印象に残ります。
1曲目が80年代ロンドン・クラブ・シーンで注目を集めて再評価されることになる有名曲。この曲を聞きながら踊る若者ってのは相当先鋭的な耳の持ち主たちなんだろうなと思ったりします。私にとりましては何といいましてもずっとスローで美しいメロディの2曲目なのですけれどね。この曲なら私も踊ってみたいとその気になるように思います。リズムを刻むコンガの響きがいかにもラテンのダンスを思い起こさせてくれます。ダンスが身近になった大ヒット映画『シャル・ウィ・ダンス』の世界ですね。
この2目曲Lotus Flower は通常のモダン・ジャズにはない魅力があって私は大好きなのです。今晩も何度も何度も繰り返して聞いています。まさに快楽印ミュージックです。本アルバムは少し変化のあるハードバップですがたまに無性に聞きたくなる妙に吸引力のある作品です。
1. Afrodisia
2. Lotus Flower
3. Minor's Holiday
4. Minor's Holiday - (alternate take)
5. Basheer's Dream
6. K. D.'s Motion - (CD only)
7. La Villa
8. Venita's Dance
9. K. D.'s Cab Ride - (CD only)
Kenny Dorham (trumpet); Hank Mobley (tenor saxophone); Cecil Payne (baritone saxophone); Jay Jay Johnson (trombone); Horace Silver (piano); Oscar Pettiford, Percy Heath (bass); Art Blakey (drums); Carlos "Potato" Valdes (congas). Producer: Alfred Lion. Reissue producer: Michael Cuscuna. Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey on January 30 and March 29, 1955.
JR.comでは試聴可能です。→Kenny Dorham/Afro-Cuban
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Kenny Dorham/Afro-Cuban
関連エントリーはこちら。→ケニー・ドーハム『カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム 』
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:21
フレディ・ハバード/オープン・セサミ
2005年07月21日
Freddie Hubbard / Open Sesame
今日はフレディ・ハバードの初リーダー作でかつ代表作である『オープン・セサミ』です。ハバードもいいですが、テナーのティナ・ブルックスとピアノのマッコイ・タイナーという二人の妙味を確認するためのアルバムといえるかもしれませんね。パーソネルは、フレディ・ハバード(tp)、ティナ・ブルックス(ts)、マッコイ・タイナー(p)、サム・ジョーンズ(b)、クリフォード・ジャーヴィス(ds)。1960.6.19.NJ録音。BlueNote4040。
マッコイ・タイナーが単なるハード・バップとは異なるやはり新世代の新感覚をほのかに匂わせています。特にリリカルな小気味よいタッチは実に素敵に思うのですね。例えば、2曲目の名曲 But Beautiful でのティナ・ブルックスのソロの直後、マッコイが引き継ぐところの最初の数音の連なりなどを耳にしますと私はその洗練された高い美意識に深い共感を覚えるのです。この感覚は他でもよく感じることのできる私の好きなマッコイの際立った一面なのです。
一方、フレディ・ハバードのトランペットは全く淀みのない優等生のものです。常に一定の水準を示します。危なげのない演奏だけに、リー・モーガンのようなスリルのある面白さが感じられず、むしろクリフォード・ブラウンのように上手すぎて返って楽しめないというところがあるような気がいたします。ストレート・アヘッドな演奏でその実力が遺憾なく発揮されているのが本作というところでしょう。よくわかりました、流石にあんたは凄い、という印象です。
その意味でもティナ・ブルックスの貧弱で危なかっしい佇まいは異彩を放っています。その底流に流れる繊細かつソウルフルな味が絶妙に臭い立ってくるあたりは持ち前の個性というものでしょう。多弁で安定感のあるハバードと朴訥で線が細いけれどとても黒っぽいティナの組み合わせは、他のアルバムでも聞くことができますが、これはなかなかgoodなコンビという感じがします。
1. Open Sesame
2. But Beautiful
3. Gypsy Blue
4. All Or Nothing At All
5. One Mint Julep
6. Hub's Nub
7. Open Sesame - (alternate take, bonus track)
8. Gypsy Blue - (alternate take, bonus track)
Freddie Hubbard (trumpet); Tina Brooks (tenor saxophone); McCoy Tyner (piano); Sam Jones (bass); Clifford Jarvis (drums). Recorded at Rudy Van Gelder Studios, Englewood Cliffs, New Jersey on June 19, 1960.
JR.comでは試聴可能です。→Freddie Hubbard /Open Sesame
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Freddie Hubbard / Open Sesame
関連エントリーはこちら。→ティナ・ブルックス『トゥルー・ブルー』
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:22
マイルス・デイヴィス/クッキン
2005年07月19日
Miles Davis / Cookin'
今日はマイルス・デイヴィスの50年代プレスティッジから一番のお気に入りの一枚『クッキン』をご紹介しましょう。パーソネルは、マイルス・デイヴィス Miles Davis (tp)、ジョン・コルトレーン John Coltrane (ts)、レッド・ガーランド Red Garland (p)、ポール・チェンバース Paul Chambers (b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ Philly Joe Jones (ds)。 1956.10.26.NY録音。Prestige。
1曲目のMy Funny Valentine、いきなりバラードを持ってくるのは定石外ですが、些細なことは曲が進むうちに忘れ去られてしまうほどにここでのマイルスのミュート・トランペットの端正な佇まいが素敵ですね。それに続く少しアップ・テンポのレッド・ガーランドのピアノがグルーヴィーですし、寄り添うように波長を合せるポール・チェンバースのベースがまたジャズ的な雰囲気を醸しています。コルトレーンはいつ出てくるかと思いきやここではお休みなのですね。
2曲目のミディアム・ブルースではコルトレーンの重量級のずしりと重いテナーが地鳴りのように心地よく響き渡ります。マイルスのミュートとのバランスが絶妙というところです。それにここでもガーランドのピアノが小気味よくキュートなメロディを刻みます。
本当に50年代半ばのマイルス・デイヴィスは明快なモダン・ジャズで聴くほどにいい味が出てくるのですね。そうモダンとくれば、それは関西お好み焼きの雄、「鶴橋風月」のモダン焼きのようにキャベツのしっかりした甘みとこしのある麺、それに関西風甘めのソースの3者、その絶妙のバランスに相通じるものを感じます。思い切り話がそれてますがな(笑)。マイルス、コルトレーン、ガーラーンド、チェンバース、この組み合わせの妙は流石にマイルスのセンスの良さを物語っておりますですね。フィリー・ジョーのことも忘れんといてと外野席から野次が飛びそうですが。私はこういう微妙なセンスには結構に敏感に反応する性質(たち)です。3曲目、4曲目も同様です。以上。
1. My Funny Valentine
2. Blues By Five
3. Airegin
4. Tune-Up / When Lights Are Low
JR.comでは試聴可能です。→Miles Davis / Cookin'
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Miles Davis / Cookin'
関連エントリーはこちら。
→マイルス・デイヴィス『ラウンド・アバウト・ミッドナイト 』(1956)
→マイルス・デイヴィス『1958マイルス 』(1958)
→マイルス・デイヴィス『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム 』(1961)
→マイルス・デイヴィス『マイ・ファニー・バレンタイン 』(1964)
→マイルス・デイヴィス『イン・ベルリン 』(1964)
→マイルス・デイヴィス『プラグドニッケルのマイルス・デイヴィス 』(1965)
→マイルス・デイヴィス『ESP 』(1965)
→マイルス・デイヴィス『ウィ・ウォント・マイルス 』(1981)
お好み焼きの「鶴橋風月」はチェーン展開を積極的に行っておりまして、関西では本店鶴橋以外にもそこかしこにあるようです。梅田ではヨドバシカメラの7階か8階の名店街に、神戸三宮ではワシントンホテル内1階にありまっせ、と。私もたまに利用させてもらってますがモダン焼きがお勧めです。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:22
リー・モーガン/リー・モーガンVol.3
2005年06月28日
Lee Morgan / Lee Morgan Vol.3
今日はリー・モーガン『Vol.3』ですね。先日四谷『いーぐる』でじっくり聞いてやはりこりゃ堪らないよなという思いでエントリーします。思い起こせば私がジャズの魅力に開眼したのは20才の頃、アート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズ在籍時のリー・モーガンのトランペットによる「I Remenber Clifford」や「Whisper Not」でのキュートでリリカルなソロを好ましいと感じたことがきっかけでした。モーガンはその意味でジャズ初恋というイメージに重なります。パーソネルは、リー・モ-ガン(tp)、ジジ・グライス(as)、ベニー・ゴルソン(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、チャーリー・パーシップ(ds)。1957.3.24.NY録音。BlueNote1557。
一流のジャズを良きジャズ喫茶のしっかりした音響設備&空間でしかも「よし聞くぞ」と気合を入れて聴くことになりますと自ずとそこには相応しい深い感銘が待ち受けているというものです。前回のカーメン・マクレエもそうですが、本日のリー・モーガンも正しくその類なのです。
ジャズに開眼させてもらったジャズ・メッセンジャーズのことはこのブログの立上げ時にすでにエントリーしています。→ジャズ・メッセンジャーズ『パリ・オリンピア・コンサート1958 』
リー・モーガンはジャズ・メッセンジャーズで世界的に有名になりましたが、それ以前にブルーノートに何枚ものリーダー作を残しています。本作は3作目に当たり、若干19才時の録音です。3曲目「I Remenber Clifford」でのソロがやはり圧巻です。この曲はご存知の通り本作でも音楽監督として共演しているベニー・ゴルソン作のスタンダードですが、クリフォード・ブラウン死後まもない時期の録音ということとその内容の充実度から言って最も著名なものに違いありません。確かに、モーガンのソロには匠の技の冴えがある、リリシズムがある、リズムを味方につけている、という最高の賛辞を惜しみなく与えたい感じです。楽器を自在にコントロールしているという点でも安心して没入できるのですね。クリフォード・ブラウンしかり、また先日登場したいただいたキャノンボール・アダレイに通じるものがあり、さらに言えば50年前後の若きマイルス・デイヴィスとは対照的ではあります。
その意味で、本作の後に結成されたアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズというジャズ・グループはこのリー・モーガンとベニー・ゴルソンという二人のフロントを迎えているということで、名曲、名アレンジ、名アドリブ、という3拍子がすでに約束されていた、つまり大いなる成功が確約されていたといえるでしょう。本作は全5曲。この数日iPodに入れてじっくり聴き直していますが、ゴルソン・アレンジの妙とモーガンの手練手管を楽しむ素敵なハード・バップです。一言付言するなら、ジジ・グライスのアルトが結構に魅力があるということです。
1. Hasaan's Dream
2. Domingo
3. I Remember Clifford
4. Mesabi Chant
5. Tip Toeing
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Lee Morgan / Lee Morgan Vol.3
当ブログでの関連エントリー→ リー・モーガン『キャンディ 』
→ リー・モーガン『ヒアズ・リー・モーガン 』
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:23
マイルス・デイヴィス/E.S.P
2005年06月19日
Miles Davis/ E.S.P.
今夜はマイルス・デイヴィスの名盤『E.S.P.』です。60年代半ばのマイルス・グループはウェイン・ショーターを音楽監督に迎えてショーター色の濃い4部作を発表します。本作はその第1弾です。パーソネルは、マイルス・デイヴィス(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)。1965年LA録音。
このアルバムには学生時代、京都岡崎公園に近い熊野神社そばにあるジャズ喫茶(銭湯の帰りに立ち寄るような隣近所)で初めて聞いて衝撃を受けたのでした。そのレコードのB面だったと思うのですが、今までに聞いたことのないジャズ、奥行き感のある深い音楽というのでしょうか。何か得体の知れないもの、それでいて何か共感できる美を感じ取れるのです。一見すると陰気くさい負の世界のように映るのですが、聞き込むうちに深遠で透徹した音楽美がおぼろげに垣間見えてくるのでした。
60年代前半のマイルスはコンサート・ライブを中心として活動し、スタンダード曲を完成されたモード手法で口当たりよくかつ芸術的に料理することで高いポピュラリティを獲得してきました。そして、ショーターをレギュラーに加えて不動の固定メンバーが成立した段階で新たな局面を切り開くべく本作をスタートとするスタジオ録音を開始したというわけです。関連エントリー→『マイルス・デイヴィス/サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム 』
全7曲。いずれも不思議な感覚の斬新な音楽です。お気に入り曲について一言づつコメントしておきましょう。2曲目Eighty-Oneはラテン風リズムで気だるい雰囲気の曲。ショーターのテナーが水を得た魚のようにいい感じのソロを披露しています。また、3曲目はハンコックのリーダー作『処女航海』でも扱われたハンコック作のハンコックらしい流麗な好印象の曲。そして、6曲目Irisは沈静したブルーなまさにショーター的世界です。ハンコックのソロが美しい。さらに。7曲目Moodはさらに絶妙なリズムと間を持ったショーターの才能を感じさせる印象深い力作です。スパニッシュの香りと独特のリズム感が素晴らしい。そして、全体を通じて特筆すべきこととして、ロン・カーターのベースがリズムの基調を作り出しており大活躍します。このアルバムの影の立役者こそロン・カーターであろうとそう思えるのです。一方、トニー・ウィリアムスはいつもとは異なりかなり控えめに感じられます。
1. E.S.P. 5:27
2. Eighty-One 6:11
3. Little One 7:21
4. R.J. 3:56
5. Agitation 7:46
6. Iris 8:29
7. Mood 8:50
JR.comでは試聴可能です。→Miles Davis/ E.S.P.
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Miles Davis/ E.S.P.
この65年、各メンバーは高レベルのリーダー作を残しています。ハービー・ハンコック『処女航海 』、ショーター『オール・シーング・アイ』『預言者 』、トニー・ウィリアムス『スプリング』、こうして並べまてみますと力作ぞろいですね。ちなみにいずれもBlueNoteでして、ハンコックとウィリアムスはBNの専属でした。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:24
マイルス・デイヴィス/1958マイルス
2005年04月01日
Miles Davis/ 1958 Miles
今夜はマイルス・デイヴィスの人気盤『1958マイルス』です。名盤『サムシン・エルス』の2ヶ月後の録音でピアノがビル・エヴァンス、私はこっちの方が好きなんです。パーソネルは、マイルス・デイヴィス(tp)、キャノンボール・アダレイ(as)、ジョン・コルトレーン(ts)、ビル・エヴァンス(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ(ds)、5のみレッド・ガーランド(p)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。1958年録音。
このアルバムは日本で企画・製作され、オムニバス盤として分散していた音源を一枚にまとめたもの。ジャケット・デザインは大分と以前に亡くなって久しい池田満寿夫さんによるものですね。私このアルバムははっきりいって傑作だと思います。1年後に『カインド・オブ・ブルー』でモード手法が開花することになりますが、その前夜のまだオーソドックスで理解しやすいモダン・ジャズのエッセンスが全体を支配しています。マイルス、コルトレーン、キャノンボールというフロントは『サムシン・エルス』と同じですが、ピアノがハンク・ジョーンズからビル・エヴァンスになっていることで音楽的に深みのあるものになっているように思います。そして、マイルスのミュートが冴えわたっておりその至芸を味わうには格好の対象でしょう。
1曲目の「オン・グリーン・ドルフィン・ストリート」を聴けば明らかです。この演奏、ほんと素晴らしいですね。マイルスのミュートがまず圧倒的です。しょぼいテクニックしか持ち合わせていなかったマイルスがこの時期はいかにすればカッコよく鳴らせるか、聴衆に受け入れられるかをほぼ完全に体得したように思われます。コルトレーン→キャノンボール→エヴァンスと素敵なソロの連続が引き継がれてゆきます。
それに3曲目の「ステラ・バイ・スターライト」がいい。これは後のライブで頻繁に演奏されることになる曲ですが、マイルスのミュートが光っています。そして、4曲目の「ラブ・フォー・セール」は『サムシン・エルス』にも入っていた曲。なぜお蔵入りになっていたのか不思議なくらいに素晴らしく、私は断然こちらの演奏に軍配を上げたいですね。特にマイルスのミュートがイマジネーションに富んでいます。
5曲目はレッド・ガーランドとフィリー・ジョーが入った演奏でして、岡崎正通氏のライナーノーツには1958年録音としていますが、1955年と1958年の2つの説があるとのこと。この音を聴きますとこれは完全に55年当時の音だと直感します。マイルスのペットの流暢でないところやコルトレーンのテナーなどからして明らかに55年の音だと思いますね。1958というタイトルにこだわって1958年録音説のある音源を持ってきたのでしょうが、ちょっと無理があるのではと思ったりします。
1. On Green Dolphin Street (9:55)
2. Fran Dance (5:54)
3. Stella By Starlight (4:45)
4. Love For Sale (11:45)
5. Little Melonae (7:21)
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Miles Davis/ 1958 Miles
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:25
マイルス・デイヴィス/マイルス・イン・ベルリン
2005年03月24日
Miles Davis/Miles in Berlin
今日はマイルス・デイヴィスの『マイルス・イン・ベルリン』です。ウェイン・ショーターが加わりレギュラー・クインテット発足後第1作です。パーソネルは、マイルス・デイヴィス(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)。1964年ベルリン・フィルハーモニック・ホールで録音。
60年代半ばのマイルスの音楽は私のfavoritesです。モダン・ジャズの洗練されたエッセンスと熟れた果実の芳香を感じることができます。ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリマムスのリズムがスリルとロマンに満ちていますし、ショーターが加わることで奔放なフリーの要素が導入されさらに神秘的な色彩が加わることでマイルス・グループの音楽性が一気に拡大しています。
下記に少しまとめてみましたが、⑥と⑧以外はすべてライブ演奏で、⑦のシカゴでのエキサイティングなライブ演奏が最も好みです。ここでのウェイン・ショーターの新鮮なテナー美学は驚きですし、ハンコック以下のリズムも驚異的な世界を築いています。それにマイルスが1年のブランクの鬱憤を振り払うかのような溌剌とした演奏を繰り広げています。
①In Europe 63.7.27 Coleman,Hancock,Carter,Williams
②My Funny Valentine 64.2.12 Coleman,Hancock,Carter,Williams
③Four&More 64.2.12 Coleman,Hancock,Carter,Williams
④In Tokyo 64.7.14 Rivers,Hancock,Carter,Williams
⑤In Berlin 64.9.25 Shorter,Hancock,Carter,Williams
⑥ESP 65.1.20-22
⑦At the Plugged Nickel 65.12.22-23
⑧Miles Smiles 66.10.23-24
また、ショーター色の濃い⑥も大好きですし、②や本作の⑤も大のお気に入りになっています。メンバーもテナーが流動的でしたが本作がショーターがレギュラーとして加わった最初の録音です。本アルバムでは当時ライブでしきりに演奏しているレパートリー曲が中心ですが、2.枯葉はあまり演ってない曲、その解釈が新鮮でおもしろく、ショーターのテナーがすでに本来の特徴を出し切っていて深い世界を形作っていますね。ソロの構築力はいつもながら非凡さを感じさせます。収録曲は以下の5曲。
1. Milestones (8:58)
2. Autumn Leaves (12:48)
3. So What (10:40)
4. Walkin' (10:38)
5. Go-Go (Theme And Announcement) (1:46)
JR.comでは試聴可能です。→Miles in Berlin
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Miles Davis/Miles in Berlin
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:26
アート・ファーマー/モダン・アート
2005年03月20日
Art Farmer/ Modern Art
今日はアート・ファーマーです。訥々とした哀愁あるトランペット・ソロにはいつも参ってしまいますが、傑作と言われる『モダン・アート』ではベニー・ゴルソンやビル・エヴァンスと極上のモダン・ジャズを繰り広げています。パーソネルは、アート・ファーマー(tp)、ベニー・ゴルソン(ts)、ビル・エヴァンス(p)、アディソン・ファーマー(b)、デイヴ・ベイリー(ds)、1958年9月NY録音。
アート・ファーマーのトランペットが好きです。派手さはないですが安定した渋い腕達者で常に高水準の結果を残します。それに数少ない最適音から哀感漂う風情を導き出す術には惹かれます。ワン・ホーンでは以前にご紹介した『アート 』ですし、2管では本作『モダン・アート』ですね。
それに本作の聞き所はビル・エヴァンスの参加です。まもなく『エヴリバディ・ディグス』(1958年12月)を録音する時期に当り独特のバラッド奏法が開花しようとしています。従い、アート・ファーマー参加の『クール・ストラッティン』(1958年1月)等のハード・バップ路線やましてやファンキーとは一線を画する内容になっています。
アート・ファーマーとビル・エヴァンスの組み合わせ、これ絶妙だなあと実は私は思っています。硬質なタッチとすでに内省的な雰囲気のビル・エヴァンスと、アート・ファーマーの端整な佇まいとは共鳴する何かを感じますね。知的でお洒落な感覚。キュートなミディアム・テンポの曲調での味わいは他にはない品のあるジャズ・テイストが溢れています。
全8曲。歌もの中心で、ファーマー、ゴルソン、エヴァンスのソロがそれぞれに味があってどの曲も堪らない演奏です。やはりファーマーがいいです。それにエヴァンスも劣らずにいいです。特にエヴァンスは大好きな『エヴリバディ・ディグス』のタッチ感覚なのですね。ファーマーは3.Darn That Dreamや4.The Touch Of Your Lipsのミディアム・スロー曲でのソロがイカしています。6と7.I Love Youのミュートも新鮮でいいです。エヴァンスもどれも素晴らしいですが、4.The Touch Of Your Lipsや7などがお好みです。硬いタッチのシングル・トーンが小気味よくスイングしています。
1. Mox Nix
2. Fair Weather
3. Darn That Dream
4. The Touch Of Your Lips
5. Jubilation
6. Like Someone In Love
7. I Love You
8. Cold Breeze
Art Farmer (tp), Benny Golson (ts), Bill Evans (p), Addison Farmar (b), Dave Bailey (ds).
United Artist. 1958.9.NY録音。
JR.comでは試聴可能です。→Art Farmer/ Modern Art
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:27
ドナルド・バード/バード・イン・ハンド
2005年03月11日
Donald Byrd /Byrd in Hand
今日はドナルド・バードです。ハード・バップの名作『バード・イン・ハンド』。パーソネルは、ドナルド・バード(tp)、チャ-リー・ラウズ(ts)、ペッパー・アダムス(bs)、ウォルター・デイヴィス(p)、サム・ジョーンズ(b)、アート・テイラー(ds)。1959年3月録音。BlueNote4019。
ドナルド・バードは50年代にポスト・クリフォード・ブラウンとしてリー・モーガンらとともに期待された新人でした。本アルバムはバードの初期代表作と言えるハード・バップの名作です。長く私のお気に入りです。バードといえば以前にご紹介したファンキー・ジャズの名盤『フュエゴ 』(1959年10月録音BN4026)の方が著名かもしれませんが、本作は正統派ハード・バップでありファンキーに突き進む前夜のような雰囲気があります。ですから、こってりファンキーに少し食傷気味の私のようなジャズファンにはこちらのバードの方が日常的によく聴くことになります。
ドナルド・バードの明朗でブルージーなペットの特徴がよく出た作品ですので、バード・ファンでバードをもっと知るには外せない一枚でしょう。編成はチャーリー・ラウズとペッパー・アダムスとの3管となっており、トランペットにテナーとバリトンという変則な編成ながら、計算されたアンサンブルが効果的に展開されています。ペッパー・アダムスのバリバリしたバリトンがいい意味でアクセントになっています。それに、この時期(58-59年)セロニアス・モンク・カルテットのメンバーである、チャーリー・ラウズ、サム・ジョーンズ、アート・テイラーの3人がすべて参加していて、ラウズが渋くて老練なテナー・ソロを聞かせてくれます。
全6曲。ハード・バップ~ファンキー調の魅力的なメロディが並びます。1曲目のバードとサム・ジョーンズの出だし部分などはハード・バップの醍醐味を伝える典型的なものだと思います。テーマを紹介した後に各ソロが順にバトンを繋ぐように弾きつがれて行きます。4曲目もキュートなテーマを展開していましてこれぞブルーノート・サウンドとゾクゾクするものを感じさせてくれます。やはりバードのソロは見事ですしラウズの流麗さもさすがという感じです。
1. Witchcraft
2. Here I Am
3. Devil Whip
4. Bronze Dance
5. Clarion Calls
6. The Injuns
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:28
ウィントン・マルサリス/スタンダート・タイムVol.1
2005年02月23日
Wynton Marsalis / Standard Time, Vol.1
今日はウィントン・マルサリスの登場です。『スタンダート・タイムVol.1』はスタンダード曲を現代感覚で新たに創り上げられたマルサリスのワン・ホーンの名盤です。パーソネルは、ウィントン・マルサリス(tp)、マーカス・ロバーツ(p)、ロバート・レスリー・ハースト(b)、ジェフ・ティン・ワッツ(ds)。1986年NY録音。
恐らく食わず嫌いなんでしょうけれどウィントン・マルサリスはちょっと苦手なんです、実は。クラシックも演ったりと何となく優等生的で。というより、基本的に醒めている感じがして体温が違うっていうかいまいち馴染めないところがあるのです。熱くなってみなよ、たまには黒いブルースをブルージーに演りなよ、とか言いたくなったりしますね。やめときましょ。ファンの方きっと大勢いらっしゃるでしょうし、私も今後もずっと同じと言い切る自信もないですから。
それと、あともう一人実はいるんです。そのネイム・バリューからしてなぜかまだ当ブログに登場してないピアニストが。そう、あの方です。当ブログを何度もご訪問されている方なら何となくわかってもらえるかもしれませんですね。こちらはまたそのうち別の機会に書くとしましょう♪
さて、本作はウィントン・マルサリスの数多い作品の中で少しは許せるアルバムです。と申しましても、3枚くらいしか知らないのですけれど(笑)。まあたいへんに定評のある作品ということで、それにスタンダード集であり、あと、ピアノのマーカス・ロバーツのファンということもあり、といろいろ理由付けができますですね。とりあえず歌ものが好きな小生にとりましてスタンダード集というのは何をおいてもまず聞いてみましょう、ということになります。
それがここでのスタンダードは現代的で斬新な世界なんですね。期待したねっとり甘味系や明快くっきりバップ系も若干はあることはあるのですが、いずれもマルサリスさんらしくカッコよくまとめてらっしゃるのですね。にくたらしいですね(笑)。夜景を見ながらスマートに口説き落とすような全く別世界に住んでらっしゃるような方です、ハイ。もっとストレートにいきましょうよ、そこらの屋台で本音トークで、と思わず叫んでしまいますね。
ということで全12曲(もあるのか!?)。そう12曲いずれもイカしたジャズでっせ(関西弁丸出し)。それにこのシリーズVol.6まであるらしいですね(正直ぞっとします)。CDの最後になんか雄叫びがきこえますが、あれは何なのでしょうか。やっぱこういう演奏をいっぱいやると鬱積がたまるんでしょ、って勝手に解釈しますが。
2のパリの4月はジャジーですね。参ってます正直。それにしてもマルサリスさんのペット、時々高い側に音をはずすのをやめてもらいたいですけれどね。あれ聞くと何となくアンニュイ~って感じであ~またかいなとなりますね。それに3.チェロキーはどこかで聞いたことがあるとすぐ直感する人は手を挙げて、なんてね。コールマン・ホーキンズのテナーが聞こえてきそうですよね。そう、このアレンジはシェリー・マン『2-3-4』での同曲をそのまま使ってますよね(おいおいマルサリスさんよ、おふざけなさって)。5.ニューオーリンズなんかも素晴らしいじゃないですか、しびれますね、ほんと、マーカス・ロバーツ以下リズムですけんどね(笑)。
1.Caravan
2.April in Paris
3.Cherokee
4.Goodbye
5.New Orleans
6.Soon All Will Know
7.Foggy Day
8.Song Is You
9.Memories of You
10.In the Afterglow
11.Autumn Leaves
12.Cherokee
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:29
マイルス・デイヴィス/サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム
2005年02月05日
Miles Davis / Someday My Prince Will Come
今日はマイルス・デイヴィスの「サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム」です。50~80年くらいのおよそ30年の長きにわたり常に革新を追求しながら先端を走ってきたマイルス、私にとっては60年前後から65年くらいの諸作に洗練されたモダン・ジャズの醍醐味が感じられて最も好ましく思われます。パーソネルは、マイルス・デイヴィス(tp)、ハンク・モブレイ、ジョン・コルトレーン(ts)、ウィントン・ケリ-(p)、ポール・チェンバース(b)、ジミー・コブ、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。1961年NY録音。
ジャケットに写っている女性はマイルスの当時の夫人、フランシス・テイラーです。いつか王子様が、というアルバム名とこのジャケットは何やら意味ありげですね。また、このディズニーの名曲を初めてジャズの題材にしたのはデイブ・ブルーベックですが、マイルスの演奏以降スタンダードとして定着していくことになります。
59年の「カインド・オブ・ブルー」でモード奏法という、コードの制約から解き放ちスケールに基づく自由な即興を可能とするスタイルを提示したマイルスにとって、60年前後からショーターが加わる64~5年くらいまでの期間はモード奏法の確立とさらには次ステップのための試行錯誤の時期だったように思われます。
この時期、本作もそうですが、バラード系のスタンダード曲と斬新な新曲とを組み合わせて、前者では従来のコード主体、後者でモード主体という構図が見えます。新旧の調和点が絶妙な音空間を演出しています。こうした大衆性と芸術性の絶妙なバランス感覚は、ブルーなミュート・トランペット演奏と相まって高いポピュラリティの獲得に繋がっていると思われます。これはヨーロッパや日本を含む一連のライブ演奏で繰り返し確認されることになります。
60年代前半のマイルスの作品を並べてみました。「マイルス・アヘッド」以降、ギル・エヴァンスとのコラボレーションが①④⑤で継続されてます。その他はコンボですが、本作②と⑥以外はすべてライブ演奏となります。また、テナー奏者がショーターに固定するまで交代してゆきます。
①Sketches of Spain 60.3.10&11
②Someday My Prince will Come 61.3.21
③In Person at the Blackhawk 61.4.21&22 Mobley,Kelly,Chanbers,Cobb
④At Carnegie Hall 62
⑤Quiet Night 62
⑥Seven Steps to heaven 63.3.14 Coleman,Feldman,Hancock,Carter,Butler,Williams
⑦In Europe 63.7.27 Coleman,Hancock,Carter,Williams
⑧My Funny Valentine 64.2.12 Coleman,Hancock,Carter,Williams
⑨Four&More 64.2.12 Coleman,Hancock,Carter,Williams
⑩In Tokyo 64.7.14 Rivers,Hancock,Carter,Williams
⑪In Berlin 64.9.25 Shorter,Hancock,Carter,Williams
独立したコルトレーンが1曲目と5曲目に参加しています。レギュラーの地位を獲得したモブレイが貧弱に見えるのはやはりモードを独自のスタイルに昇華しはじめたコルトレーンの実力からして当然のことでしょう。その後テナー奏者は次々と入れ替わることになりますが危機感を持ったモブレイは次作ブラックホークでは発奮した演奏を聞かせてくれます。
全6曲、大変楽しめる内容です。偶数曲はバラード。あの大人の雰囲気を持ったアルバム「マイ・ファニー・ヴァレンタイン」の原型がここにあることが感じれられます。1や6はその後しばらくライブ演奏で頻繁に取り上げる定番です。また、ウィントン・ケリーのピアノがモード的な香りを少し感じさせてとても輝いていることを付け加えておきます。
1. Someday My Prince Will Come
2. Old Folks
3. Pfrancing
4. Drad-Dog
5. Teo
6. I Thought About You
JR.comでは試聴可能です。→ Someday My Prince Will Come
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:30
サド・ジョーンズ/ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ
2005年02月01日
Thad Jones / The Magnificent Thad Jones
今日はサド・ジョーンズの代表作「ザ・マグニフィセント」です。サドのBN2作目に当たる名盤です。ハンク、サド、エルヴィンのジョーンズ3兄弟はいずれもモダン・ジャズの巨星ですね。パーソネルは、サド・ジョーンズ(tp)、ビリー・ミッチェル(ts)、バリー・ハリス(p)、パーシー・ヒース(b)、マックス・ローチ(ds)。1956年NY録音。BlueNote1527。
サド・ジョーンズはカウント・ベイシー楽団で人気No.1のトランペッターとして53年から活躍しており、55年にベイシーの人気盤「エイプリル・イン・パリ」でよく知られるようになりました。本作の「ザ・マグニフィセント・サド・ジョーンズ」には1曲目に同曲エイプリル・イン・パリが収められており、少しスローテンポですがトランペット特有の明朗な響きの名演を聞かせてくれます。実にすがすがしくてよいですね。
全5曲。全体にハード・バップというよりビ・バップの感じですね。ジャズの持つおおらかな面がよく伝わってくるわかりやすいアルバムです。2曲目のブルースもリラックスしてとてもいい感じです。テナーのビリー・ミッチェルがいいソロをとってます。このミッチェル、やはりベイシー楽団に所属していてサドとはよく気心の知れた仲とのこと。
4曲目のスロー・バラードではサドの朗々と歌うトランペットがことさら印象的です。強烈なスイング感は乏しいのですが確かなジャズ・フィーリングを感じさせます。あっさりとしていてしかも暖かい感触です。5曲目でのミッチェルの貫禄あるソロ、それにバリー・ハリスの小粋なソロなどは本作を価値あるものにすることに十分貢献していると思います。また、ヒース、ローチという名手によるリズムもアルバム全体を通じて冷静で絶妙な好サポートを演じています。
サド・ジョーンズは本作のあとBNを去りますが、メル・ルイスとの有名なサド・メル楽団での成功を得た後、65年に戻ってくることになります。演奏自体はベイシー時代から変わりませんが、作編曲者・バンドリーダーとしての力量が評価されることになります。
1.パリの四月
2.ビリー・ドゥー
3.イフ・アイ・ラヴ・アゲイン
4.イフ・サムワン・ハッド・トールド・ミー
5.シーディア
mp3.comでは試聴可能です。→ The Magnificent Thad Jones
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お蔭様で本日のところ音楽ジャンルで28位と健闘中です。ありがとうございます。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:31
ブルー・ミッチェル/ブルース・ムーズ
2005年01月29日
Blue Mitchell / Blue's Moods
今日はブルー・ミッチェルの「ブルース・ムーズ」です。ハード・バップの後期から活躍する名トランペッター、ブルー・ミッチェルの痛快なワン・ホーンの代表的傑作です。パーソネルは、ブルー・ミッチェル(tp)、ウィントン・ケリー(p)、サム・ジョーンズ(b)、ロイ・ブルックス(ds)。1960年NY録音。Riversideレコード。
ブルー・ミッチェルといえばホレス・シルバーのアルバムなどで聞かれるように常に安定で卒のない信頼できるトランペットという印象があります。完璧なテクニックとブルージーなフィーリングで60年代前後で最も期待されたトランペッターの一人です。本作の「ブルース・ムーズ」はウィントン・ケリーらのリズム隊をバックにワンホーンで快調に歌いまくるミッチェルが存分にその本領を発揮した一枚です。
60年前後のウィントン・ケリーはマイルス・グループのピアノであり、優れたリーダー作を次々に世に送り出す、まさに絶好調そのものでした。本作でもミッチェルと対等に見事なブルージーなソロを繰り広げており、本アルバムをよりいっそう魅力あるものにしています。オーソドックスなハード・バップのトランペット作品としては、バランスがよくて究めて完成度の高い品のあるアルバムだと思います。
全8曲、ミッチェルのよくコントロールされた歌心あふれるソロとケリーのブルージーなソロとを随所に聴くことができます。1. I'll Close My Eyesはキュートなテーマ・メロディと快調なミッチェルのソロが光ります。4.Kinda Vagueは渋いブルースでやはりケリーのピアノに格別の味わいがありますね。6. When I Fall In Loveはスタンダード・バラードですが、ミッチェルの冷静沈着なクールなバラード・プレイが素晴らしい。
1、2、5、8などの少しアップ・テンポでのミッチェルのトランペットが限りなく心地よくて大好きですね。ジャズ本来の軽快さとグルーヴィーを堪能できます。ほんとにこのアルバムは安心してジャズに浸れるとてもおしゃれな一枚だと思います。
1. I'll Close My Eyes
2. Avars
3. Scrapple From The Apple
4. Kinda Vague
5. Sir John
6. When I Fall In Love
7. Sweet Pumpkin
8. I Wish I Knew
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:32
マイルス・デイヴィス/ラウンド・アバウト・ミッドナイト
2005年01月01日
Miles Davis / Round About Midnight
新年明けましておめでとうございます。年明け第1弾はまずもってマイルス・デイヴィスといきましょう。ラウンド・アバウト・ミッドナイト。人気盤です。パーソネルは、マイルス・デイヴィス(tp)、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。1956年NY録音。
1曲目のセロニアス・モンクの名曲ラウンド・ミッドナイトは有名過ぎて説明するまでもない演奏ですね。昔20年以上くらい前にオールナイトニッポンという深夜ラジオでタモリがパーソナリティをやっていた毎週水曜日、この曲が番組のエンディングに流れていました。午前1時から始まって午前3時の終了ということでこの曲が流れてくると残念もうおしまいという感じでしたね。ブルーなマイルスのトランペットと後に続くジョン・コルトレーンの力強いテナーとの対照の妙が印象に残る名演です。
ちなみにタモリさんは早稲田大ジャズ研でトランペットを吹いていたとか。また、同番組のコマーシャル毎に流れていたのが、ベン・シドランのアルバム「 ドクター・イズ・イン 」に収録のシルバーズ・セレナーデという趣味のよい素敵な曲でしたね。ホレス・シルバーの曲です。
本作ラウンド・アバウト・ミッドナイトは全10曲と、CD盤では4曲が追加されています。私のお好みは、何といってもバイ・バイ・ブラックバードとオール・オブ・ユーでして、これらのキュートな演奏を聞くために何度レコードをタンーテーブルに載せたことでしょう。マイルスのミュート・トランペットはオシャレでブルー、コルトレーンのテナーは品格があって何よりフレシュな感覚です。マイルスの静とコルトレーンの動という対比。それにやはりレッド・ガーランド、ポール・チェンバース、フィリー・ジョージョーンズという当時最強のトリオのバッキングが全体を引き締めています。ガーランドの気品があってグルーヴィーなピアノ、重心低いが歌心のあるチェンバースのベース、絶妙なタイム感覚とバランスを持つフィリー・ジョーのドラムと、このリズム隊は贅肉の無い引き締まった筋肉質を連想させます。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:33
ケニー・ドーハム/カフェ・ボヘミアのケニー・ドーハム
2004年12月21日
Kenny Dorham / At The Cafe Bohemia
今日はケニー・ドーハムの渋いハード・バップ系ライブの名盤です。パーソネルは、ケニー・ドーハム(tp)、J.R.モンテロ-ズ(ts)、ケニー・バレル(g)、ボビー・ティモンズ(p)、サム・ジョーンズ(b)、アーサー・エッジヒル(ds)。1956年録音。BlueNoteレーベル。
ケニー・ドーハムは実力のある名トランペッターです。そのスタイルは派手さはないもののクセのない卓越したテクニックと洗練されたジャズ・フィーリングで常に高レベルの演奏を残しています。本作では、J.R.モンテローズ、ケニー・バレル、ボビー・ティモンズらの精鋭ジャズマンとスリルのある典型的なハードバップを聞かせてくれます。特に、ミンガスの「直立猿人」でも活躍したJ.R.モンテローズの参加が新鮮な彩りを添えておりこのアルバムを魅力あるものにしています。アドリブ・フレーズに予期せぬスリルが入り込むので目が離せないといった感じです。もちろん、ケニー・バレルのブルース・フィーリングも健在です。とにかく、50年代のジャズに浸りたいときに安心して耳を傾けることのできる渋すぎる好アルバムなのですね。
2曲目のセロニアス・モンクの名曲「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」や4曲目の「チュニジアの夜」は素晴らしい演奏だと思います。前者は、56年のマイルス・デイヴィス・グループの名演が有名ですが、このドーハムのジャズ・プロフェットによる演奏も負けず劣らずの渋い好演です。モンテローズのテナーがコルトレーンと同種の陰影感を見せますし、その後のドーハムのブルージーで老練なソロやボビー・ティモンズのソウルフルなピアノなど、まさに味のあるハード・バップの真髄ですね。「チュニジアの夜」での、ドーハム→モンテローズ→バレル→ティモンズと続くソロの連なりによる至福感というのは私を含めたモダン・ジャズ・ファンには堪らないものですね。やっぱこれはやめられないってやつです。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:34
リー・モーガン/キャンディ
2004年12月15日
Lee Morgan / Candy
こんにちは。今日はリー・モーガンです。このキャンディはモーガンの数あるリーダー作の中で唯一のワン・ホーン・アルバム。リー・モーガンの代表作として定評のある人気盤です。パーソネルは、リー・モーガン(tp)、ソニー・クラーク(p)、ダグ・ワトキンス(b)、アート・テイラー(ds)。1957年録音。BlueNoteレーベル。
リー・モーガン若干19才の吹き込み。クリフォード・ブラウンの死(1956年)後にポスト・ブラウンとして名乗りをあげることになります。溌剌とした抜けのよいトランペットが素晴らしい。1曲目のキャンディがモーガンの特徴を示した典型的な名演と言えるでしょう。ミディアム・テンポのキュートなメロディを持つスタンダード曲をファンキーに格好よく演じるという点では圧倒的に魅力的です。そして、このアルバムをハード・バップの名盤としているもう一つの要素はピアノのソニー・クラークにあることは間違いないことでしょう。随所に見せるソロ、それにバッキングには、いつもながらやはり唸らされてしまいます。そのフィーリングやスタイルはワン・パターンかも知れないけれど好きなものは好きと言い切れる何かがあります。全6曲、いずれもモダン・ジャズの粋が感じられる、印象に残る好アルバムです。
そういえば、半年ほど前に大阪天王寺にあるジャズ喫茶トップシンバルに何年かぶりで寄った際に、私の後から来たおじさん風の方がこのキャンディをリクエストしまして、店内客二人だけで一緒にモーガンのファンキー節に聞き入りましたね。それは良いとして他のアルバムがCDをかけていて1枚に50分くらいかかるのにはちょっと辟易でした。やはりレコード片面20分くらいで次々に違うのをかけてくれる方がよいのにと残念でしたね。
神戸元町のジャムジャムはその点良いですね。レコードのみですから。今週、元町では恒例のルミナリエがやってまして、ジャズ好きの方で元町に来られるなら一度ジャムジャムに寄ってみるとよいと思いますよ。昔ながらの真摯なジャズ喫茶です。ホームページには地図もあります。→Web Jam Jam
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:34
クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ/クリフォード・ブラウン、マックス・ローチ
2004年12月14日
Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown, Max Roach
こんにちは。今日はクリフォード・ブラウンとマックス・ローチの有名な双頭コンビの登場です。このアルバム、クリフォード・ブラウン&マックス・ブラウンは彼らの代表的な名盤です。パーソネルは、クリフォード・ブラウン(tp)、ハロルド・ランド(ts)、リッチー・パウエル(p)、ジョージ・モロウ(b)、マックス・ローチ(ds)。1954-55年録音。Emercyレーベル。
クリフォード・ブラウンのトランペット演奏が、53年頃の強いアタックのあるパーカッシブな演奏から、54-55年では丸みを帯びてよりリリカルでメロディアスな円熟したスタイルに微妙に変化しているのがわかります。このアルバムでのクリフォード・ブラウンにはジャズ史上最も優れたトランペッターとしてのほとんど完璧とも言える名演奏を聞くことができます。マックス・ローチも正確無比で完璧なテクニックを持つドラマーとして著名で、この二人の共演はもうハード・バップの典型的な模範演奏と言えます。
私にとってこのアルバムは繰り返し聴いてきた思い入れのあるアルバムです。どの曲もアドリブのメロディを覚えるほど聴いています。選曲も素敵な歌もので占められていまして大変好ましいものです。クリフォード・ブラウンは、1930年生れ、1956年没。享年25才。本作のピアノのリッチー・パウエル(バド・パウエルの弟)夫妻と共に自動車事故死。
1.Delilah、2.Parisian Thoroughfare、3.The Blues Walk、4.Daahoud、5.Joy Spring、6.Jordu 他
このブラウンとローチの双頭コンビによる名演は本作を含めて4作ほどがよく知られています。他の3枚は以下に示すものです。いずれもブラウンの死の直前の1954~55年に録音されています。
イン・コンサート In Concert 1954年録音。白熱のライブ。
スタディ・イン・ブラウン Study in Brown 1955年録音。完成されたスタジオ録音。
アット・ベイズン・ストリート At Basin Street 1955年録音。S・ロリンズ参加の興奮ライブ。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:35
クリフォード・ブラウン&マックス・ローチ/クリフォード・ブラウン、マックス・ローチ
Clifford Brown and Max Roach / Clifford Brown, Max Roach
こんにちは。今日はクリフォード・ブラウンとマックス・ローチの有名な双頭コンビの登場です。このアルバム、クリフォード・ブラウン&マックス・ブラウンは彼らの代表的な名盤です。パーソネルは、クリフォード・ブラウン(tp)、ハロルド・ランド(ts)、リッチー・パウエル(p)、ジョージ・モロウ(b)、マックス・ローチ(ds)。1954-55年録音。Emercyレーベル。
クリフォード・ブラウンのトランペット演奏が、53年頃の強いアタックのあるパーカッシブな演奏から、54-55年では丸みを帯びてよりリリカルでメロディアスな円熟したスタイルに微妙に変化しているのがわかります。このアルバムでのクリフォード・ブラウンにはジャズ史上最も優れたトランペッターとしてのほとんど完璧とも言える名演奏を聞くことができます。マックス・ローチも正確無比で完璧なテクニックを持つドラマーとして著名で、この二人の共演はもうハード・バップの典型的な模範演奏と言えます。
私にとってこのアルバムは繰り返し聴いてきた思い入れのあるアルバムです。どの曲もアドリブのメロディを覚えるほど聴いています。選曲も素敵な歌もので占められていまして大変好ましいものです。クリフォード・ブラウンは、1930年生れ、1956年没。享年25才。本作のピアノのリッチー・パウエル(バド・パウエルの弟)夫妻と共に自動車事故死。
1.Delilah、2.Parisian Thoroughfare、3.The Blues Walk、4.Daahoud、5.Joy Spring、6.Jordu 他
このブラウンとローチの双頭コンビによる名演は本作を含めて4作ほどがよく知られています。他の3枚は以下に示すものです。いずれもブラウンの死の直前の1954~55年に録音されています。
イン・コンサート In Concert 1954年録音。白熱のライブ。
スタディ・イン・ブラウン Study in Brown 1955年録音。完成されたスタジオ録音。
アット・ベイズン・ストリート At Basin Street 1955年録音。S・ロリンズ参加の興奮ライブ。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:35
ドナルド・バード/フュエゴ
2004年12月07日
Donald Byrd / Fuego
こんにちは。今日はドナルド・バードですね。パーソネルは、ドナルド・バード(tp) Donald Byrd、ジャッキー・マクリーン(as) Jackie McLean、デューク・ピアソン(p) Duke Pearson、ダグ・ワトキンス(b) Doug Watkins、レックス・ハンフリーズ(ds) Lex Humphries。1959年録音。ブルーノート・レーベル。
ドナルド・バードは後にフュージョンも手がけるなどなかなかの知性派ジャズマンですが、この50年代当時は正統派ハード・バッパーであり、当時流行のファンキー・ジャズの旗手の一人でした。このアルバムはブルーノート色の濃いメンバーによるまさにブルーノート最強のファンキー・ジャズです。バードのリーダー作として当時大ヒットしたアルバムです。私にとって60年代以降のファンキー・ジャズはちょっとくどいかなという印象があり日常的にはあまり聞かないのですが、このバードの50年代ものは十分に許せる内容であり、ブルーノートの典型的ハード・バップとして愛聴しています。
やはりジャッキー・マクリーンの参加がこのアルバムを一流の品格にしているのだと思います。マクリーンのアルトはくせのある四角張った響きですが私はこの音色と醸し出される濃いバップの香りに鋭敏に反応してしまいます。媚びを売らないストレートアヘッドな美学を感じます。このアルバムは当時のブルーノート・サウンドの代表格であり、ドナルド・バードのセンスの良さを感じずにおれません。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:37
ブッカー・リトル/ブッカー・リトル
2004年12月01日
Booker Little / Booker Little
こんにちは。今日はブッカー・リトルです。23才で夭逝した名トランペッターです。パーソネルは、ブッカー・リトル(tp)、ウィントン・ケリー(p)、トミー・フラナガン(p)、スコット・ラファロ(b)、ロイ・ヘインズ(ds)。1960年録音、タイム・レーベル。
ブッカー・リトルはその活躍した60年前後のハード・バップやファンキーとは一線を画した新感覚の演奏が魅力です。独特のメロディー構築とクールな感触には忘れがたい印象が残ります。58年にマックス・ローチのグループで世に出て61年の死までのたったの約3年の間に、例えばエリック・ドルフィーとの61年の有名なファイブ・スポットでのライブ盤や数枚のリーダー作など数は少ないですが貴重な名盤を残しています。このアルバムは、唯一のワン・ホーンのアルバムですがトランペットのワン・ホーン・アルバムとしては定評のあるモダン・ジャズの名盤です。
このアルバム、ピアノにこの当時絶好調のウィントン・ケリーとトミー・フラナガンが加わり、ベースにはまさにビル・エバンス・トリオのベースとして新しいジャズ・インタラクションを築きつつあり、やはりまもなく死を迎えることになるスコット・ラファロが参加しています。そのスコット・ラファロのウォーキング・ベースの動きが面白いですし、その上を走り抜けるブッカー・リトルの少し暗めのペットの響きが微妙な体臭を放ちます。クリフォード・ブラウンやリー・モーガンらのハード・バッパーとは明らかに違う感性が新鮮です。若き天才たちの残した刹那的な美の瞬間を何十年も後の我々がレコードやCDで聴き同じ時間を共有しさらにはその音楽に共鳴・感動させてもらえるという不思議さ、ありがたいことです。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:38
リー・モーガン/ヒアズ・リーモーガン
2004年11月29日
Lee Morgan / Here's Lee Morgan
こんにちは。今日はリー・モーガンです。早熟の天才トランペッター、リー・モーガンの私のお気に入りアルバムです。パーソネルは、リー・モーガン(tp)、クリフ・ジョーダン(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・ブレイキー(ds)。60年録音。ヴィー・ジェイ・レーベル。
リー・モーガンは1938年7月米国フィラデルフィア生れ。53年から本格的な活動を開始、ディジー・ガレスピーのビッグバンドやアート・ブレイキー率いるジャズ・メッセンジャーズで活躍し20才前後で名声を得ています。58年ワンホーン・アルバム「キャンディ」、さらに64年ジャズ・ロック元祖「ザ・サイドワインダー」の大ヒットを放ちますが、72年ニューヨークで愛人に射殺されるという劇的な最期を迎えます。
このアルバム、勿論、リー・モーガンの絶頂期を捉えて貴重ですが、リズムのケリー、チェンバース、ブレイキーという編成が凄いというか珍しいですね。この時期は入れ替わり立ち代り有名どころ各5人くらいのピアノ、ベース、ドラムスで組み替え実験をしているようです。何といってもウィントン・ケリーがこの時期では旬の人、マイルス・グループで活躍しており絶好調です。このヴィー・ジェイ・レーベルにも同時期アット・ミッドナイト、枯葉、ケリー・グレイト等の名盤を残していますね。そのブルース・フィーリングと粒立ちのよいシングル・トーンが堪りません。
リー・モーガンのトランペットは気風(きっぷ)がよくてテクニック抜群でそれでいてミュートでの繊細さもありということでもう言うことなしです。クリフォード・ブラウンというさらに上をゆく天才がいましたけれど、安定感がありすぎて面白みがないかな、モーガンの方がスリルがあってよいのではというのが私の個人的な印象です。サイドワインダーまでそのファンキー路線が大衆化されてしまいますと私にはちょっとくどくて引いてしまうのですが、このアルバムの60年くらいまでのモーガンは正統派ハードバップの王道を邁進しており好感が持てますし大ファンですね。3.I'm a Fool to Want You はリー・モーガンの名演の一つですが、正直言いましてこの曲ではウィントン・ケリーのピアノ、そのブルージーで渋いフィーリングに脱帽です。モーガンは少しアップテンポでの快調で奔放なファンキーなソロに魅力を感じます。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:39
アート・ファーマー/アート
2004年11月27日
Art Farmer / Art
こんにちは。今日はアート・ファーマーです。モダン・ジャズの名トランペッターの一人として50~60年代に活躍しました。パーソネルは、アート・ファーマー(tp)、トミー・フラナガン(p)、トミー・ウィリアムス(b)、アルバート・ヒース(ds)。60年録音。28年生99年没。
このアートというアルバムはトミー・フラナガン・トリオをバックにしたワン・ホーン演奏で、ミディアム~スローのスタンダード曲が中心となっており、アート・ファーマーの地味ながら落ち着いたプレイを堪能することができます。2. Goodbye, Old Girl や7. I'm a Fool to Want You などバラード・プレイでの巧みで心和む演奏には魅了されます。後者はリー・モーガンの名演を思い出させます。また、3. Who Cares?やジャズテット結成した同僚ベニー・ゴルソン作の4. Out of the Past などのファンキー・ハードバップ系の曲では水を得た魚のように存分なスイング感が楽しいですね。トミフラのピアノも快調に転がって言うことなしです。
50年代後半から60年前半でのアート・ファーマーの多忙ぶりは目を見張るものがあります。リーダー作はそれほど多くないにしてもサイドメンとして参加したアルバムは数多くあります。クリフォード・ブラウン亡き後、リー・モーガンやケニー・ドーハムらと並ぶ名手の一人として期待された通りの活躍でした。このアルバムは私の中ではアート・ファーマーの隠れた名盤です。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:40
マイルス・デイヴィス/ウィ・ウォント・マイルス
2004年11月15日
Miles Davis /We Want Miles
こんにちは。今日はマイルス・デイビスの80年代の名盤の登場です。パーソネルは、Miles Davis(tp,elp)、Bill Evans(ss,ts,fl,elp)、Mike Stern(g)、Marcus Miller(elb)、Al Foster(dr)、Mino Cinelu(per)。1981年録音。ボストン、ニューヨーク、東京でのライブです。
5年ぶりにカムバックしたマイルスは圧倒的なパワーを持つ音楽でマイルス・ファンを完全に魅了しました。このマイルスが創り出す音楽的雰囲気とでもいう音の世界は独特の体臭を放っていますが、オレの音楽は渋くてイカしているだろというマイルスの自信に満ちた主張を感じます。なるほどやっぱ凄い、いつも時代の最先端を走っている、それでいて微妙に大衆受けするバランス感覚というか嗅覚を持っているのですね。
このCDは2枚組なのですが、Disc2の2曲はいずれも20分前後の演奏で、ともにマイルス的音世界を堪能することができます。そこでは共演者が否が応でも活躍することになります。そういう人を選ぶのでしょうけどマイルスの感化を受けてることも間違いないことでしょう。マーカス・ミラーのベースはいつもながら絶好調ですし、ビル・エバンスのソプラノ・サックスがほんと素晴らしい出来です。マイク・スターンのギターもThe Man With The Hornで見せたカタストロフィーの面白さはそれほど顕著ではありませんが斬新な感覚には脱帽です。
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:41
マイルス・デイヴィス/プラグド・ニッケルのマイルス・デイヴィス1965
2004年10月31日
Miles Davis/ The Complete Live At The Plugged Nickel 1965
こんにちは。今日はマイルス・デイヴィスの60年代の伝説のライブ盤です。パーソネルは、マイルス・デイヴィス(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)。1965年12月シカゴ、プラグド・ニッケルで録音。
上に写真付きで紹介したCDは2日間に渡る演奏をすべて収録した7枚組のボックスセットですが、元々一番最初に発売されたのは2枚組として76年に日本でCBS・ソニーから発売されています。私は学生の頃にそのVol.1とVol.2をレコードで購入し、Vol.2でのStella by Starlightのウェイン・ショーターのソロに魅了されまして大の愛聴盤となりました。7枚組のコンプリート盤が出るまでの経緯は複雑ですが、こちらのサイトに詳細が記されています。→MILES DAVIS AT THE PLUGGED NICKEL, CHICAGO, IL, 1965
マイルス・デイヴィスのこの時期の録音は、64年にフィルモア・ホールでの2枚のライブ盤、フォア・アンド・モアとマイ・ファニー・バレンタイン、それにやはりライブ盤のイン・東京、イン・ベルリンの計4枚があります。65年は病のために10ヶ月間演奏活動ができず、このシカゴでのライブではその鬱憤が発散されるかのような演奏で、64年のライブ盤とは全く趣の異なるジャズになっています。64年に加わったウェイン・ショーターの個性が見事に開花しており、トニー・ウィリアムスのドラミングと相まって当時のフリージャズ の匂いを漂わせながらも微妙にバランスを保つジャズ本来の魅力である即興性のスリルと緊張のある演奏です。ジャズ・ライブ好きの私にとっては最大限の賛辞を捧げたくなる名演です。
この後のマイルスはこのレギュラー・グループを率いてショーター色の強い黒魔術的なアルバムを何枚か発表して69年以降のエレクトリック・サウンドへとひた走ることになります。このプラグド・ニッケルでのライブはそれまでのモダン・ジャズの本流からの飛躍の第1ステップであり、その後の奔放で自由な音楽の源流をなすものとして貴重な録音と言えるでしょう。
Amazon.comで試聴できます。→Miles Davis/ The Complete Live At The Plugged Nickel 1965
JR.comでも試聴可。 → Highlights From The Plugged Nickel
→ Complete Live At The Plugged Nickel 1965
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:41
マイルス・デイヴィス/マイ・ファニー・バレンタイン
2004年08月28日
Miles Davis / My Funny Valentine こんにちは。ジャズのレコードを学生時代からたくさん聴いてきましたが、マイルス・デイビスは避けて通れないジャズ界の巨人です。ファンというほどではないですがそれなりによく聴いていると思います。常に新しい地平を切り開いてゆくクリエイティビティは真の芸術家と言えるでしょう。今日は数多いマイルスのCDから人気の1枚をピックアップしました。パーソネルは、ジョージ・コールマン George Coleman (ts)、ハービー・ハンコック Herbie Hancock (p)、ロン・カーター Ron Carter (b)、トニー・ウィリアムス Tony Williams (ds)。1964.12.2.NY録音。CBS。
マイルスの残したCDの中で1番好きなものはと問われれば”プラグド・ニッケル”でのライブ盤を挙げるのですがそれはまた別の機会に譲りまして、1番お勧めはと問われましたら、この”マイ・ファニー・バレンタイン”となります。1964年NYのフィルハーモニックホールでのライブ録音です。この時期60年台前半くらいのマイルス率いるグループのジャズはモダン・ジャズの一つの頂点を示していたように私には思われます。
パーソネルは、ハービー・ハンコックのピアノ、ロン・カーターのベース、トニー・ウリアムスのドラムスという強力なバックに、ジョージ・コールマンのテナーとマイルスのトランペットというクインテット編成。テナーはジョン・コルトレーンの独立以降、まもなく加わることになるウェイン・ショーターまでは流動的だったようで、コールマンには少し斬新さが足りませんがバラード曲が主体のこのCDでは無難な演奏にまとめられています。リズム隊の3人はその後いずれも大御所になりますがその当時はこれ以上望めない気鋭の若手です。
この5人の繰り出す音宇宙はまさに大人のための渋い音楽です。スィング以降、ビ・バップ、クール、ハード・バップと短期間に変遷してきたモダン・ジャズが見事に、分かりやすく大衆的でありながら深い芸術を感じさせる一つの高みにたどり着いたという印象です。ジャズ音楽を語るならマイルス60年代のこのモード・ジャズの甘い果実を味わい尽くさねばならないでしょう。また、ジャズはまだこれからという方にも、このCDに魅力を感じないならジャズに対する不感症を証明する一種の「踏み絵」の役割となるという意味でお勧めです。
個人的な思い出という点では、結婚前に女房と一緒に京都を訪れた日の夕刻、河原町にあるジャズ喫茶「ブルーノート」でこのB面が流れていたのを覚えています。カウンターテーブルにはピアノ鍵盤の模様があり、Stella by Starlightのハンコックの素晴らしいピアノ・ソロを聴きながらその絵の鍵盤に指を置いた記憶が鮮明に残っています。
1. My Funny Valentine
2. All Of You
3. Stella By Starlight
4. All Blues
5. I Thought About You
JR.comでは試聴可能です。→ Miles Davis / My Funny Valentine
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Miles Davis / My Funny Valentine
マイルス・デイビスのCD
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:42