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エントリ内容の一覧
ロレツ・アレキサンドリア/ディープ・ルーツ
2005年09月07日
Lorez Alexandria / Deep Roots
今日は私の大のお好み歌手ロレツ・アレキサンドリアの名作『ディープ・ルーツ』をご紹介したいと思います。ロレツの代表作としてはインパルスの『グレイト』や『モア・グレイト』が有名ですが本作はその少し前に地元シカゴのアーゴ・レーベルに残した同等レベルの名品です。ジャズ・ヴォーカル・ファンにはぜひ聞いてほしいお勧めのアルバム。ロレツ・アレキサンドリア(vo)、ハワード・マギー(tp)、ジョン・ヤング(p)、ジョージ・エスクリッジ(g)、イスラエル・クロスビー(b)、ヴァーネル・フォーニエ(ds)。1962年シカゴ録音。Argo。
ロレツ・アレキサンドリアの歌声にこれまで尋常でない魅力を感じてきましたし、これからもその嗜好は恐らくそう振れるものではないという妙に自信めいたものがあります。その理由をうまく言葉で表現するのはとても億劫なことでできれば避けたいところなのですが、ロレツの素晴らしい歌をあまり知らない少しでも多くの心あるジャズ・ファンの方々にお伝えしたいという思いのために少し書いてみたいと思います。基本的にこのブログは音楽や映画、本などの身近な趣味的経験から自分の感じたことを思うままに記述すること、その防備録と自己表現というのが主旨でありまして、あまり押し付けがましいことはしないというのがスタンスではありますが。
ロレツ・アレキサンドリアの歌にはブルーな表現力と絶妙な音程感などにワンアンドオンリーの個性的な魅力があります。一聴すればロレツ・アレキサンドリアとすぐに分かる類の個性があります。まあ普通、一流のジャズ歌手はいずれも極めて個性的でありまして、ただ歌が上手いというだけの歌手は数あれどもう一歩先へ行くためにはそれが必須としか思えないくらいに超のつく個性を有しているものなのですね。一歩間違えれば大きな欠点になりかねない個性でもそれを絶大な魅力にするに余りあるsomethingがあるということかもしれません。
個性的な歌手としてはビリー・ホリデイなどが典型でしょうが、このロレツはずっと一般受けする歌の上手さや声質と声量などが備わっていまして、その意味では個性が幾分希薄といえるかもしれません。そのあたりがロレツの魅力を説明しにくい要因でもあるのですが、まあとっつきやすいという点でもありますね。
よく伸びる透き通った中低音の美しさには格別の吸引力があります。そのブルーで孤独な佇まいは一度聞けば忘れがたい印象を与えてくれます。現代に生きる人間の心の隅にある深い空洞や虚無を代弁して共感して、さらには癒してくれる、そんな救いを感じたりするのですが皆さんはいかがでしょうか。こうした思い入れははなはだ個人的な感受性の問題でありまして、私の場合はこんなふうにロレツの歌を聴いて、こんなふうにある感慨を抱くということでありましてあまり露骨に表現するのは実は非常にお恥ずかしいことではあります。
『グレイト』や『モア』が少しよそ行きの洗練されたロレツとすれば、こちら『ディープ・ルーツ』にはナチュラルで生のロレツがいまして、スモール・コンボの伴奏のためかジャジーな内容でもあります。その意味で親近感は本作の方が上でして、当然にこちらが日頃愛超する盤ということに相なります。ロレツの巧みな息使いや微妙にコントロールされたフレージングには繰り返し聞くほどに深い味わいがあります。特に情感を湛えつつも理性的な4曲目の最初のところなどはいつもながら直接的に感情に訴えかけてきまして我を忘れてしまいますね。完全にノックアウトです。
1. Nature Boy
2. I Was A Fool
3. No Moon At All
4. Spring Will Be A Little Late This Year
5. Softly As In The Morning Sunrise
6. Detour Ahead
7. It Could Happen To You
8. Travelin' Light
9. Almost Like Being In Love
10. I Want To Talk About You
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Lorez Alexandria / Deep Roots
関連エントリーはこちら。
→ ロレツ・アレキサンドリア『ザ・グレイト』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:33
サラ・ヴォーン/ウィズ・クリフォード・ブラウン
2005年09月02日
Sarah Vaughan / With Clifford Brown
今日はサラ・ヴォーンの『ウィズ・クリフォード・ブラウン』です。独特の味わい深いサラ・ヴォーンの歌唱に軽快なクリフォード・ブラウンのトランペットが花を添えたジャズ本来の美しさを湛える傑作アルバム。サラ・ヴォーン(vo),クリフォード・ブラウン(tp),ハービー・マン(fl),ポール・クイニシェット(ts),ジミー・ジョーンズ(p),ジョー・ベンジャミン(b),ロイ・ヘインズ(ds)。1954年NY録音。Mercury。
この時期のサラ・ヴォーンの歌が大好きです。本作ではキュートなスタンダード曲をしっとりと丁寧に歌い上げていまして、情感がこもり声量があり透明でもある太目の美声が響き渡ります。余裕の歌い回しですね。それにサラ・ヴォーン専属歌伴のジミー・ジョーンズのピアノがいつもながら小粋でお洒落で私は大好きなのですね。
それだけでも十分なのですが、クリフォード・ブラウンのトランペットが一枚加わることで非常にアクセントに満ちた面白みのある作品に仕上がっています。明るくて軽やかで歌心のあるブラウンのソロがねっとりと粘り気のあるサラ・ヴォーンの歌声と好対照を形作っているのです。
マーキュリー・レーベルでブラウンの参加したヴォーカルものには『ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン』と『ダイナ・ワシントン・ウィズ・クリフォード・ブラウン』を含めて計3枚のアルバムがあります。いずれもそれぞれに個性ある魅力に富むよく知られた名作ですね。このブログでも以前にすでにご紹介しています。本作もそれらと遜色のない極めて優れた内容のヴォーカル作品と言えるでしょう。
全9曲プラス1ボーナス。スロー系のバラッドが印象に残ります。2.April in Paris、4.Jim、7. I'm Glad There Is You、8.September Song などでの名唱ぶりたるや他ではそうそう聞くことのできない濃厚な味わいがありますね。鮨ネタに例えれば私にとってはそれはまさに中トロで、舌の上でとろけ気味ながらも甘さに流されずにしっかりとしたコクのある味覚といった按配です。クリフォード・ブラウンはここでは完全に添え物の扱いでして、例えるなら山椒の効いた上品な赤だしといったところでしょうか。
1. Lullaby Of Birdland - (composite master take)
2. April In Paris
3. He's My Guy
4. Jim
5. You're Not The Kind
6. Embraceable You
7. I'm Glad There Is You
8. September Song
9. It's Crazy
10. Lullaby Of Birdland - (alternate take, bonus track)
Sarah Vaughan (vocals); Ernie Wilkins (arranger); Paul Quinichette (tenor saxophone); Clifford Brown (trumpet); Herbie Mann (flute); Jimmy Jomes (piano); Joe Benjamin (bass); Roy Haynes (drums). Producer: Bob Shad. Reissue producers: Richard Seidel, Paul Ramey. Recorded December 16 and 18, 1954, in New York.
iTunes Music Store では試聴可能です。→サラ・ヴォーン/ウィズ・クリフォード・ブラウン
詳しくはアマゾンでどうぞ。→Sarah Vaughan With Clifford Brown
関連エントリーはこちら。
→サラ・ヴォーン『スインギン・イージー』
→サラ・ヴォーン『アット・ミスター・ケリーズ』
→ヘレン・メリル『ウィズ・クリフォード・ブラウン』
→ダイナ・ワシントン『ウィズ・クリフォード・ブラウン』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:34
ペギー・リー/ブラック・コーヒー
2005年08月09日
Peggy Lee/Black Coffee
今日はペギー・リーの傑作『ブラック・コーヒー』です。大変有名な作品ですね。ペギー・リーといえば映画女優やポピュラー・シンガーとしての方がよく知られているのかもしれませんが、本作はどちらかといえばジャズ色の濃い、大人の色香を感じさせる魅力的な作品です。パーソネルは、ペギー・リー(vo)、ピート・カンドリ(tp)、ルー・レヴィ(p)、他。1953年、1956年録音。Decca.
軽いハスキー・ヴォイスと余裕のある歌い回しで快適なジャズ・フィーリングが分かりやすいポップな内容になっています。スタンダード曲が品よく料理されていますのでジャズ初心者にもすぐに馴染めるものと言えるでしょう。
と言いつつもよく耳を澄まして聴きますと深いものがあるようにも思います。3曲目Easy Living、9曲目When The World Was Youngや11曲目You're My Thrill でのしみじみとした味のある歌声にはペギー・リーの独特の持ち味が出ていたりするのですね。一番のお好みは12曲目の There's A Small Hotelなのですけれどね。その子守唄を思い起こさせるような暖かい雰囲気がいいのですね。後半の少しアップテンポになったところの味わいなどは忘れがたいものがあります。
それに、2曲目I've Got You Under My Skinでの力の抜き加減さや10曲目Love Me or Leave Me などでのアニタ・オデイを少し品よくしたような奔放で明るい印象がとてもいい感じですね。いずれもよくこなれていて本当にいい具合だと思うのですね。本作は、結婚、出産、離婚を経た30才台半ばのペギー・リーが女盛りのピークの歌唱を示した聴くほどに味のあるお勧めの一枚です。
1. Black Coffee
2. I've Got You Under My Skin
3. Easy Living
4. My Heart Belongs To Daddy
5. It Ain't Necessarily So
6. Gee, Baby, Ain't I Good To You?
7. A Woman Alone With The Blues
8. I Didn't Know What Time It Was
9. When The World Was Young, (Ah, The Apple Trees)
10. Love Me or Leave Me
11. You're My Thrill
12. There's A Small Hotel
Peggy Lee (vocals); Bill Pitman (guitar); Stella Castellucci (harp); Pete Candoli (trumpet); Jimmy Rowles, Lou Levy (piano); Larry Bunker (vibraphone, drums, percussion); Max Wayne, Buddy Clark (double bass); Ed Shaughnessy (drums). Recording : New York City, NY (1953); Los Angeles, CA (1956).
iTunes Music Store では試聴可能です。→ペギー・リー/ブラック・コーヒー
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Peggy Lee/Black Coffee
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:35
アン・バートン/バラード・アンド・バートン
2005年08月07日
Ann Burton/Ballads and Burton
今日はアン・バートンの名作『バラード・アンド・バートン』です。前作『ブルー・バートン』(1967)と同じピアノ・トリオにクールなサックスを加えたカルテットをバックにバラードをデリケートに歌います。パーソネルは、アン・バートン(vo)、ルイス・ヴァン・ダイク(p)、ジャック・スコルス(b)、ジョン・エンゲルス(ds)、ルディ・ブリンク(ts)。1969年録音。
このブログもそろそろスタートして1年になろうかというところです。よくこれまで続いたものだと我ながら感心しています。記事を毎日のように更新すること自体は日課として慣れてきますとそれほどの負担ではありません。やはり好きなことというのが大きいのでしょうね。それと訪問してきてくれる人がいつも確実にいるということがとても励みになっているのだと思います。
ただ一つだけ不満があるとすれば、それは大好きなアルバムを自由に聞く時間が減っているということです。例えば今日のアン・バートンの作品なども実はほんとに久しぶりなのです。どうしてもその日のブログにエントリーするものを繰り返し聞くことになりますのでね。じっくりとお気に入り作品を聴く時間が残念ながら正直いって少なくなっているというのが現状です。
アン・バートンの歌にじっくり耳を傾けますとジャズを聴くことによってもたらされる典型的な至福感を感じ取ることができます。決して滅茶苦茶うまい歌というのでもなく、むしろ素人っぽく聞こえるほどなのですが、ジャズ・フィーリングとセンスに洗練された味わいがあること、それに、ルイス・ヴァン・ダイクのピアノが実に美しい音色とツボを押えたサポートをしていることが成功の要因と思われます。
本作『バラード・アンド・バートン』と前作『ブルー・バートン』の2枚が共にジャズ・ヴォーカルの大人気盤です。本作ではテナーが参加しており少しマイルドな彩りを添えています。こういうジャズを深夜一人でお酒でも飲みながらゆっくり聴くってのは大人の楽しみってやつですね。たまに自由気ままに音楽の深みに自から嵌るというのもいいものです。
1. A Lovely Way to Spend An Evening 2:23
2. Try A Little Tenderness 5:25
3. Bang Bang 3:14
4. Someone to Watch Over Me 7:09
5. The Shadow of Your Smile 5:08
6. It Never Entered My Mind 5:21
7. That Ole Devil Called Love 2:26
8. Here's That Rainy Day 5:29
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Ann Burton/Ballads and Burton
関連エントリーはこちら。→アン・バートン『ブルー・バートン』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:36
ビリー・ホリデイ/レディ・イン・サテン
2005年07月26日
Billie Holiday/Lady In Satin
今日はビリー・ホリデイの『レディ・イン・サテン』を聞いています。声の衰えは如何ともしがたいもののオーラを発するような独特の凄みが華麗なオーケストレイションとの対比によってより際立っています。死の前年ビリー・ホリデイが自らレイ・エリスをアレンジャーに指名して録音されたものです。パーソネルは、ビリー・ホリデイ(vo)、レイ・エリス(arrange, cond)、他。1958年NY録音。
ビリー・ホリデイ(1915~1959)は伝説のジャズ歌手ですね。44年という短い人生ながら生前すでに最高の名声を勝ち得たという意味では充実した人生と言えると思います。不幸な生い立ち、売春による逮捕、麻薬による逮捕といった常人では経験しえない人生だったかもしれませんが、それを歌に昇華することによって半世紀にも渡って後世のファンに親しまれ続けるということは十分に人生の借りを返したといえるのではないかと思うのです。
本作はビリー・ホリデイがオーケストラ・アレンジャーであるレイ・エリスを指名し、さらに全曲を自ら選曲して製作されました。しかもビリーにとってもっともお気に入りのアルバムになったとのことです。片思いの失恋の歌ばかりをしわがれた声で淡々と歌い上げています。積年の情念とは裏腹にいともあっさりと人生を諦観したような歌唱です。それが逆に何と上手い演出になっていることでしょうか。
美しすぎるオーケストラの響きとのギャップが大きいので最初は違和感を持ちますが聞き込むうちにその不可思議な雰囲気にも溶け込んで慣れてくるのです。特にバックの女性コーラスによる幽玄で清楚な音響を耳にしますと私はもう参ってしまいます。昔よく聞いたFMラジオのジェットストリームの世界を想い出します。若い頃はこのラジオ放送を聞いて海外旅行のことを夢見ていたのでしたよね。
自分が歌手であればやはりこういう素敵なオーケストラをバックに一度は存分に好きな歌を歌って記録に残しておきたいと思うことでしょう。自分のキャラとはアンバランスだとかそんな些細なことは自己満足を満たす上ではあまり関係ないでしょうね。
1. I'm A Fool To Want You - (edited master)
2. For Heaven's Sake
3. You Don't Know What Love Is
4. I Get Along Without You Very Well
5. For All We Know
6. Violets For Your Furs
7. You've Changed
8. It's Easy To Remember
9. But Beautiful
10. Glad To Be Unhappy
11. I'll Be Around
12. The End Of A Love Affair - (instrumental track & overdub take 8, mono)
13. I'm A Fool To Want You - (previously unreleased, take 3, bonus track)
14. I'm A Fool To Want You - (previously unreleased, alternate take 2, bonus track)
15. The End Of A Love Affair: The Audio Story - (previously unreleased, bonus track)
16. The End Of A Love Affair - (previously unreleased, stereo, bonus track)
17. Pause Track
Billie Holiday (vocals); Ray Ellis (conductor); Miles Davis (trumpet); Urbie Green, J.J. Johnson, Tom Mitchell (trombone); Danny Bank, Phil Bodner, Romeo Penque (woodwinds); George Ockner (violin); David Sawyer (cello); Janet Putnam (harp); Mal Waldron (piano); Barry Galbraith (guitar); Milt Hinton (bass); Osie Johnson (drums); Phil Kraus (percussion). Recorded in New York, New York from February 19-21, 1958. Columbia.
JR.comでは試聴可能です。→Billie Holiday/Lady In Satin
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Billie Holiday/Lady In Satin
関連エントリーはこちら。→ビリー・ホリデイ『アット・ストリーヴィル』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:37
クリス・コナー/ディス・イズ・クリス
2005年07月08日
Chris Connor / This Is Chris
今日はクリス・コナーを聴いています。『ディス・イズ・クリス』は定評あるベツレヘム三部作の1枚です。この3作は甲乙付け難い内容ですが選曲という点で本作が一歩抜けているのではないかと思います。パーソネルは、クリス・コナー(vo)、ハービー・マン(fl)、カイ・ワインディング、J.J.ジョンソン(tb)、ジョー・ピューマ(g)、ラルフ・シャロン(p)、ミルト・ヒントン(b)、オジー・ジョンソン(ds)。1955年NY録音。
クリス・コナーのハスキーな声質と知的でクールな歌い回しは私の好みにぴったり合っていまして、白人女性ヴォーカルの中でもクリス・コナーは私の中ではトップの位置を占めています。本作『This Is Chris』ではそうしたクリス・コナーの魅力と優れた特質をじっくり聴くことができます。ヴォーカル・ファンにはお勧めの一枚です。ちなみにベツレヘム三部作の他の2作『クリス』と『バードランドの子守唄』はすでに本ブログでご紹介済みです。
コナーの堂々とした豊かな声量のハスキーヴォイスが前面に押し出されてくるかのようで、その録音状態も決して悪くないむしろ大変好ましいものです。録音当時27才ということですが、20才代とは思えない貫禄が感じられる歌唱です。そしてそのクールなフレージングが老練で見事なものなのです。確かなテクニックと実力が存分に披露されていると言えるでしょう。
全10曲。ラルフ・シャロンの小粋なピアノとハービー・マンやJ.J.ジョンソンらのお洒落な伴奏がコナーの歌とよく調和しています。6曲目Thrill is goneや10曲目Ridin' High などに聴かれるコナーの典型的なクールな歌声が印象的です。それに8曲目のAll Dressed up With a Broken Heartなどでのクールだけれど暖かみを感じさせる歌声も好みです。
1. Blame It on My Youth
2. It's All Right With Me
3. Someone to Watch over Me
4. Trouble Is a Man
5. All This and Heaven Too
6. Thrill Is Gone
7. I Concentrate on You
8. All Dressed up With a Broken Heart
9. From This Moment On
10. Ridin' High
amazon.comでは試聴可能です。→Chris Connor / This Is Chris
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Chris Connor / This Is Chris
関連エントリーはこちら。
→クリス・コナー『バードランドの子守唄』
→クリス・コナー『クリス』
→クリス・コナー『ヴィレッジ・ゲイトのクリス・コナー』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:38
カーメン・マクレエ/ブック・オブ・バラーズ
2005年06月26日
Carmen Mcrae / Book of Ballads
今日はカーメン・マクレエの定評あるバラッド集『ブック・オブ・バラーズ』です。先日東京のジャズ喫茶『いーぐる』でマクレエの素晴らしい歌声(アルバム名は不明)を聴きまして、そういえばまだ本ブログに登場していないマクレエの愛聴盤を早くご紹介せねばと思い立ったのでした。パーソネルは、カーメン・マクレエ(vo)、ドン・アブニー(p)、ジョー・ベンジャミン(b)、チャーリー・スミス(ds)、フランク・ハンター(cond)。1958年12月NY録音。
カーメン・マクレエの歌はすぐにそれと分かる特徴的なものですね。つい先日東京で思いもかけず遭遇したマクレエの歌声は、昔一時よく聴いていた頃の感銘を思い出させてくれるものでした。じっくり聴き入ることになり、ああやはりこれは堪らないなあと改めて深く思い至ることになるのでした。そのアルバムは初めて聴くもので題名も確認していませんが、オーケストラをバックに歌っており50年代と思われるのでした。In this world of ordinary people♪で始まる美しい佳曲I'm glad there is youが入っていましたね。特に印象に残りましたが、この曲大好きなのですよね。Decca盤でしょうか?
カーメン・マクレエは1922年NY生まれ1994年没。その特徴である丁寧にしっとり歌い上げる歌唱は一度その味を占めると忘れがたい深い印象を聞くものに与えます。バラッドで最も深い味わいが滲み出てくるのです。エラやサラ・ヴォーンほどの派手さはないけれど、いぶし銀の渋い歌を着実に長年に渡ってジャズ・ファンの心深くに刻んできた黒人女性ヴォーカルと言えるでしょう。
カーメン・マクレエのアルバムは数枚程度の定評ある限られたものしか日常的に聞いていませんがいずれも高水準です。本作はそうした中でもマクレエ50年代を代表する名作だと言われています。タイトルが示している通り、全編バラードで占められており、マクレエの特質がクリアに出ていると思います。全12曲、うち8曲がごく控え目なストリングス主体のオーケストラが伴奏し、残り4曲がピアノトリオとの共演となっています。非常に密度の濃い内容です。その情感のこもった丁寧な歌い回しは本当に胸にぐっとくるものがありますね。
1. By Myself
2. Thriil Is Gone
3. How Long Has This Been Going On?
4. Do You Know Why?
5. My Romance
6. Isn't It Romantic?
7. If Love Is Good To Me
8. When I Fall In Love
9. Please Be Kind
10. He Was Too Good To Me
11. Angel Eyes
12. Something I Dreamed Last Night
iTunes Music Store では試聴可能です。→カーメン・マクレエ/ブック・オブ・バラーズ
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Carmen Mcrae / Book of Ballads
関連エントリはこちら。→カーメン・マクレエ/アフター・グロウ
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:39
エラ・フィツジェラルド/エラ・シングス・ガーシュイン
2005年06月11日
Ella Fitzgerald / Ella Sings Gershwin
今日はエラ・フィッツジェラルドの名盤『シングス・ガーシュイン』です。60年代以降の油の乗ったエラよりも私はこの50年前後のまだ名声を確立していない時期のエラに惹かれます。ガーシュインの名曲をピアノ伴奏のみで丁寧にしっとり歌い上げる本作の真摯なエラには好感が持てるのです。エラ・フィツジェラルド(vo)、エリス・ラーキンス(p)。1947~1954年。Decca Records。
本作は1~4、7~10の8曲(1950年9月録音)をベースにした10インチLP『ガーシュイン・ソングス』として世に出ています。12インチの通常のLPにするときに他の4曲を追加して発売され、現在のCDもそのLPに準じたものとして発売されているというわけです。50年のエラ・フィッツジェラルドはすでに32才でして、
ジャズ・ヴォーカリストとして順風満帆の成長期に当るようです。
後年エラは59年にLP5枚組みのガーシュイン集をヴァーブに、そして83年にはパブロにニールス・ヘニング・エルステッド・ペデルセンのベースを迎えて残していますね。エラは生涯の80枚以上に及ぶアルバムにおいてガーシュイン集を3度録音しておりその占める位置の重要さがわかるというものです。
ヴァーブのガーシュイン集の方は音楽監督を務めたネルソン・リドルが編曲に1年を費やしたというほど念入りに作り上げられた力作なのに対して、本作のデッカ盤はエリス・ラーキンスのピアノのみをバックにしたシンプルな一枚。ガーシュインの原曲の美しさを極めてナチュラルに慈しむように大切にしている感覚が伝わってきて私の好みは圧倒的にこちらになるのですね。
全12曲。50年の8曲がやはり素晴らしいです。いきなりメロウなSomeone To Watch Over Meで始まります。この最初の1曲がこのアルバム全体を象徴的に表現していますね。一番のお勧めは、7. I've Got A Crush On Youと、3. But Not For Meでしょうか。6.Oh, Lady Be Goodでは後年得意とした完全にコントロールされたスキャットが聞かれます。さすがに上手いなと感心させられます。
本作はガーシュインのバラード集ですが、エラ自身「私はバラードが大好きで基本的にバラード・シンガーだと思っています」と語っているとのこと。デッカの前作である名作『ソングス・イン・ア・メロウ・ムード』でもエリス・ラーキンスの伴奏のみでバラードを歌っていますね。
1. Someone To Watch Over Me
2. My One And Only
3. But Not For Me
4. Looking For A Boy
5. Nice Work If You Can Get It
6. Oh, Lady Be Good
7. I've Got A Crush On You
8. How Long Has This Been Going On?
9. Maybe
10. Soon
11. I'm Just A Lucky So And So
12. I Didn't Mean A Word I Said
JR.comでは同種のアルバムが試聴可能です。→ Pure Ella (Decca)
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Ella Fitzgerald / Ella Sings Gershwin
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:40
フラン・ウォーレン/ムード・インディゴ
2005年05月02日
Fran Warren/ Mood Indigo
今日はフラン・ウォーレンです。40年代からチャーリー・バーネットやクロード・ソーンヒルなどの楽団専属歌手として活躍した実力派です。本作はSP盤数枚を1枚にまとめたアルバム。1,3,5 ジョー・リップマン楽団、2,4,6,12 ラルフ・バーンズ楽団、7,10 ニール・ネフティ楽団、9,11 ネルソン・リドル楽団、8 ルー・ダグラス楽団。1951-55年録音。
フラン・ウォーレンといいますと、クロード・ソーンヒル楽団の名盤『リアル・バース・オブ・ザ・クール』(1947年)での「サンデイ・カインド・オブ・ラブ」や「アイ・ゲット・ザ・ブルース・ホエン・イット・レインズ」での名唱が私にとっては大変に忘れがたい印象深いものです。高音部の美しい情感、しっとりとした清潔感などは独特の魅力があります。
フラン・ウォーレンは48年以降シングルとして独立し、一流ナイトクラブでのライブ活動、49年ブロードウェイ・ミュージカル「アズ・ザ・ガールズ・ゴー」出演、50年「フィニアンの虹」地方興行の主役、54年には映画「凹凸海賊船」出演など、それなりの活躍をしています。そうした彼女のことを知るべく残されたアルバムがその実力の割には少なすぎると正直なところ思われます。本作は50年代前半のSP盤を集めたオムニバス盤ながらウォーレンの特徴がよくでており貴重なアルバムだと思いますね。
60年代以降はあまり活躍がなく、70年代では消息さえ聞かれなくなったとのことで、1926年生まれということですから、50年代後半以降、すなわち30才を過ぎてからの活躍があまり無かったというのはとても残念に思われます。
全12曲。スタンダード曲が品よく歌われており、確かにインパクトに欠けるきらいはありますが、その味わい深い歌い回しと麗しい声にはボーカル・ファンを十分納得させるものがあると思いますね。まあ日本人受けするということかもしれませんが。このアルバムと上に挙げたクロード・ソーンヒル楽団の2枚は私にとってはとても大切ななごみ系の音楽です。
1.ムード・インディゴ
2.どこへ行っても
3.エヴリワン・ニュー・バット・ミー
4.スピーク・ロウ
5.アンレス・ユーア・ニア・ミー
6.ウィッシュ・ユー・ワー・ヒア
7.忘れ得ぬ人
8.ユー・プロミスト・ミー
9.ジャスト・フレンズ
10.ラヴ・ミー・ラヴ
11.アイ・ヒア・ア・ラプソディー
12.恋とは何でしょう
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Fran Warren/ Mood Indigo
ちなみに、クロード・ソーンヒルの上記アルバムを私は20年以上前に中古レコードで購入したのすが、今は編曲を担当していたギル・エヴァンス名義の類似CDアルバムが入手できるようですね。アマゾンで入手可能です。→ The Real Birth of the Cool: Studio Recordings 。試聴もできるようですが、残念ながらあのサンデイ・カインド・オブ・ラブは入っていません。
クロード・ソーンヒル楽団でのウォーレンの歌はJR.comで試聴可能です。
→ The Complete Fran Warren With Claude Thornhill
同じアルバムはamazon.comでも試聴可能です。
→ The Complete Fran Warren With Claude Thornhill
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:42
クリス・コナー/バードランドの子守唄
2005年04月13日
Chris Connor/ Sings Lullabys of Birdland
今日はクリス・コナーです。本ブログでは3度目の登場です。コナーの代表作と言われるベツレヘム3部作の一つ『バードランドの子守唄』。録音当時20代半ばとはいえすでに成熟した女性を感じさせるハスキーヴォイス。伴奏は、エリス・ラーキンスのピアノ・トリオ、ヴィニー・バークのコンボ、サイ・オリヴァー・オーケストラと3種類の編成が楽しめます。1953-55年録音。Bethlehem。
すでにご紹介済みのクリス・コナーのアルバムは『ビレッジ・ゲイトのクリス・コナー』(1963年)、『クリス』(1953-55年)の2枚です。前者はコナーの作品の中で最もお気に入り、後者はベツレヘム3部作の一つでもう1作は『ディス・イズ・クリス』、こちらもそのうちご紹介することになるでしょう。
さて、本作ではクリスの特徴であるクールな中低音のハスキーな声が全開です。彼女のアルバム・ジャケットには口を大きく開けている姿がよく登場して印象的ですが、その背を反らしてまで熱唱するというイメージにはちょっと違和感がありますね。内に秘めつつ静かに燃える感じというのでしょうか。私にはそんなイメージです。それに、声だけでなくその歌い回しも知的かつドライなフレージングでとても個性的ですし、結構に技巧を凝らしているのですね。
全14曲プラス2曲。歌ものスタンダード中心です。1はコナーの代表曲でしょう。ジョージ・シアリング作の名曲ですね。バードランドとはチャーリー・パーカーの渾名バードに因んで命名されたNYハーレムにある老舗のジャズ・クラブ(私も一度行ったことがあります)。2も名曲ですね。ビル・エヴァンスの名演をすぐに思い出します。バラッドの4や5がしっとりと歌い込んでいてお勧め。それに7のブルー・シルエットは音質もよくオーケストラをバックにしたハスキーヴォイスが魅力的で特によいです。11や12などキュートなミディアム曲も実にいいです。14のグッバイは『ビレッジ・ゲイトのクリス・コナー』にも収録の曲。雰囲気は近いものがありますが、ビレッジ・ゲイトの方がライブ盤でもあり抑制された情感がにじみ出ていて感動的です。
1. Lullaby of Birdland
2. What Is There to Say?
3. Try a Little Tenderness
4. Spring Is Here
5. Why Shouldn't I?
6. Ask Me
7. Blue Silhouette
8. Chiquita from Chi-Wah-Wah
9. Cottage for Sale
10. How Long Has This Been Going On?
11. Stella by Starlight
12. Gone With the Wind
13. He's Coming Home
14. Goodbye
15. Why Shouldn't I? [Alternate Take 2]
16. Stella by Starlight [Alternate Take 2]
amazon.comでは試聴可能です。→ Chris Connor/Sings Lullabys of Birdland
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Chris Connor/ Sings Lullabys of Birdland
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:43
ヘレン・メリル/ローマのナイト・クラブで
2005年04月10日
Helen Merrill/ Parole e Musica
今日はヘレン・メリルのイタリア録音です。原題は「詩と音楽」で著名舞台俳優のイタリア語のナレーションを間にはさみにながらヘレン・メリルがスタンダードをハスキーに歌い上げます。女性の成熟した色香が存分に発散されています。伴奏は現地のジャズマンですが、あのトランペットのニニ・ロッソが参加していたりします。何を隠そうこれは私の大切な愛聴盤です。1959&1960年録音。
ヘレン・メリルといえばまずクリフォード・ブラウンと共演したエマーシー盤が有名ですが、私にとっては以前にこのブログでもご紹介した『ニアネス・オブ・ユー』と本作の『ローマのクラブで』の2作が甲乙つけがたい代表的名演ではないかと思われるのです。2作ともにキュートなメロディが真綿で包んだような魅惑的なハスキーで暖かいヴォーカルによってしっとりと歌われています。これらのアルバムを聞くとき子宮回帰といった女性的なるものへの飽くなき憧憬が幾分なりとも満たされる瞬間となっているのかもしれません。
そうした原始的というか生理的な直感は別にしても、本作『ローマのクラブで』はメリルの器楽的ともいえる特徴的なヴォイスを十分すぎるほどに味わうことのできる内容です。ヘレン・メリルのファンの方や好感を持ってらっしゃる方には自信をもってお勧めすることができますね。ミディアム以下のスロー・テンポで聞きなれたスタンダード曲がメリル節で歌われます。
全11曲ヘレン・メリルの良いところその全貌がほぼ完全に示されています。メリルの声をこれ以上ないほどに目一杯に堪能することができ、かつ素晴らしい内容とくれば、最初は多少奇異に感じられるイタリア語ナレーションもそのうち枝葉末節になってくるのですよ。間違いなくヘレン・メリルの代表作の一つです。音質も十分に上質です。メリル・ファン必携の名唱でしょう。ミディアムの8.I've Got You Under My Skinと1.Night And Dayが特にお勧め。あのYou'd be so nice~と同等以上、むしろ私はこっちの方が好きです。
ちなみに、ニニ・ロッソといいますと、「夜空のトランペット」や水野晴男さんが解説していたTV「水曜ロードショー」の主題曲で日本ではとても有名ですね。ご興味ある方はアマゾンのこちらへどうぞ。→ ニニ・ロッソ/ ニニ・ロッソ
1. Night And Day
2. Everything Happens To Me
3. Autumn In New York
4. Why Don't You Do Right
5. You Don't Know What Love Is
6. These Foolish Things
7. April In Paris
8. I've Got You Under My Skin
9. Solitude
10. Willow Weep For Me
11. When Your Lover Has Gone
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Helen Merrill/ parole e musica
ヘレン・メリルのオフィシャル・サイトはこちら。→HelenMerrill.com
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:44
ビヴァリー・ケニー/シングズ・フォー・ジョニー・スミス
2005年04月05日
Beverly Kenney/ Sings for Johnny Smith
今日は若くして亡くなった女性ヴォーカリストのビヴァリー・ケニーです。デビュー作の『シングズ・フォー・ジョニー・スミス』。少しハスキーがかった愛らしい声質でギター・コンボをバックにスタンダードをシンプルに歌い上げます。パーソネルは、ビヴァリー・ケニー(vo)、ジョニー・スミス(g)、ボブ・パンコースト(p)、ノビー・トター(b)、ムージー・アレクサンダー(ds)。1955年録音。Roost。
ビヴァリー・ケニーは1932年生まれ、寝たばこが原因のホテル火災で60年代初頭に若くして亡くなってしまいました。1955年にはドーシー・ブラザーズ・バンドの専属歌手になりましたが、その後ジョージ・シアリングなどのグループで歌っていたようです。その美形の容姿とキュートで少しハスキーがかった暖かみのあるクリアーな声質で、日本で人気が高いようです。1950年代半ばに吹き込まれたアルバムがルーストとデッカに合わせて6枚残されています。
本作はルーストに残されたデビュー・アルバムです。ルーストの看板ジョニー・スミスのコンボとの共演です。彼女の歌は力みがなく自然で軽やかに語りかけてくるようです。曲は良く知られたスタンダードが中心で、ジャジーな雰囲気は薄いですが、彼女のナチュラルな可愛らしさを上手く引き出したシンプルな演奏だと思います。ジョニー・スミスのギターが渋くていい雰囲気が出ています。
全12曲。白人女性ジャズ・ヴォーカルを日頃よく聴く私のようなジャズ・ファンには十分に楽しめる内容です。ジュリー・ロンドンの名盤『彼女の名はジュリー』に少し近い感じとでもいうのでしょうか、もっと明るくキュートにした感じですけれど。もちろんグルーヴィーな感覚は期待できないですし、スイング感も乏しいでのすが、その美しい歌もののメロディがさわやかな美声で丁寧に歌われています。
1. Surrey With The Frange On Top
2. Tis' Autumn
3. Looking For A Boy
4. I'll Know My Love(Greensleeves)
5. Destination Moon
6. Ball And Chain (Sweet Loraine)
7. Almost Like Being In Love
8. Stairway To The Stars
9. There Will Never Be Another You
10. This Little Town Is Paris
11. Moe's Blues
12. Snuggled On Your Shoulder
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Beverly Kenney/ Sings for Johnny Smith
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:45
サラ・ヴォーン/アット・ミスター・ケリーズ
2005年04月04日
Sarah Vaughn/ At Mister Kelly's
今日はサラ・ヴォーンのライブといきましょう。『アット・ミスター・ケリーズ』です。ピアノ・トリオをバックにしっとりと歌い上げます。パーソソネルは、サラ・ヴォーン(vo)、ジミー・ジョーンズ(p)、リチャード・デイヴィス(b)、ロイ・ヘインズ(ds)。1957年3月シコガのミスター・ケリーズにてライブ録音。Mercuryレコード。
サラ・ヴォーンの歌は50年代の半ばくらいの情感をうちに秘めた少し抑えた歌唱が好みです。70年代以降はその声量を生かしたこってりな味わいが前面に出てくることになりまして個人的にはちょっと胃にもたれて食傷気味ではあります。本作のミスター・ケリーズはそうした50年代サラを代表する定評のあるライブ・アルバムです。
選曲もよし、伴奏のトリオも素晴らしい、サラも絶好調とくればもう言うことなしなのですが、ほんのちょっと残念なのがべたっとした録音です。艶のあるサラの声質がほぼそのままダイレクトに伝えられています。もう少し深みのあるリバーブをきかせるだけでガラっと違ってもう完璧だったはずなのですが。ヴォーカルの名盤を数多く残しているMercuryレーベルに一つだけ不満があるとすればこの点なのですね。まあそれでもサラの最もよい時期の録音ということで貴重な録音ではあります。
1918年生まれですから録音当時は39才と充実した年齢に達しています。最もお勧めは、4.Be Anything But Darling Be Mineです。ここでの粘りのあるバラッド歌唱、そしてその中にもそこはかとなくグルーヴィーな感覚があってさすがにサラ・ヴォーンの持ち味がにじみ出ていると思います。それに、5.Thou Swellがお好みですね。キュートなメロディを渋くハイブロウな歌唱に仕立てています。あと、情感をたたえた歌8.Just A Gigoloもお気に入りでして、特にサラからジミー・ジョーンズのピアノに引き継がれる部分がジャズの深みある美観が感じられてvery goodですね。
1. September In The Rain
2. Willow Weep For Me
3. Just One Of Those Things
4. Be Anything But Darling Be Mine
5. Thou Swell
6. Stairway To The Stars
7. Honeysuckle Rose
8. Just A Gigolo
9. How High The Moon
10. Dream - (bonus track)
11. I'm Gonna Sit Right Down And Write Myself A Letter
12. It's Got To Be Love
13. Alone
14. If This Isn't Love
15. Embraceable You
16. Luckiy In Love
17. Dancing In The Dark
18. Poor Butterfly
19. Sometime's I'm Happy
20. I Cover The Waterfront
JR.comでは試聴可能です。→Sarah Vaughn/ At Mister Kelly's
アマゾンでも試聴可能です。→ Sarah Vaughn/ At Mister Kelly's
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:46
ベン・シドラン/ドクター・イズ・イン
2005年03月28日
Ben Sidran/ The Doctor Is In
今日はベン・シドランですね。へたうま系ヴォーカルのピアニスト。パーソネルは、ベン・シドラン(p,vo)、ブルー・ミッチェル(tp)、ラリー・カールトン(g)、フィル・アップチャーチ、リチャード・デイヴィス、チャック・ドマニコ(b)、トニー・ウィリアムス(ds)他。1977年。Aristaレコード。
学生時代に繰り返し聴いた大変愛着のあるなつかしいアルバムです。巷では今ニッポン放送株のことがしきりに取り上げられていますが、同放送局のオールナイト・ニッポンという深夜番組が昔人気があり、ある時期の水曜の夜は1時から3時までをタモリさんが担当していました。40才以上ではご存知の方も多いと思いますが、その放送の中でコマーシャルの度に流れていたのがこのアルバムに収められている「シルヴァーズ・セレナーデ」という美しい曲でした。そうホレス・シルヴァーの名曲ですね。この素晴らしいアレンジの曲が今だに私の耳にこびりついています。とても心地よい演奏なのですよ、これが。ここでのトランペットはブルー・ミッチェル。それにギターがラリー・カールトン、ドラムがトニー・ウィリアムスと役者が揃っています。ちなみに、H.シルヴァーのオリジナル演奏『シルヴァーズ・セレナーデ』(BN4131,1963年)にもB.ミッチェルが参加しています。
そして、同番組の最後にかかっていたのがマイルスの「ラウンド・ミッドナイト」でしたね。ブルーなミュート・トランペットが印象的でコルトレーンのテナーが対照的に豪快なあの有名な演奏です。タモリさんは今でこそメジャーな方ですがデビュー当時は動物のイグアナの形態模写をしたりする面白い不思議な芸人というイメージでした。中退した早稲田大学のジャズ研でトランペットを吹いていたとのことで、マイルス・デイヴィスのファンで、マイルスのアルバム『マイ・ファニー・バレンタイン』がお気に入りとか何かの雑誌か書物で見た記憶があります。さすがに、この「シルヴァーズ・セレナーデ」と「ラウンド・ミッドナイト」という選曲は趣味の良さを感じさせますね。それに『マイ・ファニー・....』とくれば納得ものです。
ドクターというのは"Dr.Jazz"の異名を持つベン・シドランのことで、それは彼が英国サセックス大学でPh.Dを取得しているからです。それはともかくとして、その独特のヴォーカルは好き嫌いが分かれると思いますが、シドランのジャズ・フィーリングのあるピアノに私は好感を持ちます。全11曲、7.Silver Serenadeが文句なしのインストゥルメンタルの名演です。7以外にも6. Set Yourself Free、2. Song For A Sucker Like You、9. Charlies Bluesなどのヴォーカル曲がシドランらしいセンスのよい曲と演奏です。それに10. Goodbye Pork Pie Hatはチャーリー・ミンガスの名曲ですが、お洒落な味のある素晴らしい演奏です。オリジナル演奏を収録したアルバム『ミンガス・アー・アム』(1959年)は結構好きですのでまたいつか本ブログで取り上げることにいたしましょう。
1. Get It Yourself
2. Song For A Sucker Like You
3. Broad Daylight
4. One Way Grave
5. See You On The Other Side
6. Set Yourself Free
7. Silver Serenade
8. Nobodys Fool
9. Charlies Blues
10. Goodbye Pork Pie Hat
11. Be Nice
Neowingでは試聴可能です。→Ben Sidran/ The Doctor Is In
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Ben Sidran/ The Doctor Is In
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:48
カサンドラ・ウィルソン/テネシー・ワルツ
2005年03月21日
Cassandra Wilson/ Rendezvous
今日はカサンドラ・ウィルソンとジャッキー・テラソンの傑作共演アルバムです。共にブルー・ノート3作目。パーソネルは、カサンドラ・ウィルソン(vo)、ジャッキー・テラソン(p,elp)、ロニー・ブラキシコ(b)、ミノ・シネル(perc)、ケニー・デイヴィス(ds)。1997年NY録音。BlueNote。
カサンドラ・ウィルソンは本ブログでもご紹介した前作『ニュー・ムーン・ドーター』でグラミー賞受賞。本作はそれまでの2作とは趣の異なるよりジャズっぽいスタンダード集です。ジャッキー・テラソンのピアノの素晴らしさが光ります。2や5ではカサンドラ抜きのピアノ演奏でして、これが何とも形容が付かない、素晴らしい演奏です。
テラソンは93年のモンク・コンペティション優勝で注目を浴びた気鋭のピアニスト、ブラッド・メルドーに先を越された感はあるもののその実力は折り紙付きの圧倒的なものです。カサンドラ・ウィルソンとのデュエットのような本作では本来の感性が全回しており、高い音楽性とジャズ・センスがお互いに火花を散らすような刺激的な緊張感のあるアルバムに仕上がっていると思います。
ジャズ密度が濃い、そんな印象です。1.Old Devil Moonや8. I Remember You、それに、9. Tea For Twoを聞きますとカサンドラの現代ヴォーカルの粋をいやというほどに感じさせられます。凄いなあと。味のある歌。お勧めの1曲目Old Devil Moonなどはアニタ・オデイやメル・トーメの名唱と全く違うまさにカサンドラ的世界観ですね。テラソンも負けじと哲学的な知的なソロを繰り広げています。とても深いものがあります。このアルバムは静寂の中にほのかに漂いながら燃えるジャズ炎の鮮やかな濃赤紫色の閃光のようです。
ジャズ通を唸らせる、そんな豊穣感のあるアルバム。じっくりと味わうべき深遠な世界です。プロが密かに聞く類のいわゆる大人のための音楽かもしれません。最上級の賛辞を惜しみなく送りたいですね。それにしてもテラソンのピアノをもっと聞きたくなります。カサンドラは常にこの水準ですが、テラソンの音楽はもっと深く知るべき堪能すべきと思わせてくれる内容です。
1. Old Devil Moon
2. Chan's Song
3. Tennessee Waltz
4. Little Boy Lost
5. Autumn Leaves
6. It Might As Well Be Spring dia
7. My Ship
8. I Remember You
9. Tea For Two
10. If Ever I Would Leave You
11. Chicago 1987
12. Come Rain or Come Shine
13. Medieval Blues
JR.comでは試聴可能です。→Cassandra Wilson/ Rendezvous
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Cassandra Wilson/ Rendezvous
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:49
ダイアナ・クラール/オンリー・トラスト・ユア・ハート
2005年03月17日
Diana Krall/ Only Trust Your Heart
今日はダイアナ・クラールの初期の作品から1枚を選んでみました。メジャー・デビュー第1作の『オンリー・トラスト・ユア・ハート』。名歌手&ピアニスト、ダイアナ・クラールの原石の輝きがここにあります。パーソネルは、スタンリー・タレンタイン(ts)、ダイアナ・クラール(p)、レイ・ブラウン、クリスチャン・マクブライド(b)、ルイス・ナッシュ(ds)。1994年NY録音。
ご存知の通りダイアナ・クラールは白人ながら黒人歌手のブルース・センスを有し、しかも洗練されたジャズ・スピリットを持つ、"今"最も旬の実力派ジャズ・ヴォ-カルですね。本作はデビュー作なのですが、2.の標題曲を聞いてみますと、自ずから後のクラールに繋がる原型がほぼ完成していることがわかります。
ボサノヴァ調のゆったりしたリズム上を太く逞しいクラールの声が確実に一歩一歩地歩を固めつつ上り詰めてゆく感じです。それに粋なピアノがまた魅力を添えています。あとは回りがいかにプレゼンスするかというだけの、その貫禄ある歌いっぷりとピアノ演奏はスター誕生の瞬間を示しています。
この2のしっとりバラード路線でその後は一躍スターダムに乗ることになるクラール、本作では黒っぽいシャウト系の曲やスタンリー・タレンタインの絡んだブルース調の曲が中心になっていて彼女本来のそれまでの指向を聞き取ることができます。
1. Is You Is Or Is You Ain't My Baby
2. Only Trust Your Heart
3. I Love Being Here With You
4. Broadway
5. Folks Who Live On The Hill
6. I've Got The World On A String
7. Squeeze Me
8. All Night Long edia
9. CRS Craft
JR.comでは試聴可能です。→Diana Krall/ Only Trust Your Heart
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Diana Krall/ Only Trust Your Heart
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:50
アニタ・オデイ/シングス・ザ・モスト
2005年02月16日
Anita O'Day / Sings The Most
今日はアニタ・オデイの最高作と評判の『シングス・ザ・モスト』です。O・ピーターソンらをバックにオデイの魅力がパーフェクトに捉えられた白人女性ヴォーカル・ファン必聴の一枚です。パーソネルは、アニタ・オデイ Anita O'Day (vo)、オスカー・ピーターソン Oscar Peterson (p)、ハーブ・エリス Herb Ellis (g)、レイ・ブラウン Ray Brown (b)、ジョン・ポール John Poole (ds)。1957年シカゴ録音。
このアルバムは聴くたびに愛着が蓄積してゆく類のとても貴重な作品だと思います。私の場合ほぼ飽和しているかと思いますが、たまに聞くと、ふむふむと一人ごちるというわけですね。アニタ・オデイ、その声質はハスキーとは言いがたいある種のしわがれ声でして決して讃えられるものではありませんが、そのジャズ・センスに満ちたテイストはその妙な声をも魅力的なものとするに足るほどに抜群の味わいがあります。
全11曲。聞きなれたスタンダードが並びます。個人的には、2.テンダリーが一番好きですね。美しいメロディを肩の力を抜いた語り口でこれぞジャズ・ヴォーカルという小粋なセンスで歌いあげます。ピーターソンのピアノ・ソロ伴奏もツボを抑えた好演です。途中からオン・テンポになるとがらりと雰囲気が変わってしっとりした歌声になりますがこちらも流石オデイという感じです。なかなかのものです。アニタ・オデイ姐さんは噛むほどにいい旨みが滲み出てくるのですよ。
3.オールド・デヴィル・ムーンなどもオデイらしい、素晴らしいテクニックとジャズ・スピリットを感じさせる歌い回しです。こういうのはもう天性の才というやつでしょう。このドライブ感はそうたやすく出せるものではないと思います。6.ゼム・ゼア・アイズのハミングなどもまさに才能がほとばしるようです。オデイの生涯の名演といえばこの曲かもしれません。
最後を飾る11.魅せられて も素敵な歌です。曲自体が大好きで、アート・ペッパーとラス・フリーマンの名演をすぐ思い浮かべますね。いきなりオデイの声で始まり、丁寧で微妙なフレージングが印象に残ります。5や6も同様に素晴らしい味がありますね。このアルバムはほんとジャズ好きにはたまらないエッセンスが凝縮されていますね。玄人好みというのですか、こういうのを。もし未聴の方がいらしたら、ぜひ下記リンクで試聴をお試しくださいませ。
1. 'S Wonderful / They Can't Take That Away From Me
2. Tenderly
3. Old Devil Moon
4. Love Me Or Leave Me
5. We'll Be Together Again
6. Stella By Starlight
7. Taking A Chance On Love
8. Them There Eyes
9. I've Got The World On A String
10. You Turned The Tables On Me
11. Bewitched, Bothered And Bewildered
JR.comでは試聴可能です。→ Anita O'Day / Sings The Most
ご購入はamazon.co.jpでどうぞ。→ Anita O'Day / Sings The Most
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:51
ジョー・スタッフォード/ジョー+ジャズ
2005年02月14日
Jo Stafford / Jo+Jazz
今日はジョー・スタッフォードです。名盤『ジョー+ジャズ』はエリントニアン(エリントン楽団のメンバー)らをバックに「いそしぎ」の作曲者ジョニー・マンデルのアレンジの洗練された粋なジャズ・ヴォーカル・アルバム。パーソネルは、ジョー・スタッフォード(vo)、レイ・ナンス(tp)、ジョニー・ホッジス(as)、ベン・ウェブスター(ts)、ハリー・カーネイ(bs)、ラス・フリーマン(celeste)、ジミー・ロウルズ(p)、ジョー・モドラゴン(b)、メル・ルイス(ds)、ジョニー・マンデル(con,arr)。1960年LA録音。CBS。
何といいましてもスタッフォードの歌声とともにジョニー・ホッジスやベン・ウェブスターらのソロを一緒に味わえるという豪華さがこのヴォーカル盤の魅力です。スタッフォードは1920年生れ、40年代前半にトミー・ドーシー楽団でフランク・シナトラとともに看板歌手として活躍し、44年にソロ歌手として独立後ポピュラー歌手として大スターとなります。
本作は60年録音で持ち前の透明感ある歌声はやや失われていますが説得力ある歌唱とともに白人女性ヴォーカル特有のほのかな色香が漂っており大変魅力的な作品に仕上がっていると思います。それにエリントニアンと西海岸の混成ジャズマンからなるジャジーなバックがなかなかお洒落でよいですね。
全12曲。往年の米ショー・ビジネスの洗練さの一端を覗えるような内容です。1曲目は大好きなエリントン・ナンバー。エリントン40年代のレイ・ナンスでしたか歌入りの名演奏が思い出されます。2.For Youはトミー・ドーシー楽団在籍時のヒット曲。以下もスタンダードの名演が続きます。個人的には、8や9のミディアム・スローのしっとり歌うスタッフォードが好みです。ベン・ウェブスターのソロが渋いですし、ジョニー・ホッジスの優雅なソロも随所で聴けます。やっぱホッジスは凄いですね。いつもながら麗しい音色でツボを押えてます。オブリガートひとつとっても違いますよね。それと、セレスタを意外にもあの名手ラス・フリーマンがやってるのです。
1. Just Squeeze Me
2. For You
3. Midnight Sunen
4. You'd Be So Nice To Come Home To
5. The Folks Who Live On The Hill
6. I Didn't Know About You
7. What Can I Say After I Say I'm Sorry
8. Dream Of You
9. Imagination
10. S'posin
11. Day Dream
12. I've Got The World On A String
amazon.comでは試聴可能です。→Jo Stafford / Jo+Jazz
ご購入はamazon.co.jpでどうぞ。→ジョー・スタッフォード/ジョー+ジャズ
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:52
ヘレン・メリル/ザ・ニアネス・オブ・ユー
2005年02月08日
Helen Merrill / The Nearness of You
今日はヘレン・メリルでいきましょう。私の愛聴盤「ザ・ニアネス・オブ・ユー」です。メリルがハスキー・ヴォイスで軽やかにスタンダートを歌います。パーソネルは、ヘレン・メリル(vo)、1,3,4,5,6,8がマイク・シンプソン(fl)、ディック・マークス(p)、ジョン・フリーゴ(b)、フレッド・ランドクイスト(ds)、その他がボビー・ジャスパー(fl)、ビル・エヴァンス(p)、オスカー・ペティフォード(b)、ジョージ・ラッセル(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。1957&1958年録音。Emercyレコード。
半年くらい前に映画「ウォーター・ボーイズ」をDVDで見る機会がありまして青江美奈の伊勢崎町ブルースを久しぶりに耳にしました。ヘレン・メリルの歌声を青江美奈みたいという方がいるようですのでじっくり聞いてみる良い機会ではありました。確かに両者ともハスキーなのですが、ヘレン・メリルの魅力はハスキー・ヴォイスと共に真綿でくるんだようなまろやかな中高音にありまして、青江美奈のあの中低音の声質とはかなりの隔たりがあることを確認しました。
本アルバムのヘレン・メリルは何とも魅力があります。彼女の代表作としては恐らく「with Clifford Brown」でなくむしろこちらだろうと私は自信を持って主張したいと思います。それはメリルらしい伸びやかでハスキーな声質がポップなスタンダード曲の名唱として効果的に捉えられており、メリルの個性が全面的に開花していると感じられるからです。
3.I remember you、5.Dearly belovedや8.I see your face before me、それに10.The Nearness of youを聴けば納得できます。すがすがしい気持ちになってきます。フルートの軽妙なアクセントが重くなりがちなメリルの歌声を軽やかなものにしているようです。ミディアムから少しアップテンポで高音側で歌うメリルの歌には何とも知れず魅かれるものがあります。恣意的かもしれませんが、母性とか子宮といった類を感じるのは私だけでしょうか。
標題曲ニアネス・オブ・ユーはスターダストで有名なホーギー・カーマイケルのキュートな作品です。ここでは、ビル・エヴァンスのピアノ・ソロが少しだけ聞かれますが、硬質なタッチがすでに独特な音感を作り出しています。特に、メリルからエヴァンスへとバトンが引き継がれる部分での濃厚なエヴァンス的な間のとり方はある種の格調ある雰囲気を醸し出しています。
1. Bye, Bye Blackbird
2. When tne sun comes out
3. I remember you
4. Softly as in a morning sunrise
5. Dearly beloved
6. Summertime
7. All of you
8. I see your face before me
9. Let me love you
10. The nearness of you
11. This time the dream's on you
12. Just imagine
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順位はどうなっているでしょうか。それがかなり落ち込んでるのですよ。
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:53
フローラ・プリム/エブリデイ、エブリナイト
2005年01月11日
Flora Purim/ Everyday, Everynight
今日はフローラ・プリムです。現代ブラジル音楽の歌姫ことフローラ・プリムとフランスの名アレンジャーのミシェル・コロンビエとのコンビが豪華なフュージョン系ミュージシャンとともに製作したとても魅力的な名作ヴォーカル・アルバムです。
パーソネルは、ミシェル・コロンビエ(arr,key)、ランディ・ブレッカー(tp)、デヴィッド・サンボーン(as)、マイケル・ブレッカー(ts)、リー・リトナー(g)、ジェイ・グレイドン(g)、ハービー・ハンコック(key)、ジョージ・デューク(key)、デヴィッド・フォスター(key)、ジャコ・パストリアス(b)、ハーヴィー・メイソン(ds)、アイアート・モレイラ(perc)。1978年LA録音。
フローラ・プリムはブラジル生れでアイアート・モレイラを夫に持つ大御所女性ヴォーカリスト。チック・コリアの「リターン・トゥ・フォーエバー」(72年)で一躍有名になりました。この「エブリデイ、エブリナイト」(78年)はブラジリアン系フュージョンの名作ヴォーカル・アルバムです。6オクターブもの広い声域を持つといわれるフローラ・プリムの透明感のある美しい声が全編にわたって聞かれます。ジャコ・パストリアスが随所で大活躍しています。
フローラ・プリムの公式サイトはこちら。
全11曲。7~11が好きでよく聴きます。特にお勧めはジャコ・パストリアス作の8曲目のLas Olas。歌詞のない歌ですがフローラ・プリムの美しい歌声がとても印象に残る美しい曲です。ハービー・ハンコックのエレピのソロも聴けます。
1.エヴリデイ、エヴリナイト、2.サンバ・ミシェル、3.ホープ、4.ファイヴ・フォア、5.ウォーキング・アウェイ、6.アイ・ジャスト・ドント・ノウ、7.イン・ブラジル、8.ラス・オラス、9.ブルース・バラッド、10.オーヴァチュア、11.ホワイ・アイム・アローン
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:54
ダイナ・ワシントン/ウイズ・クリフォード・ブラウン
2005年01月05日
Dinah Washington/ Dinah Jams
今日はダイナ・ワシントンの登場です。ブルースの女王と呼ばれた黒人女性歌手の代表的名盤です。パーソネルは、ダイナ・ワシントン(vo)、クリフォード・ブラウン、メイナ-ド・ファーガソン、クラーク・テリー(tp)、ハーブ・ゲラー(as)、ハロルド・ランド(ts)、ジュニア・マンス、リッチー・パウエル(p)、キーター・ベッツ、ジョージ・モロウ(b)、マックス・ローチ(ds)。1954年録音。Mercuryレーベル。
Mercuryに残されたクリフォード・ブラウンが参加した女性ヴォーカル盤には、ヘレン・メリル、サラ・ヴォーンとこのダイナ・ワシントンの3枚があります。このワシントンのアルバム、本来はダイナ・ジャムと名付けられており日本盤でのみウィズ・クリフォード・ブラウンとして販売されています。ブラウンの他に気鋭のジャズマンの参加による大編成ですので、ジャムという名がふさわしいものですし、C・ブラウンとの共演盤というよりこのアルバムはダイナ・ワシントンのリーダー・アルバムと言えましょう。
さてこのダイナ・ワシントンの本アルバム、ヴォーカル・ファンならば畢竟はずせない名演です。ダイナマイトのようにエネルギッシュな歌唱がクリフォード・ブラウンはじめ他の管楽器に負けず圧倒的な存在感なのです。39年の短い生涯にもかかわらずその名声は国民的歌手として響き渡っていますが、ジャズに限定されない広い守備範囲とともに、本作ではその個性的な歌唱の典型的な一端を窺い知ることができます。
全11曲。元は8曲、CDでは3曲が追加されています。レコードのB面に相当する5~8が素晴らしい出来です。5.No Moreは"もうたくさん"という彼女自身の男性遍歴を象徴するような名唱、6.I've Got You Under My Skinはドライビング感のあるジャジーな名演です。それにC・ブラウン他のサイドメンがこれまたとてもよい具合なのです。まさしくのりに乗ったジャム・セッションという感じです。スタジオに客を入れて臨場感のあるライブ・パーフォーマンスも奏功しています。
1. Lover Come Back To Me、2. Alone Together、3. Summertime、4. Come Rain Or Come Shine、5. No More、6. I've Got You Under My Skin、7. There Is No Greater Love、8. You Go To My Head、9. Darn That Dream、10. Crazy He Calls Me、11. I'll Remember April
JR.comでは試聴OK(音質good)。→ Dinah Washington/ Dinah Jams
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:55
アニタ・オデイ/シングズ・ザ・ウィナーズ
2004年12月31日
Anita O'Day / Sings The Winners
大晦日の今日はアニタ・オデイです。アニタ・オデイは言わずと知れた屈指の実力派白人女性ヴォーカルですね。本作はアニタが当時のモダン・ジャズの名演奏曲をセレクトして、マーティ・ペイチ・オーケストラ他西海岸のジャズマン達をバックにして快唱を残した名曲集です。1958年LA録音。Verveレーベル。
アニタ・オデイの魅力はハスキー系の特徴あるヴォイスと天性のジャズ・センスにあります。決して声量があるわけでなし、よい声でもない、それにうまいと言えるほどのものでもないのですが、ジャズらしい小粋な感覚は図抜けて素晴らしいものがあります。ジャズを歌うことがとても似合っている、そんな印象です。ジューン・クリスティやクリス・コナーらが後に続きますが、白人女性ヴォーカルの典型的なスタイルを形作ったと言えるのがこのアニタ・オデイかもしれません。
40年台からジーン・クルーパやスタン・ケントン楽団で活躍し名を成しましたが、声を酷使したせいで50年前後はアル中にまでなるという悲惨なスランプ状態でした。ノーマン・グランツに機会を与えられ、50年代の後半に数多くの名唱をVerveに残すことになります。1920年生れですから、30才後半での大活躍ですね。
本作のシングズ・ザ・ウィナーズ以外では、オーケストラをバックに優雅な名唱で傑作と名高い「 ディス・イズ・アニタ 」(56年)、オスカー・ピーターソン・トリオをバックにスインギーな名唱を記録した「 アニタ・シングズ・ザ・モスト 」(56年)、ジャズ・クラブでのライブ盤「 アット・ミスター・ケリーズ 」(58年)などが有名です。それにしてもVerveのジャケット・デザインだけはちょいといただけないですね、蛇足ですが。
本作の曲目が40~50年代の有名曲ばかりでアニタ・オデイがこれらのよく知られた名演をどのように歌うかというところがポイントです。マーティ・ペイチら西海岸のバック陣を従えて、A列車で行こう(デューク・エリントン)、アーリー・オータム(ウディ・ハーマン)、チュニジアの夜(ディジー・ガレスピー)、マイ・ファニー・バレンタイン(マイルス・デイヴィス)らの名演をアニタ流に料理しています。7曲追加された全19曲、満腹感を堪能できる一枚です。
amazon.comでは試聴OK。→ Anita O'Day Sings The Winners
JR.comでも試聴OK(音質いい)。→Anita O'Day Sings The Winners
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:56
クリス・コナー/クリス
2004年12月24日
Chris Connor / Chris
こんにちは。今日はクリス・コナーです。私のお気に入りNo.1女性ヴォーカルです。ハスキー・ヴォイスと卓越したジャズ・センス、それに一見クールだけれど本当は女性らしい暖かい感性。パーソネルは、①エリス・ラーキンス(p)・トリオ、1956年録音、②サイ・オリヴァー楽団、1953年録音、③ザ・ヴィニー・バーク・クインテット、1954年録音、④ラルフ・シャロン(p)・グループ、1955年録音。ベツレヘム・レーベル。
50年代半ばのベツレヘムでは、この「クリス」とともに「ディス・イズ・クリス」「バートランドの子守唄」の計3枚が有名です。50年代ではもう一枚アトランティックに吹き込んだ「ジャズ・デイト・ウィズ・クリス・コナー」が同じ路線の名唱でしょう。いずれもクール・ビューティーのクリス・コナーの本領を発揮した定評あるヴォーカル・アルバムです。これらのアルバムについてはそのうちいずれご紹介させていただきます。また、60年代前半には、「ヴィレッジ・ゲイトのクリス・コナー」(ライブ盤)というジャズ・ヴォーカル・ファン必聴の名盤があります。こちらはすでにご紹介済みです。→ ヴィレッジ・ゲイトのクリス・コナー。
本作は全12曲収録です。特に、1曲目のAll About Ronnie が好みです。クリス・コナーの独特のハスキーで暖かいクールなバラッド歌唱が冴えています。エリス・ラーキンスのさりげないピアノ伴奏も光っていますね。ノスタルジックなアメリカン・テイストでいい雰囲気です。3.Everything I Loveや4.Indian Summer、それに5.I Hear Music、9.A Good Man is a Seldom Thing なども特徴のよく出た名唱だと思います。確かなテクニックと中低域のコントロールされた声質が魅力的です。色気があまり感じられないという巷の評判ですが、いやどうして、知的で秘めた情感にこそ私はそこはかとない色香を感じるのです。
Amazon.comでは試聴OK。→ Chris Connor / Chris
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:57
ジョン・コルトレーンとジョニー・ハートマン
2004年12月19日
John Coltrane and Johnny Hartman / John Coltrane and Johnny Hartman
ジョニー・ハートマンは男性的な渋い美声の歌手です。このアルバムではコルトレーンとの組み合わせの妙により、見事に静謐で耽美的な世界が演出されています。まさに一期一会の出会いから生れた不朽の名盤と言えます。パーソネルは、ジョニー・ハートマン(vo)、ジョン・コルトレーン(ts)、マッコイ・タイナー(p)、ジミー・ギャリソン(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)。1963年録音。Impulseレーベル。
コルトレーンは62年に有名な「バラード」という美しいスロー・バラード集やエリントンとの「デューク・エリントンとジョン・コルトレーン」などのアルバムを出しており、本作はその延長にあるリリカル路線の作品と言えます。61年の「アフリカ・ブラス」「インプレッションズ」などからはかなりの変換でした。この62~63年はコルトレーンにとって新しい局面を迎えるべく休息の時期だったのかもしれません。この後の64以降、以前にも増して求道者のような哲学的なインプロヴィゼーションの世界に邁進することになるのです。
商業的な小さな成功よりも芸術家としての自覚が立ち止まることを許さなかったのでしょう。実際、67年7月の死(享年40才)まで時間はわずかしか残されていませんでした。ほんとにコルトレーンの音楽には常に緊張というかのっぴきならない何かがいつも内在しているようでした。この時期のコルトレーンの音楽はその点確かに親しみやすいのですが、コルトレーン自身は楽しんでいたのかなと疑いたくなる微妙な陰影を感じます。私にとっては「バラード」よりも本作の方がハートマンのク-ルな歌唱がある分、正直楽しめます。ジャズという音楽の基本はやはり悦楽にあるはずで、コルトレーンのテナーは美しいことは確かですが切なすぎるきらいがあるのですね。
いずれにせよ、記録されたこのレコード(CD)には、ジョニー・ハートマンの一世一代の名唱と、コルトレーンのテナー、それにマッコイのピアノ、さらにはエルヴィンのブラッシュ・ワークが歴然と輝きながら残っているという事実があります。その前に立って耳を傾けますと、個人的なちっぽけな詮索など全く取るに足らないものなのです。ちなみにハートマンは83年60才で他界。
1. They Say It's Wonderful
2. Dedicated To You
3. My One And Only Love
4. Lush Life
5. You Are Too Beautiful
6. Autumn Serenade
Johnny Hartman (vo),John Coltrane (ts),McCoy Tyner (p),Jimmy Garrison (b),Elvin Jones (ds).
Recorded on Mar. 7th, 1963.
iTunes Music Store では試聴可能です。→
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ John Coltrane and Johnny Hartman / John Coltrane and Johnny Hartman
関連エントリーはこちら。
→ セロニアス・モンク『ウィズ・ジョン・コルトレーン』(1957)
→ ジョン・コルトレーン『ブルー・トレーン』(1957)
→ ジョン・コルトレーン『ソウル・トレーン』(1958)
→ ジョン・コルトレーン『ジャイアント・ステップス』(1959)
→ ジョン・コルトレーン『マイ・フェイヴァリット・シングス』(1960)
→ ジョン・コルトレーン『オレ・コルトレーン』(1961)
→ ジョン・コルトレーン『インプレッションズ』(1961)
→ ジョン・コルトレーン『ライブ・アット・ザ・ビレッジ・ヴァンガード』(1961)
→ ジョン・コルトレーン『コルトレーン』(1962)
→ ジョン・コルトレーン『ジョン・コルトレーンとジョニー・ハートマン』(1963)
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:58
セシリア・ノービー/マイ・コーナー・オブ・ザ・スカイ
2004年12月09日
Caecilie Norby / My Corner of the Sky
こんにちは。今日はセシリア・ノービーです。デンマーク出身の実力派女性ジャズ・ヴォーカルです。このアルバム、マイ・コーナー・オブ・ザ・スカイはブルーノート・レーベルから出た彼女のメジャー、デビュー・アルバムです。1995年NY録音。プロデュースにもアレンジにも彼女の名があり、さすがに作曲家の父と声楽家の母という家庭の娘は才能がありますね。
高水準のジャズ・ヴォーカルが聞けます。バックも一流のスタジオ・ミュージシャンで固められています。スタンダードからコンテンポラリーまで幅広い選曲でその音楽的な力量が感じられます。お勧め曲を選ぶとすれば、真摯なジャズ、2、5、12曲目でしょうか。
5曲目のAfricanFairytaleはウェイン・ショーターの有名なFootPrintですね。ノルビーが作詞して曲名を変えたのでしょう。この悪魔的な魅力あるメロディーをハミングを交えてジャジーな仕上がりにしてみせてくれます。ピアノのデイブ・キコスキもモーダルでvery goodな演奏です。私の場合、この演奏を聴くためにこのCDを繰り返し聞いてきたと言っても過言ではありません。
12曲目はTVコマーシャルにも一時使われていた有名曲Calling Youです。やはり素敵な極上のジャズ世界が広がっています。素晴らしいと思います。2曲目のTheRightToLoveも5曲目と同じトリオをバックにした正統派ジャズで傾聴に値する良い出来だと思います。その他にも、スティングのSetThemFreeやデビット・ボウイのLifeOnMars、それにレオン・ラッセルのA Song For Youなどもあって50分間を存分に楽しめるアルバムです。
1.Look of Love
2.Right to Love
3.Set Them Free
4.Supper Time
5.African Fairytale
6.Life on Mars?
7.Spinning Wheel
8.What Do You See in Her
9.Just One of Those Things
10.Snow
11.Song for You
12.Calling You
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:46
メル・トーメ/スウィングズ・シューバート・アレイ
2004年12月08日
Mel Torme / Swings Shubert Alley
こんにちは。今日はメル・トーメですね。このアルバム、スウィングズ・シューバート・アレイはブロードウェイの別称をタイトルにした、ミュージカル・ヒット・ナンバー集。都会的で洗練されたお洒落なメル・トーメの代表的な名盤です。パーソネルは、メル・トーメ(vo)、マーティ・ペイチ・オーケストラ、アート・ペッパー(as)他。1960年録音。メル・トーメは1925年生、1999年没。
メル・トーメはそのベルベット・ボイスの声質といい、粋なジャズ・センスといい、それに上手すぎる歌心と、私の大好きな白人男性ボーカリストです。フランク・シナトラよりもメル・トーメの方が好きですね。トーメの持つ軽快なスウィング感はジャズにとって決定的に重要な要素だと思います。このアルバムはメル・トーメの魅力とエンターテイナーとしての才能を感じさせるトーメの代表作だと思います。
収録曲は40&50年台の有名なミュージカル名曲が12曲、歌好きの私にとっては垂涎ものの貴重なものです。西海岸のクールなマーティ・ペイチ楽団の伴奏で、アート・ペッパーのソロも随所で聴けるというオマケ付きです。曲目別では、どれも一様に素晴らしい出来ですが、4、6、9、12などがお好みです。
1. Too Close for Comfort トゥー・クローズ・フォー・カムフォート
2. Once in Love With Amy ワンス・イン・ラヴ・ウィズ・アミー
3. Sleepin' Bee ア・スリーピン・ビー
4. On the Street Where You Live 君住む街角
5. All I Need Is the Girl オール・アイ・ニード・イズ・ア・ガール
6. Just in Time ジャスト・イン・タイム
7. Hello, Young Lovers ハロー,ヤング・ラヴァーズ
8. Surrey With the Fringe on Top 飾りのついた四輪馬車
9. Old Devil Moon オールド・デヴィル・ムーン
10. Whatever Lola Wants ホワットエヴァー・ローラ・ウォンツ
11. Too Darn Hot トゥー・ダーン・ホット
12. Lonely Town ロンリー・タウン
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:47
モニカ・ゼタールンド&ビル・エヴァンス/ワルツ・フォー・デビー
2004年12月05日
Monica Zetterund / Waltz For Debby
こんにちは。今日はモニカ・ゼタールンドとビル・エヴァンスの有名なワルツ・フォー・デビーです。パーソネルは、モニカ・ゼタールンド(vo)、ビル・エヴァンス(p)、チャック・イスラエル(b)、ラリー・バンカー(ds)。1964年録音。
以前はモニカ・ゼッテルンドと読んでいましたが現在はモニカ・ゼタールンド、このジャズ・アルバムでエヴァンスと共演して一躍有名になりスウェーデンの歌姫と呼ばれるようになりました。エヴァンスの代名詞的な名曲ワルツ・フォー・デビーを取り上げアルバム名にまでしている上、エヴァンスのピアノ伴奏がいつもの美しくていぶし銀のごとく渋いものですから、これは人気が出ないはずがありません。バラードが雰囲気よく心地よくしっとりと歌われますのでこれはもう堪ったものではありません。
それと特筆すべきは、ボーナストラックの16曲目"サンタが街にやってくる" でビル・エヴァンスの歌声が聞けるということです。 私、初めてその肉声の歌を聞いた時、まさかエヴァンスではなかろうと確信めいたものを持っていまして、いかにも素人っぽくてその鼻にかかった嫌味な声と人を舐めたような浮かれた様子、何ていい加減な奴、なぜにCDにまで?という印象ですが、エヴァンスと知った時は正直大々々々々々々(延々と続く)ショックでした。私の中のビル・エヴァンスの巨大な像がもろくも崩れ去ってゆく思いでした。ベン・シドランというジャズ系シンガーソングライターが後に出てきますがあういうヘタウマっぽい雰囲気、というよりエヴァンスの場合は真に素人なのですが。というわけで、15曲目までは真摯なジャズ名盤なのですが、16曲目でこんなん出ましたという、製作者の意図を計りかねるようなオマケつきで、ある意味、エヴァンス・ファン必携の貴重なアルバムでしょう。
1. Come Rain Or Come Shine
2. Beautiful Rose (Jag Vet En Dejlig Rosa)
3. Once Upon A Summertime
4. So Long Big Time
5. Waltz For Debby (Monicas Vals)
6. Lucky To Be Me
7. Sorrow Wind (Vindarna Sucka Uti Skogarna)
8. It Could Happen To You
9. Some Other Time
10. In The Night (Om Natten)
11. Come Rain Or Come Shine (Alt. Take)
12. Come Rain Or Come Shine [Alt. Take]
13. Lucky To Be Me
14. It Coould Happen To You (Alt. Take)
15. It Coould Happen To You [Alt. Take]
16. Santa Clause Is Coming To Town
MONICA ZETTRUND(vo), BILL EVANS(p), CHUCK ISRAELS(b), LARRY BUNKER(ds).
iTunes Music Store では試聴可能です。→
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Monica Zetterund / Waltz For Debby
関連エントリーはこちら。
→ ビル・エヴァンス『エブリバディ・ディグス』(1958)
→ ビル・エヴァンス『オン・グリーン・ドルフィン・ストリート』(1959)
→ ビルエヴァンス『ポートレイト・イン・ジャズ』(1959)
→ キャノンボール・アダレイ『ノウ・ホワット・アイ・ミーン』(1961)
→ ビル・エヴァンス『エクスプロレイションズ』(1961)
→ ビル・エヴァンス『ムーン・ビームス』(1962)
→ ビル・エヴァンス『シェリーズ・マンホールのビル・エヴァンス』(1963)
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:48
フランク・シナトラ/イン・ジ・ウィー・スモール・アワーズ
2004年11月21日
Frank Sinatra / In The Wee Small Hours
こんにちは。今日はフランク・シナトラの登場です。男性ジャズ・ボーカルを常に代表してきたビッグ・ネームですね。イン・ジ・ウィー・スモール・アワーズはシナトラ絶頂期を捉えた定評ある名唱アルバムです。パーソネルは、フランク・シナトラ(vo)、ネルソン・リドル楽団、55年録音。
50年代の古き良き米国ショービジネスの粋を感じさせるネルソン・リドル楽団の洒落た伴奏をバックに、シナトラの歌声は力みを抑えたクールな魅力に満たされています。ジャズ・スタンダードの名曲全12曲をじっくり堪能させてくれます。このアルバムのように、ジャズ・ボーカルで聴くスタンダード集は音楽好きにとっては大切な宝物です。その意味で最右翼のこのシナトラのアルバムは私にとっては折に触れ繰り返し聴いてきたそうした愛着のある1枚なのです。
シナトラにとってキャピトル時代(53~61年)は自分の歌唱を確立し大衆的な人気を獲得した時期、多くの名唱が残されています。イン・ジ・ウィー・スモール・アワーズがバラードを中心とした渋い玄人好みのするアルバムとすれば、 スイング・イージー (54年)はジャジーで溌剌とした万人受けする世界です。いずれもスタンダードの名曲を楽しむにはもってこいのアルバムです。
1. In The Wee Small Hours Of The Morning
2. Mood Indigo
3. Glad To Be Unhappy
4. I Get Along Without You Very Well
5. Deep In A Dream
6. I See Your Face Before Me
7. Can't We Be Friends?
8. When Your Lover Has Gone
9. What Is This Thing Called Love
10. Last Night When We Were Young
11. I'll Be Around
12. Ill Wind
13. It Never Entered My Mind
14. Dancing On The Ceiling
15. I'll Never Be The Same
16. This Love Of Mine
Amazon.comでは試聴OK。→ In The Wee Small Hours
→ Swing Easy
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:50
カサンドラ・ウィルソン/ニュー・ムーン・ドーター
2004年11月13日
Cassandra Wilson /New Moon Daughter
こんにちは。今日はカサンドラ・ウィルソンです。90年代にジャズ界に彗星のごとく現れた大型女性ヴォーカルの名作アルバムです。その力強い歌唱力と独特の声で今や女性ヴォーカル界を代表するまでになりました。95年録音。
このCDとの出会いは8年くらい前に仕事でニューオーリンズ→テキサス→ニューヨークと2週間ほど米に行った際のことでした。ニューオーリンズのリバー・フロントにあるCDショップで店内を歩いていますと丁度11曲目のMemphisが響いていました。初めて聴くそのヴォーカルは、黒っぽい雰囲気と低いながら絶妙な音程感を漂わせていまして、これはただ者もではないとすぐ直感しました。
その曲調とその解釈にほれ込みまして店員にそのCDを教えてもらい、ディズニーのプーさんのビデオ(子供へのお土産)と一緒に購入しました。その1曲のためでも後悔しないと確信しておりました。ただ、8曲目のモンキーズの大ヒット曲Last Train to Clarksville(恋の終列車)も大収穫でして、こんなに素敵にしかも完全に自分の個性として消化して歌える歌手は他にそういないと思います。
ちなみにニューオーリンズではフレンチ・クォーターでディキシー・ランド・ジャズを聴いたり、ミシシッピ川で船に乗ったりバスで農園に行ったりしましたね。ディキシーは本場とはいえそれほど感動はありませんでした。ニューヨークでも有名なジャズ・クラブのバートランドでライブを聴きましたね。ブロードウェイにも行きましたっけ。いずれにしろ仕事よりも大部分が余暇のような貴重な出張でした。
1. Strange Fruit
2. Love Is Blindness
3. Solomon Sang
4. Death Letter
5. Skylark
6. Find Him
7. I'm So Lonesome I Could Cry
8. Last Train To Clarksville
9. Until
10. Little Warm Death, A
11. Memphis
12. Harvest Moon
JR.comでは試聴可能です。→Cassandra Wilson /New Moon Daughter
詳しくはamazon.co.jpでどうぞ。→ Cassandra Wilson /New Moon Daughter
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:51
カーリン・クローグ/ハイ・フライ
2004年11月01日
Karin Krog/ High Fly
こんにちは。今日は北欧の歌姫カーリン・クローグの傑作アルバムを紹介します。アーチー・シェップとの競演盤ハイ・フライです。パーソネルは、Karin Krog(vo)、Archie Shepp(ts)、Charles Greenlee(tb)、Jon Balke(p)、Arild Andersen(b)、Beaver Harris(ds)、Cameron Brown(b)、76年録音。
このアルバムは通常のボーカル・アルバムと趣が異なっていまして、クローグの歌が器楽的といいますか、純粋で真摯なジャズ・アルバムに仕上がっています。とても心地良くスイングするのですね。アーチー・シェップは60年代からそのテクニックで第一人者として活躍していますが、このアルバムでも申し分無い安定したテナーが聴けます。驚きといいますか発見は、トロンボーンのチャールズ・グリーンリーです。随所で長いソロをとっていまして、そのソロの素晴らしいことといったら私がこれまでに聴いたトロンボーンの中で最も推すトロンボーン演奏です。こんなに素敵にスイングするtbは他に知りません。
このアルバムで印象に残る曲は、4,SOLITUDE や5.HI-FLYです。ジャズという音楽の持つ奥深さや自由な広がりといったものがダイレクトに伝わってくる演奏です。成熟した音楽とでも表現したくなる類のものです。ちなみに、このアルバム発売当時の日本盤レコードではクローグとシェップの2ショットのジャケットでした。私はそれを持っています。繰り返し繰り返し聴いた懐かしいレコードです。
詳しくはamazon.co.jpでどうぞ。→ Karin Krog/ High Fly
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:52
ビリー・ホリデイ/アット・ストリーヴィル
2004年10月15日
Billie Holiday at Storyville
こんにちは。今日はジャズ・ボーカルの巨星レディ・デイことビリー・ホリデイです。ボストンの有名ジャズ・クラブの"ストリーヴィル"でのライブ録音です。1~7曲がCarl Drinkard(p)、Jimmy Woode(b)、Peter Littman(ds)、53年録音。8~13曲がStan Getz(ts)、Buster Harding(p)、John Fields(b)、Marquis Foster(ds)、51年録音。
ビリー・ホリデイの歌は少しとっつきにくくて好き嫌いの別れる類のものだと思います。私も実のところ大好きというほどではありませんがこのアルバムのアット・ストリービルだけは大のお気に入りです。特に前半の53年録音がたまらなく好きです。30年代から活躍している歌手ですので著名なアルバムはいずれも低音質なのですが、この53年録音は十分に聞けます。ジャズ好きの方になら自信を持ってお勧めできるアルバムです。
1曲目から7曲目には、ミデイアム・テンポのスタンダードが並びます。途中に挟まれる司会J.マコーランスの語り、ビリーと客席との掛け合い、それにピアノのキーへの注文など、ジャズクラブの雰囲気がダイレクトに伝わってきます。どの曲も大変素晴らしい出来です。鼻歌のように聞こえる粋なジャズ・センスは極上のジャズ・テイストをふんだんに含んでいます。苛酷な人生経験を積んだからこそ云々ということがよく言われるビリー・ホリデイですがここではそのことを全く気にせずに純粋にその音楽に感動することができます。7曲目の"ユー・ゴー・トゥ・マイ・ヘッド"が特にお勧め。
1. I Cover The Waterfront(3:25)
2. Too Marvelous For Words(2:13)
3. I Love You Porgy(3:10)
4. Them There Eyes(1:58)
5. Willow Weep For Me(4:13)
6. I Only Have Eyes For You(2:10)
7. You Go To My Head(3:28)
米amazonでは試聴OK。→Billie Holiday at Storyville
ビリー・ホリデイのオフィシャル・サイトはこちら。
ご購入はamazon.co.jpでどうぞ。→ Billie Holiday at Storyville
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:53
ヘレン・メリル/ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン
2004年10月13日
Helen Merrill/ Helen Merrill with Clifford Brown
こんにちは。今日はヘレン・メリルですね。このクリフォード・ブラウンとの競演盤はH・メリルの名盤というだけでなく女性ジャズ・ボーカル屈指の名盤です。パーソネルはヘレン・メリル(vo)、クリフォード・ブラウン(tp)、ジミー・ジョーンズ(p)、オスカー・ペティフォード(b,cello)、クインシー・ジョーンズ(arr,cond)他。54年録音。ニューヨークのため息と呼ばれたそのハスキー・ボイスは大人の色香を発散する類のものです。
C・ブラウンは54年にドラムのマックス・ローチと組んでその死までの約2年間エマーシー・レーベル(マーキュリー・レーベルのジャズ部門)に数々の名演を残します。女性ジャズ・ボーカルとの競演もこのメリル以外にダイナ・ワシントン、サラ・ボーンらとのものがありいずれも名盤です。C・ブラウンは若くして世を去りましたが真に不世出の天才です。この時期の演奏はどれを耳にしても高いレベルに安定しています。
このアルバムのH・メリルの歌ですが、有名な"You'd Be So Nice to Come Home To"もいいですが、むしろ、"What's New"や"'S Wonderful"、"Falling in Love With Love"が好みです。うまいという感じはありませんがその独特の声と雰囲気に翻弄されます。もちろん、C・ブラウンのトランペットも快調です。クインシー・ジョーンズの編曲は全体に心地よい雰囲気を醸し出しています。ジャズ・ボーカル・ファンなら一度は通り過ぎる必聴のアルバムだと思います。
ヘレン・メリルの他のアルバムではこのアルバムが有名すぎてあまり目立ちませんが、個人的には" ニアネス・オブ・ユー"が圧倒的に好きです。こちらはリラックスした伸びやかな自然な歌声に好感が持てます。それにビル・エバンスも参加しています。
1. Don't Explain
2. You'd Be So Nice to Come Home To
3. What's New?
4. Falling in Love With Love
5. Yesterdays
6. Born to Be Blue
7. 'S Wonderful
iTunes Music Store では試聴可能です。→Helen Merrill with Clifford Brown
詳しくはamazon.co.jpでどうぞ。→ Helen Merrill/ Helen Merrill with Clifford Brown
関連エントリはこちら。
→ヘレン・メリル/ザ・ニアネス・オブ・ユー
→ヘレン・メリル/ローマのナイト・クラブで
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:54
シンガーズ・アンリミテッド/ジャスト・イン・タイム
2004年10月11日
The Singers Unlimited/ Just In Time
こんにちは。今日はコーラス・グループのシンガーズ・アンリミテッドです。ア・カペラというのが今やそこかしこで聴かれますがその元祖的な存在のジャズ・グループです。このアルバムはピアノ・トリオをバックにジャジーな仕上がりの彼らの代表的な人気盤です。77年録音。
人気のあったハイ・ローズという男性4人組ジャズ・コーラス・グループを率いていたジーン・ピュアリングを中心に67年にボニー・ハーマンという女性歌手1名他を加えて結成された4人組グループです。ア・カペラを多重録音により演奏して美しいハーモニーで有名になりました。ビートルズのフール・オン・ザ・ヒルなどのポピュラー音楽を積極的に取り上げていますね。
この"ジャズト・イン・タイム"というアルバムはロジャー・ケラウェイというピアニストのトリオをバックに、"My Foolish Heart"、"Someone To Watch Over Me"、"Prelude To A Kiss"などのスタンダード・バラードが心地よく歌われています。エリントンのPrelude To A Kissをこのアルバムで初めて聴いたのでした。また、シンガーズ・アンリミテッドのアルバムで初めて購入したのが、"Invitaition"というアート・ヴァン・ダム(アコーディオン)のクィンテットをバックにしたものでした。むしろこちらが愛超盤ですが残念なことにCDでの入手が困難なようです。こちらもスタンダードの名曲ばかりが収められていまして、その口当たりのよい演奏により名曲を堪能することができます。
詳しくはamazon.co.jpでどうぞ。→ The Singers Unlimited/ Just In Time
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:55
ジュリー・ロンドン/彼女の名はジュリー
2004年10月09日
Julie London/ Julie is her Name
今日はジュリー・ロンドンの大ヒットアルバム、彼女の名はジュリーです。バーニー・ケッセル(g)とレイ・レザーウッド(b)のデュオというシンプルなバックにハスキーな歌声を聴かせてくれます。女性ボーカル・ファン必聴の定評ある人気アルバムです。55年録音。
ジュリー・ロンドンはその美貌で最初女優として45年デビューしたのですが、51年結婚して引退、その後53年離婚後歌手として復帰、そしてデビュー・アルバムがこの"彼女の名はジュリー"です。その中の1曲目の"クライ・ミー・ア・リバー"が大ヒットして一躍スター歌手となりました。後に夫となるボビー・トゥループ(ルート66の作者)が歌手としての彼女の才能を見出したとのこと。
ギターとベースを伴奏に歌うジュリー・ロンドンのこのアルバムの魅力はそのハスキー・ボイスと洗練されたバーニー・ケッセルのギターのシンプルな組み合わせの妙にあると思います。楽曲としては個人的には、"アイ・シュッド・ケア"、"ローラ"、"風と共にさりぬ"などがたまらなく好きです。美人歌手だからという贔屓目はほとんど関係ないです。純粋に音楽として素晴らしいものです。
60年にはやはりギターとベースでのトリオ演奏で"彼女の名はジュリー2"を出します。伴奏はハワード・ロバーツ(g)とレッド・ミッチェル(g)。CDにはこの2枚がまとめて1枚に収められていて大変お得です。ジュリー・ロンドンの魅力を存分に味わえることでしょう。そのジュリーは夫トゥループ1999年の死後すぐの2000年没。
1.クライ・ミー・ア・リヴァー
2.アイ・シュッド・ケア
3.恋のムードで
4.アイム・グラッド・ゼア・イズ・ユー
5.キャント・ヘルプ・ラヴィン・ザット・マン
6.アイ・ラヴ・ユー
7.セイ・イット・イズント・ソー
8.イット・ネヴァー・エンタード・マイ・マインド
9.イージー・ストリート
10.ス・ワンダフル
11.ノー・ムーン・アット・オール
12.ローラ
13.風と共に去りぬ
14.ブルームーン
15.恋とは何でしょう
16.ハウ・ロング・ハズ・ビーン・ゴーイング・オン
17.トゥー・グッド・トゥ・ビー・トゥルー
18.スプリング・イズ・ヒア
19.グッディ・グッディ
20.ザ・ワン・アイ・ラヴ・ビロングス・トゥ・サムバディ・エルス
21.イフ・アイム・ラッキー
22.ホット・トゥデイ
23.リトル・ホワイト・ライズ
24.アイ・ゲス・アイル・ハヴ・トゥ・チェンジ・マイ・プラン
25.アイ・ゴット・ロスト・イン・ヒズ・アームス
iTunes Music Store では試聴可能です。→Julie London/ Julie is her Name
詳しくはamazon.co.jpでどうぞ。→ Julie is her Name 1&2
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:55
サラ・ボーン/スウィンギン・イージー
2004年10月08日
Sarah Vaughn/ Swingin' Easy
こんにちは。今日はサラ・ボーンの登場です。名アルバムが多数ある中、この50年代の半ばのスウインギン・イージーというアルバムを選びました。この中のWords Can't Describeという曲のサラ・ボーンが大のお気に入りなものですから。パーソネルはJohn Malachi (p), Joe Benjamin (b), Roy Haynes (d), Jimmy Jones (p), Richard Davis (b)、54年&57年録音。
サラ・ボーン後年のあの声量感というのは繊細な私共には脂っこくて胃にもたれる感じがしますが、若かりし頃の透明感ある詠唱の方は品がよくて香ばしい漬物のように日常的に耳を傾けたくなる類のものだと思います。私の場合このアルバムもそうですが50年台半ばくらいのサラが一番好きですね。スウィンギン・イージーはその頃のサラの典型的な名唱を捉えたアルバムです。
本当はものすごくうまいのに抑えた表現でそれを感じさせないところがにくい。ピアノ・トリオをバックに飾らない普段の姿が捉えられています。Words Can't Describeを聴くためにレコードに何度針を落としたことでしょう。この曲以外にも名唱がいっぱいです。
1. Shulie a Bop
2. Lover Man
3. I Cried for You
4. Polka Dots and Moonbeams
5. All of Me Listen
6. Words Can't Describe
7. Prelude to a Kiss
8. You Hit the Spot
9. Pennies from Heaven
10. If I Knew Then (What I Know Now)
11. Body and Soul
12. They Can't Take That Away from Me
13. Linger Awhile [*]
iTunes Music Store では試聴可能です。→Sarah Vaughn/ Swingin' Easy
詳しくはamazon.co.jpでどうぞ。→ Sarah Vaughan/ Swingin' Easy
関連エントリはこちら。
→サラ・ヴォーン/アット・ミスター・ケリーズ
→サラ・ヴォーン/ウィズ・クリフォード・ブラウン
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:56
アン・バートン/ブルー・バートン
2004年10月01日
Ann Burton/ Blue Burton
こんにちは。今日は女性白人ジャズ・ボーカルのアン・バートンです。パーソネルは、Ann Burton(vo)、Louis van Dyke(p)、Jacques Schols(b)、Piet Noordjik(as)。67年録音。オランダ出身。33年生89年没。
そのビリー・ホリデイに影響を受けたという歌は力みのない自然体でありながら不思議な情感を醸し出す日本人好みの歌手です。このアルバムは遅咲きのデビュー・アルバムですが、バラッドを中心とするスタンダード曲中心の名盤として世評の高い内容です。バックのルイス・ヴァン・ダイクのピアノ・トリオはヨーロピアン・ジャズの源流をなすとても品のよいほんと素晴らしいバッキングです。また、録音の音質が極めてよいアルバムでもあります。
お勧めは、6曲目のYou've changedや7曲目のThe good lifeです。初めて聴いたのはいつ頃だったでしょうか。ジャズに目覚めてから大分時間が経っていましたが、それまで聴いたことの無かった別世界のジャズでしたね。ピアノのヴァン・ダイクの見事な伴奏がすぐに気に入りましたが、バートンの歌は素人っぽくてあまり感心しないという第一印象でした、確か。それでも繰り返し聴いているうちに段々とその不可思議な魅力に取り付かれてゆくことになります。アン・バートンはビリー・ホリデイ同様好き嫌いの別れるところかと思いますが、このヴァン・ダイクのピアノの響きには独特のものがあり、それを堪能するだけでもこのアルバムを聴いてみる価値があると思います。
1. I Can't Give You Anything But Love
2. Go Away Little Boy
3. He Was Too Good To Me
4. But Not For Me
5. It's Easy To Remember
6. You've Changed
7. Good Life
8. In The Wee Small Hours Of The Morning
9. Sunny
Ann Burton/ Ballad&Burton
このアン・バートンとルイス・ヴァン・ダイクの組み合わせには、もう一枚"バラッド&バートン"という69年録音の同種の人気アルバムがあります。こちらもスタンダード中心の親しみやすい内容です。私はバートンに魅せられていますので共に愛聴盤となっています。幾分かBlue Burtonの方が聴く機会は多いですが。アルコールを少し入れて聴きますとさらによいようです、はい。
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:58
マット・デニス/プレイズ・アンド・シングス
2004年09月20日
Matt Dennis/Plays and Sings
こんにちは。今日はマット・デニス、男性ボーカルから1枚を選びました。男性ボーカルといえば、フランク・シナトラ、メル・トーメら多くのビッグ・ネームがありますが、このマット・デニスは歌手というよりはむしろ作曲家としての方がずっと有名です。数少ない自演のアルバムの中で、この"Plays and Sings"は座右の名盤として多くのジャズ愛好家たちに圧倒的な人気があります。私も日常的に耳にする大好きなアルバムです。58年ライブ録音。
このマット・デニスの自作自演アルバムでは、ジャズ・スタンダードとして大変著名な、"Everything Happens to Me"、"Engel Eyes"、"Violets for Your Furs"、"Wiil You Still be Mine"などがピアノの弾き語りで演奏されています。決してうまいとはいえませんが、さりげない渋い歌心がよく伝わってきます。ライブ録音ならではのとてもリラックスした雰囲気です。いつもこんな風に演ってるんだろな、鼻歌のような軽やかさと絶妙なビブラート、それにツボを押えたピアノと、この上なく都会的で粋なセンスを感じます。ジャズ好きにはたまらないものがありますね。
他のジャズメンの名演でよく耳になじんでいる名曲の数々ですが、原曲はこんな感じなのですよとさらりと模範回答を示してくれているようなところがあります。"Junior and Julie"、"The Night We Called It a Day"なども、よく聴くほどに味わいが深く、後者はダイアナ・クラールの有名な演奏とはまた違った感覚でおもしろいですね。
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:00
ロレツ・アレクサンドリア/ザ・グレート
2004年09月19日
Lorez Alexandria/The Great
こんにちは。今日も女性ジャズ・ボーカルです。黒人女性ボーカルでは、ビリー・ホリデイ、サラ・ボーン、エラ・フィッツジェラルド、カーメン・マクレエらが有名ですが、ロレツ・アレクサンドリアやダイナ・ワシントンら実力的に同等レベルの歌手が大勢います。個人的にはこの中でサラとこのロレツが特によく聴くボーカルです。白人にはない圧倒的な声量と確かなスィング感、それに二人には透き通った歌唱力という共通するものがあります。
このザ・グレイトはそんなロレツの女性ジャズ・ボーカルを代表する名盤です。長年の私の愛聴盤ですので、自信を持ってお勧めできる一枚です。パーソネルは、ウイントン・ケリ-(p)、ポ-ル・チェンバ-ス(b)、ジミ-・コブ(ds)他、64年録音、インパルス・レーベル。
曲目別に見ますと、4.My One And Only Loveや5.Over The Rainbowなどのバラードがとても素晴らしい出来で、ロレツならではの情感たたえるブルーな名唱を聴くことができます。サビ部分での深い味わいは独特の魅力がありまして、ジャズ・ファンなら必聴の一枚かと思います。また、8のI've Grown Accustomed to His Faceという地味なスタンダード曲(MyFairLady挿入歌)も、静かに抑えた表現が妙に心地よくて私のお好みの演奏になっています。
JR.comでは試聴OK。→ Lorez Alexandria/The Great
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:01
クリス・コナー/ヴィレッジ・ゲイトのクリス・コナー
2004年09月18日
Chris Connor / Chris Connor at the Village Gate
こんにちは。今日は女性ジャズ・ボーカルから一枚ご紹介しましょう。クリス・コナーです。クリスといえばアニタ・オデイやジューン・クリスティと並ぶ代表的な白人モダン・ジャズ・ボーカリストです。そのハスキー・ボイスとスウィンギーな歌唱で50年代から高い人気を得ていました。私の一押しの白人女性ボーカルです。このクリス・コナー以外に、ヘレン・メリル、ジュリー・ロンドン、それにアン・バートンらも好みですが、やはりC・コナーが一番で、特に今回ご紹介するアルバムがお気に入りです。
さて、クリス・コナーのアルバムではこの63年のライブ盤でなく、50年代の名盤の方が一般的には定評があるでしょう。なぜか口を大きく開けて歌う写真ジャケットの"バードランドの子守唄"やディス・イズ・クリス"などが有名ですね。確かに教科書的で文句の付け所がない録音です。私にはもっと生の飾らないコナーがさりげなく唄うこのライブ盤の方が圧倒的によく聴く愛聴盤となっています。
ビレッジ・ゲイトはNYの有名ジャズ・クラブです。年季の入ったクリスのライブ演奏は上質ジャズ・クラブの雰囲気とともに、とてもリラックスした生の感じが伝わってきます。特に後半部分の明らかにアルコールが入っていそうな雰囲気の、8から11には毎度しびれます。ブラック・コヒーやオンリー・ザ・ロンリーをあのように品よく哀感を込めて唄えるようになるにはそれなりの人生経験が必要なのだろうな、とか、最後のテン・センツ・ア・ダンスなんてのは、あのさりげなさがいっそうその秘めた悲しみを感じさせてくれるのだよなと勝手なことを考えてしまいます。日常的に愛聴するジャズは、私の場合、歴史的名盤と呼ばれるものよりも、生のライブ盤など肩の凝らないものが多いようですが、このコナーの場合もまさにそれが当てはまっています。
iTunes Music Store では試聴可能です。→Chris Connor at the Village Gate
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Chris Connor / Chris Connor at the Village Gate
関連エントリはこちら。
→クリス・コナー/クリス
→クリス・コナー/バードランドの子守唄
→クリス・コナー/ディス・イズ・クリス
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:02
ダイアナ・クラール/ルック・オブ・ラブ
2004年08月20日
DIANA KRALL/ Look of Love
今日は日ごろよく聴く音楽から1枚をご紹介しましょう。ご存知の方も多いダイアナ・クラールの「ルック・オブ・ラブ」です。ジャズは学生の頃から好んで聴くジャンルでシンプルなモダンジャズが好みです。ジャズボーカルももちろんよく聴いています。このD・クラールは最近の女性ボーカリストとして最も有名な人でしょう。ピアノの弾き語りですが、ロンドンフィルをバックに渋くおシャレにハイセンスな歌を聴かせてくれます。PCに取り組みながらバックグラウンドとして聴くことが多いですが、ほんととっても和(なご)めますし、作業がはかどります。
このCDは音質もよく、特にアレンジがよいのですが、アレンジャーはクラウス・オガーマンという大御所です。ボサノバ系で超有名、1番のアレンジャーです。1960年台初頭のアントニオ・カルロス・ジョビンらによるボサノバ黎明期のアレンジを担当して以来、ボサノバアレンジのスタンダードを築いた人です。
イパネマの娘 Antonio Carlos Jobim
上はジョビンの名を決定的にしボサノバを世界に知らしめた有名なCDです。アレンジはオガーマンです。魅惑的なメロディーと心地よい独特のリズム、そして華麗なオーケストレーションアレンジ、何度聴いても聞き飽きないです。先のクラールのCDではそんなボサノバの洗練されたテイストが、クラール独自の音世界を存分に引き立てることに成功しており、こちらも素晴らしい仕上がりになっています。
そういえばびっくりなのはクラールがあのエルビス・コステロと結婚したことです。独特の個性的ロックとコアなファンを持つことで知られるコステロと美人歌手クラールの組み合わせはちょっと驚きですね。映画「ノッティングヒルの恋人」の主題歌「SHE」で一躍脚光を浴びたコステロですが、あの曲は古いシャンソンのカバーでコステロのイメージから遠いものですね。自身は自分で作詞作曲、しかもメッセージ性のある詩と独特の音世界を持つロックンローラーです(結構年食ってるはず)。クラールと結ばれてお互いどのような影響や刺激を受けて今後の音楽活動に反映されてゆくのか興味のあるところですね。
iTuens Music Store では試聴OKです。→DIANA KRALL/ Look of Love
詳しくはアマゾンでどうぞ。→DIANA KRALL/ Look of Love
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:03