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ビル・エヴァンス/ムーン・ビームス

JAZZ Piano 2

2005年03月08日

moon_beams.jpeg Bill Evans /Moon Beams

 今日はビル・エヴァンスのピアノ・トリオです。私の大の愛聴盤『ムーン・ビームス』。ジャケットは軟弱っぽく見えますが中味は極上のピアノ・トリオ演奏です。パーソネルは、ビル・エヴァンス(p)、チャック・イスラエル(b)、ポール・モチアン(ds)。1962年NY録音。Riverside。

 名作『ワルツ・フォー・デビー』を最後に盟友スコット・ラファロを自動車事故で失ったエヴァンスはしばらくの間落ち込むことになりますが、約1年を経過した本作ではベースにチャック・イスラエルを迎えてようやく本来の本領を発揮しています。重心重く落ち着きのあるチャック・イスラエルの伴奏でエヴァンスのピアノは内省的で深みのある見事な演奏を展開しています。
 
 実に素晴らしい。私はRiverside4部作と言われる『ポートレイト・イン・ジャズ』『エクスプロレイションズ』『サンデイ・アット・ザ・ビレッジ・ヴァンガード』『ワルツ・フォー・デビー』もよいと思いますが、『エブリバディ・ディグス』と本作『ムーン・ビームス』の2作も同等の名品だと私は考えています。4部作にはスコット・ラファロの参加で斬新なピアノ・トリオ演奏になっているのですが、あとの2作ではベースがあまり強く主張しない分だけバラッド演奏でのエヴァンスのピアノがしっとりとしたマイ・ペースで存分に独特のエヴァンス・テイストを醸し出していますね。アクが強くないという点で日常的に聴く機会としてはその2作が圧倒的に多いのですね。

 特にこの『ムーン・ビームス』では全編スロー~ミディアムのバラードですので格別にエヴァンス・ハーモニーが100%開放されているといった感じです。全8曲、全体に甘口とはいうもののもう安心して身をゆだねることができます。どの曲も素敵な仕上がりです。特に、5.If You Could See Me Now などが好みで聴くたびに痺れてしまいますね。2.Polka Dots And Moonbeamsも後半の解釈が素晴らしい。7.In Love in Vainなどもガラスのように繊細な感覚にはため息が出るように唸らされますね。8.Very Earlyもキュートなメロディを限りなく美しく響かせています。あ~、参ります。やっぱエヴァンスは凄いですな。

 ビル・エヴァンスをこれから聴くという方には4部作よりも本作をまず最初に試されることをお勧めしますよ。間違いなくピアノ・バラードの最高峰です。エヴァンスの魅力満載。鬱々とした神経くさいエヴァンス、繊細無比のエヴァンス、暗い虚ろな中にキラリと輝く閃光のエヴァンス、いずれもビル・エヴァンスの圧倒的な個性そのものです。エヴァンスの音楽は聴く側の心を映す鏡のようです。今日はエヴァンスのピアノにガラス細工の美を見出している自分がここにいます。

1. Re: Person I Knew
2. Polka Dots And Moonbeams
3. I Fall In Love Too Easily
4. Stairway To The Stars
5. If You Could See Me Now
6. It Might As Well Be Spring
7. In Love In Vain
8. Very Early

Bill Evans (p), Chuck Israels (b), Paul Motian (d). Recorded on May 17&29 and June 5, 1962.

iTunes Music Store では試聴可能です。→ビル・エバンス・トリオ - Moon Beams

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Bill Evans /Moon Beams


関連エントリーはこちら。
 → アート・ファーマー『モダン・アート』(1958)
 → ビル・エヴァンス『エブリバディ・ディグス』(1958)
 → ビル・エヴァンス『オン・グリーン・ドルフィン・ストリート』(1959)
 → ビルエヴァンス『ポートレイト・イン・ジャズ』(1959)
 → キャノンボール・アダレイ『ノウ・ホワット・アイ・ミーン』(1961)
 → ビル・エヴァンス『エクスプロレイションズ』(1961)
 → ビル・エヴァンス『ムーン・ビームス』(1962)
 → デイブ・パイク『パイクス・ピーク』(1962)
 → ビル・エヴァンス『シェリーズ・マンホールのビル・エヴァンス』(1963)
 → スタン・ゲッツ『スタン・ゲッツ&ビル・エヴァンス』(1964)
 → モニカ・ゼタールンド『ワルツ・フォー・デビー』(1964)


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投稿者 Jazz Blogger T : 10:07 | トラックバック

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