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ジョン・コルトレーン/ソウル・トレーン

JAZZ Sax 2

2005年07月06日

soul trane.jpeg John Coltrane / Soul Trane

 今日はジョン・コルトレーンですね。『ソウル・トレーン』はコルトレーンのワン・ホーン・アルバムとして実力&内容ともに最高の頂点を示した一枚に違いありません。自信に満ちた力強いテナーの響きは60年代とはまた異なる輝きに満ちています。パーソネルは、ジョン・コルトレーン(ts)、レッド・ガーランド(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・テイラー(ds)。1958年2月録音。Prestige Records。

 ジョン・コルトレーンのサックスの魅力はジャズに深入りすればするほど増大してくるように思われます。その真価を把握することは容易でないということの証なのかもしれません。虎穴に入らずんば虎子を得ずの例えのごとく、山なみの奥深くに分け入らないとその頂を見ることができないという類なのでしょうか。コルトレーンはいつもそこに悠然と佇んでいるのでした。

 本作の深い味わいを噛みしめることができる境地に自分もようやく達することができてとても幸せに感じられる今日この頃なのです。57年の『ブルー・トレーン』(BN1577)、59年の『ジャイアント・ステップス』(atlantic)の有名作に挟まれて少し地味目の本作ですが、この『ソウル・トレーン』(prestige)こそがコルトレーンが示した最高の頂点ではないかと密かに思うというわけです。ここにコルトレーンの真髄があると。

 60年代以降も納得できる部分があります。特に61年くらいまでは。それ以降はちょっとついていけません。『バラッド』なども名盤の誉れが高いですが、本作『ソウル・トレーン』の2曲のバラッド演奏を聴けばはるかに生命力に溢れていることがわかるはずです。『バラッド』では諦観というかむしろ枯れたニュアンスを醸していますが、私にはそれがいかにももの哀しく聞こえるのです。やはりジャズは演奏者本人がどこかで確実に楽しんでくれていないと聞いている側はもっと楽しめないのかなと思うのですね。

 50年代のコルトレーンは遅咲きながらマイルスのグループで個性を発揮して、ロリンズやモンクらとの共演を経てひたすら生真面目に努力することによって独自の境地を切り開きました。シーツオブサウンドという他人に容易に真似されることのない早弾きテクニックを身に着けて、50年代末はハードバップから新主流に脱皮する過渡期に当り、本作がバップでの最後、次作が新境地の最初という位置づけでしょうか。

 バップを完全に制してさらにその先に突き進まんというエネルギーが感じられます。本作には隅々にまでそうした自信に満ち溢れた力強いものが行き渡っていて、コルトレーン絶好調の雰囲気がひしひしと伝わってくる演奏なのです。この演奏に深い魅力を感じるとすれば、それは演奏者の心にある深い喜びや充実した精神性が聞く者に直に伝わってきているということに起因しているのだろうと思えるのです。

 全5曲。2曲目と4曲目がスローバラッド。1曲目と3曲目がミディアム、5曲目がアップ・テンポです。コルトレーンのテナーには凄まじい説得力が感じられます。ポール・チェンバースの重いベースがコルトレーンのパワフルで饒舌なテナーとよき対をなしていて全体の色調が決められています。レッド・ガーランドのピアノはいつもながら美しさを湛えておりアクの強いコルトレーンの音楽のアクセント付けに一役買っています。

1.Good Bait
2.I Want To Talk About You
3.You Say You Care
4.Theme For Ernie
5.Russian Lullaby

アマゾンでは試聴可能です。→ John Coltrane / Soul Trane

JR.comでも試聴可能です。→ John Coltrane / Soul Trane

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セロニアス・モンク/ウィズ・ジョン・コルトレーン(1957) → ジョン・コルトレーン/ブルー・トレーン(1957) → ジョン・コルトレーン/ジャイアント・ステップス(1959) → ジョン・コルトレーン/マイ・フェイバリット・シングス(1960) → ジョン・コルトレーン/プレイズ・ブルース(1960) → ジョン・コルトレーン/オレ・コルトレーン(1961) → ジョン・コルトレーン/インプレッションズ(1961) → ジョン・コルトレーン/ライブ・アット・ザ・ビレッジ・ヴァンガード(1961) → ジョン・コルトレーン/コルトレーン(1962) → ジョン・コルトレーン/ジョン・コルトレーンとジョニー・ハートマン(1963)

投稿者 Jazz Blogger T : 21:38 | トラックバック

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