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キアラ・シヴェロ/ラスト・クォーター・ムーン

JAZZ Vocal 2

2012年02月14日

Chiara_Civello_Last_Quarter_Moon Chiara Civello / Last Quarter Moon

 ここ1週間毎日のように聞いているキアラ・シヴェロのデビュー作品。特にボサノヴァ・アレンジがたくさんあって実に心地よいアルバムなのですね。ポップだけれどしっとりした情感、優しく自然な声質に和みます。恋心や傷心が静かにゆっくりと癒されることでしょう。今夜も厳冬の中、自宅で一人キアラの歌を聴きながらゆっくりと溶けていきます。パーソネルは、キアラ・シヴェロ (vo)他。2004年NY録音。Verve。

 キアラ・シヴェロ(1975〜)はローマ出身。バークレー音楽院に学び、辣腕プロデューサーのラス・タイトゥルマンと知り合って米国でデビュー。英語、イタリア語だけでなく、ポルトガル語でボサノヴァも歌います。作詞作曲もこなす。

 ラスト・クオーター・ムーンとは21夜から23夜の頃の月のことを示しており、始めの終わり、終わりの始まりといった意味を持つ。キアラ自身が月暦からヒントを得て命名したとのこと。

 私の場合、想い出は音楽と繫がります。このキアラ・シヴェロのデビュー作はずっと記憶に残る希少な一枚になることでしょう。淡く儚いけれど素敵な恋の記憶。人を好きになることは人生の贈り物。結末はたいてい辛く悲しいけれど、心が大きく揺れる一瞬の喜びは生の輝かしい瞬間。

 届かない熱い想いは自分の中の奥深いどこかに昇華して結晶を形作ります。その結晶化された純粋な感情は生きることの素晴らしさを改めて実感させてくれることでしょう。甘く切なく、そして辛い、けれど、熱い感情の高まりの感覚はずっと長く身体の中に快い記憶として宿ります。

 キアラ・シヴェロの歌と音楽を聴いていると、そうした切ない負の想いがプラスの方向にじんわりと転化されていくのが実感できます。純粋な心が静かに全体を覆って、生きていることそれ自体が安らぎに満ちた幸せなものであることを感じさせてくれます。

 全14曲。最後の2曲はボーナス・トラック。静かな夜に静かに一人聴く音楽。後半のボサノヴァ・アレンジの曲が特に素敵です。鎮静で美しい歌の5曲目、生を謳歌する7曲目、悲しくも美しいボサノヴァの11曲目など。実に素晴らしい心あるアルバムですね。

1. Here Is Everything
2. The Wrong Goodbye
3. Ora
4. Caramel
5. Parole Incerte
6. Last Quarter Moon
7. Nature Song
8. In Questi Giorni
9. Sambaroma
10. Trouble
11. Outono
12. I Won't Run Away
13. Beijo Partido
14. Sambaroma(Extended Version)

Chiara Civello (vo), Miguel Zenon (as), Alaine Mallet (p), Adam Rogers (g), James Genus (b), Clarence Penn (ds), Ben Street (b), Mike Mainieri (vib), Russ Titelman (prod).

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Chiara Civello / Last Quarter Moon

投稿者 Jazz Blogger T : 21:26 | トラックバック

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