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エンリコ・ピエラヌンティ/New Lands
JAZZ Piano 3
2008年10月11日
今日はエンリコ・ピエラヌンティです。まだ若かりし頃の録音。淀みなく流れ下る小川のせせらぎのような美しいピアノに今日もどっぷりと深く嵌ります。パーソネルは、エンリコ・ピエラヌンティ (p)、マーク・ジョンソン (b)、ジョーイ・バロン (ds)。1984年2月録音。Timeless。
エンリコ・ピエラヌンティ(1949~)はイタリア出身の私のお気に入りジャズ・ピアニスト。このCDは84年録音ですから、ピエラヌンティ30代の頃に当りますね。演奏から受ける印象は、瑞々しくて爽やか、そしてエヴァンス・ライクの粘着気質。
前回のロバート・ラカトシュのピアノがミディアム・テンポで小気味良く美音を連ねてゆくのを感激しながら聞いていたとき、私の脳裏にあったのはピエラヌンティの音楽でした。ジャズ・ピアノを聞いているときの喜び、エヴァンスやパウエルとは異なる新しい喜びを教えてくれたのがこのピエラヌンティの淀みなく流れる演奏だったのです。
ピエラヌンティは長いキャリアかつ多作なピアニストですが、日本国内で入手できるCDは数が限られていますし、私が知っているピエラヌンティは実はほんの一部分に過ぎないかもしれません。ただ、いずれも高水準の作品を残しているようですし、得られる印象や感動は大きくは変わらないと思います。
本CDは若い頃の作品という意味で新鮮な感覚が期待されますが、いつもの変わらぬピエラヌンティがすでにそこにいまして、この人は若い頃から後年のスタイルを確立していたのだなと感じさせます。まあテクニックや感性は30代でほぼ出来上がっているのが普通ですよね。
全7曲。1曲目 IF THERE IS SOMEONE LOVELIER THAN YOU からアップテンポの快調なピエラヌンティのソロが堪能できます。ピエラヌンティの音楽は聞き流せばさっと過ぎ去ってゆくほどさりげなくあっさりしているのですが、繰り返して聞くことでアドリブのメロディが耳に慣じんだ頃にようやくその心地よさが深く味わえるのだと思います。そういう類の音楽に私はなぜか愛着を抱きます。
2曲目 I FALL IN LOVE TOO EASILY はスローバラッド。粘っこいピアノが魅力的です。 ピエラヌンティのバラッド演奏は印象的なシングルトーンで独特な音列を並べる意外性のあるものですが、そこにある美意識には説得力があります。
3曲目 THE MOOD IS GOOD はミディアムテンポでやはり私はこうしたピエラヌンティがお好みのようです。リズムに乗って次々に繰り出されてくる音の連なりに身をゆだねるようなそんな快感です。5曲目 A CHILD IS BORN では粘っこくしっとりしていている上にリズムに乗る快適なピアノが素敵です。この演奏が本CDで一番のお勧めかな。
1. IF THERE IS SOMEONE LOVELIER THAN YOU
2. I FALL IN LOVE TOO EASILY
3. THE MOOD IS GOOD
4. NEW LANDS
5. A CHILD IS BORN
6. ALL THE THINGS YOU ARE
7. I LOVE YOU
Enrico Pieranunzi (p), Marc Johnson (b), Joey Baron (ds). Recorded on Feb 17, 1984.
iTunes Music Store では試聴可能です。→ Enrico Pieranunzi / New Lands
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Enrico Pieranunzi / New Lands
関連エントリはこちら。
→Enrico Pieranunzi/ The Night Gone By
→Enrico Pieranunzi/ Play Morricone
投稿者 Jazz Blogger T : 16:51 | トラックバック
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