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チャーリー・ヘイデン/ナイト・イン・ザ・シティ
JAZZ others 2
2005年03月31日
Charie Haden/ Night and the City
今夜はチャーリー・ヘイデンとケニー・バロンのデュオによるライブ・パーフォーマンスに耳を傾けています。これ実は最近の大のお気に入りアルバムです。深夜一人で聴くにはもってこいの渋い大人のジャズなんですね。パーソネルは、ケニー・バロン(p)、チャーリー・ヘイデン(b)。1996年NYのクラブ・イリジウムにてライブ録音。
チャーリー・ヘイデンは1937年生まれで70年代から活躍する大御所、メロディアスに歌う重いベースというイメージでしょうか。キース・ジャレット『生と死の幻想』やデニー・ザイトリン『ザイトガイスト』らのmy favoriteアルバムなどでヘイデンのベースを長く聴いてきました。90年代に入ってデュオに精力的に取り組み何枚かの優れたアルバムを残しています。本作は現代を代表するジャズ・ピアニストの一人ケニー・バロンを迎えて、最近ニューヨークで大人気のジャズ・スポット「イリジウム」にてライブ録音された定評ある作品です。その他にはハンク・ジョーンズとの『スピリチュアル』やパット・メセニーとの『ミズーリの空高く』などが著名なようですね。
全7曲、約70分の密度の濃いピアノとベースの会話が楽しめます。拍手や食器の音でしかその存在がわからないほどに聴衆の聞き入る姿が目に見えるようです。ケニー・バロンのピアノのタッチはこの上なく繊細で上品で洗練されたジャズを感じさせるものです。その典型が聞けるのが6のWaltz For Ruthで特にお勧めかな。ヘイデンが妻のルースのために書いた美しいナンバー。小気味よいパッセージが次から次に現れては消えまた現れるという心地よいピアノ音の流れには堪らないものがありますね。それに7のThe Very Thought Of Youでのバロンのブルージーで自由な多彩な表現には圧倒されますね。いずれもヘイデンのベースは確実に重心を示しながらも歌心をもって常に鼓舞し続けます。この二人の作り出す音楽には音楽に対する敬愛の念と心のこもったハートフルなものの存在が感じられますね。
本作、実はまだ購入して間がありませんがこれまでの経験からいって間違いなく長く座右に置くことになる愛すべき素敵な一枚だと確信しております。ジャズ・ピアノ好きの方には自信を持ってお勧めできますね。
1. Twilight Song
2. For Heaven's Sake
3. Spring Is Here
4. Body And Soul
5. You Don't Know What Love Is
6. Waltz For Ruth
7. The Very Thought Of You
JR.comでは試聴可能です。→Charie Haden/ Night and the City
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Charie Haden/ Night and the City
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:36
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ビートルズ/アンソロジー2
_Popular Music
2005年03月29日
The Beatles/ Anthology 2
今夜はビートルズを楽しんでいます。この『アンソロジー2』ってご存知でしょうか?実は私つい最近になってこういう作品があることを知りました。中学生の頃に夢中になって聞いたビートルズはこの10年20年くらいはまともに聴いたことがなかったのですね。ですからこんな素敵なアルバムが10年近く前に発売されていたなんてこと自体全く知りませんでした。実はこれ正規に発売されている公式のレコードやCDに収められていない別テイクやライブばかりを集めたビートルズ・ファンには大変に貴重なアルバムなのですね。
年代別に全部で3枚がリリースされていまして、この『アンソロジー2』は1965年から1968年の中期の『ヘルプ!』『ラバー・ソウル』『リボルバー』『サージェント・ペッパーズ・ロンリー・ハーツクラブバンド』『マジカル・ミステリー・ツアー』に対応するものが集められています。3枚の中では最も聞き応えのある内容だと思います。楽曲は下記に示していますが、同じ曲でもいくつものテイクが収録されていたりして、よく知る最終テイクにいかにしてたどり着いていったかが少し分かるというわけです。
驚きの連続であるとともに最高に楽しめる内容です。公式のアルバムを相当に聞き込んでいる人ほどそのおもしろみをより感じることができると思います。私の場合は正直言ってジョン・レノンの凄みをいやというほど再認識させられたように思います。基本的にラバー・ソウル辺りからスタジオ録音を中心にした活動になり、いろいろ趣向を凝らした録音を行うことになってゆくわけですね。ポール・マッカートニーの曲では美しいメロディを割とストレートに表現するパターンが多いのですが、ジョン・レノン自作曲ではアレンジが明らかにポイントになっている場合が多いのですね。曲の原型や途中の試行錯誤みたいなものを聴くことが出来ますのでアレンジの変化が如実に示されます。ジョンの才能というのは原曲の持つ独特のニュアンスを個性的なアレンジの妙によりラジカルでありながらとてもイカしたカッコいいものに仕上げるセンスにあるのだなあとつくづく感じたりします。
全45テイクが納められています。まずは、4の「悲しみをぶっ飛ばせ」でジョンの美声と美しい楽曲に酔いましょう。テイク5ですがほぼ完成されていることが分かります。それに7のポールがギター伴奏のみで歌う「イエスタデイ」を聞きましょう。素朴な味わいで名曲の生の姿を感じることができます。11では同じく「イエスタデイ」のライブ演奏が捉えられています。ジョージ・ハリソンがポールのことをリバプールから出てきた素人のように紹介していますね。14は名曲「ノルウェーの森」です。テイク1とは思えないほど原型がほぼ出来上がっているのがわかります。ジョージのシタールがちょっと耳につく感じがしておもしろいですね。そして、17が大好きな「トゥモロウ・ネバー・ノウズ」。これもテイク1ですか。かなり公式テイクとは異なりますが、すでにジョンの声が機械的にゆがめられており構想がほぼ完成していることがわかります。さすがに凄い創造性に感心です。23の「アイム・オンリー・スリーピング」もテイク1ですでに完成に近いですね。こうしてみてきますとジョンの場合アレンジのアイデアは早い時期から相当に考慮されていることがよくわかります。
Disc2にはいきなり「ストロベリー・フィールズ・フォーエバー」がデモ、テイク1、テイク7と3バージョンが続きまして、いかにしてあの名曲が出来上がったのかがよく分かるというものです。基本的にはやはりデモとテイク1のレベルですでにアイデアがほぼ固まっているのですね。ほんとジョンの構想力の才には驚きの連続です。テイク7では後半に逆回転テープ採りのイカしたリンゴ・スターのドラムが結構長く録音されていましてさらに例のジョンのクランベリー・ソースというつぶやきも入っていますね。この不思議な世界と次の「ペニー・レイン」の爽やかな出だしの印象は最終盤と同じです。14の「アイ・アム・ザ・ウォルラス」ではテイク16と相当に繰り返していることが分かります。確かに納得が行かなかったのでしょうが、これはこれで最終バーションほどの完成度はないにしてもジョンのボーカルの扱いが十分に先鋭的で魅力的であります。15では「フール・オン・ザ・ヒル」のデモがポールのピアノの弾き語りですね。これも原曲の生の素晴らしさが映えてとてもいいと思いますね。20は大好きな「アクロス・ザ・ユニバース」のテイク2。これもほぼ完成されていましてジョンの素敵な生のボーカルをシンプルなアレンジで聴くことができます。
Disc: 1
1. Real Love
2. Yes It Is - (combination of take 2 and master)
3. I'm Down - (take 1)
4. You've Got To Hide Your Love Away - (take 5, mono)
5. If You've Got Trouble - (previously unreleased)
6. That Means A Lot - (previously unreleased)
7. Yesterday - (take 1, Paul McCartney solo)
8. It's Only Love - (false start and take 2, mono)
9. I Feel Fine - (mono, live)
10. Ticket To Ride - (mono, live)
11. Yesterday - (mono, live)
12. Help! - (mono, live)
13. Everybody's Trying To Be My Baby - (mono, live)
14. Norwegian Wood (This Bird Has Flown) - (take 1)
15. I'm Looking Through You - (alternate take)
16. 12-Bar Original - (previously unreleased)
17. Tomorrow Never Knows - (take 1, "Mark 1")
18. Got To Get You Into My Life - (take 5, mono)
19. And Your Bird Can Sing - (take 2)
20. Taxman - (take 11)
21. Eleanor Rigby - (TRUE instrumental)
22. I'm Only Sleeping - (mono, instrumental rehearsal instrumental)
23. I'm Only Sleeping - (take 1, mono)
24. Rock And Roll Music - (mono, live)
25. She's A Woman - (mono, live)
Disc: 2
1. Strawberry Fields Forever - (mono, demo)
2. Strawberry Fields Forever - (take 1)
3. Strawberry Fields Forever - (take 7, mono)
4. Penny Lane - (alternate mix)
5. Day In The Life, A - (alternate take blend of alternate takes)
6. Good Morning Good Morning - (take 8)
7. Only A Northern Song - (alternate take blend of alternate takes)
8. Being For The Benefit Of Mr. Kite! - (take takes 1 & 2)
9. Being For The Benefit Of Mr. Kite! - (take 7)
10. Lucy In The Sky With Diamonds - (alternate mix)
11. Within You Without You - (TRUE instrumental)
12. Sgt Pepper's Lonely Hearts Club Band (Reprise) - (take 5, mono)
13. You Know My Name (Look Up The Number) - (extended, stereo version)
14. I Am The Walrus - (take 16)
15. Fool On The Hill, The - (mono, Paul McCartney demo)
16. Your Mother Should Know - (take 27)
17. Fool On The Hill, The - (take 4, alternate version)
18. Hello, Goodbye - (take 16)
19. Lady Madonna - (alternate mix)
20. Across The Universe - (take 2)
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ The Beatles/ Anthology 2
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:52
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ベン・シドラン/ドクター・イズ・イン
JAZZ Vocal
2005年03月28日
Ben Sidran/ The Doctor Is In
今日はベン・シドランですね。へたうま系ヴォーカルのピアニスト。パーソネルは、ベン・シドラン(p,vo)、ブルー・ミッチェル(tp)、ラリー・カールトン(g)、フィル・アップチャーチ、リチャード・デイヴィス、チャック・ドマニコ(b)、トニー・ウィリアムス(ds)他。1977年。Aristaレコード。
学生時代に繰り返し聴いた大変愛着のあるなつかしいアルバムです。巷では今ニッポン放送株のことがしきりに取り上げられていますが、同放送局のオールナイト・ニッポンという深夜番組が昔人気があり、ある時期の水曜の夜は1時から3時までをタモリさんが担当していました。40才以上ではご存知の方も多いと思いますが、その放送の中でコマーシャルの度に流れていたのがこのアルバムに収められている「シルヴァーズ・セレナーデ」という美しい曲でした。そうホレス・シルヴァーの名曲ですね。この素晴らしいアレンジの曲が今だに私の耳にこびりついています。とても心地よい演奏なのですよ、これが。ここでのトランペットはブルー・ミッチェル。それにギターがラリー・カールトン、ドラムがトニー・ウィリアムスと役者が揃っています。ちなみに、H.シルヴァーのオリジナル演奏『シルヴァーズ・セレナーデ』(BN4131,1963年)にもB.ミッチェルが参加しています。
そして、同番組の最後にかかっていたのがマイルスの「ラウンド・ミッドナイト」でしたね。ブルーなミュート・トランペットが印象的でコルトレーンのテナーが対照的に豪快なあの有名な演奏です。タモリさんは今でこそメジャーな方ですがデビュー当時は動物のイグアナの形態模写をしたりする面白い不思議な芸人というイメージでした。中退した早稲田大学のジャズ研でトランペットを吹いていたとのことで、マイルス・デイヴィスのファンで、マイルスのアルバム『マイ・ファニー・バレンタイン』がお気に入りとか何かの雑誌か書物で見た記憶があります。さすがに、この「シルヴァーズ・セレナーデ」と「ラウンド・ミッドナイト」という選曲は趣味の良さを感じさせますね。それに『マイ・ファニー・....』とくれば納得ものです。
ドクターというのは"Dr.Jazz"の異名を持つベン・シドランのことで、それは彼が英国サセックス大学でPh.Dを取得しているからです。それはともかくとして、その独特のヴォーカルは好き嫌いが分かれると思いますが、シドランのジャズ・フィーリングのあるピアノに私は好感を持ちます。全11曲、7.Silver Serenadeが文句なしのインストゥルメンタルの名演です。7以外にも6. Set Yourself Free、2. Song For A Sucker Like You、9. Charlies Bluesなどのヴォーカル曲がシドランらしいセンスのよい曲と演奏です。それに10. Goodbye Pork Pie Hatはチャーリー・ミンガスの名曲ですが、お洒落な味のある素晴らしい演奏です。オリジナル演奏を収録したアルバム『ミンガス・アー・アム』(1959年)は結構好きですのでまたいつか本ブログで取り上げることにいたしましょう。
1. Get It Yourself
2. Song For A Sucker Like You
3. Broad Daylight
4. One Way Grave
5. See You On The Other Side
6. Set Yourself Free
7. Silver Serenade
8. Nobodys Fool
9. Charlies Blues
10. Goodbye Pork Pie Hat
11. Be Nice
Neowingでは試聴可能です。→Ben Sidran/ The Doctor Is In
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Ben Sidran/ The Doctor Is In
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:48
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リー・コニッツ/モーション
JAZZ Sax 2
2005年03月27日
Lee Konitz/ Motion
今日はリー・コニッツの代表作『モーション』です。アドリブの極限に挑んだコニッツのワン・ホーン&ピアノレス・トリオ演奏の名盤です。パーソネルは、リー・コニッツ(as)、ソニー・ダラス(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)。1961年録音。Verveレコード。
リー・コニッツのアルトはいつも気になっています。もっと凄い演奏があるのではないかと。チャーリー・パーカーと同等の技術レベルにあった白人アルトとしてリー・コニッツ、アート・ペッパー、ポール・デスモンドの3人の名前がすぐに思い浮かびます。そして、コニッツ→ペッパー→デスモンドの順でメロディスト、逆の順で抽象的な凄みのある純アドリブ奏者というイメージがあります。
本作はエルヴィン・ジョーンズとソニー・ダラスという2人の黒いエモーショナルなピアノレスのリズムをバックに、意外にもクール派のコニッツのアルトがこの異色の顔合わせにもかかわらず水を得た魚のごとくにエキサイティングかつスリリングなジャズを形造っています。エルヴィン・ジョーンズの加わったピアノレスといいますとソニー・ロリンズのライブ盤『ヴィレッジ・ヴァンガードの夜』が有名ですが、本作は同等レベルの秀作でしょう。やはりロリンズやコニッツくらいの卓越したインプロヴァイザーでないとこうはいかないと思います。鑑賞に堪えるアドリブ・ソロを延々5分も10分も続けるというのは決して容易なことではないですから。
全8曲ですがCD化されて3曲のボーナス・トラックが追加されています。4,6,8です。いずれの曲にも高水準のジャズの醍醐味があります。力量ある3者が濃厚な密度でインタープレイを繰り広げます。どれも凄みを感じる演奏ですが、特にお勧めは5.「帰ってくれればうれしいは」でしょうか。この甘いスタンダード曲をミディアム・アップでスリルのある仕上がりの快演にしてみせてくれています。エルヴィンのポリリズムのドラミングにはいつもながら肝心させられますが、それに煽られてかコニッツはいつもにまして極めて大胆なアルトになっているのだと思います。
1. I Remember You (4:31)
2. All Of Me (7:42)
3. Foolin' Myself (7:02)
4. You Don't Know What Love Is (6:48)
5. You'd Be So Nice To Come Home To (10:46)
6. Out Of Nowhere (8:08)
7. I'll Remember April (8:07)
8. It's You Or No One (7:49)
JR.comでは試聴可能です。→Lee Konitz/ Motion
Amazon.comでも試聴可能です。→Lee Konitz/ Motion
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Lee Konitz/ Motion
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:50
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女と男のいる舗道/ジャン・リュック・ゴダール
_movies
2005年03月26日
女と男のいる舗道/ジャン・リュック・ゴダール
こんにちは。今日はゴダール監督の映画『女と男のいる舗道』です。監督ジャン=リュック・ゴダール、音楽ミシェル・ルグラン、出演アンナ・カリーナ、サディ・レボ、ブリス・パラン、アンドレ・S・ラバルトほか、1962年仏作品、モノクロ、仏語。
ビル・エヴァンス『ワルツ・フォー・デビー』のジャケットのような可憐で美しい横顔が冒頭の映画題名とキャストのテロップが出るしばらくの間映し出されます。主演のアンナ・カリーナです。この映画はゴダールのそれまでの『勝手にしやがれ』(59年)や『女は女である』(61年)などと同様に従来の劇場映画とは一線を画する独特の映像とストーリーから成り立っています。
主人公のナナは若くして結婚して離婚をしたが女優を夢見ていた。しかし、安月給のレコード店では生活するのがやっと。たまたま街で男に誘われるままホテルに入り金を受け取る。そして、娼婦のヒモであるラウルと出会い彼に興味を持った彼女はその道に・・。ラストは身を売られる羽目になり結局死で終わるという哀しい話です。
何気ないしぐさや言葉によって人間性を鋭く表現しようとする冷ややかな視線が印象的ですが、主人公演じるアンナ・カリーナのクローズ・アップが多用され、ゴダールのカリーナへの執着を感じるとともに、女性に対する何かしら吹っ切れない疑いの念といったものを感じさせる不思議な映像です。
夫と子供に逃げられて身をもち崩した女友だちが、「でも私の責任じゃないの」ともらす言葉に対して、ナナは自分に言い含めるようにして言う言葉が印象的です。「私はすべてに責任があると思う。自由だから。手をあげるのも私の責任。右を向くのも私の責任。不幸になるのも私の責任。タバコを吸うのも私の責任。目をつぶるのも私の責任。責任を忘れるのも私の責任。逃げたいのもそうだと思う。すべてが素敵なのよ。素敵だと思えばいいのよ。あるがままに見ればいいのよ。顔は顔。お皿はお皿。人間は人間。人生は人生。」
このシーンのあとにアンナ・カリーナはカメラを直視してこちらを向きますが、これは恐らくは今の演技どうだった?よかったかしらという演技後の魅力的な素のカリーナの表情のように見えます。実際、アンナ・カリーナが演技をする前の姿や演技を終えた後の動きがわざと入れられているとのことです。ありのままのカリーナの美しさを記録したとも言えますが、演技にこだわるカリーナは激怒。ゴダールと彼女の仲がうまく行かなくなるきっかけにもなったと言われています。
その他にも、主人公と初対面の初老の男性による哲学的な会話は、実際に哲学者であるプルス・パランとアンナ・カリーナによる即興的なものとのことで、可愛い女性カリーナの一面が見えたりしますね。また、エドガー・アラン・ポーの『楕円形の肖像』を朗読する若い男の声がゴダール自身の吹き替えであったり、映画館でナナが見ているのは、カール・テオドール・ドライエル監督の無声映画の名作『裁かれるジャンヌ』など。それに街の映画館の前を通ってトリフォーの『突然炎のごとく』が上映されているシーンなんかもありますね。
主人公のナナという名は、エミール・ゾラの有名な小説で、ジャン・ルノワールによって映画化された『畳優ナナ』の主人公から取られたもの。ゴダールのナナとは対象的に、ゾラのナナは娼婦から大女優へと登りつめる成功する女性です。ゴダールは『女と男のいる舗道』で演劇的なものを目指したと語り、12の小景に分かれているのは、『三文オペラ』などの劇作家ベルトルト・ブレヒトにちなんでのこと。演劇のやり直しがきかないという特性を取り入れ、編集していない映像、ロケでの耳障りな雑音をそのまま使ったり、表情より言葉を強調するために俳優にはカメラに背を向けさせるということも行っています。
少し、アンナ・カリーナのことをまとめておきます。
アンナ・カリーナ Anna Karina
1940年9月22日デンマーク・コペンハーゲン生まれ。18才のとき短編映画に主演、カンヌ映画際で注目されるのをきっかけにパリに出る。ゴダールの目にとまり60年同監督の『小さな兵隊』に出演、61年ゴダールと結婚。ゴダール映画で、自由奔放で捕らえどころのない新しいタイプのヒロインを魅力的に演じた。61年の『女は女である』でベルリン映画祭女優賞を受賞。64年俳優ジャック・ペランと恋をしてゴダールと離婚。73年から監督業に進出し小説も書く。その他の出演作品、『5時から7時までのクレオ』(61年)、『気狂いピエロ』(65年)、『修道女』(66年)、『異邦人』(67年)、『シナのルーレット』(76年)、『黒の過程』(88年)など。
ついでに音楽担当のミシェル・ルグランの映画音楽もまとめておきましょう。
ミシェル・ルグラン 映画音楽作品
54年 過去を持つ愛情
61年 女は女である、ローラ、5時から7時までのクレオ
63年 シェルブールの雨傘
66年 ロシュフォールの恋人
68年 華麗なる賭け(アカデミー主題歌賞)
71年 思い出の夏(アカデミー賞作曲賞)
81年 愛と哀しみのボレロ(セザール賞音楽賞)
83年 ネバーセイ・ネバーアゲイン
94年 プレタポルテ
95年 リミュエールの子供たち、レ・ミゼラブル
本作品の詳細はアマゾンでどうぞ。→女と男のいる舗道/ジャン・リュック・ゴダール
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:46
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ビル・スナイダー/ミュージック・フォー・ホールディング・ハンズ
_Popular Music
2005年03月25日
Bill Snyder/ Music for Holding Hands
今日はビル・スナイダーというピアニストの作品です。ホレス・ハイト楽団の主役ピアニストの幻の名盤が日本初登場、世界初CD化。メロウで美しい癒し系のピアノ・サウンドは極上。ムード・ピアノ・ファン必聴のピアノ・トリオの名演です。
ムード・ピアノといえばすぐ思い浮かぶのが映画『愛情物語』(1956年)で有名になったカーメン・キャバレロの演奏するショパンのノクターン作品9-2をアレンジした「To Love Again」でしょう。実はこの映画はエディ・デューティンというピアニストの伝記映画なのですが、むしろキャバレロでなくビル・スナイダーがぴったりの適役であったというのが当時からの定評です。個性の強いキャバレロよりも品のよいスナイダーの方がデューティンに近いというわけですね。
今もやっているのかどうか知りませんが、FMでジェット・ストリームという番組があり夜23時以降でお休み前の寛ぎのひと時に海外旅行をキーワードにした語りと口当たりのよいBGM音楽を流していました。たまに聞いたその番組の印象に最も似合うのがこのビル・スナイダーのピアノ演奏です。パリやローマなどヨーロッパの旅への誘いを妙にロマンティックに彩ってくれそうですね。
海外で思い出しましたが以前にニューヨークに行った際にウォール・ストリートのマクドナルドで昼食を取る機会があり、吹き抜けの2階部分でピアノ生演奏が行われていまして、その曲調がこのビル・スナイダーのような雰囲気のお洒落でジャズ風香りのある上質なカクテル・ピアノなのでした。流石にNYは違うな、マクドで品のよい生演奏か、と驚いた記憶があります。ちなみに、すぐそばに後にテロで破壊されることになるワールド・トレード・センター・ビルがあり観光スポットになっていましたね。
このアルバムはユニバーサル・ピアノ&スウィート・コレクション として2003年に世界初CDとして発売された10枚のうちの1枚です。これはユニバーサルが誇る豊富なカタログ群より癒しのピアノもの作品を精選したコレクション。堅苦しくなくリラックスして聴くには最適の作品ばかり。他にはカーメン・キャバレロ、エリス・ラーキン、アンドレ・プレヴィン、ヘイゼル・スコット、エディ・ヘイウッド、ビリー・テイラーらのピアノ作品です。
1.ジ・イレヴンス・アワー
2.マイ・オウン・トゥルー・ラヴ
3.ザ・ガール・ネクスト・ドア
4.ヤンガー・ザン・スプリングタイム
5.マナクーラの月
6.アイル・フォロー・マイ・シークレット・ハート
7.ザ・ハイ・アンド・ザ・マイティ
8.夢見る頃を過ぎても
9.アズ・タイム・ゴーズ・バイ
10.マイ・ディアリスト
11.フォーリング・イン・ラヴ・アゲイン
12.アイル・シー・ユー・アゲイン
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Bill Snyder/ Music for Holding Hands
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:53
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マイルス・デイヴィス/マイルス・イン・ベルリン
JAZZ Trumpet
2005年03月24日
Miles Davis/Miles in Berlin
今日はマイルス・デイヴィスの『マイルス・イン・ベルリン』です。ウェイン・ショーターが加わりレギュラー・クインテット発足後第1作です。パーソネルは、マイルス・デイヴィス(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)。1964年ベルリン・フィルハーモニック・ホールで録音。
60年代半ばのマイルスの音楽は私のfavoritesです。モダン・ジャズの洗練されたエッセンスと熟れた果実の芳香を感じることができます。ハービー・ハンコック、ロン・カーター、トニー・ウィリマムスのリズムがスリルとロマンに満ちていますし、ショーターが加わることで奔放なフリーの要素が導入されさらに神秘的な色彩が加わることでマイルス・グループの音楽性が一気に拡大しています。
下記に少しまとめてみましたが、⑥と⑧以外はすべてライブ演奏で、⑦のシカゴでのエキサイティングなライブ演奏が最も好みです。ここでのウェイン・ショーターの新鮮なテナー美学は驚きですし、ハンコック以下のリズムも驚異的な世界を築いています。それにマイルスが1年のブランクの鬱憤を振り払うかのような溌剌とした演奏を繰り広げています。
①In Europe 63.7.27 Coleman,Hancock,Carter,Williams
②My Funny Valentine 64.2.12 Coleman,Hancock,Carter,Williams
③Four&More 64.2.12 Coleman,Hancock,Carter,Williams
④In Tokyo 64.7.14 Rivers,Hancock,Carter,Williams
⑤In Berlin 64.9.25 Shorter,Hancock,Carter,Williams
⑥ESP 65.1.20-22
⑦At the Plugged Nickel 65.12.22-23
⑧Miles Smiles 66.10.23-24
また、ショーター色の濃い⑥も大好きですし、②や本作の⑤も大のお気に入りになっています。メンバーもテナーが流動的でしたが本作がショーターがレギュラーとして加わった最初の録音です。本アルバムでは当時ライブでしきりに演奏しているレパートリー曲が中心ですが、2.枯葉はあまり演ってない曲、その解釈が新鮮でおもしろく、ショーターのテナーがすでに本来の特徴を出し切っていて深い世界を形作っていますね。ソロの構築力はいつもながら非凡さを感じさせます。収録曲は以下の5曲。
1. Milestones (8:58)
2. Autumn Leaves (12:48)
3. So What (10:40)
4. Walkin' (10:38)
5. Go-Go (Theme And Announcement) (1:46)
JR.comでは試聴可能です。→Miles in Berlin
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Miles Davis/Miles in Berlin
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:26
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コールマン・ホーキンス/ジェリコの戦い
JAZZ Sax 1
2005年03月23日
Coleman Hawkins/Hawkins! Alive! at the Village Gate
今日はコールマン・ホーキンスです。1930年代から活躍するジャズ・テナーの父と呼ばれたホーキンスが60年台に残した定評あるワンホーンの痛快ライブ盤『ジェリコの戦い』です。パーソネルは、コールマン・ホーキンス(ts)、トミー・フラナガン(p)、メイジャー・ホリー(b)、エディ・ロック(ds)。1962年NYヴィレッジ・ゲイトにてライヴ録音。
このアルバムはよく記憶に残っています。ジャズにのめりこんである程度の時間が経過した頃、京都三条河原町にある「Big Boy」というジャズ喫茶で初めて耳にしました。コールマン・ホーキンスというとスイング時代の名テナーくらいとしか知らなかったのですが、その豪快なモダン・ジャズのバップの響きを聞いて驚いたのを記憶しています。最初聴いたときは誰これ?こんな人いたっけ、ホーキンスの名前を見てそうかこういうテナーを演る人なんだと一人ごちたことを思い出します。
50年代後半~60年代初頭はホーキンスにとっては満足な録音を多く残しているように思います。このブログでも紹介したシェリー・マンの『2-3-4』やモンクの『モンクス・ミュージック』などでは現役バッパーとしての一面を見事に披露していますね。それとビレッジ・ゲイトはニューヨークの有名なジャズ・クラブです。ハービー・マンやクリス・コナーらのライブ盤がよく知られています。
実に流麗な渋いテナーです。もう一つ特筆すべきはトミー・フラナガンのピアノです。コルトレーンの『ジャイアント・ステップス』に聞かれたような動的なテナーに対比する静的な素敵なピアノです。また、ベースがハミングをしながら弓引きをしていまして、ライオネル・ハンプトンの『スター・ダスト』の名演奏が思い起こされます。1曲目のAll the things you areは大好きな曲です。
1.オール・ザ・シングス・ユー・アー
2.ジェリコの戦い
3.マック・ザ・ナイフ
4.町の噂
5.ビーン・アンド・ザ・ボーイズ(追加曲)
6.イフ・アイ・ハド・ユー(追加曲)
学生時代によく通ったジャズ喫茶を少しまとめておきましょう。すべて京都市内です。
①「52番街」 最もよく通ったお店。レンガ作りの建物の2F。選曲に影響を受けました。ヒゲのマスターが日活ロマンポルノの男優に似た渋い方でした。
②「しあん・くれ~る」「Man Hall」 たまに行きました。前者は有名、後者は52番街の次によく通いました。
③「Big Boy」「ブルー・ノート」 連れとちょっとお茶でもというノリでよく行きました。
④「Yamatoya」「zac baran」 下宿が近かったので風呂の帰りとかにたまに寄っていました。前者ではアルテックの大きなスピーカーが印象的でマイルスの『ESP』を初めて聴いてショックを受けたことを思い出します。
参考にさせていただいたサイト。→ジャズ喫茶マッチの旅さん、ありがとうございます。
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Coleman Hawkins/Hawkins! Alive! at the Village Gate
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投稿者 Jazz Blogger T : 22:54
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ビル・チャーラップ/ス・ワンダフル
JAZZ Piano 2
2005年03月22日
Bill Charlap/ 'S Wonderfull
今日はビル・チャーラップのピアノ・トリオ演奏で『ス・ワンダフル』。歌心のあるピアニスト、ビル・チャーラップはニューヨーク・トリオを率いる気鋭のジャズマンとして今やvenusレコードの顔になりつつあります。パーソネルは、ビル・チャーラップ(p)、ピーター・ワシントン(b)、ケニー・ワシントン(ds)。1998年NY録音。
ご存知の通りニューヨーク・トリオは安心して聞ける高水準のトリオですね。このブログでも今年になって2本、『過ぎし夏の日』(2002年)、『星へのきざはし』(2004年)をご紹介しています。本作はニューヨーク・トリオとして売り出す少し前の作品ですが、さすがにそのオーソドックスで上質な品のある芳香を醸すピアノ演奏には完全に脱帽です。
このCDには寺島靖国氏の解説が付いていまして、ビル・チャーラップに対する敬愛の念を感じてうれしくなってくるのです。少しだけ引用させていただきますと、例えば、
「ビル・チャーラップのピアノ、皆さんはどのようにお聴きになったであろうか。一瞬めざましい特徴のないピアノである。オーソドックスである。しかし私に言わせればオーソドックスがすごくハイ・レベルのところで到達したピアノなのである。従ってモンクであるとかエバンスであるとか、そういうスタイル上の特色を見出そうとして耳をとがらせてもあまり意味がない。たくさんの人から採取したのが、ビル・チャーラップのスタイルであり、その上に立って彼はスタイル以上のものを表現しようとしているのだ。それは追々述べてゆくことにしよう。」
なんていうくだりがありまして、実に的を得た指摘であると感心します。多数の著作にも見られる氏の明快な直球の論調は核心的であり大変に参考になるのですね。それに、
「ビル・チャーラップという人はそうした人なのである。なにしろ彼には歌がある。歌の心が身体の中を溢れている。針でちょっと彼の皮膚に穴をあければすぐさま5~6曲飛び出してくるだろう。歌が彼のジャズの中心部になっているから難解になりようがないのだ。」
なんてのもなるほどと唸ってしまいますね。
全10曲。実に素晴らしい。音もよい、演奏もよい、選曲もよい、とよいことづくめです。エリントンの『極東組曲』に収められているビリー・ストレイホーンの名曲「イスファハン」などが入っていて少しビックリですがその品格は流石です。チャーラップの特徴をあえて挙げるとすれば6や7などのミディアム曲に聞かれる弾けるようなスインギーでピアニスティックな演奏、これはやはり素敵ですな。旬を感じます。すがすがしい演奏の9.Summer Serenadeなどもベニー・カーターのあまり取り上げられない曲です。ほんと歌を知り尽くした渋い選曲です。
1. Time After Time
2. My Shining Hour
3. Blue Room
4. Boy! What Love Has Done to Me!
5. Isfahan
6. Lover
7. Something to Live For
8. 'S Wonderful
9. Summer Serenade
10. Only the Lonely
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Bill Charlap/ 'S Wonderfull
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:02
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カサンドラ・ウィルソン/テネシー・ワルツ
JAZZ Vocal
2005年03月21日
Cassandra Wilson/ Rendezvous
今日はカサンドラ・ウィルソンとジャッキー・テラソンの傑作共演アルバムです。共にブルー・ノート3作目。パーソネルは、カサンドラ・ウィルソン(vo)、ジャッキー・テラソン(p,elp)、ロニー・ブラキシコ(b)、ミノ・シネル(perc)、ケニー・デイヴィス(ds)。1997年NY録音。BlueNote。
カサンドラ・ウィルソンは本ブログでもご紹介した前作『ニュー・ムーン・ドーター』でグラミー賞受賞。本作はそれまでの2作とは趣の異なるよりジャズっぽいスタンダード集です。ジャッキー・テラソンのピアノの素晴らしさが光ります。2や5ではカサンドラ抜きのピアノ演奏でして、これが何とも形容が付かない、素晴らしい演奏です。
テラソンは93年のモンク・コンペティション優勝で注目を浴びた気鋭のピアニスト、ブラッド・メルドーに先を越された感はあるもののその実力は折り紙付きの圧倒的なものです。カサンドラ・ウィルソンとのデュエットのような本作では本来の感性が全回しており、高い音楽性とジャズ・センスがお互いに火花を散らすような刺激的な緊張感のあるアルバムに仕上がっていると思います。
ジャズ密度が濃い、そんな印象です。1.Old Devil Moonや8. I Remember You、それに、9. Tea For Twoを聞きますとカサンドラの現代ヴォーカルの粋をいやというほどに感じさせられます。凄いなあと。味のある歌。お勧めの1曲目Old Devil Moonなどはアニタ・オデイやメル・トーメの名唱と全く違うまさにカサンドラ的世界観ですね。テラソンも負けじと哲学的な知的なソロを繰り広げています。とても深いものがあります。このアルバムは静寂の中にほのかに漂いながら燃えるジャズ炎の鮮やかな濃赤紫色の閃光のようです。
ジャズ通を唸らせる、そんな豊穣感のあるアルバム。じっくりと味わうべき深遠な世界です。プロが密かに聞く類のいわゆる大人のための音楽かもしれません。最上級の賛辞を惜しみなく送りたいですね。それにしてもテラソンのピアノをもっと聞きたくなります。カサンドラは常にこの水準ですが、テラソンの音楽はもっと深く知るべき堪能すべきと思わせてくれる内容です。
1. Old Devil Moon
2. Chan's Song
3. Tennessee Waltz
4. Little Boy Lost
5. Autumn Leaves
6. It Might As Well Be Spring dia
7. My Ship
8. I Remember You
9. Tea For Two
10. If Ever I Would Leave You
11. Chicago 1987
12. Come Rain or Come Shine
13. Medieval Blues
JR.comでは試聴可能です。→Cassandra Wilson/ Rendezvous
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Cassandra Wilson/ Rendezvous
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:49
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アート・ファーマー/モダン・アート
JAZZ Trumpet
2005年03月20日
Art Farmer/ Modern Art
今日はアート・ファーマーです。訥々とした哀愁あるトランペット・ソロにはいつも参ってしまいますが、傑作と言われる『モダン・アート』ではベニー・ゴルソンやビル・エヴァンスと極上のモダン・ジャズを繰り広げています。パーソネルは、アート・ファーマー(tp)、ベニー・ゴルソン(ts)、ビル・エヴァンス(p)、アディソン・ファーマー(b)、デイヴ・ベイリー(ds)、1958年9月NY録音。
アート・ファーマーのトランペットが好きです。派手さはないですが安定した渋い腕達者で常に高水準の結果を残します。それに数少ない最適音から哀感漂う風情を導き出す術には惹かれます。ワン・ホーンでは以前にご紹介した『アート』ですし、2管では本作『モダン・アート』ですね。
それに本作の聞き所はビル・エヴァンスの参加です。まもなく『エヴリバディ・ディグス』(1958年12月)を録音する時期に当り独特のバラッド奏法が開花しようとしています。従い、アート・ファーマー参加の『クール・ストラッティン』(1958年1月)等のハード・バップ路線やましてやファンキーとは一線を画する内容になっています。
アート・ファーマーとビル・エヴァンスの組み合わせ、これ絶妙だなあと実は私は思っています。硬質なタッチとすでに内省的な雰囲気のビル・エヴァンスと、アート・ファーマーの端整な佇まいとは共鳴する何かを感じますね。知的でお洒落な感覚。キュートなミディアム・テンポの曲調での味わいは他にはない品のあるジャズ・テイストが溢れています。
全8曲。歌もの中心で、ファーマー、ゴルソン、エヴァンスのソロがそれぞれに味があってどの曲も堪らない演奏です。やはりファーマーがいいです。それにエヴァンスも劣らずにいいです。特にエヴァンスは大好きな『エヴリバディ・ディグス』のタッチ感覚なのですね。ファーマーは3.Darn That Dreamや4.The Touch Of Your Lipsのミディアム・スロー曲でのソロがイカしています。6と7.I Love Youのミュートも新鮮でいいです。エヴァンスもどれも素晴らしいですが、4.The Touch Of Your Lipsや7などがお好みです。硬いタッチのシングル・トーンが小気味よくスイングしています。
1. Mox Nix
2. Fair Weather
3. Darn That Dream
4. The Touch Of Your Lips
5. Jubilation
6. Like Someone In Love
7. I Love You
8. Cold Breeze
Art Farmer (tp), Benny Golson (ts), Bill Evans (p), Addison Farmar (b), Dave Bailey (ds).
United Artist. 1958.9.NY録音。
JR.comでは試聴可能です。→Art Farmer/ Modern Art
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Art Farmer/ Modern Art
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:27
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ケイ・リラ/インフルエンシア・ド・ジャズ
_Bossa Nova / MPB
_Popular Music
2005年03月19日
Kay Lyra/ Influencia Do Jazz
今日はボサノヴァの大御所カルロス・リラの娘ケイ・リラのデビュー・アルバム『インフルエンシア・ド・ジャズ』。Bossa Novidade(新機軸ボッサ)の一つです。パーソネルは、ケイ・リラ(vo)、マウリシオ・マエストロ(arr,g,vo)、ジョルジ・エルダー(b)、ヒカルド・コスタ(ds)、ホベルチーニョ・シルヴァ(perc)、ヒカルド・ポンチス(as,fl)、マルセロ・マルチンス(ts)、パウロ・セルジオ・サントス(cl)、シキート(g)、クラウヂオ・ギマリャンィス(g)他。2004年リオ録音。
カルロス・リラはジョビンらが第1世代とすれば第2世代に当る著名な男性ボサノヴァ歌手&作曲家です。本作にも収めれられている1.Voce E Eu(あなたと私)や6. Influencia Do Jazz(ジャズの影響)などの有名曲もカルロス・リラの曲です。このカルロス・リラを父に米国女優のケイト・リラを母に生れたのがケイ・リラです。米国のバークリー音楽院で学びやドイツでオペラなどもかじったとのこと。1998年よりブラジルのリオを中心に音楽活動を開始しその美貌からモデルを兼業。本作は昨年秋に出たデビュー・アルバムです。
ボサノヴァは大御所の娘達の台頭が目立ちますが、一部には日本で作られて本国ブラジルに逆輸入されるパターンが増えてきているとか。本作もそうした1枚のようです。全13曲。決して悪くないです。声質はよいですし、しっとり歌う情緒はさすがにリラの娘という感じですね。ボサノヴァの歌手ってうまいのだか下手だかわからない方が多いですし、センスがあれば決して上手くなくてもサマになるってところがありますからね。
全体のアレンジもオーソドックス、正統派です。上質のボサです。この1曲目1.Voce E Euを聞きますとボサノヴァ特有のほんわかとした暖かみを感じてとてもいい気分になります。2. Sim, Deve Ser Amorや3. Forestも素晴らしい。それと、4が日本語なんですが、これがちょっと微妙です。日本語で聞くと少し変な感覚になりますね。10. Ne Me Quitte Pasは仏語ですがね、まだこちらは違和感それほど感じません。あと英語とポルトガル語の全4ケ国語です。
1. Voce E Eu
2. Sim, Deve Ser Amor
3. Forest
4. Sambinha Bacana
5. With A Song In My Heart
6. Influencia Do Jazz
7. Saudade Fez Um Samba
8. Minha Namorada
9. Tea For Two
10. Ne Me Quitte Pas
11. Nenem
12. O Negocio E Amar
13. Foolish Summer
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:54
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ソニー・クラーク/ソニー・クラーク・クインテッツ
JAZZ others 2
2005年03月18日
Sonny Clarkl/ Sonny Clark Quintet
今日はソニー・クラークの『ソニー・クラーク・クインテッツ』です。パーソネルは、1~2が、アート・ファーマー(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ソニー・クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)、1958年1月5日録音、3~5が、クリフ・ジョーダン(ts)、ケニー・バレル(g)、ソニー・クラーク(p)、ポール・チェンバース(b)、ピート・ラロッカ(ds)、1957年12月8日録音。BlueNote1592。
本作はBNの番号が付いているにもかかわらずお蔵入りになってしまったアルバム。約20年後の1977年に日本で日の目を見ることになります。これほどのアルバムが発売に至らなかったというのは不思議ですが、日本でこそソニー・クラークは人気ですが米国ではそれほどでもないようでその象徴的な出来事だと思います。
アルフレッド・ライオンは作曲に才のあるソニー・クラークを第2のホレス・シルバーに仕立てようとクインテット演奏に盛んに起用しています。『ダイヤル・S・フォー・ソニー』『ソニーズ・クリブ』『ソニー・クラーク・クインテッツ』『クール・ストラッティン』といった1957~58年の4枚のリーダー作はいずれもソニー・クラークの代表作といえる高水準のハード・バップです。
1~2は『クール・ストラッティン』からの曲。3~5が一ヶ月前の録音です。勿論この最初の2曲は『クール~』の延長線として十分に聞き応えがあるのですが、残りの録音がこれまた最高に素晴らしいのですね。ハンク・モブレイにケニー・バレル!それにクラークの組み合わせは極上に「よし!」です。シャキっとした感じはないけれどグルーヴ感では人後に落ちない3人が次々とこれでもかというくらいにイカしたソロを繰り広げています。クラークも乗りに乗って絶好調。
3.Minor Meetingではクラーク→ベレル→モブレイの順でソロをとります。クラークのソロはまさしく圧巻です。ケニー・バレルも流石に渋い演奏です。4.Eastern Incidentではモブレイ→バレル→クラーク→チェンバースの順。5.Little Sonnyではバレル→モブレイ→クラークといずれも微妙に異なる順です。モブレイもいつもの快調なソロです。
1.Royal Flash
2.Lover
3.Minor Meeting
4.Eastern Incident
5.Little Sonny
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Sonny Clarkl/ Sonny Clark Quintet
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:38
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ダイアナ・クラール/オンリー・トラスト・ユア・ハート
JAZZ Vocal
2005年03月17日
Diana Krall/ Only Trust Your Heart
今日はダイアナ・クラールの初期の作品から1枚を選んでみました。メジャー・デビュー第1作の『オンリー・トラスト・ユア・ハート』。名歌手&ピアニスト、ダイアナ・クラールの原石の輝きがここにあります。パーソネルは、スタンリー・タレンタイン(ts)、ダイアナ・クラール(p)、レイ・ブラウン、クリスチャン・マクブライド(b)、ルイス・ナッシュ(ds)。1994年NY録音。
ご存知の通りダイアナ・クラールは白人ながら黒人歌手のブルース・センスを有し、しかも洗練されたジャズ・スピリットを持つ、"今"最も旬の実力派ジャズ・ヴォ-カルですね。本作はデビュー作なのですが、2.の標題曲を聞いてみますと、自ずから後のクラールに繋がる原型がほぼ完成していることがわかります。
ボサノヴァ調のゆったりしたリズム上を太く逞しいクラールの声が確実に一歩一歩地歩を固めつつ上り詰めてゆく感じです。それに粋なピアノがまた魅力を添えています。あとは回りがいかにプレゼンスするかというだけの、その貫禄ある歌いっぷりとピアノ演奏はスター誕生の瞬間を示しています。
この2のしっとりバラード路線でその後は一躍スターダムに乗ることになるクラール、本作では黒っぽいシャウト系の曲やスタンリー・タレンタインの絡んだブルース調の曲が中心になっていて彼女本来のそれまでの指向を聞き取ることができます。
1. Is You Is Or Is You Ain't My Baby
2. Only Trust Your Heart
3. I Love Being Here With You
4. Broadway
5. Folks Who Live On The Hill
6. I've Got The World On A String
7. Squeeze Me
8. All Night Long edia
9. CRS Craft
JR.comでは試聴可能です。→Diana Krall/ Only Trust Your Heart
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Diana Krall/ Only Trust Your Heart
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:50
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リニー・ロスネス/レター・トゥ・ビル・エヴァンス
JAZZ Piano 2
2005年03月16日
Renee Rosnes/ レター・トゥ・ビル・エヴァンス
今日は女流ピアニスト、リニー・ロスネスの登場です。ロスネスはアイルランド人の父とインド人の母の間にカナダで生まれたリリカルなピアノで定評のある現代を代表するピアニストの一人です。パーソネルは、リニー・ロスネス(p)、ビリー・ドラモンド(b)、レイ・ドラモンド(ds)。2000年録音。
うーん、この粘り気のあるフレージングがいいですね~。エヴァンスの後にエヴァンス系とひとくくりにされて呼ばれたピアニスト達が多勢いますが、この粘り気はなかなか真似できないんですよね。エヴァンスが猫背にしてピアノにへばりつくように"うらめしや~"の格好で弾くピアノには独特の美学があるわけですが、その一つがこの音の連なりの糸を引くような異様とも思える粘着質な響きだと思うのです。そして、この洗練された粘着タッチを生来持ち合わせているピアニストはそうそういない、そうこのリニー・ロスネスとデニーザイトリンくらいかなと思うのでございます。勿論、他の要素が一定の水準を満たしているという前提ではあります。
リニー・ロスネスのピアノには味があります。"コク"があります。このコクこそエヴァンスが示してみせた特有の粘りっ気です。コープや生協の納豆でなくてわらに包まれた水戸納豆の粘着ぐあいです。絡み付いて容易には拭いとれないしつこい類ですね。しかも臭いが残るような。実は私こういうのが大好きなんです。さそり座生まれというのがどこまで関係しているのか知らないですし、あまり信じてはいませんが、執念深い、情念、といった臭いを不思議と敏感に我が体臭のように身近にかつ好ましく感じ取れるのですね。
というわけで、美形女流ピアニスト、リニー・ロスネスがビル・エヴァンスへの手紙と題して作ったピアノ・トリオ・アルバム、これはとてもいい感じなのです。決して"カワイコちゃん"を売りにしてはいません。音だけで勝負できる、明らかに最高水準の実力派ピアニストです。エヴァンス好きには納得の内容です。全9曲。エヴァンスの初期のバラッドの名演をロスネス風に分かりやすくリリカルに示しています。今晩はこのロスネスと二人してインドとアイルランドへ旅をするそんな夢を見そうだな(笑)。
1. あなたと夜と音楽と
2. マイ・ロマンス
3. パ・ドゥ・トロワ
4. トゥ・ヤング・トゥ・ゴー・ステディ
5. エミリー
6. アイ・ヒア・ア・ラプソディ
7. ハウンテッド・ハート
8. ハウ・マイ・ハート・シングス
9. 帰ってくれたら嬉しいわ
J-Waveでは試聴可能です。→リニー・ロスネス/レター・トゥ・ビル・エヴァンス
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:03
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ジュニア・マンス/ジュニア
JAZZ Piano 2
2005年03月14日
Junior Mance/ Junior
今日はジュニア・マンスのピアノ・トリオの名作『ジュニア』です。小気味よくブルージーにスイングするピアノ・トリオ・ファン必携のおすすめアルバムです。パーソネルは、ジュニア・マンス(p)、レイ・ブラウン(b)、レックス・ハンフリーズ(ds)。1959年NY録音。Verveレコード。
ジュニア・マンスは1928年生まれで、ダイナ・ワシントンの歌伴(54-55年)、キャノンボール・アダレイのコンボ(56-57年)、ディジー・ガレスピーのコンボ(58-59年)などを経て60年に独立、61年にはダウン・ビート誌国際批評家投票新人ピアニストとして1位に選ばれている実力のあるジャズマンです。そのピアノ・スタイルはアート・テイタムやオスカー・ピーターソンらの流れを汲みながら、ブルースを得意とする小粋によくスイングする類です。
本作は名手レイ・ブラウンとの共演ということで快適なピアノ・トリオ作品に仕上がっています。とても渋い一枚です。何を聴こうかと迷ったときなどつい手が伸びるような、何気なく聞くにはもってこいのアルバムです。ベースとドラムが結構活躍しており、なかなかのインタープレイを繰り広げています。まあもちろんオーソドックスな演奏なのですけれど、典型的なピアノ・トリオの良さが凝集されているような一枚だと思うのですね。それにレイ・ブラウンのベースを堪能するアルバムという価値もあります。
全10曲。ブルースが中心です。あまり黒くはなくて十分に堪能できるお洒落な感じのブルースです。例えば、8のBirk's Worksなどのグルーヴィーな感覚はそうそう他では味わえないでしょう。それにスタンダード曲4.Love for Saleでの急速調でのスイング感や、5.Lilacks In The Rainでのリリカルなタッチも特筆できると思います。あと、1や2でのブルージーかつグルーヴィーな感触はほんとクセになります。
1. Smooth One
2. Miss Jackie's Delight
3. Whisper Not
4. Love For Sale
5. Lilacks In The Rain
6. Small Fry
7. Jubilation
8. Birk's Works
9. Blues For Beverlee
10. Junior's Tune
iTunes Music Store では試聴可能です。→
Junior Mance/Junior
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:05
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ゲルギエフ/チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」
_Classic
2005年03月12日
V.Gergiev/Tchaikovsky Symphony No.6
今日は話題の指揮者ゲルギエフのチャイコフスキー「悲愴」のことを書いてみたいと思います。チャイコフスキーの交響曲や管弦楽曲はこれまで結構好んで聞いていますが、このゲルギエフの演奏はロシアの大地を思わせるようなスケールとエネルギーを感じさせる凄い演奏です。キーロフ歌劇場管弦楽団、1997年7月録音。幻想序曲「ロメオとジュリエット」も収録。
チャイコフスキーの音楽は美しいメロディと豊かな情感があって取っ付きがよいですから、ポピュラーを聞くような感覚で中学生の頃から長く付き合ってきました。交響曲4~6番やバレエ音楽、管弦楽曲などは日常的に好んで聞いています。その中でこのゲルギエフという指揮者のこのチャイコフスキー悲愴は最近特によく聴いています。
ゲルギエフは1953年生まれ1988年よりキーロフ・オペラの音楽監督となり近年はウィーン・フィルの主席指揮者として現在最も活躍している指揮者の一人です。昨年2004年11月にはウィーン・フィルとの来日公演を果たしたばかりでご存知の方も多いと思います。
チャイコフスキーの音楽といいますと通常は繊細な色彩感と浪漫的な香りがその魅力の中心になるのですが、このゲルギエフとキーロフ劇場管の演奏にはさらに生命力に満ち溢れた力強さとパッションが感じられます。オーケストラが一丸となって壮大な構造物を築き上げるようなダイナミズムといったものを感じるのです。チャイコフスキーの音楽に意外な魅力を感じ取ることができるというわけで、音楽を聞く楽しみのひとつはこういう予想外の遭遇にあるのかもしれません。
まず第1楽章でその異様なほどのエネルギーを感じ取ることができます。劇的な中に美しい第2主題が荘厳な輝きを放っています。第2楽章のロシア的な濃厚で陰鬱な雰囲気もいいですが、第3楽章スケルツォの圧倒的な躍動感には脱帽です。第4楽章の深い闇の底を思わせる悲しみにもやはり内に秘めた膨大な力がみなぎっていることを感じます。全体を通じて一環して持続する緊張とやり場のなり情念の発露とを感じさせます。そして聞き終わったあとに残る心地よい余韻はまさに満足な芸術体験でのみ得られる充足感に違いありません。
同時に収録されている幻想序曲「ロメオとジュリエット」は私の大好きな曲です。こちらも同様に素晴らしい内容です。魂の声を聞くような劇的で美しい音楽です。これは病みつきになる類の音楽ですね。
チャイコフスキー交響曲第6番「悲愴」
第1楽章 アダージョ~アレグロ・ノン・トロッポ
第2楽章 アレグロ・コン・グラツィア
第3楽章 アレグロ・モルト・ヴィヴァーチェ
第4楽章 アダージョ・ラメント
チャイコフスキー幻想序曲「ロメオとジュリエット」
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ドナルド・バード/バード・イン・ハンド
JAZZ Trumpet
2005年03月11日
Donald Byrd /Byrd in Hand
今日はドナルド・バードです。ハード・バップの名作『バード・イン・ハンド』。パーソネルは、ドナルド・バード(tp)、チャ-リー・ラウズ(ts)、ペッパー・アダムス(bs)、ウォルター・デイヴィス(p)、サム・ジョーンズ(b)、アート・テイラー(ds)。1959年3月録音。BlueNote4019。
ドナルド・バードは50年代にポスト・クリフォード・ブラウンとしてリー・モーガンらとともに期待された新人でした。本アルバムはバードの初期代表作と言えるハード・バップの名作です。長く私のお気に入りです。バードといえば以前にご紹介したファンキー・ジャズの名盤『フュエゴ』(1959年10月録音BN4026)の方が著名かもしれませんが、本作は正統派ハード・バップでありファンキーに突き進む前夜のような雰囲気があります。ですから、こってりファンキーに少し食傷気味の私のようなジャズファンにはこちらのバードの方が日常的によく聴くことになります。
ドナルド・バードの明朗でブルージーなペットの特徴がよく出た作品ですので、バード・ファンでバードをもっと知るには外せない一枚でしょう。編成はチャーリー・ラウズとペッパー・アダムスとの3管となっており、トランペットにテナーとバリトンという変則な編成ながら、計算されたアンサンブルが効果的に展開されています。ペッパー・アダムスのバリバリしたバリトンがいい意味でアクセントになっています。それに、この時期(58-59年)セロニアス・モンク・カルテットのメンバーである、チャーリー・ラウズ、サム・ジョーンズ、アート・テイラーの3人がすべて参加していて、ラウズが渋くて老練なテナー・ソロを聞かせてくれます。
全6曲。ハード・バップ~ファンキー調の魅力的なメロディが並びます。1曲目のバードとサム・ジョーンズの出だし部分などはハード・バップの醍醐味を伝える典型的なものだと思います。テーマを紹介した後に各ソロが順にバトンを繋ぐように弾きつがれて行きます。4曲目もキュートなテーマを展開していましてこれぞブルーノート・サウンドとゾクゾクするものを感じさせてくれます。やはりバードのソロは見事ですしラウズの流麗さもさすがという感じです。
1. Witchcraft
2. Here I Am
3. Devil Whip
4. Bronze Dance
5. Clarion Calls
6. The Injuns
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エディ・コスタ/ザ・ハウス・オブ・ブルー・ライツ
JAZZ Piano 2
2005年03月10日
Eddie Costa /The House of Blue Lights
今日は鬼才白人ピアニストのエディ・コスタです。31才でこの世を去ったコスタの傑作ピアノ・トリオ・アルバム『ザ・ハウス・オブ・ブルー・ライツ』。パーソネルは、エディ・コスタ(p)、ウェンデル・マーシャル(b)、ポール・モチアン(ds)。1959年録音。DOT Records。
エディ・コスタのことはこれまでにもサイドメンとして参加したアルバムの中でご紹介しています。シェリー・マン『2-3-4』やタル・ファーロウ『タル』です。スタジオ・ミュージシャンとして売れっ子になりますが、ジャズのレコード録音にはピアノよりもヴィブラフォン奏者としてにサイドで起用されることが多かったようです。57年にダウンビート誌でこの2部門で新人の部のポールウィナーを受賞。62年に自動車事故で31才で死亡。
そのピアノ演奏は大変に個性的でいつでもどこでもすぐに「エディ・コスタだ!」といいあてることができるほどに特徴的です。打楽器のような独特のタッチ・センス、濃厚なブルージー・フィーリング、ハード・ドライビングを支える小気味よい抜群のテクニック。これはヴィブラフォン演奏にも通じるものがあります。本作の『ザ・ハウス・オブ・ブルー・ライツ』はコスタの唯一のピアノ・トリオ作品です。コスタの代表作として名作の誉れ高く、ジャズ・ピアノ・ファンのコレクションに加えられるべき1枚としてお勧めのアルバムです。
全6曲。耳慣れない興味深い演奏ですが、ジャズ・フィーリングに満ち満ちていることがすぐにわかると思います。また、高音から低音までピアノを目一杯に鳴らします。特に低音側を多用することによって色合いが特徴付けられています。それに強烈なブル-スのセンス。名バラッドの2.MyFunnyValentineも濃ゆいブルースとして表現されており風変わりな解釈が独創的です。3.Dianeはペッパーの曲とは異なるようですがタッチ・センスの素晴らしさを感じとれる演奏が好ましく感じられます。
1. The House of Blue Lights
2. My Funny Valentine
3. Diane
4. Annabelle
5. When I Fall in Love
6. What's to Ya
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ユタ・ヒップ/ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ
JAZZ others 1
2005年03月09日
Jutta Hipp /Jutta Hipp with Zoot Sims
今日は女流ピアニスト、ユタ・ヒップの名手ズート・シムズとの共演盤『ユタ・ヒップ・ウィズ・ズート・シムズ』です。 パーソネルは、ジェリー・ロイド(tp)、ズート・シムズ(ts)、ユタ・ヒップ(p)、アーメッド・アブダル・マリク(b)、エド・シグペン(ds)。1956年録音。BlueNote1530。
ユタ・ヒップはドイツで生まれジャズ評論家レナード・フェザーに見出されてアメリカに渡りブルーノートに3枚のアルバムを残して引退した伝説のピアニストです。以前にこのブログでもご紹介した『ヒッコリーズ・ハウスのユタ・ヒップVol.1』、『Vol.2』、それに本作の3枚です。前者2枚がトリオ演奏、本作がクィンテット演奏となっています。ドイツ時代のBGM盤とBN盤(5056)の2枚を含めて全5枚、計4セッションが彼女の全記録です。
ユタ・ヒップの感性豊かな繊細なピアノとズート・シムスの溌剌としたエネルギッシュなテナーとが微妙にバランスのとれた大変魅力的なハード・バップ・アルバムです。マット・デニス作の2.「コートにすみれを」、それに3.「ダウン・ホーム」などはとても印象に残る好演です。
ユタ・ヒップのピアノは残されたライブ演奏のトリオ作品2枚で一通りその個性を感じ取れるのですが、本作では唯一のスタジオ録音かつ管楽器との共演という点でまた違った側面が見られます。バッキングについては特にどうということはないものの、ピアノ・ソロではやはり独特のデリケートなメロディラインと構築美を感じさせてくれます。2でのソロは何度聴いても味わい深いジャズ・センスに感心します。流暢とはいえないむしろ訥弁なピアノ・タッチですが美しい感性が次々と沸き立ってくるのですね。
1. Just Blues
2. Violets for Your Furs
3. Down Home
4. Almost Like Being in Love
5. Wee Dot
6. Too Close for Comfort
7. These Foolish Things [*]
8. 'S Wonderful [*]
Amazon.comでは試聴可能です。→Jutta Hipp with Zoot Sims
詳しくはAmazon.co.jpでどうぞ。→ Yutta Hipp /Yutta Hipp with Zoot Sims
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:34
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ビル・エヴァンス/ムーン・ビームス
JAZZ Piano 2
2005年03月08日
Bill Evans /Moon Beams
今日はビル・エヴァンスのピアノ・トリオです。私の大の愛聴盤『ムーン・ビームス』。ジャケットは軟弱っぽく見えますが中味は極上のピアノ・トリオ演奏です。パーソネルは、ビル・エヴァンス(p)、チャック・イスラエル(b)、ポール・モチアン(ds)。1962年NY録音。Riverside。
名作『ワルツ・フォー・デビー』を最後に盟友スコット・ラファロを自動車事故で失ったエヴァンスはしばらくの間落ち込むことになりますが、約1年を経過した本作ではベースにチャック・イスラエルを迎えてようやく本来の本領を発揮しています。重心重く落ち着きのあるチャック・イスラエルの伴奏でエヴァンスのピアノは内省的で深みのある見事な演奏を展開しています。
実に素晴らしい。私はRiverside4部作と言われる『ポートレイト・イン・ジャズ』『エクスプロレイションズ』『サンデイ・アット・ザ・ビレッジ・ヴァンガード』『ワルツ・フォー・デビー』もよいと思いますが、『エブリバディ・ディグス』と本作『ムーン・ビームス』の2作も同等の名品だと私は考えています。4部作にはスコット・ラファロの参加で斬新なピアノ・トリオ演奏になっているのですが、あとの2作ではベースがあまり強く主張しない分だけバラッド演奏でのエヴァンスのピアノがしっとりとしたマイ・ペースで存分に独特のエヴァンス・テイストを醸し出していますね。アクが強くないという点で日常的に聴く機会としてはその2作が圧倒的に多いのですね。
特にこの『ムーン・ビームス』では全編スロー~ミディアムのバラードですので格別にエヴァンス・ハーモニーが100%開放されているといった感じです。全8曲、全体に甘口とはいうもののもう安心して身をゆだねることができます。どの曲も素敵な仕上がりです。特に、5.If You Could See Me Now などが好みで聴くたびに痺れてしまいますね。2.Polka Dots And Moonbeamsも後半の解釈が素晴らしい。7.In Love in Vainなどもガラスのように繊細な感覚にはため息が出るように唸らされますね。8.Very Earlyもキュートなメロディを限りなく美しく響かせています。あ~、参ります。やっぱエヴァンスは凄いですな。
ビル・エヴァンスをこれから聴くという方には4部作よりも本作をまず最初に試されることをお勧めしますよ。間違いなくピアノ・バラードの最高峰です。エヴァンスの魅力満載。鬱々とした神経くさいエヴァンス、繊細無比のエヴァンス、暗い虚ろな中にキラリと輝く閃光のエヴァンス、いずれもビル・エヴァンスの圧倒的な個性そのものです。エヴァンスの音楽は聴く側の心を映す鏡のようです。今日はエヴァンスのピアノにガラス細工の美を見出している自分がここにいます。
1. Re: Person I Knew
2. Polka Dots And Moonbeams
3. I Fall In Love Too Easily
4. Stairway To The Stars
5. If You Could See Me Now
6. It Might As Well Be Spring
7. In Love In Vain
8. Very Early
Bill Evans (p), Chuck Israels (b), Paul Motian (d). Recorded on May 17&29 and June 5, 1962.
iTunes Music Store では試聴可能です。→
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Bill Evans /Moon Beams
関連エントリーはこちら。
→ アート・ファーマー『モダン・アート』(1958)
→ ビル・エヴァンス『エブリバディ・ディグス』(1958)
→ ビル・エヴァンス『オン・グリーン・ドルフィン・ストリート』(1959)
→ ビルエヴァンス『ポートレイト・イン・ジャズ』(1959)
→ キャノンボール・アダレイ『ノウ・ホワット・アイ・ミーン』(1961)
→ ビル・エヴァンス『エクスプロレイションズ』(1961)
→ ビル・エヴァンス『ムーン・ビームス』(1962)
→ デイブ・パイク『パイクス・ピーク』(1962)
→ ビル・エヴァンス『シェリーズ・マンホールのビル・エヴァンス』(1963)
→ スタン・ゲッツ『スタン・ゲッツ&ビル・エヴァンス』(1964)
→ モニカ・ゼタールンド『ワルツ・フォー・デビー』(1964)
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:07
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ヨーロピアン・ジャズ・トリオ/哀愁のヨーロッパ
JAZZ Piano 2
2005年03月07日
European Jazz Trio / Europa
今日はヨーロピアン・ジャズ・トリオがギタリストのジェシ・ヴァン・ルーラーをフィーチャーした哀愁3部作の最後を飾る人気アルバム『哀愁のヨーロッパ』です。パーソネルは、ジェシ・ヴァン・ルーラー(g)、マーク・ヴァン・ローン(p)、フランス・ホーヴァン(b)、ロイ・ダッカス(ds)。
1曲目標題曲はいきなりなつかしい曲、あのサンタナの名曲ですね。綺麗な曲ではありますが極めて俗っぽくなりがちで神経を使うことになると思います。ジェシ・ヴァン・ルーラーのギターはジャズ・センスよく無難にまとめています。続くマーク・ヴァン・ローンのピアノが登場しますともう安心して浸ることができます。さすがに卒のない粋なソロを展開しています。
2曲目はアントニオ・カルロス・ジョビンの名曲です。名前は違いますが中身は「白と黒のポートレイト」ですね。名作『エリス&トム』で聞けます。ここでのローンのピアノが粘りがあって繊細でとてもいい感じです。
7曲目は今でもやっているのか知りませんがFM番組「クロスオーヴァーイレブン」で流れてくるようなフュージョン系の響きです。ルーラーのギターが戻ってきて心地よい音空間が形作られています。これはまさにBGM音楽です。ローンのピアノもウィンダム・ヒルのようなおおらかなリズムと清澄感のある美しげな佇まいです。アルバム全体にまろやかな色合いの中でこの曲&演奏が最も好きですかね。
他の曲はいずれもポピュラーですし甘すぎてあまり言うべきことがないです。静かな喫茶店でBGMとして流れているような雰囲気です。よく聞けばジャズ・フィーリングが満ちていることがわかるのですが、そこは敢えて抑えてわかりやすくまとめておきましょうという制作側の意図を感じますね。残念ですけれど。
今日はジャケットの良さに魅かれてちょっとお気楽にまとめてみました。このジャケット、最近TVコマーシャルで新小学1年生が桜並木とともに出てくる松下のコマーシャルを見ていて思い出してしまいましたのです。
1. Europa
2. Zingaro
3. Maria (West Side Story)
4. Thank You For The Music
5. Concierto De Aranjuez
6. Both Sides Now
7. Phase Dance
8. Tell Him
9. Blackbird
10. Tears In heaven
11. I Say A Little Prayer
12. What A Wonderful World
詳しくはamazon.co.jpでどうぞ。→ European Jazz Trio / Europa
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:08
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ミッシェル・ルグラン/シェリーズ・マン・ホールのミシェル・ルグラン
JAZZ Piano 2
2005年03月06日
Michel Legrand/ Michel Legrand at Shelly's Manne Hall
今日はミッシェル・ルグランのピアノ・トリオ・アルバムをご紹介しましょう。ルグランといえば映画音楽の名作を数多く作曲したフランスを代表する音楽家です。このアルバムはピアニストとしてルグランの1968年シェリー・マンのクラブ「シェリーズ・マン・ホール」でのライブ演奏を捉えたを貴重な録音です。パーソネルは、ミッシェル・ルグラン(p)、レイ・ブラウン(b)、シェリー・マン(ds)。1968年LA録音。
ミッシェル・ルグランの映画主題曲には、「シェルブールの雨傘」、「エヴァの匂い」、「華麗なる賭け」、「思い出の夏」、「ロシュフォールの恋人達」などとても美しくて印象的なメロディがありますね。若かりし頃はジャズにも相当にのめり込んでおり、『ルグラン・ジャズ』というマイルス、コルトレーン、ビル・エヴァンスといった面々を起用した名作アレンジ・アルバムを残しています。
本作はレイ・ブラウンとシェリー・マンをバックに本格的なピアノ・トリオにチャレンジした意欲的な作品です。ジャズ・ピアノが本業ではありませんので、スマートで流暢なソロは決して望めませんが、意外にも転がるピアノがそれなりにスイングしていて鑑賞に堪える内容になっています。それにやはり抜群の音楽的センスがそこはかとなく漂っていまして、通常のジャズでは聞けない新鮮で不思議な魅力を持っています。多分にレイ・ブラウンのベースがしきりに刺激を与えて鼓舞しているような節があります。
全8曲。ライブ演奏ですが聴衆のノリがとてもよくてルグランのピアノを暖かく見守っている雰囲気がとてもいいです。音質が素晴らしくよいのでライブの臨場感が直に伝わってきます。1曲目から特徴的な少しせわしなげなピアノが快調に飛ばします。4曲目のルグラン自作曲ウォッチ・ホワット・ハプンズが仏のエスプリを感じさせて私には特に好ましいですね。5曲目のマイ・ファニー・バレンタインではヨーロッピアンのスキャットをレイ・ブラウンを相手に披露していましてこれには思わず唸ってしまいます。続くピアノもなかなか味わいがあってなるほどという演奏です。全体にルグランという著名な作曲家のピアノ演奏家としてのセンスが露骨に示されているという点で貴重なものといえるとともに、1枚のジャズ・アルバムとしても結構に楽しめる内容に仕上がっていましてたまにはこういうのもいいかなと思いますね。
1. Grand Brown Man
2. Time for Love
3. Ray's Riff
4. Watch What Happens
5. My Funny Valentine
6. Another Blues
7. Willow Weep for Me
8. Gatos
amazon.comでは試聴可能です。→Michel Legrand at Shelly's Manne Hall
詳しくはamazon.co,jpでどうぞ。→Michel Legrand at Shelly's Manne Hall
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:09
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ティナ・ブルックス/トゥルー・ブルー
JAZZ Sax 1
2005年03月05日
Tina Brooks/ True Blue
今日はティナ・ブルックスです。幻のテナー奏者と一時言われブルージーな演奏で知る人ぞ知るティナ・ブルックスの数少ないリーダー作『トゥルー・ブルー』。パーソネルは、フレディ・ハバード(tp)、ティナ・ブルックス(ts)、デューク・ジョーダン(p)、サム・ジョーンズ(b)、アート・テイラー(ds)。1960年NY録音。BlueNote4041。
優れたセンスとテクニック、それに作曲の才を持ったティナ・ブルックスの代表作です。全盛時のブルーノートにリーダー作を作る機会を与えられるということ自体がすでに一流の証しです。これ以外にもサイドメンとしては印象に残るケニー・バレルのアルバムなど何枚かに登場していまして、本作のつい1週間前にはフレディ・ハバードの初リーダー作『オープン・セサミ』に参加し標題曲を提供したりしています。
ハバードとブルックス、調和のとれたバランスのよい組み合わせで、デューク・ジョーダンをはじめとするバップのリズムをバックにBNらしい典型的なブルージーなハード・バップが駆け抜けてゆきます。ブルックスのテナーにはアーシーなフレージングと流麗な歌心があり、いぶし銀のような渋いものを感じさせます。アクは決して強くなく適度にクールにブレイクする演奏スタイルは当時のテナーでいいますとハンク・モブレイにブッカー・アーヴィンを少し足したような印象です。いやもっと神経が行き届いた卓越したものを感じるといえば少しほめすぎでしょうか。
フレディ・ハバードやジョーダンも十分な演奏を繰り広げています。ハバードはこの時期絶好調のようで随所に本来のすがすがしいいい音色とテクニックの冴えを示してします。ジョーダンも持ち味のコロコロと小気味良く転がるドライブのきいたブルージーなソロがとても心地いいですね。
全6曲。ブルックス、ハバード、ジョーダンのソロを全曲で聞くことができます。間違いなく最高の部類のハードバップそのものです。まず1曲目のブルックスのソロに耳を傾けてみればただ者でないことがすぐに判明するでしょう。憂いのある響きとメロディアスなフレージングには完全に脱帽です。3では流麗な起伏感と歌心を示していますし、自作曲の5でも高い音楽性を感じずにおれません。
ということで大変に満足な内容ですのでその後の活躍がさぞかし期待されたろうにと思うのですが、現実はなぜか次作のリーダー作が長くお蔵入りとなっていたりと鳴かず飛ばずのまま70年台初頭に40過ぎで没することになります。とても残念なジャズマンの一人ですね。
1. Good Old Soul
2. Up Tight's Creek
3. Theme For Doris
4. True Blue
5. Miss Hazel
6. Nothing Ever Changes My Love For You
7. True Blue - (alternate take)
8. Good Old Soul - (alternate take)
JR.comでは試聴可能です。→Tina Brooks/ True Blue
詳しくはamazon.co.jpでどうぞ。→ Tina Brooks/ True Blue
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投稿者 Jazz Blogger T : 20:38
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シルビア・テレス/アモール・エン・ハイ・ファイ
_Bossa Nova / MPB
_Popular Music
2005年03月04日
Sylvia Telles/ Amor em Hi-Fi
今日はボサノヴァの名歌手シルビア・テレスの初期の名作『アモール・エン・ハイ・ファイ』をご紹介しましょう。ボサノヴァがまだ世界的に大ヒットする前の1960年に録音されています。リオデジャネイロ出身のシルビア・テレスはボサノヴァの勃興期を代表する歌手。66年に32才の若さで交通事故死しています。
私にとってボサノヴァの女性歌手といいますとまずこのシルビア・テレスが思い浮かびます。他にもエリス・レジーナ、アストラッド・ジルベルト、ナラ・レオンらが有名ですね。テレスはボサノヴァ初期に活躍して若くして亡くなったということで、その素敵な歌声と残された名唱などで特に印象に残る歌手です。
テレスの歌は何枚かのアルバムで知るのみですが、その味わいのある歌声は哀歓とキュートさが混ざり合った素晴らしいものです。本作はテレスの魅力を伝える代表的な1枚です。ジャジーな演奏もあり個人的に特に好んで聞くアルバムです。
全11曲。オーケストラをバックにボサノヴァやジャズ・スタンダードをじっくりしっとりと歌います。7.ジンジや9.ワン・ノート・サンバはとても有名なジョビンの曲ですがシルビアの歌はそれらの曲の定番と思えるほどに素晴らしい内容です。2のジャズ・スタンダードのメドレーでもとても味わいがあります。3.コルコバド、4.テテも文句なくいいです。10や11なども何とも素敵な歌唱です。10では立派な仏語も披露していますね。こうして1曲ずつじっくり聴きますと、ほんとテレスの素晴らしさがよくわかります。
1.SAMBA TORTO
2.ALL THE WAY/THE BOY NEXT DOOR/THEY CAN'T TAKE THAT AWAY FROM ME
3.CORCOVADO
4.TETE
5.SE E TARDE ME PERDOA
6.CHORA TUA TRISTEZA
7.DINDI
8.OBA-LA-LA
9.SAMBA DE UMA NOTA SO
10.GARDEZ MOI POUR TOUJOURS
11.NAO GOSTO MAIS DE MIM
詳しくはamazon,co.jpでどうぞ。→ Sylvia Telles/ Amor em Hi-Fi
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:55
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ジェリー・マリガン&ポール・デスモンド/ブルース・イン・タイム
JAZZ Sax 1
2005年03月03日
Gerry Mulligan & Paul Desmond/ Blues in Time
今日はジェリー・マリガンとポール・デスモンドのバリトン&アルト・サックスの共演です。西海岸のクールなジャズの芳香が香ばしい渋い一枚です。パーソネルは、ポール・デスモンド(as)、ジェリー・マリガン(bs)、ジョー・ベンジャミン(b)、デイブ・ベイリー(ds)。1957年LA録音。
デスモンドのアルトが存分に響き渡ります。バックにピアノのないベースとドラムだけの2サックスのカルテットですのでサックスの音色がダイレクトかつシンプルに伝わってきます。マリガンはずっとピアノレスでやってますのでいつもの聞きなれた雰囲気なのですが、デスモンドの場合はたいていブルーベックやギター伴奏が一緒ですのでこの種の雰囲気はとて新鮮に感じられます。
その意味でデスモンドのアルトの憂いのある響きと秀麗なアドリブ・ラインをじっくりと堪能できるアルバムといえます。マリガンも負けじと味のあるセンスを披露しており、デスモンドのあっさり味とマリガンのこってり感が妙にバランスよく馴染んでいることもこのアルバムの魅力だと思います。
いずれも白人サックスの西海岸ミュージシャンということでクールで洗練されたオシャレなジャズなのですね。派手さは希薄ですから、真のジャズ好きが日常的に楽しむにはもってこいの気軽で小ジャレタ類だと思います。私の場合、マリガンのレコードやCDはまさにそんな位置づけで、結構日常的に飽きることなく聴く機会が多いのですね。
全7曲。いずれもほんといい感じです。デスモンドがやはり小粋で耳障りが格別です。もちろんマリガンはマリガンで味があります。マリガンだけですと一人で聴くのに十分なのですが、デスモンドが参加していますと誰かと一緒に「これいいでしょ」というノリでより楽しく聞けるようになるのですね。どの曲も同じように聞こえますが何度も聴いていますとそれぞれに個性と味が滲み出してくるのですよ。1、2、5あたりのミディアム曲がお気に入りです。
1. Blues In Time
2. Body And Soul
3. Stand Still
4. Line For Lyons
5. Wintersong - (take 1)
6. Battle Hymn Of The Republican
7. Fall Out
JR.comでは試聴可能です。→Gerry Mulligan & Paul Desmond/ Blues in Time
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投稿者 Jazz Blogger T : 20:40
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チャールズ・ミンガス/メキシコの想い出
JAZZ others 1
2005年03月02日
Charles Mingus / Tijuana Moods
今日はチャールズ・ミンガスの『メキシコの想い出』です。ミンガスのベースが大活躍してメキシコ風の哀感が漂う、ミンガス・ミュージックの多面的な魅力を余すところなく伝える好アルバムです。パーソネルは、クラレンス・ショウ(tp)、ジミー・ネッパー(tb)、カーティス・ポーター(as)、ビル・トリグリア(p)、チャーリー・ミンガス(b)、ダニー・リッチモンド(ds)、他。1957年NY録音。
チャーリー・ミンガスのベースは自己主張が強くアクのあるものながら音楽的には大変魅力がありますね。そしてそのグループ音楽は小さなエリントン楽団のような色彩感のある個性的なサウンドを生み出します。『直立猿人』、『道化師』の名盤2枚に次いで3作目となる本作はやはりスモール・コンボながら立体的なミンガス・オーケストラ・サウンドを形作っている力作です。
特に、全体にメキシカン風の叙情的な香りがありとても馴染みやすい作品に仕上がっています。ミンガスのベースを基点にして全体の流れが自在にダイナミックに動き、時にスリルのある瞬間があり、もちろんインプロヴィゼーションの醍醐味や、また時には哀愁ただよう優しいメロディもありと、ミンガス・ジャズのエッセンスが凝集されているアルバムだと思います。
私にとりましてもミンガスの数多くのアルバムの中でミンガスの優れた美学を感じることができてとりわけ愛着のある1枚です。特に10分を越す2や4の2曲での全体的構築美とミンガス軍団のジャズ・フィーリングにはいつもながら味わい深い魅力を聞き取ります。また、スタンダードの5.フラミンゴという曲をこのアルバムで初めて聴いたのですが、この曲の素敵なメロディとミンガスの解釈がとても気に入っています。
また、クラレンス・ショウやジミーネッパーが大活躍ですし、カーティス・ポーターという聞きなれない名だけれど私のお気に入りのアルト奏者もなかなかよいソロを随所で聞かせてくれます。ミンガスの作品は常にサックスが鍵を握ると私は密かに踏んでいるのですが、本作が味のある作品になっているとすればそれはポーターが及第点をクリアーしていることを意味しているのだと思います。ちなみにこのポーターは後にシャフィ・ハディの名でクレジットされることになるアルトと同一人物とのこと。
1. Dizzy Mood (5:45)
2. Ysabel's Table (10:26)
3. Tijuana Gift Shop (3:43)
4. LosMariachis (10:14)
5. Flamingo (5:26)
詳細はamazon.co.jpでどうぞ。→ Charles Mingus / Tijuana Moods
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:36
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セロニアス・モンク/セロニアス・ヒムセルフ
JAZZ Piano 2
2005年03月01日
Thelonious Monk / Thelonious Himself
今日はセロニアス・モンクのピアノ・ソロ『セロニアス・ヒムセルフ』です。モンクの芸術をダイレクトに味わうにはピアノ・ソロが最も適しています。本作はその典型的な対象として長く座右に置いておくべき1枚です。自らの感性の変化を測る座標軸となるような深く思索的なアルバムです。パーソネルは、1~7&9.セロニアス・モンク(p)。8のみジョン・コルトレーン(ts)、セロニアス・モンク(p)、ウィルバー・ウェア(b)。1957年NY録音。Reverside。
モンクのピアノは不思議です。拙い演奏でありながらもジャズ的なセンスは申し分のないものでして、ジャズの魅力を堪能するという意味では最右翼のアーティストかもしれません。やはり音楽は演奏テクニックがすべてでない、ということだと思います。あのボサノヴァの世界でも、ジョアン・ジルベルト、アストラッド・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンらの歌はまさに素人っぽくて決して上手いと言えるものではありませんが、その音楽から得られる官能は十分すぎるほどに魅力的なのですね。
モンクのピアノ・ソロ、これぞ20世紀ポピュラー・ミュージックの究極の姿なのではないかと、ちょっと大げさに捉えたくなるほどに、私にとって、ある意味、深遠な高みの世界であり、ジャズの醍醐味を知らしめる象徴的な音楽なのです。
全9曲。いずれも凄みのあるモンクです。まさしく絵に描いたような天才そのものなのです。鋭敏な感覚なくしてこの種の音楽を構築することはできません。独創的で斬新無比です。9のボーナス・トラック、ラウンド・ミッドナイトは20分を越す演奏でして、テープを回し続けて途中に製作者のアナウンスが入ったりして録音風景を直に伝える内容になっています。
モンクのピアノは繰り返し聴くことです。繰り返し聴くほどに耳に馴染んできて、心地よさがにじみ出てくるのです。モンクの意図することがおぼろげながら見えてきてその美意識を少しでも共感することができた時、モンクの虜になると同時にジャズを少し理解している自分がそこにいることがわかるはずです。孤高の天才詩人モンクの表現に我々凡人はすぐに理解が及ばないのは当然のことなのですよ。ただその価値はジャズ・ジャイアンツの10人の一人に必ず入るほどにほぼ確定しているのです。歴史的にその位置が定まっているのです。
1. April In Paris
2. Ghost Of A Chance With You, (I Don't Stand) A
3. Functional
4. I'm Getting Sentimental Over You
5. I Should Care
6. 'Round Midnight
7. All Alone
8. Monk's Mood
9. 'Round Midnight - (in progress, bonus track)
iTunes Music Store では試聴可能です。→
Thelonious Himself
詳しくはamazon.co.jpでどうぞ。→ Thelonious Himself
関連エントリはこちら。
→セロニアス・モンク/プレイズ・デューク・エリントン
→セロニアス・モンク/アローン・イン・サンフランシスコ
→セロニアス・モンク/ミステリオーソ
→セロニアス・モンク/ウィズ・ジョン・コルトレーン
→セロニアス・モンク/ストレート・ノーチェイサー
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投稿者 Jazz Blogger T : 10:10
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