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セロニアス・モンク/セロニアス・ヒムセルフ

JAZZ Piano 2

2005年03月01日

monk_himself.jpeg Thelonious Monk / Thelonious Himself

 今日はセロニアス・モンクのピアノ・ソロ『セロニアス・ヒムセルフ』です。モンクの芸術をダイレクトに味わうにはピアノ・ソロが最も適しています。本作はその典型的な対象として長く座右に置いておくべき1枚です。自らの感性の変化を測る座標軸となるような深く思索的なアルバムです。パーソネルは、1~7&9.セロニアス・モンク(p)。8のみジョン・コルトレーン(ts)、セロニアス・モンク(p)、ウィルバー・ウェア(b)。1957年NY録音。Reverside。

 モンクのピアノは不思議です。拙い演奏でありながらもジャズ的なセンスは申し分のないものでして、ジャズの魅力を堪能するという意味では最右翼のアーティストかもしれません。やはり音楽は演奏テクニックがすべてでない、ということだと思います。あのボサノヴァの世界でも、ジョアン・ジルベルト、アストラッド・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンらの歌はまさに素人っぽくて決して上手いと言えるものではありませんが、その音楽から得られる官能は十分すぎるほどに魅力的なのですね。

 モンクのピアノ・ソロ、これぞ20世紀ポピュラー・ミュージックの究極の姿なのではないかと、ちょっと大げさに捉えたくなるほどに、私にとって、ある意味、深遠な高みの世界であり、ジャズの醍醐味を知らしめる象徴的な音楽なのです。

 全9曲。いずれも凄みのあるモンクです。まさしく絵に描いたような天才そのものなのです。鋭敏な感覚なくしてこの種の音楽を構築することはできません。独創的で斬新無比です。9のボーナス・トラック、ラウンド・ミッドナイトは20分を越す演奏でして、テープを回し続けて途中に製作者のアナウンスが入ったりして録音風景を直に伝える内容になっています。

 モンクのピアノは繰り返し聴くことです。繰り返し聴くほどに耳に馴染んできて、心地よさがにじみ出てくるのです。モンクの意図することがおぼろげながら見えてきてその美意識を少しでも共感することができた時、モンクの虜になると同時にジャズを少し理解している自分がそこにいることがわかるはずです。孤高の天才詩人モンクの表現に我々凡人はすぐに理解が及ばないのは当然のことなのですよ。ただその価値はジャズ・ジャイアンツの10人の一人に必ず入るほどにほぼ確定しているのです。歴史的にその位置が定まっているのです。

1. April In Paris
2. Ghost Of A Chance With You, (I Don't Stand) A
3. Functional
4. I'm Getting Sentimental Over You
5. I Should Care
6. 'Round Midnight
7. All Alone
8. Monk's Mood
9. 'Round Midnight - (in progress, bonus track)

iTunes Music Store では試聴可能です。→Thelonious Monk - Thelonious Himself Thelonious Himself

詳しくはamazon.co.jpでどうぞ。→  Thelonious Himself

関連エントリはこちら。
 →セロニアス・モンク/プレイズ・デューク・エリントン
 →セロニアス・モンク/アローン・イン・サンフランシスコ
 →セロニアス・モンク/ミステリオーソ
 →セロニアス・モンク/ウィズ・ジョン・コルトレーン
 →セロニアス・モンク/ストレート・ノーチェイサー

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