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ビル・チャーラップ/ス・ワンダフル

JAZZ Piano 2

2005年03月22日

s_woderful.jpeg Bill Charlap/ 'S Wonderfull

 今日はビル・チャーラップのピアノ・トリオ演奏で『ス・ワンダフル』。歌心のあるピアニスト、ビル・チャーラップはニューヨーク・トリオを率いる気鋭のジャズマンとして今やvenusレコードの顔になりつつあります。パーソネルは、ビル・チャーラップ(p)、ピーター・ワシントン(b)、ケニー・ワシントン(ds)。1998年NY録音。

 ご存知の通りニューヨーク・トリオは安心して聞ける高水準のトリオですね。このブログでも今年になって2本、『過ぎし夏の日』(2002年)、『星へのきざはし』(2004年)をご紹介しています。本作はニューヨーク・トリオとして売り出す少し前の作品ですが、さすがにそのオーソドックスで上質な品のある芳香を醸すピアノ演奏には完全に脱帽です。

 このCDには寺島靖国氏の解説が付いていまして、ビル・チャーラップに対する敬愛の念を感じてうれしくなってくるのです。少しだけ引用させていただきますと、例えば、
「ビル・チャーラップのピアノ、皆さんはどのようにお聴きになったであろうか。一瞬めざましい特徴のないピアノである。オーソドックスである。しかし私に言わせればオーソドックスがすごくハイ・レベルのところで到達したピアノなのである。従ってモンクであるとかエバンスであるとか、そういうスタイル上の特色を見出そうとして耳をとがらせてもあまり意味がない。たくさんの人から採取したのが、ビル・チャーラップのスタイルであり、その上に立って彼はスタイル以上のものを表現しようとしているのだ。それは追々述べてゆくことにしよう。」
なんていうくだりがありまして、実に的を得た指摘であると感心します。多数の著作にも見られる氏の明快な直球の論調は核心的であり大変に参考になるのですね。それに、
「ビル・チャーラップという人はそうした人なのである。なにしろ彼には歌がある。歌の心が身体の中を溢れている。針でちょっと彼の皮膚に穴をあければすぐさま5~6曲飛び出してくるだろう。歌が彼のジャズの中心部になっているから難解になりようがないのだ。」
なんてのもなるほどと唸ってしまいますね。

 全10曲。実に素晴らしい。音もよい、演奏もよい、選曲もよい、とよいことづくめです。エリントンの『極東組曲』に収められているビリー・ストレイホーンの名曲「イスファハン」などが入っていて少しビックリですがその品格は流石です。チャーラップの特徴をあえて挙げるとすれば6や7などのミディアム曲に聞かれる弾けるようなスインギーでピアニスティックな演奏、これはやはり素敵ですな。旬を感じます。すがすがしい演奏の9.Summer Serenadeなどもベニー・カーターのあまり取り上げられない曲です。ほんと歌を知り尽くした渋い選曲です。

1. Time After Time
2. My Shining Hour
3. Blue Room
4. Boy! What Love Has Done to Me!
5. Isfahan
6. Lover
7. Something to Live For
8. 'S Wonderful
9. Summer Serenade
10. Only the Lonely

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Bill Charlap/ 'S Wonderfull

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投稿者 Jazz Blogger T : 10:02 | トラックバック

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