メイン・ページ > 2009年04月
アート・ペッパー/ジ・アート・オブ・ペッパー
JAZZ Sax 3
2009年04月21日
Art Pepper/The Art of Pepper
今日はアート・ペッパーの傑作です。いつでもどこでも聞けるようぜひ座右に置いておきたい1枚。可憐な歌もの佳曲での絶好調ペッパー節がジャズの魅力を如実に伝えてくれます。パーソネルは、アート・ペッパー(as)、カール・パーキンス(p)、ベン・タッカー(b)、チャック・フローレス(ds)。1957年4月1日LA録音。Omegatape。
アート・ペッパーの作品は本ブログですでに5作品についてご紹介していますが、その絶頂期の典型的な演奏に聞かれる陰影に富んだ麗しいフレージングと品格あるブルース・フィーリングなどはまさに天才的と言えるものですし、いつ聞いても痛く感激させられるのです。本作はペッパーが得意とするミディアム・テンポやラテン味の愛すべき歌曲が並んでいまして、ペッパーのアルト・サックスの妙技を構えることなく寛ろいで楽しむにはもってこいの素敵な内容です。ピアノのカール・パーキンスもきりりとメリハリある好サポート。そのピアノの音色が適当に重くてバランスのいいのも高評価に寄与しています。
やっぱりアート・ペッパーっていいですね、と久しぶりにじっくり聴き入りますと心がじんわり溶けて心底にそう思えるのです。露骨な甘っちょろい主題メロディもペッパーの自在なアルトにかかりますと、決して俗に流れずに香り高い芳香となって訴えかけてくるのですね。まるで魔法のようです。それにしましても56年後半から57年前半にかけて地元米西海岸の小レーベルに次々に吹きこまれたアルバム群を眺めてみますと、どれもこれも名品ばかりなのには驚かされます。
①The Return of Art Pepper (Jazz West) 1956.8.
②Marty Paich Quartet Featuaring Art Pepper (Tampa) 1956.8~9.
③Playboys/Chet Baker & Art pepper 1956.10.
④Art Pepper Quartet (Tampa) 1956.11.
⑤Modern Art (Intro) 1956.12~57.1.
⑥Art Pepper Meets the Rythm Section (Contemporary) 1957.1.
⑦The Art of Pepper (Omegatape) 1957.4.
この時期のペッパーは、麻薬が原因の2年間の服役から復活した時期に当り、それまでの不遇をぬぐい去るような快演を繰り広げています。特に本作は力みがないというか、実に抜けがよくてしかも切れ味抜群の演奏になっていまして、何気なく聞くにはもってこいのお気軽で明朗なジャズに仕上がっています。スローなバラッドよりも快調なミディアムからアップ・テンポの演奏に魅力があります。有名過ぎる⑥ミーツ・ザ・リズム・セクションや⑤モダン・アートのアート・ペッパーがちょっと「よそ行き」のペッパーだとすれば、こちら⑦本作はずっと身近なアルト吹きの兄さん的雰囲気ですよ。
付言すれば、カール・パーキンスのピアノが小気味よくスインギーで実にいい味わいであることです。幼い頃に左手が不自由になって左はコードしか弾けないにもかかわらず、その独特の奏法から生み出される演奏にはジャズ・テイストが横溢しています。リーダー作の「イントロデューシング」やサイドメンとしては本作以外にもクリフォード・ブラウン&マックス・ローチ・クインテットの『イン・コンサート』があります。惜しくも自動車事故で29才で夭逝。
全12曲。7曲目 Summertime や11曲目 Breeze and I らのべたっとした曲調ながらその美味を味わい尽くす処理具合、9曲目 Body and Soul での哀感の中に力ある生命力を感じさせる豊かな表現などは素晴らしい。また、例えば、5曲目 I Can't Believe That You're in Love With Me や10曲目 Without a Song での主題の紹介やその後の展開部分に耳を傾けますと、その底知れぬ表現力の深味に恐れ入ります。麗しい音色で媚態を誇示するような吸引力。アニダ・オデイが何気なく歌いながらテクニックと色香発散を周到に計算駆使しているような具合です。
1. Holiday Flight
2. Too Close for Comfort
3. Long Ago (And Far Away)
4. Begin the Beguine
5. I Can't Believe That You're in Love With Me
6. Webb City
7. Summertime
8. Fascinating Rhythm
9. Body and Soul
10. Without a Song
11. Breeze and I
12. Surf Ride
Art Pepper(as), Carl Perkins(p), Ben Tucker(b), Chuck Flores(ds). Recorded in LA, on April 1, !957.
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Art Pepper/The Art of Pepper
関連エントリはこちら。
→アート・ペッパー/モダン・アート
→アート・ペッパー/ザ・リターン・オブ・アート・ペッパー
→アート・ペッパー/ジ・アート・ペッパー・カルテット
→アート・ペッパー/ミーツ・ザ・リズム・セクション
→アート・ペッパー/ゲッティン・トゥゲザー
→カール・パーキンス/イントロデューシング
≪ 続きを隠す
投稿者 Jazz Blogger T : 20:13
| トラックバック
モダン・ジャズ・カルテット/コンコルド
JAZZ others 3
2009年04月20日
MJQ/Concorde
今日はモダン・ジャズ・カルテット MJQ 初期の傑作です。グルーヴィーなミルト・ジャクソンのヴィブラフォンが上品なジョン・ルイスを中心とした落ち着いたバックに支えられて渋くスインングします。パーソネルは、ミルト・ジャクソン(vib)、ジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)。1955年7月2日録音。Prestige。
モダン・ジャズ・カルテットのジャズは室内楽のようなアンサンブルが魅力ですね。ミルト・ジャクソンのグルーヴィーな感性が大のお気に入りの私にとっては少々物足りないところではありますが、本作は結成まもなくメンバーもやっと固定した時期ですので、後年の特徴がやや希薄でミルト・ジャクソンのいぶし銀のような演奏に満足できる一枚です。
本作が録音された1955年は、ミルト・ジャクソンにとって絶好調の年だったに違いありません。名作ぞろいです。
①「ジャンゴ」1955.1.9. ミルト・ジャクソン(vib)、ジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)、ケニークラーク(ds)
②「Classic Concepts」1955.1.20~30. ミルト・ジャクソン(vib)、ジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)、ケニークラーク(ds)
③「ミルト・ジャクソン・カルテット」 1955.3.20. ミルト・ジャクソン(vib)、ホレス・シルバー(p)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)
④「コンコルド」1955.7..2. ミルト・ジャクソン(vib)、ジョン・ルイス(p)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)
⑤「マイルス・デイヴィスとミルト・ジャクソン Quintet/Sextet」1955.10.28. マイルス・デイヴィス(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ミルト・ジャクソン(vib)、レイ・ブライアント(p)、他
⑥「オパス・デ・ファンク」 1955.10.28. ミルト・ジャクソン(vib)、フランク・ウェス(ts,fl)、ハンク・ジョーンズ(p)、エディ・ジョーンズ(b)、ケニー・クラーク(ds)
全6曲。まず、2曲目 All of You の静的な佇まいがいいですね。ミルト・ジャクソンのまさにグルーヴィーなヴァイブが堪能できる演奏です。最初は音少なく静かに始まり、徐々に熱くなって多弁になりゆくスイング感にはさすがにジャズの醍醐味が感じられます。5曲目 Softly, As In a Morning Sunrise は後にMJQの重要なレパートリーになりますが、最初の出だしはすでに独特のアンサンブルが成り立っており、その後には渋くて苦みばしった素敵なブルース演奏が繰り広げられます。
4曲目のガーシュイン・メドレーではジョン・ルイスの静楚なピアノがいい味わいです。ミルト・ジャクソンも戸惑い気味なのかなと思わせるような少し違和感のあるやりとりです。不思議な音の組み合わせもありまが、ジョン・ルイスの洗練された音選びと稟とした涼やかな指使いがぞくっとするような素敵な瞬間を生み出しています。
MJQといえば、20年以上前にMJQ来日公演を大阪フェスティバルホールに聞きに行った覚えがあります。当時ジャズ・ファンではあるもののMJQはあまり好んで聞いていなかったのですが、会社の先輩に強引に連れられて行ったようです。会場にはその先輩の父上と先輩の奥さんの妹さんが一緒にいらっしゃってまして、どうもその妹さんのパートナー探しというかなんかそんな作戦にまんまと乗っかっている自分の置かれた状況を感じるのでした。雰囲気を察知した私は一番前の席(壁が立ちはだかって見えにくい)だったこともあってかMJQの演奏に身が入らずほとんど記憶に残らなかったのでした。
1. Ralph's New Blues
2. All of You
3. I'll Remember April
4. Gershiwn Medley: Soon/For You/ Forevermore/Love Walked In/ Our Love is Here To Stay
5. Softly, As In a Morning Sunrise
6. Concorde
Milt Jackson (vib), John Lewis (p), Percy Heath (b), Connie Kay (ds).
Recorded in New Jersey, on July 2,1955.
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ MJQ/Concorde
iTunes Store では試聴可能です。→MJQ/Concorde
関連エントリはこちら。
→ミルト・ジャクソン/ミルト・ジャクソン・カルテット
→ミルト・ジャクソン/オパス・デ・ジャズ
≪ 続きを隠す
投稿者 Jazz Blogger T : 19:54
| トラックバック
レッド・ガーランド/ア・ガーランド・オブ・レッド
JAZZ Piano 3
2009年04月13日
Red Garland / A Garland of Red
今日はレッド・ガーランド初リーダー作の渋いピアノ・トリオ演奏です。小粋なピアノにほんわかと癒されます。夜のリラックス・タイムに最適な一枚。パーソネルは、レッド・ガーランド(p), ポール・チェンバース(b), アート・テイラー(ds)。1956年8月17日NYC録音。Prestige 7064。
レッド・ガーランド(1923-1984)のピアノはブロック・コードを多用することも特徴ですが、玉を転がすようなタッチがより印象的で、繰り出されるグルーヴィーな乗りと愛らしい歌心は忘れがたいものがあります。本作は、1955年にマイルス・デイヴィスの著名なクインテットに参加して好評を博した直後の1956年プレスティッジ・レーベルの専属となって3枚のリーダー作を残すことになる最初の1枚。「ア・ガーランド・オブ・レッド」、「レッド・ガーランズ・ピアノ」、3枚目が名高い「グルーヴィー」です。
レッド・ガーランドのレッドは愛称で、ピアニストとしての修業時代に自分を目立たせるために髪の毛を赤く染めていたことから付けられたとのこと。また、ジャズ・ミュージシャンになる前はボクシングをやっていたけれど、人が良すぎてボクサーに向かないと断念したとか。
全8曲。最後の Blue Red のみガーランドのオリジナル、他はスタンダード曲で、玄人好みのする好ましい選曲と思われます。渋い演奏が並びます。2曲目 My Romance や6曲目 Little Girl Blue のリリカルなバラッド演奏が素敵です。シングル・トーンが限りなく優しくかつ美しいですね。
5曲目 September in the Rain や1曲目 A Foggy Day などのミディアム・テンポの演奏も小気味よくていとてもいい具合ですね。当時のマイルス・グループの雰囲気そのものです。4曲目 Makin' Whoopee と8曲目Blue Red はブルース演奏、その得意なグルーヴィーなセンスが光ります。
共演のポール・チェンバースは当時のマイルス・バンドの同僚、アート・テイラーはプレスティジの専属ドラマーのような存在、いずれも当時の共演者として理想的です。チェンバースの好調なベース・ソロが随所に聞かれます。また、プレスティジの音はブルーノートと明らかに違ってピアノの高音がクリアでいいです。
1. Foggy Day
2. My Romance
3. What Is This Thing Called Love?
4. Makin' Whoopee
5. September in the Rain
6. Little Girl Blue
7. Constellation
8. Blue Red
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Red Garland / A Garland of Red
関連エントリはこちら。
→レッド・ガーランド/グルーヴィー
→マイルス・デイヴィス/クッキン
→マイルス・デイヴィス/ラウンド・アバウト・ミッドナイト
≪ 続きを隠す
投稿者 Jazz Blogger T : 20:17
| トラックバック
チャールズ・ミンガス/ジャズ・ポートレイツ
JAZZ others 3
2009年04月12日
Charles Mingus / Jazz Portraits
今日はチャールズ・ミンガスのシンプルな一枚。2サックスのクインテットによるワークショップでの演奏。ミンガス・ジャズの力強さとリリカルな面がともに心地よいのです。パーソネルは、チャールズ・ミンガス(b), ジョン・ハンディ(as), ブッカー・アーヴィン(ts), リチャード・ワイアンズ(p), ダニー・リッチモンド(ds)。1959年1月16日NYC録音。United Artists。
ミンガスは50年代半ばから60年代前半を通じて多くのリーダー作を残していますね。50年代だけでも、ざっと挙げてみますと、1956年「直立猿人」、57年「道化師」、「ミンガス・スリー」、「メキシコの想い出」、「イースト・コースティング」、58年「The Werry Blues」、59年本作「ジャズ・ポートレイツ」、「ブルース&ルーツ」、「ミンガス・アー・アム」、「ミンガス・ダイナスティ」と、いずれも聞きごたえのある濃い内容のアルバムばかりですね。
ミンガスは一ベース奏者というよりまさにクリエイターなのですね。あくまでリーダーとして、メンバーを集めグループを率いて自分が納得できるジャズを作ってゆくというスタンスです。ですので、アルバムの内容に統一感があったりしますね。この時期のジャズでは非常に稀なケースであり先進的であったと言えるでしょう。また、デューク・エリントンを尊敬していたということですが、まさにスモール・エリントン楽団を目指していたのでしょう。
ただ、本作「ジャズ・ポートレイツ」は、当時ジャズ・ワークショップという形のセッションを定期的に聴衆の前で行っていたものを録音したもので、思想性のあるものもでなく、スタンダード曲を演奏した、この期に通常よくみられるジャズ・アルバムの体裁です。でも、そこはミンガス音楽ですので、それなりに聞かせどころがありまして、本作の場合は、ジョン・ハンディのアルト・サックスの旨みにあろうかと思います。
ミンガスの音楽では、多くの場合フロントにトランペット、トロンボーン、サックスを配するのですが、その中でやはりサックスに重きが置かれているように思われます。サックスはハードバップ含むモダンジャズにおいて最も説得力のある楽器に違いありません。ミンガスがサックス奏者に求めたことはさぞ厳しいものであったと思われます。
J. マクリーン、J.R. モンテローズ、S. ハディ、J. ハンディ、B. アーヴィン、E. ドルフィー、Y. ラティーフら次々に多くのサックス奏者が入れ替わり参加していますが、いずれもクセがあるものの力量のあるサックス奏者ばかりで、ここぞという時に印象的なアドリブ・ソロを決めていますね。よりよいものを作るためにテイクを何度も重ねたと言われるミンガスのアルバム制作ですが、アドリブにおける即興性の醍醐味だけは演奏者の実力に依存せざる得なかったのでしょう。
本作のフロントはジョン・ハンディのアルトとブッカー・アーヴィンのテナーですが、ジョン・ハンディのアルトが抜群にいい具合です。J. ハンディは59年のミンガス・アルバムにほとんど参加し、60年にエリック・ドルフィーが参加するまでミンガスのグループに属していました。その音色はジャッキー・マクリーンのように角ばっていて適度にしなやか、しかもフレージングが流麗でジャズテイストに溢れています。
全4曲。2曲目スタンダード・バラッド I Can't Get Started でハンディのそんな素晴らしいソロが聞かれます。4曲目の Alice's Wonderland においても、リリカルながら単調にならないスリルある演奏を繰り広げていまして、ミンガスの期待に十分応えたであろうことが容易に想像されます。しばらくの間とはいえレギュラーの位置を占めたことも頷けます。
1. Nostalgia in Times Square
2. I Can't Get Started
3. No Private Income Blues
4. Alice's Wonderland
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Charles Mingus / Jazz Portraits
関連エントリはこちら。
→チャールズ・ミンガス/直立猿人
→チャールズ・ミンガス/メキシコの想い出
→チャールズ・ミンガス/ミンガス・アー・アム
≪ 続きを隠す
投稿者 Jazz Blogger T : 20:49
| トラックバック
ジミー・スミス/アット・ザ・オルガンVol.1
JAZZ others 3
2009年04月11日
Jimmy Smith / At The Organ Vol.1
モダンジャズのオルガン奏者の第一人者と言えばジミー・スミスですね。本作は、サックスとギターを加えたカルテットによるハードバップの快演です。パーソネルは、ジミー・スミス(org), ルー・ドナルドソン(as), ケニー・バレル(g), アート・ブレイキー(ds)。1957年NYC録音。BlueNote 1551。
ハードバップを無性に聞きたくなるときって突然ふいにやってくるものですね。シミー・スミスのオルガンはよくスイングするし適度なグルーヴ感があるので最初の1発目には最適です。本作は、当時気鋭のアルト奏者ルー・ドナルドソンとギターのケニーバレルが参加して典型的なハードバップ作品に仕上がっています。
ジミー・スミス(1925-2005)は50年代ブルーノート・レーベルの看板アーティスト、リーダー作が10枚以上あります。オーナーのアルフレッド・ライオンに大変に気に入られていたようですね。ジャズのオルガンは普通ハモンド・オルガンなのですが、手だけでなく足も使ってベースの役割も自分でしますので、通常ベース奏者の参加が必要ありません。
全4曲。快調な演奏です。全体にルー・ドナルドソンの明るいアルトの響きとジミー・スミスとケニー・バレルのブルージーな演奏が印象的です。3曲目ブルース曲 All Day Long でのドナルドソンのアルトがチャーリー・パーカー直系の明朗なフレージングでいい具合、続くバレルのギターが流石に渋いジャズ的雰囲気を醸します。スミスの長いソロもジャス・オルガンの魅力を伝える本領発揮の演奏です。
4曲目 Yardbird Suite は心地よいミデイアム・テンポのパーカーの曲。やはりドナルドソンが先頭を切ってクリアでシャープな短いソロを聞かせたのち、バレルが技巧を凝らしたスインギーなソロを披露、続くスミスも負けずと余裕のある愉快なソロを示してくれます。2曲目 There's A Small Hotel は、私などはすぐにクロード・ソーンヒル楽団のほのぼのとした演奏を思い出してしまいますが、ここでは、スミス、バレル、ブレイキーのトリオによる地味ながら味のある演奏がじっくりと堪能できまして、その雰囲気は実にいい感じなのです。おまけ的にアート・ブレイキーの豪快なドラム・ソロも久しぶりにたっぷりと聞きました。
1. Summertime
2. There's A Small Hotel
3. All Day Long
4. Yardbird Suite
詳しくはアマゾンでどうぞ。試聴も可。→ Jimmy Smith / At The Organ Vol.1
≪ 続きを隠す
投稿者 Jazz Blogger T : 15:39
| トラックバック
ミシェル・ペトルチアーニ/プレイグラウンド
JAZZ Piano 3
2009年04月10日
Michel Petrucciani / Playground
ミシェル・ペトルチアーニは、身体的ハンディを全く感じさせない力強いタッチと極上のドライブ感、それに甘美かつコンテンポラリーな美意識でもって20世紀末を孤高に駆け抜けた偉大なピアニストですね。その典型的なアルバム Playground。パーソネルは、ミシェル・ペトルチアーニ(p), アンソニー・ジャクソン(b), オマー・ハキム(ds), アダム・ホルツマン(syn), スティーブ・ソートン(pec), アルド・ロマーノ(ds)。1991年録音。BlueNote。
ミシェル・ペトルチアーニ(1962-1999)こそはもっともっとじっくりと聴き深めたいアーティストの一人なのです。その卓越した技量に裏打ちされた独自の美的センスとモダンジャズの枠を超える音楽性について私なりにいつか全貌を明らかにしたいと思わせる魅力を感じています。
ペトルチアーニの音楽にはまだ十分に接しているとは言えない自分ですが、ジャズ・ピアノの歴史に足跡を残す一等星であることは誰しも認めるところに違いありません。バド・パウエル(1924-1966)、ビル・エヴァンス(1929-1980)というモダン・ジャズピアノ・ジャイアンツ亡きあとの80年代以降、チック・コリア、キース・ジャレット、エンリコ・ビエラヌンティ、ブラッド・メルドーはじめ多くの優れたピアニストが乱立する中で、ペトルチアーニこそはその正統的後継者の筆頭格ピアニストであとうとも。
骨形成不全症という先天的疾患により1mほどの身長で、20歳までしか生きられないと言われたハンディのある身体で、ピアノという大きな楽器にしがみつくように繰り出されるそのピアノの音色は、その姿を容易には想像させない人並み優れて強靭でクリア、かつ表現力に富んだ音なのです。36年という短い人生をジャズ・ピアノにまさに全身全霊を傾けたであろう忘れがたい芸術家だと思います。バド・パウエル41歳、エヴァンス50歳、ペトルチアーニ36歳、偉大なピアニストは皆そろって夭逝ですね。
いわゆる駄作のない、いつでもどこでも最上の音楽を提供できるア-ティスト、そうした基礎力のあるジャズマンはライブ演奏でこそ本領を発揮します。ペトルチアーニも優れたライブ盤が数多くありますが、本日取り上げた作品はスタジオ録音、幅広い彼の音楽性を的確に示す最良の一枚。ジャズ臭さを感じさせないスマートでお洒落な一枚です。シンセやパーカッションが加わり、これぞ極上のフュージョン音楽なのです。
フュージョンといってもペトルチアーニのジャズには魂のこもったピアノ・インプロヴィゼーションが満載ですので、モダン・ジャズ・ファンも納得できる内容です。アコースティックなシンプルなモダン・ジャズがお好みの私にとりましてはいささか違和感は否めないものの、エレクトリック・ベースの存在感やドラムとパーカッションの激しいリズムに刺激が強すぎると怖れつつ、シンセによるふくよかなバッキング・コーラスの美的雰囲気には完全に嵌ってしまうのですね。
全11曲。美しいメロディと明晰なビート、自由に駆け回るピアノには心地よい音楽が持つべき魅力が満ち溢れています。2曲目の Home が特にお気に入り。シンセサイザーがその無限の音宇宙にさらなる奥行きを与えているかのようです。昔よく聞いたクロスオーバーイレブンというFM番組、就寝前の癒しタイムによく耳馴染んだ音世界そのものです。
3曲目 P'tit Louis と5曲目 Rachid は本来というか従前のビビッドなアコースティック・ピアノ・ジャズ。ペトルチアーニの素敵なピアニスティックな感性を味わうことができます。やっぱ落ち着きます、こういうのが安心でいいなと。それにしてもペトルチアーニの作曲の才も褒め称えるべきですね。1曲目 September Second も彼の代表的名作、淀みのないピアノ演奏も緊張の持続する素晴らしい内容です。
1. September Second
2. Home
3. P'tit Louis
4. Miles Davis' Licks
5. Rachid
6. Brazilian Suite #3
7. Play School
8. Contradictions
9. Laws of Physics
10. Piango, pay the man
11. Like that
iTunes Store では試聴可。→ ミッシェル・ペトルチアーニ/プレイグラウンド
詳しくはアマゾンでどうぞ。試聴可。→ Michel Petrucciani / Playground
関連エントリはこちら。
→ミシェル・ペトルチアーニ/ピアニズム
→ステファン・グラッペリ&ミシェル・ペトルチアーニ/フラミンゴ
You Tube からアンソニー・ジャクソンとスティーブ・ガットとのトリオ演奏の画像をアップしておきましょう。ペトルチアーニのピアノ演奏はジャズの醍醐味をよく伝えています。
≪ 続きを隠す
投稿者 Jazz Blogger T : 17:53
| トラックバック
バド・パウエル/ザ・シーン・チェンジズ
JAZZ Piano 3
2009年04月04日
Bud Powell / The Scene Changes
今日はバド・パウエルの著名な作品です。哀愁あるブルース曲でのドライブ感あるピアノに耳を傾注しますと、パウエルの醸す音楽でのみ味わえるある種の恍惚境にいざなわれます。パーソネルは、バド・パウエル(p)、ポール・チェンバーズ(b)、アート・テイラー(ds)。1958年12月29日録音。BlueNote 4009。
バド・パウエル(1924-1966)の全盛期は1950年前後の47年から53年くらいとよく言われますね。神がかり的で天才の芸術と呼ぶにふさわしい真摯なジャズ・ピアノ。ブルー・ノート、ルーレット、ヴァーブに残されたそれら切れ味鋭く一種近寄りがたい凄味あるピアノには私も畏敬の念を抱き続けています。例えば、「アメジング・バソ・パウエルVol.1&2」や「バド・パウエルの芸術」などで聞かれる張りつめた隙のない演奏には天才的なきらめきが感じられます。特に私のお気に入りは前者に収められたYou Go to My Headでのホーンライクでアイデアに富んだドライブ感ある長いアドリブ演奏なのです。
60年代の晩年と言っても30歳代後半ですが拠点をNYからパリに移した時期の演奏には、それを枯れたと表現するのかもしれませんが、そうした鋭利な刃物が鈍器になりつつもその分使い勝手がよくなったとでも言えるような、身近な親しみが感じられます。本作品は58年の録音で、そこに至る過度期の演奏を聞くことができると言えましょう。ブルース中心の選曲で、ハードドライビングな心地よいアドリブを堪能することができます。
全9曲。すべてバド・パウエルの作曲です。1曲目のクレオパトラの夢が特に有名です。マイナーで哀愁あるメロディが日本人の好みに合うとか。でもなぜか私はこの種の演奏に不感症なのです。マル・ウォルドロンの有名なマイナー曲もそうです。むしろ主題メロディはいくぶん陳腐でもパウエル独特のアドリブが冴え渡る2曲目、3曲目、8曲目が好みです。そのぐいぐいと引き込むようなシングルトーンの連なり、いつまでも尽きることなく紡ぎ出されるメロディによるトランス状態、その魅力的な演奏に圧倒されます。
気になるのはピアノの音です。骨太で重い独特の響きは決して美音ではありませんが中音域が張り出す音には力が感じられます。現代のような広い帯域を示す繊細なピアノ音とは全く異なるものです。ルディ・ヴァン・ゲルダーによるこの時期のブルーノートのピアノの音はすべてこの音なのですね。これはこれでパウエル流のジャズ・ピアノの魅力を的確に伝えてくれるものと信じます。ちなみにジャケットに写る少年はパウエルの息子ジョン3歳。
1. CLEOPATRA'S DREAM
2. DUID DEED
3. DOWN WITH IT
4. DANCELAND
5. BORDERICK
6. CROSSIN' THE CHANNEL
7. COMIN' UP
8. GETTIN' THERE
9. THE SCENE CHANGES
iTunes Store では試聴可です。→ Bud Powell / The Scene Changes
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Bud Powell / The Scene Changes
関連エントリはこちら。
→バド・パウエル/バド・パウエルの芸術
→バド・パウエル/アメイジング・バド・パウエル Vol2
→バド・パウエル/ポートレイト・オブ・セロニアス
→バド・パウエル/イン・パリ
→ソニー・スティット/スティット、パウエル&JJ
→チャーリー・パーカー/ジャズ・アット・マッセイ・ホール
≪ 続きを隠す
投稿者 Jazz Blogger T : 21:05
| トラックバック
ソニー・ロリンズ/アルフィー
JAZZ Sax 3
2009年04月01日
Sonny Rollins / Alfie
今日はソニー・ロリンズとオリバー・ネルソンのちょっと意外な組合せ。映画「アルフィー」の音楽です。いかにも英国人らしくシニカルな印象の名優マイケル・ケイン主役。全曲ソニー・ロリンズの作曲。パーソネルは、ソニー・ロリンズ(ts)、ケニー・バレル(g)、ロジャー・ケラウェイ(p)、ウォルター・ブッカー(b)、フランキー・ダンロップ(ds)、フィル・ウッズ(as)、J.J.ジョンソン(tb)、オリバー・ネルソン(arr)、他。1966年1月26日録音。Impulse。
ソニー・ロリンズの60年以降のアルバムは実は日常的に聞く対象ではないですし、ほとんど感心して聞いたことがないというのが正直なところですが、本作に限っては、ロリンズのテナーが以前の自信に満ちた豪快かつ流暢なものとは言えないものの、マイペースでバッキングを無視したように吹きまくるアドリブには流石にロリンズの魅力を感じるのですね。それに、サイドメンのケニー・バレルとロジャー・ケラウェイがとてもいい味を出していることも印象に残るものです。
不安定であいまいに聞こえる吹奏はジャズ潮流が急激に変わる中でロリンズがロリンズなりにその流れに乗ろうともがき苦しんでいるようにも聞こえます。50年代後半の演奏が金字塔のように確立されたものでありあまりに素晴らしいものだっただけにその呪縛から逃れることは容易なことではないのでしょう。まあでも、そういう歴史的なことは音楽を楽しむ分には実はどっちでもよいことであって、本作を前提なしで純粋に聞く分にはメロディよく快調なアドリブの続く楽しいジャズそのものなのですよ。
あと、オリバー・ネルソンのアレンジするサウンド自体は何やら行儀よすぎるのか私にはいまいちのめりこめないところがあります。あの著名な「ブルースの真実」では、エリック・ドルフィーの参加によってその律儀なブルースに自由な即興性の遊びというか醍醐味が加わることで妙なバランスの良さがありましたっけ。
その意味ではロリンズが生来持つ奔放さが同様な作用を及ぼすかと思いきや、どうもどこまで行ってもなじまない水と油という感じがするのです。恐らくはロリンズというアーティストはリズム隊以外のサイドのサポートをプラスに受けるタイプではなくて、いつも自分の独自のインプロヴィゼーションのみで聞くものを圧倒するタイプなのでしょう。
全6曲。表題曲の1や6では、魅惑のテーマメロディが魅力的な上にロリンズの豪快なソロがなかなか冴えています。ケニー・バレルのブルージーなギターがいいアクセントとして効いていますね。静かな雰囲気の2曲目ではロリンズのソロに深みある味わいがあっていいですし、続くケラウェイのピアノも内省的かつ可憐で素敵です。
4曲目のブルース、ここでのバレルのギター・ソロにはいつも感激させられます。流石の完璧なプルース演奏。クールでモダンな響きがイカしてます。その後のロジャー・ケラウェイのソロもバレルに感化されたのか実にいい具合で何やら新鮮な感覚がありますね。最後に満を持して出てくるロリンズのテナーが短いながらパッションに溢れています。
5曲目のジャズ・ワルツ風アレンジでのロリンズが本作では一番の好みかもしれません。安心して耳を傾けられる類の力を少し抜いたロリンズ節なのです。そのリズムに乗った自在のインプロヴィゼーションは実に魅力的。曲自体の楽想にほのかにショーター音楽の影を感じるのは自分だけではありますまい。
それにしましても、サイドメンの存外のいい演奏に出会うことは往々にしてよくあることですが、本作のケニー・バレルとロジャー・ケラウェイには本当に感激させられます。ロジャー・ケラウェイというピアニストは、私にとってはシンガーズ・アンリミテッドとの共演盤があまりに印象深く、本作のようにブルース主体の演奏でこんなにいい味が出せるピアノであったことは嬉しい発見ではありました。
1. Alfie's Theme
2. He's Younger Than You Are
3. Street Runner With Child
4. Transition Theme for Minor Blues or Little Malcolm Loves His Dad
5. On Impulse
6. Alfie's Theme Differently
iTunes Storeでは試聴できます。→Sonny Rollins/Alfie
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Sonny Rollins / Alfie
関連エントリはこちら。
→ソニー・ロリンズ/ヴィレッジバンガードの夜
→ソニー・ロリンズ/ウエイ・アウト・ウエスト
→ソニー・ロリンズ/ソニー・ロリンズVol.2
→ソニー・ロリンズ/テナー・マッドネス
→ソニー・ロリンズ/サキソフォン・コロッサス
→オリバー・ネルソン/ブルースの真実
→シンガーズ・アンリミテッド/ジャスト・イン・タイム
→ケニー・バレル/ミッドナイト・ブルー
→ケニー・バレル/アット・ザ・ファイブ・スポット
→ジョン・ジェンキンス/ジョン・ジェンキンスとケニー・バレル
≪ 続きを隠す
投稿者 Jazz Blogger T : 21:47
| トラックバック