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バド・パウエル/ザ・シーン・チェンジズ
JAZZ Piano 3
2009年04月04日
Bud Powell / The Scene Changes
今日はバド・パウエルの著名な作品です。哀愁あるブルース曲でのドライブ感あるピアノに耳を傾注しますと、パウエルの醸す音楽でのみ味わえるある種の恍惚境にいざなわれます。パーソネルは、バド・パウエル(p)、ポール・チェンバーズ(b)、アート・テイラー(ds)。1958年12月29日録音。BlueNote 4009。
バド・パウエル(1924-1966)の全盛期は1950年前後の47年から53年くらいとよく言われますね。神がかり的で天才の芸術と呼ぶにふさわしい真摯なジャズ・ピアノ。ブルー・ノート、ルーレット、ヴァーブに残されたそれら切れ味鋭く一種近寄りがたい凄味あるピアノには私も畏敬の念を抱き続けています。例えば、「アメジング・バソ・パウエルVol.1&2」や「バド・パウエルの芸術」などで聞かれる張りつめた隙のない演奏には天才的なきらめきが感じられます。特に私のお気に入りは前者に収められたYou Go to My Headでのホーンライクでアイデアに富んだドライブ感ある長いアドリブ演奏なのです。
60年代の晩年と言っても30歳代後半ですが拠点をNYからパリに移した時期の演奏には、それを枯れたと表現するのかもしれませんが、そうした鋭利な刃物が鈍器になりつつもその分使い勝手がよくなったとでも言えるような、身近な親しみが感じられます。本作品は58年の録音で、そこに至る過度期の演奏を聞くことができると言えましょう。ブルース中心の選曲で、ハードドライビングな心地よいアドリブを堪能することができます。
全9曲。すべてバド・パウエルの作曲です。1曲目のクレオパトラの夢が特に有名です。マイナーで哀愁あるメロディが日本人の好みに合うとか。でもなぜか私はこの種の演奏に不感症なのです。マル・ウォルドロンの有名なマイナー曲もそうです。むしろ主題メロディはいくぶん陳腐でもパウエル独特のアドリブが冴え渡る2曲目、3曲目、8曲目が好みです。そのぐいぐいと引き込むようなシングルトーンの連なり、いつまでも尽きることなく紡ぎ出されるメロディによるトランス状態、その魅力的な演奏に圧倒されます。
気になるのはピアノの音です。骨太で重い独特の響きは決して美音ではありませんが中音域が張り出す音には力が感じられます。現代のような広い帯域を示す繊細なピアノ音とは全く異なるものです。ルディ・ヴァン・ゲルダーによるこの時期のブルーノートのピアノの音はすべてこの音なのですね。これはこれでパウエル流のジャズ・ピアノの魅力を的確に伝えてくれるものと信じます。ちなみにジャケットに写る少年はパウエルの息子ジョン3歳。
1. CLEOPATRA'S DREAM
2. DUID DEED
3. DOWN WITH IT
4. DANCELAND
5. BORDERICK
6. CROSSIN' THE CHANNEL
7. COMIN' UP
8. GETTIN' THERE
9. THE SCENE CHANGES
iTunes Store では試聴可です。→Bud Powell / The Scene Changes
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Bud Powell / The Scene Changes
関連エントリはこちら。
→バド・パウエル/バド・パウエルの芸術
→バド・パウエル/アメイジング・バド・パウエル Vol2
→バド・パウエル/ポートレイト・オブ・セロニアス
→バド・パウエル/イン・パリ
→ソニー・スティット/スティット、パウエル&JJ
→チャーリー・パーカー/ジャズ・アット・マッセイ・ホール
投稿者 Jazz Blogger T : 21:05 | トラックバック
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