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チャールズ・ミンガス/ジャズ・ポートレイツ

JAZZ others 3

2009年04月12日

Charles Mingus / Jazz Portraits Charles Mingus / Jazz Portraits

 今日はチャールズ・ミンガスのシンプルな一枚。2サックスのクインテットによるワークショップでの演奏。ミンガス・ジャズの力強さとリリカルな面がともに心地よいのです。パーソネルは、チャールズ・ミンガス(b), ジョン・ハンディ(as), ブッカー・アーヴィン(ts), リチャード・ワイアンズ(p), ダニー・リッチモンド(ds)。1959年1月16日NYC録音。United Artists。

 ミンガスは50年代半ばから60年代前半を通じて多くのリーダー作を残していますね。50年代だけでも、ざっと挙げてみますと、1956年「直立猿人」、57年「道化師」、「ミンガス・スリー」、「メキシコの想い出」、「イースト・コースティング」、58年「The Werry Blues」、59年本作「ジャズ・ポートレイツ」、「ブルース&ルーツ」、「ミンガス・アー・アム」、「ミンガス・ダイナスティ」と、いずれも聞きごたえのある濃い内容のアルバムばかりですね。

 ミンガスは一ベース奏者というよりまさにクリエイターなのですね。あくまでリーダーとして、メンバーを集めグループを率いて自分が納得できるジャズを作ってゆくというスタンスです。ですので、アルバムの内容に統一感があったりしますね。この時期のジャズでは非常に稀なケースであり先進的であったと言えるでしょう。また、デューク・エリントンを尊敬していたということですが、まさにスモール・エリントン楽団を目指していたのでしょう。
 
 ただ、本作「ジャズ・ポートレイツ」は、当時ジャズ・ワークショップという形のセッションを定期的に聴衆の前で行っていたものを録音したもので、思想性のあるものもでなく、スタンダード曲を演奏した、この期に通常よくみられるジャズ・アルバムの体裁です。でも、そこはミンガス音楽ですので、それなりに聞かせどころがありまして、本作の場合は、ジョン・ハンディのアルト・サックスの旨みにあろうかと思います。

 ミンガスの音楽では、多くの場合フロントにトランペット、トロンボーン、サックスを配するのですが、その中でやはりサックスに重きが置かれているように思われます。サックスはハードバップ含むモダンジャズにおいて最も説得力のある楽器に違いありません。ミンガスがサックス奏者に求めたことはさぞ厳しいものであったと思われます。

 J. マクリーン、J.R. モンテローズ、S. ハディ、J. ハンディ、B. アーヴィン、E. ドルフィー、Y. ラティーフら次々に多くのサックス奏者が入れ替わり参加していますが、いずれもクセがあるものの力量のあるサックス奏者ばかりで、ここぞという時に印象的なアドリブ・ソロを決めていますね。よりよいものを作るためにテイクを何度も重ねたと言われるミンガスのアルバム制作ですが、アドリブにおける即興性の醍醐味だけは演奏者の実力に依存せざる得なかったのでしょう。

 本作のフロントはジョン・ハンディのアルトとブッカー・アーヴィンのテナーですが、ジョン・ハンディのアルトが抜群にいい具合です。J. ハンディは59年のミンガス・アルバムにほとんど参加し、60年にエリック・ドルフィーが参加するまでミンガスのグループに属していました。その音色はジャッキー・マクリーンのように角ばっていて適度にしなやか、しかもフレージングが流麗でジャズテイストに溢れています。

 全4曲。2曲目スタンダード・バラッド I Can't Get Started でハンディのそんな素晴らしいソロが聞かれます。4曲目の Alice's Wonderland においても、リリカルながら単調にならないスリルある演奏を繰り広げていまして、ミンガスの期待に十分応えたであろうことが容易に想像されます。しばらくの間とはいえレギュラーの位置を占めたことも頷けます。


1. Nostalgia in Times Square
2. I Can't Get Started
3. No Private Income Blues
4. Alice's Wonderland


詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Charles Mingus / Jazz Portraits


関連エントリはこちら。
 →チャールズ・ミンガス/直立猿人
 →チャールズ・ミンガス/メキシコの想い出
 →チャールズ・ミンガス/ミンガス・アー・アム


投稿者 Jazz Blogger T : 20:49 | トラックバック

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