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バド・パウエル/バド・パウエルの芸術

JAZZ Piano 2

2005年05月24日

bud_powell.jpeg Bud Powell / Bud Powell

 今日はバド・パウエルの歴史的名盤の『バド・パウエルの芸術』です。ジャズの魅力に取り付かれたある往年の日々に教科書のように繰り返し聴いたなつかしのアルバムです。パーソネルは、バド・パウエル(p)、ジョージ・デュヴィヴィエ、カーリー・ラッセル(b)、マックス・ローチ、アート・テイラー(ds)。1947年、1953年録音。Roost。

 ジャズを積極的に聴くようになった20才前後の頃、アルバイトで得た小銭を中古レコードにつぎ込むようになってすぐにこのレコードには出会うべくして出会ったのでした。その素晴らしいバド・パウエルのピアノを実際に耳にしたときの感動、そして、毎日のように聴いたその琥珀のような音の連なりはいまだに青春の日々を彷彿とさせてくれる貴重な記憶になっています。

 しかしながら、ある時そう20代半ばの頃、ずっと下宿にTVのない生活を過ごしていたのですが、ひょんなことから近くに住む大学研究室の1年後輩にTVを借りることになり、そのお礼にと、このレコード、中古で買って擦り切れるように聴いたレコードを差し上げたのでした。彼の下宿(薄汚い大学の寮でしたが)に行くとビル・エバヴァンスの『ワルツ・フォー・デビー』があったりしまして少しジャズに興味があるとかということで、先輩としては自慢のバド・パウエルのレコードをこっちの水はもっとおいしいかもよといったノリで自信を持って提供することにしたのでした。

 それ以来、20年くらい、このバド・パウエルの『芸術』に触れることなく、昨年末にCDを入手して再会することになるのでした。音の記憶といいますのは、臭いや味の記憶も同様だと思いますが、相当にしぶといものがありますようで、私はそのことを改めて心地よく思い知らされました。8曲目のEverything Happens to Me や4曲目のI Should Care などの美しいメロディとパウエルの魅惑的なアドリブを耳にしますと涙が出てくるように昔の感激が蘇ってくるのです。おお~ありがとう、といった感謝にも似た感情がしみじみと湧き上がってくるのでした。

 レコードのA面1~8が47年録音の初リーダーセッション、B面9~16が53年の録音です。精神状態がいずれも良かったとのことで、本来の天才的なひらめきやソロ・イディオムの構築感を堪能することができます。今、こうして聴いていますと、47年録音は勿論文句なしの名演なのですが、53年の録音の方もその深い音楽性が感じられて妙に納得させられるのです。

 いずれも曲頭が詩的に始まりますね。それに、例えば、12曲目You'd Be So Nice to Come Home Toや14曲目My Devotionでの後のエヴァンスを感じさせるような斬新な解釈、15曲目 Stella by Starlightでの左手の達観したようなコード、16曲目のWoody 'N Youなどでの説得力のあるフレージング、などなど芸術と呼ぶに相応しいような工夫が随所に施されているのですよ。勿論、10曲目Burt Covers Budや11曲目My Heart Stood Stillでの典型的なパウエル調の長くてキュートなソロは大のお気に入りです。

1. I'll Remember April
2. (Back Home Again In) Indiana
3. Somebody Loves Me
4. I Should Care
5. Bud's Bubble
6. Off Minor
7. Nice Work If You Can Get It
8. Everything Happens to Me
9. Embraceable You
10. Burt Covers Bud
11. My Heart Stood Still
12. You'd Be So Nice to Come Home To
13. Bag's Groove
14. My Devotion
15. Stella by Starlight
16. Woody 'N You

iTunes Music Store では試聴可能です。→Bud Powell - Bud Powell Bud Powell/バド・パウエルの芸術

詳しくはアマゾンでどうぞ。→  Bud Powell / Bud Powell

バド・パウエルの過去のエントリー。→『アメイジング・バド・パウエルVol.2
                     →『バド・パウエル・イン・パリ


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