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ソニー・ロリンズ/サキソフォン・コロッサス

JAZZ Sax 3

2008年10月04日

ソニー・ロリンズ/サキソフォン・コロッサス Sonny Rollins / Saxophone Colossus

 今日はソニー・ロリンズの名盤『サキソフォン・コロッサス』です。ロリンズの豪放でブルージーなテナーにこってりと浸かること、それは私にとってジャズ的恍惚感にいざなう最高の良薬。パーソネルは、ソニー・ロリンズ(ts)、トミー・フラナガン(p)、ダグ・ワトキンズ(b)、マックス・ローチ(ds)。1956年6月NY録音。Prestige。

 50年代後半のソニー・ロリンズのテナーサックスはモダン・ジャズの典型と言えるでしょう。この時期のロリンズは多くの録音を残していますが、本作はそれらの中でも定評ある名盤中の名盤ですね。個人的にも『ビレッジバンガードの夜』や『ウェイ・アウト・ウエスト』らのピアノレス演奏と同等の位置を占めます。

 この『サキソフォン・コロッサス』の魅力は、やはりロリンズの圧倒的なインプロビゼーションの素晴らしさにありまして、ブルース調の早めのテンポの曲を男らしく縦横に吹き切る、その気風のよさとソロ演奏のかっこよさですね。

 例えば、5曲目 Blue Seven でのベース次いでドラムとによる長いイントロの後に満を持して出てくるロリンズの渋いテーマ提示とそれに次ぐリズムに乗った圧巻のアドリブ・ソロには素晴らしいジャズのみが有する品格が端的に示されているように思います。何てイカした音楽でしょう。バッキングのトミー・フラナガンのピアノがまた背後で微妙な陰翳を刻んでいます。

 2曲目 You Don't Know What Love Is ではいきなりロリンズのテナーからスタートしてテーマ紹介後に聞かれるソロは起伏に富んだ何と凄みのあるテナーでしょう。その後のフラナガンのソロは対照的に優しく美しいものです。

 ドラムはマックス・ローチですが、この時期のロリンズはエルヴィン・ジョーンズやシェリー・マンなどいろいろな名手と共演していまして、ロリンズ名義のアルバムにおいてはその全体の特徴に彼らドラマーの個性がある程度反映しているように思えます。本作の印象は私にとって硬派で精密な感じとなりますが、それはまさにローチのドラミングの性質のように思われるのです。

 とにかくサムライのような潔さを感じるアルバムです。無駄をいっさい除いて直球の真剣勝負のみ。ロリンズの自信が全体を覆いつくしています。自分こそテナーの第一人者であり、最高のジャズを提供できると。

 50年代後半のハード・バップがモダン・ジャズの最も実り多い時代だと私は思っていますが、ロリンズを代表とする10人程度のジャズ・ジャイアンツが優れた録音を残すことでジャズの歴史を刻みました。本作はそうした秀逸な一枚に違いありません。

 数年して60年代に入ると回りの状況も一変し、ロリンズ自身の音楽も変わってゆかざるを得なかったというのですから、時代の流れに逆らえないとはいいながらちょっとかわいそうな気がします。

1 St. Thomas
2 You Don't Know What Love Is
3 Strode Rode
4 Moritat
5 Blue Seven

Sonny Rollins (ts), Tommy Flanagan (p), Doug Watkins (b), Max Roach (ds). Recorded on Jun 22 1956.

iTunes Music Store では試聴可能です。→Sonny Rollins - Saxophone Colossus (Rudy Van Gelder Remaster) - St. Thomas

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Sonny Rollins / Saxophone Colossus

関連エントリはこちら。
 →ソニー・ロリンズ/ヴィレッジバンガードの夜(1957)
 →ソニー・ロリンズ/ウエイ・アウト・ウエスト(1957)
 → ソニー・ロリンズ/ソニー・ロリンズVol.2(1957)
 →ソニー・ロリンズ/テナー・マッドネス(1956)

投稿者 Jazz Blogger T : 17:14 | トラックバック

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