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アート・ペッパー/ジ・アート・オブ・ペッパー
JAZZ Sax 3
2009年04月21日
今日はアート・ペッパーの傑作です。いつでもどこでも聞けるようぜひ座右に置いておきたい1枚。可憐な歌もの佳曲での絶好調ペッパー節がジャズの魅力を如実に伝えてくれます。パーソネルは、アート・ペッパー(as)、カール・パーキンス(p)、ベン・タッカー(b)、チャック・フローレス(ds)。1957年4月1日LA録音。Omegatape。
アート・ペッパーの作品は本ブログですでに5作品についてご紹介していますが、その絶頂期の典型的な演奏に聞かれる陰影に富んだ麗しいフレージングと品格あるブルース・フィーリングなどはまさに天才的と言えるものですし、いつ聞いても痛く感激させられるのです。本作はペッパーが得意とするミディアム・テンポやラテン味の愛すべき歌曲が並んでいまして、ペッパーのアルト・サックスの妙技を構えることなく寛ろいで楽しむにはもってこいの素敵な内容です。ピアノのカール・パーキンスもきりりとメリハリある好サポート。そのピアノの音色が適当に重くてバランスのいいのも高評価に寄与しています。
やっぱりアート・ペッパーっていいですね、と久しぶりにじっくり聴き入りますと心がじんわり溶けて心底にそう思えるのです。露骨な甘っちょろい主題メロディもペッパーの自在なアルトにかかりますと、決して俗に流れずに香り高い芳香となって訴えかけてくるのですね。まるで魔法のようです。それにしましても56年後半から57年前半にかけて地元米西海岸の小レーベルに次々に吹きこまれたアルバム群を眺めてみますと、どれもこれも名品ばかりなのには驚かされます。
①The Return of Art Pepper (Jazz West) 1956.8.
②Marty Paich Quartet Featuaring Art Pepper (Tampa) 1956.8~9.
③Playboys/Chet Baker & Art pepper 1956.10.
④Art Pepper Quartet (Tampa) 1956.11.
⑤Modern Art (Intro) 1956.12~57.1.
⑥Art Pepper Meets the Rythm Section (Contemporary) 1957.1.
⑦The Art of Pepper (Omegatape) 1957.4.
この時期のペッパーは、麻薬が原因の2年間の服役から復活した時期に当り、それまでの不遇をぬぐい去るような快演を繰り広げています。特に本作は力みがないというか、実に抜けがよくてしかも切れ味抜群の演奏になっていまして、何気なく聞くにはもってこいのお気軽で明朗なジャズに仕上がっています。スローなバラッドよりも快調なミディアムからアップ・テンポの演奏に魅力があります。有名過ぎる⑥ミーツ・ザ・リズム・セクションや⑤モダン・アートのアート・ペッパーがちょっと「よそ行き」のペッパーだとすれば、こちら⑦本作はずっと身近なアルト吹きの兄さん的雰囲気ですよ。
付言すれば、カール・パーキンスのピアノが小気味よくスインギーで実にいい味わいであることです。幼い頃に左手が不自由になって左はコードしか弾けないにもかかわらず、その独特の奏法から生み出される演奏にはジャズ・テイストが横溢しています。リーダー作の「イントロデューシング」やサイドメンとしては本作以外にもクリフォード・ブラウン&マックス・ローチ・クインテットの『イン・コンサート』があります。惜しくも自動車事故で29才で夭逝。
全12曲。7曲目 Summertime や11曲目 Breeze and I らのべたっとした曲調ながらその美味を味わい尽くす処理具合、9曲目 Body and Soul での哀感の中に力ある生命力を感じさせる豊かな表現などは素晴らしい。また、例えば、5曲目 I Can't Believe That You're in Love With Me や10曲目 Without a Song での主題の紹介やその後の展開部分に耳を傾けますと、その底知れぬ表現力の深味に恐れ入ります。麗しい音色で媚態を誇示するような吸引力。アニダ・オデイが何気なく歌いながらテクニックと色香発散を周到に計算駆使しているような具合です。
1. Holiday Flight
2. Too Close for Comfort
3. Long Ago (And Far Away)
4. Begin the Beguine
5. I Can't Believe That You're in Love With Me
6. Webb City
7. Summertime
8. Fascinating Rhythm
9. Body and Soul
10. Without a Song
11. Breeze and I
12. Surf Ride
Art Pepper(as), Carl Perkins(p), Ben Tucker(b), Chuck Flores(ds). Recorded in LA, on April 1, !957.
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Art Pepper/The Art of Pepper
関連エントリはこちら。
→アート・ペッパー/モダン・アート
→アート・ペッパー/ザ・リターン・オブ・アート・ペッパー
→アート・ペッパー/ジ・アート・ペッパー・カルテット
→アート・ペッパー/ミーツ・ザ・リズム・セクション
→アート・ペッパー/ゲッティン・トゥゲザー
→カール・パーキンス/イントロデューシング
投稿者 Jazz Blogger T : 20:13 | トラックバック
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