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チャールズ・ロイド/オール・マイ・リレイションズ
JAZZ Sax 2
2005年10月24日
Chrales Lloyd / All My Relations
今日はチャールズ・ロイドのECM盤から素敵な1枚をご紹介しましょう。スエーデンを代表する耽美派ピアニスト、ボボ・ステンソンのピアノ伴奏が光る美しいアルバム。パーソネルは、チャールズ・ロイド(ts,fl)、ボボ・ステンソン(p)、アンダース・ジョーミン(b)、ビリー・ハート(ds)。1994年オスロ録音。ECM Records。
ECMとチャールズ・ロイドという意外な組み合わせには通常最初は違和感を持ちますね。ヤン・ガルバレクなら聞く前からだいたい想像がついて抵抗ないのですが、ロイドの粘着質のテナーとボボ・ステンソンに代表される独特の耽美的ECMサウンドがどんな音空間を形作るのか実際に聞くまでは予断を許さないという感じです。
まずもって2曲目Little Peace でのフルート演奏に耳を傾けますと清澄な世界が映し出されていて少し驚かされます。そのクールでブルージーな感覚が素晴らしい。乾いたフルートの音とステンソンの醒めたピアノの織り成す抽象的な音宇宙が均整のとれた調和を生んでいることに予想が良い方向に外れたことを感じさせられます。
そして、5曲目のEvanstide, Where Lotus Bloomの美しいステンソンのピアノ演奏と途中から満を持して出てくるロイドのテナーが素晴らしい空間を形作っています。特に、ステンソンのピアノの素敵なことといったら、私の朴訥な言葉ではうまく表現できないほどです。ジャズ・スピリットに裏打ちされたしっかりとしたグルーヴ感を伴った耽美的なピアノとでもいえましょうか。やはりボボ・ステンソンは最高という思いが湧き上がってきます。音楽美に打ちひしがれるとはこういう体験を言うに違いありません。チャールズ・ロイドの豪放なテナーがまた一段とたくましく感じられると同時にそこには切ない孤独の影が亡霊のように付きまとっているのです。この演奏のためだけにでも本アルバムを購入した甲斐があるというものです。
1. Piercing The Veil
2. Little Peace
3. Thelonious Theonlyus
4. Cape To Cairo Suite (Hommage To Mandela)
5. Evanstide, Where Lotus Bloom
6. All My Relations
7. Hymne To The Mother
8. Milarepa
Charles Lloyd (saxophone, flute, Chinese oboe); Bobo Stenson (piano); Anders Jormin (acoustic bass); Billy Hart (drums). Recorded at Rainbow Studio, Oslo, Norway in July 1994. Includes liner notes by Charles Lloyd.
JR.comでは試聴可能です。
→Chrales Lloyd / All My Relations
詳しくはアマゾンでどうぞ。
→ Chrales Lloyd / All My Relations
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:20
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レイ・ブライアント/レイ・ブライアント・トリオ
JAZZ Piano 3
2005年10月22日
Ray Bryant / Ray Bryant Trio
今日はレイ・ブライアントの代表作『レイ・ブライアント・トリオ』を聞いています。とても渋いピアノですね。小気味良くスイングするタッチセンスが実に素晴らしい。左手が右手同様に均等に活躍するちょっと古めかしいスタイルではあります。パーソネルは、レイ・ブライアント(p)、アイク・アイザックス(b)、スペーシス・ライト(ds)。1957年録音。Prestige。
レイ・ブライアントのピアノってかっこいいんですよね。以前にご紹介した『レイ・ブライアント・プレイズ』でもそのイカしたピアノを存分に堪能することができます。やはりミディアム・テンポのブルージーな曲で聞かれるレイ・ブライアントならではのドライブ感とグルーヴ感といいますのは実に心地よい具合なのですね。
そのノリは西海岸のハンプトン・ホーズに近いものが感じられます。リズムの上を少し溜めながら軽々と跳ね回るスタイル、それに実に小気味よい右手の巧みなフレージングとほどよいグルーヴ感など、これらはまさに職人芸と呼べるものです。私はこの種のピアノって大好きなのですね。何気なくジャズ的雰囲気に浸りたいときなどに聞くにはもってこいの高級でいながらお茶の間感覚のピアノ・ジャズなのであります。
全8曲。後半の4曲が特に私のお好みになっています。7曲目Daahoudや8曲目Sonarでのドライブ感ある演奏には完全に脱帽ものです。何て心地よいピアノ・ジャズなのでしょうか。ほんと素晴らしいセンスですね。ほとんどレイ・ブライアントのピアノ・ソロのみで1曲3分とか4分が占められていまして、流石にその圧倒的な歌い回しぶりには参ってしまいますよね。カッコよいんです。
アルバム・ジャケットもいい感じで私は好きです。いかにもジャズマンという感じで、くわえタバコの似合うブライアントなのですね。
1. Golden Earrings
2. Angel Eyes
3. Blues Changes
4. Splittin'
5. Django
6. The Thrill Is Gone
7. Daahoud
8. Sonar
Ray Bryant (piano); Ike Isaacs (bass); Specs Wright (drums). Recorded at the Van Gelder Studio, Hackensack, New Jersey on April 5, 1957. Includes liner notes by Ira Gitler. Prestige.
JR.comでは試聴可能です。→Ray Bryant Trio
詳しくはアマゾンでどうぞ。→
Ray Bryant / Ray Bryant Trio
関連エントリーはこちら。
→レイ・ブライアント・プレイズ
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:32
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リニー・ロスネス/アズ・ウイ・アー・ナウ
JAZZ Piano 3
2005年10月20日
Renee Rosnes / As We Are Now
今日は最近私のお好みの女流ピアニスト、リニー・ロスネスの登場ですね。本作の"As We Are Now"はサックスを加えた97年録音のカルテット演奏です。清冽で瑞々しいピアノ・ジャズが広がりのある音宇宙を形作っています。パーソネルは、リニー・ロスネス(p)、クリス・ポッター(ts,ss)、クリスチャン・マックブライド(b)、ジャック・デジョネット(ds)。1997年NY録音。
リニー・ロスネスは1962年生れということですからすでに40代のベテランなのですね。本作の録音時も30代半ばということになります。結構に遅咲きの苦労人なのかもと少し共感めいたものを感じるのでした。本作のロスネスには耳障りのよい単なる美的音楽とは程遠い真摯な音楽家としての本領が発揮されているように思います。ロスネスの原点みたいなものが聞こえるような気がしてとても好感の持てるアルバムなのです。薄っぺらな大衆性はほとんど無くて、私好みの哲学的で知的な雰囲気があって結構に嵌ってしまう類の音楽なのですね。
例えば、7曲目のアルバム名にもなっているロスネスのトリオ演奏に耳を傾けてみますと、そこにはナチュラルに紡ぎ出されてゆくインプロヴィゼーションの深遠な桃源の世界が奥深く広がっていることがわかります。ビル・エヴァンスやキース・ジャレットと同質の極めて内省的で個人的な世界であり、ピアノという楽器で透明な精神性を表現できる数少ないピアニストの一人だと思われます。それは3曲目のAbstraction Blueでも同様に聞くことができます。
白眉は恐らく9曲目のPee Weeでしょう。そこにはハービー・ハンコックの淡麗な美学に通じるものが感じられます。ハンコックに比べてずっとピアニスティックで明らかに深い情念が宿っていまして、特徴とも言える粘着質の響きには心を揺り動かされます。
1. Black Holes
2. The Land Of Five Rivers
3. Abstraction Blue (For Georgia O'Keeffe)
4. Mizmahta
5. Non-Fiction
6. Bulldog's Chicken Run
7. As We Are Now
8. Absinthe
9. Pee Wee
Renee Rosnes(p), Chris Potter(ts,ss), Christian McBride(b), Jack Dejohnette(ds).
amazon.comでは試聴可能です。
→Renee Rosnes / As We Are Now
関連エントリーはこちら。
→リニー・ロスネス『レター・トゥ・ビル・エヴァンス』
→リニー・ロスネス『星に願いを』
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:33
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ウィントン・ケリー/フル・ヴュー
JAZZ Piano 3
2005年10月15日
Wynton Kelly / Full View
今日はウィントン・ケリー晩年のピアノ・トリオの名作『フル・ヴュー』。少し枯れ気味のグルーヴィーなセンスが渋い芳香を放つモダン・ジャズ・ピアノを代表する素敵な一枚です。メインストリーム・ジャズが転換点を迎える60年代半ばの録音で、ケリーの全盛時とはまた違った深い味わいのある内容。パーソネルは、ウィントン・ケリー(p)、ロン・マックルーア(b)、ジミー・コブ(ds)。1966年録音。Fantasy.
本当に何て素晴らしいジャズなのでしょう。ここ数日じっくりと聞いてきましてそうした思いを再確認しています。本作は愛着のあるピアノ・トリオ・アルバムです。特に、3曲目ミディアム・スローのWhat A Difference A Day Madeに耳を傾けるたびにジャズの力強い魅力を実感させてもらっています。このしっとりしたブルーヴ感こそまさに私がジャズに求める醍醐味に他なりません。後半少しアップテンポになってからのケリーの見事なソロ・インプロヴィゼーションにはモダン・ジャズ・ピアノの最高のアドリブと絶賛したくなるような品格を嗅ぎ取ることができますね。
転がって跳ね上げるような高音側のクセが幾分希薄になってはいますが、その絶妙なハーモニー・センスとその右手の心地よい転がり具合、それにいぶし銀のブルージーなフィーリングには完全に脱帽です。若さが少しそぎ落とされて落ち着きのあるケリーの本質がひっそりと確実に露になっている、そんな印象になります。
急激に変遷してゆく時代の流れへの諦観と執着を感じさせる内容です。私は健在ですし私の奏するジャズこそ真の本物ですと、かつての名ピアニストは自信とともに哀愁をこめて主張しているに違いないと思われるのです。1971年39才の若さでこの世を去ることになる名手ウィントン・ケリーの気持ちがそこはかとなく伝わってくる名品です。60年前後マイルス・グループでモダン・ジャズ・ピアノ最高のパーフォーマンスを示したケリーが、50年代全盛期を迎えた多くのモダンジャズメンと同様に60年代後半に時代に逆らえずに一気に下り坂を下っていったのですね。最後に残した一輪の可憐な美しい名花と言えるのが本作に当るのでしょう。
1. I Want A Little Girl
2. I Thought
3. What A Difference A Day Made
4. Autumn Leaves
5. Dontcha Hear Me Callin' To Ya
6. On A Clear Day (You Can See Forever)
7. Scufflin'
8. Born To Be Blue
9. Walk On By
Wynton Kelly (piano); Ron McClure (bass); Jimmy Cobb (drums). Recorded in September 1966.
JR.comでは試聴可能です。→Wynton Kelly/Full View
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Wynton Kelly / Full View
関連エントリはこちら。
→ウィントン・ケリー『ケリー・アット・ミッドナイト』
→ウィントン・ケリー『ケリー・グレイト』
→ウィントン・ケリー『ケリー・ブルー』
→ウィントン・ケリー『ウィスパー・ノット』
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投稿者 Jazz Blogger T : 09:34
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カーメン・マクレエ/アフター・グロウ
JAZZ Vocal 2
2005年10月11日
Carmen McRae / After Glow
今日はカーメン・マクレエの代表作の一枚『アフター・グロウ』です。レイ・ブライアント・トリオをバックに持ち味のしっとりした情感のこもった歌声が聞かれます。50年代Deccaに残されたマクレエの歌には心深く響くものがありますが、ようやくそうした味わいが少しは理解できるようになってきた自分がうれしくもあります。パーソネルは、カーメン・マクレエ(vo,p)、レイ・ブライアント(p)、アイク・アイザックス(b)、スペックス・ライト(ds)。1957年NY録音。DECCA。
Decca時代のマクレエの録音にはいいものと悪いものとの差が大きい気がしますが、本作は幾分ナチュラルな音質でマクレエの声質が正直過ぎてそこが少し残念なところです。内容的には申し分のないものだけに、もうちょっとだけリバーブなりを利かすだけでもがらりと変わった深い世界が醸し出されるのにとほんと惜しまれます。
例えば、9曲目All My Lifeに聞かれる丁寧な歌い回しには完全にまいってしまいますね。シンプルなピアノをバックにしたマクレエの歌声には聞くものを引き込む何かがあります。それは、4曲目 Little Things That Mean So Muchや11曲目 Dream Of Lifeでも同様な印象がありまして、繰り返し聞くほどに味わいが深まってくるのがわかります。これらこそ微妙な違いに敏感に反応することのできる大人のための音楽なのではないでしょうか。
8曲目Exactly Like Youや最後の12曲目Perdidoが流れてきますとそこにはまさにジャズの洒落た小粋な密閉世界が広がっていまして、その愛すべきジャズの小空間に感謝の念に似た感情が沸いてくるのですね。カーメン・マクレエの歌はすぐにそれとわかる個性的なものですが、聞くものをその音楽に没頭させる魅力と吸引力があるように思われます。これからもずっと長く愛聴してゆくことになるのだろうなといった予感を感じさせるマクレエの歌声です。
1. I Can't Escape From You
2. Guess Who I Saw Today
3. My Funny Valentine
4. Little Things That Mean So Much
5. I'm Thru With Love
6. Nice Work If You Can Get It
7. East Of The Sun (West Of The Moon)
8. Exactly Like You
9. All My Life
10. Between The Devil And The Deep Blue Sea
11. Dream Of Life
12. Perdido
Ray Bryant(p), Ike Isaacs(b), Specs Wright(ds). Recorded in 1957.
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Carmen McRae / After Glow
カーメン・マクレエの関連エントリはこちら。
→カーメン・マクレエ『ブック・オブ・バラッズ』
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:32
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大前研一/日本の真実
_books (business&life)
2005年10月09日
日本の真実/大前研一(著) 小学館 (2004/06/28)
大前研一氏の著作にはいつもながらすがすがしいものを感じます。国家権力と真正面で対峙するその真摯な姿勢にある種の潔さを感じます。類まれな戦略思考の体現者であるご自身の頭で考え抜かれた深い洞察が自信を持って主張されているのです。その姿勢には子供じみた反権力の思想は微塵もなく、真に日本を憂える大人(タイジン)の風格が感じられます。
毎年のように上梓されている氏の著作には政治、経済、ITなどなど国および国民が本当は真剣に考えるべき事柄について、現状の問題点や来るべき未来について、とてもわかりやすく論述されていますので、私は氏の新たな視点や興味をいつもとても楽しみにしています。世の中の諸事が氏にかかるといとも簡単にその矛盾が露呈してしまいますね。
真の信頼されるべき知識人とは氏のように周りのしがらみをもろともせずに常に独自の合理的な視点を貫くことにあるのでしょう。世の中が見通せて論陣を張れる氏のような存在は為政者ではなく、中立的な立場で苦言や箴言を主張することを本意として余りあるほどに世に貢献できることこそまともな世の中のはずなのです。もしその核心が省みられないとすれば世の中が本当におかしくなっていることの証左となるのでしょう。
本作はかなり踏み込んだ一冊だと思います。氏のスタンスがよく理解できますし、氏の憂いもまた痛く共感できるものです。かしこい一市井人としてこの混迷の世をいかに生き抜くか、という中年世代の命題をつくづく考えさせられます。
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投稿者 Jazz Blogger T : 18:15
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ジョン・コルトレーン/マイ・フェイバリット・シングス
JAZZ Sax 2
2005年10月08日
John Coltrane / My Favorite Thing
今日はジョン・コルトレーンの『マイ・フェイバリット・シングス』ですね。アトランティック時代のコルトレーンの音楽にはとても惹かれます。特にリズムが斬新です。本作はその典型的なもの。パーソネルは、ジョン・コルトレーン(ss,ts)、マッコイ・タイナー(p)、スティーヴ・デイヴィス(b)、エルヴィン・ジョーンズ(ds)。1960年録音。Atlantic。
アトランティック時代のコルトレーンは50年代末~60年代初の数年ですが、従来のハードバップからコルトレーン独自のシーツ・オブ・サウンドと呼ばれるモード手法のスタイルが確立された重要な時期に当ります。音楽自体も斬新でスリルに満ちた面白みのあるジャズの一世界を形作っていると言えましょう。私にとりましても機会ある毎に耳を傾ける愛着のある音楽です。ただ凡庸なジャケットのデザインだけは許しがたいものがありますが。
『ジャイアント・ステップス』(1958.3)
『コルトレーン・ジャズ』(1959.11)
『マイ・フェイヴァリット・シングス』(1960.10)
『アフリカ・ブラス』(1961.3)
『オレ!コルトレーン』(1961.3)
こうして列挙してみますと、コルトレーンの独特の体臭が発散されてくるのがわかります。努力の末に早吹きの超テクを身に着けて、その先に見つけたものはアフリカやインドなどへの回帰路線でありました。そして、そこには付随する新鮮なリズムの発展形が認められます。ベースやドラムに聞かれる従来にはない興味深い複雑性はコルトレーン音楽を際立った個性に仕立て上げる思わぬ副産物であったに違いありません。特に、スティーブ・デイヴィス、レジー・ワークマン、ジミー・ギャリソンらに受け継がれてゆくベースによる土着的な新しい響きにはコルトレーン音楽の哲学的な側面を顕在化させる一助になったと思われるものが感じられるのです。
それに、そのリズムの複雑性を確実に魅力的な音楽的なものとするのがエルヴィン・ジョーンズのドラムの卓越性にあります。ポリリズムと呼ばれるドラミングにはコルトレーンのサックスと対等に渡り合える華があります。表題曲のリズムに耳を傾けてみてください。「サウンド・オブ・ミュージック」の素敵な歌曲には到底似つかわしいとは思えないアフリカというか土の香りのする重いリズムなのですね。ベースとドラムとで形成するそのリズムにはよく聞けば聞くほどに不可思議な雰囲気がかもし出されていることに感心させられます。その上をコルトレーンのソプラノ・サックスが美しいメロディを分解しながら凄まじいソロを披露してゆきますが、その組み合わせの妙といいますか、そこには純然たる独自のコルトレーン音楽の存在を感じずにはおれません。
さらに、個人的な好みを加えさせていただけるなら、マッコイ・タイナーのピアノが私にとってはその美意識に共鳴することができるものであるということです。コルトレーンかマッコイかのいずれかが大抵の場合にソロを執っているのですが、たくさん出てくるマッコイのソロも実に魅力的だということです。例えば、1曲目の後半に聞かれるマッコイの長いソロなどは不思議な魅力のあるリズムを背景にしたとても興味ある新しい響きのピアノ・トリオ演奏になっています。本当に素敵な印象です。さらに、2曲目の可憐なマッコイ・タイナーのピアノには参ってしまいます。快調なリズムの上をひた走る右手のピアニズムに私はマッコイの好ましい美学を感じ取ることができます。
1. My Favorite Things
2. Everytime We Say Goodbye
3. Summertime
4. But Not For Me
John Coltrane (soprano & tenor saxophones); McCoy Tyner (piano); Steve Davis (bass); Elvin Jones (drums). Recorded at Atlantic Studios, New York, New York on October 21, 24 & 26, 1960.
iTunes Music Store では試聴可能です。→
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ John Coltrane / My Favorite Thing
関連エントリーはこちら。
→ セロニアス・モンク/ウィズ・ジョン・コルトレーン(1957)
→ ジョン・コルトレーン/ブルー・トレーン(1957)
→ ジョン・コルトレーン/ソウル・トレーン(1958)
→ ジョン・コルトレーン/ジャイアント・ステップス(1959)
→ ジョン・コルトレーン/プレイズ・ブルース(1960)
→ ジョン・コルトレーン/オレ・コルトレーン(1961)
→ ジョン・コルトレーン/インプレッションズ(1961)
→ ジョン・コルトレーン/ライブ・アット・ザ・ビレッジ・ヴァンガード(1961)
→ ジョン・コルトレーン/コルトレーン(1962)
→ ジョン・コルトレーン/ジョン・コルトレーンとジョニー・ハートマン(1963)
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:21
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マイルス・デイヴィス/ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン
JAZZ Trumpet
2005年10月07日
Miles Davis/The Man With The Horn
今日はマイルス・デイヴィスの『ザ・マン・ウィズ・ザ・ホーン』です。6年のブランクを経た1981年復帰第一作のエネルギーに満ちたポップな内容のアルバムです。ほぼリアルタイムの同時代音楽として受け止めてきた私としては今だによく聴く大好きなアルバムです。パーソネルは、マイルス・デイヴィス(tp)、ビル・エヴァンス(ss)、ランディ・ホール(vo)、ロバート・アーヴィング(p)、マイク・スターン、バリー・フィナーティ(g)、マーカス・ミラー、フェルトン・クルーズ(b)、アル・フォスター、ヴィンセント・ウィルバーン(ds)、サミー・フィグエロア(perc)。1981年録音。
マイルス・デイヴィスの時代の先端を走ることへの執着とその結果としての先見性といいますのは尋常なものではありますまい。40年代後半にチャーリー・パーカーのクインテットに参加することで桧舞台に立つ機会を得たマイルスにとって、パーカーの先駆性とそれへの絶大なる賞賛を身近に脇役として接すること、そうした刷り込み体験によって時代の先頭を行くことが宿命づけられたに違いないと思うわけです。
Cool(カッコいい)へのこだわりには才能というより、そうした生き様が反映されているような気がしてなりません。そんなに器用なわけでなく凡庸なトランペット奏者でスタートしたマイルスがいかにしてcoolなジャズマンとしての賞賛を勝ち得るかという一点に集約されていると。確かに演奏家としてでなく音楽家としては天性の才があったに違いないと思います。ただ、そこには、常に先端を走ることへのこだわり、下手なりにもトランペットをかっこよく響かせるバランス感覚、最高の若手サイドメンを集めてとにかくカッコよいジャズを創るといったプロデューサーとしての才など、通常のジャズメンとは全く異なった評価軸を当てはめる必要があります。
しかも、大衆性と革新性の両立という普通にはなかなか受け入れられないスタンスをいとも簡単に成し遂げているということ、このバランス感覚は音楽家としての才能が際立っていることを明示していると思われます。一演奏者としてでなく、真の創造者(クリエイター)としての才が桁外れということでありましょう。50~80年代ジャズ芸術について、常に変遷してゆくことを宿命として予言して、その体現者としてそれを証明し続けてきた芸術家、それがマイルス・デイヴィスです。常にフロンティアを開拓すること、それこそ最大の賛辞を与えられるべきであり、マイルスは大衆性を味方につけながらそれを成し得た稀代の芸術家と呼べるに違いありません。
前置きが長くなりましたが、マイルスは50年代、60年代と常に時代の先端をひたすら走り続けてきまして、80年代初頭においてもそうした期待を本作によって裏切ることはなかったということです。本作に聞かれる際どいながらも十分に許せるcoolな音に耳を傾けますと、マイルスの本質を少しは感じ取れるような気になるというものです。マイク・スターンのアブストラクトなギターやビル・エヴァンスのソプラノ・サックスの麗しいながらも過激な音、その手本を示すようなマイルスの気合のこもったトランペットの雄叫び、そしてそれらを支える強靭なリズムと魅力的なメロディが交錯する広大な音宇宙、ここには底知れぬ魔界が広がっているかのようでです。
1. Fat Time
2. Back Seat Betty
3. Shout
4. Aida
5. The Man With The Horn
6. Ursula
Miles Davis (trumpet); Randy Hall (vocals, celeste, Moog synthesizer, guitar); Bill Evans (soprano & tenor saxophones); Robert Irving III (piano, keyboards); Mike Stern, Barry Finnerty (guitar); Marcus Miller, Felton Crews (electric bass); Al Foster, Vincent Wilburn (drums); Sammy Figueroa (percussion).
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ソニー・クリス/ディス・イズ・クリス
JAZZ Sax 2
2005年10月05日
Sonny Criss / This Is Criss !
今日はソニー・クリスのワン・ホーン・アルバムをご紹介いたしましょう。そのソニー・クリスの明朗で腕達者なアルトはすでに50年代に開花していましたが本作での渋くて円熟味の増した演奏ぶりにはモダン・ジャズの最高の楽しみを如実に伝えてくれる説得力があります。パーソネルは、ソニー・クリス(as)、ウォルター・デイヴィスJr(p)、ポール・チェンバース(b)、アラン・ドーソン(ds)。1966年NJ録音。Prestige。
ソニー・クリスはそれほど著名とは言えない黒人アルト奏者ですが、その明るいフレージングと圧倒的な技術には50~60年代ソニー・スティットやキャノンボール・アダレイらと並ぶ最高の逸材を予感させるものがあります。ブルージーながらもスティット同様少し根アカ系の吹奏のために湿っぽさを好む日本のファンからはあまり省みられることが多くないジャズマンと言えるかもしれません。
ただし、本作はまさに直球アルト・ワン・ホーンの典型的見本のような上出来の内容ですので、サックス好きに限らずより多くのジャズ・ファンに味わっていただきたいお勧めのアルバムということになります。確かに、好き嫌いの別れる類でしょうし、上手すぎて味がないとか、陰翳感が足りないとか、いろいろなご批判もあろうかと思います。しかしながら、そのアルト1本でめくるめく官能的なソロを延々と続けるさまには、ジャズ本来の醍醐味といいますか、ジャズ・インプロヴィゼーションの面白みを直に感じ取れるのではないかと思われるのです。
1. Black Coffee
2. Days Of Wine And Roses
3. When Sunny Gets Blue
4. Greasy
5. Sunrise, Sunset
6. Steve's Blues
7. Skylark
8. Love For Sale - (bonus track)
Sonny Criss (alto saxophone); Walter Davis Jr.(piano); Paul Chambers (bass); Alan Dawson (drums). Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey on October 21, 1966. Originally released on Prestige (7511).
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:22
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キャノンボール・アダレイ/キャノンボールズ・ボサ・ノヴァ
JAZZ Sax 2
2005年10月04日
Cannonball Aderley / Cannonball's Bossa Nova
今日はキャノンボール・アダレイのボサノヴァの名盤をご紹介しましょう。『キャノンボールズ・ボッサ・ノヴァ』は本当に素晴らしいアルバムです。私にとってはあのスタン・ゲッツ、ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンらによる歴史的名作『ゲッツ・ジルベルト』に匹敵する内容と思われます。ボサノヴァを超一流のジャズマンの演奏で聞きますとこれはもう間違いなくこの世の究極の音楽となりますね。キャノボールやゲッツはその意味では最適な人材に違いありません。パーソネルは、キャノボール・アダレイ(as)、セルジオ・メンデス(p)他。1962年NY録音。Riverside Records。
キャノンボール・アダレイのアルト・プレイには安心して身を委ねられる円熟の至芸がありますね。こうしたボサ・ノヴァの名曲と最高の雰囲気のアレンジの下ではそうした特性が最大限に生かされると思われます。癒し系の音楽としてこれほど高級なものは他にないに違いないと私は自信を持って主張することができることでしょう。
例えば、3曲目の「コルコヴァド」に耳を傾けてみましょう。その素敵なアルトの響きと美しい主旋律にまず心を奪われますね。そして次第にキャノンボールのアルトが複雑なメロディをいとも簡単そうに醸し出し始めますとそこには広大な桃源郷の世界がひそやかに拡がってくるのです。深くて広くて豊かな世界観が心の深奥にじわりじわりと染み渡ってくるという感じですね。アダレイさん、本当にありがとう、と感謝に似た感情の高ぶりが心の中に満ち溢れてくるのが分かります。
ちょっと下世話な話ですが、私はこのアルバムが心底大好きで高く買っていますので、アマゾンに記された本アルバムについてのカスタマー・レビューのアダレイに対する低評価に対して本当に不愉快な気分にさせられてしまいます。本作のように素敵なアルバムを始めとしてリーダー作の多くがモダン・ジャズ史上の名作になっているアダレイのことをよくもまあ「もうひとつ冴えない」アルトとか何とか最もらしい批評ができるものかと怒り心頭であります。ジャズを心から愛する人々の気持ちを少しは考えてもらいたいと正直なところ思いますですね。キャノンボール・アダレイといえば50~60年代に当代髄一のアルト吹きと世間一般に広く認められた逸材であります。恐らくその某若無人の批評者は本当にはジャズの素晴らしさを理解していない、半端な人に違いないと私は勝手ながら確信しているのです。
全10曲。俗っぽいと言われれば、はい、すみません、とお応えせざる得ないのかもしれません。が、しかし、そこには、真のジャズマンのみが示しうる美しいジャズ的世界が確かに映し出されているとも言えるに違いありません。キャノンボールには俗に流されるよりもさらにその上を行く上質のセンスと技術が万全に備わっているのだと私は思います。その上、ボサノヴァの心地よい異質な雰囲気に包み込まれてはいますが、その中心部にはしっかりとしたジャズ魂の存在が根深くかつ確実に内在していることが感じられるのです。そのジャズ特有の自律性が魅惑のボサと融合してこそ、音楽の有する最高の境地の一面が発現されていることを感得せずにはいられません。本当に今日もありがとうと、とにかくお伝えしたい君こそ、キャノンボール・アダレイさんですぞよ。
1. Clouds
2. Minha Suadade
3. Corcovado
4. Batida Diferentes
5. Joyce's Sambas
6. Groovy Sambas
7. O Amor Em Paz :: Once I Loved
8. Sambops
9. Corcovado - (alternate take, bonus track)
10. Clouds - (single version, bonus track)
Personnel: Cannonball Adderley, Paulo Moura (alto saxophone); Pedro Paulo (trumpet); Sergio Mendes (piano); Durval Ferreira (guitar); Octavio Bailey, Jr. (bass); Dom Um Romao (drums). Producer: Orrin Keepnews. Reissue producer: Orrin Keepnews, Michael Cuscuna. Recorded at Plaza Sound, New York, New York on December 7, 10 & 11, 1962. Originally released on Riverside (9455).
JR.comでは試聴可能です。→Cannonballl's Bossa Nova
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投稿者 Jazz Blogger T : 21:22
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大雪山
_trekking
2005年10月02日

9月30日(金)は大雪山の一角にある黒岳に登ってきましたので簡単に報告しておきましょう。9月24日(土)から北海道に出張で来ていまして仕事の一段落した30日より2泊3日でプライベイト・タイムを満喫しようという魂胆その第一弾です。今回仕事場となった札幌を朝7時に後にしましてバスで旭川に9時、さらにバスを乗り継いで層雲峡に11時頃に入りました。写真は5合目から見えた頂上が美しい黒岳です。生憎天候は曇りでしたが、色付いた紅葉が鮮やかで、少し肌寒い山歩き日和ではありました。
投稿者 Jazz Blogger T : 20:28
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