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リニー・ロスネス/アズ・ウイ・アー・ナウ

JAZZ Piano 3

2005年10月20日

aswearenow.jpeg Renee Rosnes / As We Are Now

 今日は最近私のお好みの女流ピアニスト、リニー・ロスネスの登場ですね。本作の"As We Are Now"はサックスを加えた97年録音のカルテット演奏です。清冽で瑞々しいピアノ・ジャズが広がりのある音宇宙を形作っています。パーソネルは、リニー・ロスネス(p)、クリス・ポッター(ts,ss)、クリスチャン・マックブライド(b)、ジャック・デジョネット(ds)。1997年NY録音。

 リニー・ロスネスは1962年生れということですからすでに40代のベテランなのですね。本作の録音時も30代半ばということになります。結構に遅咲きの苦労人なのかもと少し共感めいたものを感じるのでした。本作のロスネスには耳障りのよい単なる美的音楽とは程遠い真摯な音楽家としての本領が発揮されているように思います。ロスネスの原点みたいなものが聞こえるような気がしてとても好感の持てるアルバムなのです。薄っぺらな大衆性はほとんど無くて、私好みの哲学的で知的な雰囲気があって結構に嵌ってしまう類の音楽なのですね。

 例えば、7曲目のアルバム名にもなっているロスネスのトリオ演奏に耳を傾けてみますと、そこにはナチュラルに紡ぎ出されてゆくインプロヴィゼーションの深遠な桃源の世界が奥深く広がっていることがわかります。ビル・エヴァンスやキース・ジャレットと同質の極めて内省的で個人的な世界であり、ピアノという楽器で透明な精神性を表現できる数少ないピアニストの一人だと思われます。それは3曲目のAbstraction Blueでも同様に聞くことができます。

 白眉は恐らく9曲目のPee Weeでしょう。そこにはハービー・ハンコックの淡麗な美学に通じるものが感じられます。ハンコックに比べてずっとピアニスティックで明らかに深い情念が宿っていまして、特徴とも言える粘着質の響きには心を揺り動かされます。

1. Black Holes
2. The Land Of Five Rivers
3. Abstraction Blue (For Georgia O'Keeffe)
4. Mizmahta
5. Non-Fiction
6. Bulldog's Chicken Run
7. As We Are Now
8. Absinthe
9. Pee Wee

Renee Rosnes(p), Chris Potter(ts,ss), Christian McBride(b), Jack Dejohnette(ds).

amazon.comでは試聴可能です。
 →Renee Rosnes / As We Are Now

関連エントリーはこちら。
 →リニー・ロスネス『レター・トゥ・ビル・エヴァンス』
 →リニー・ロスネス『星に願いを』

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