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カーメン・マクレエ/アフター・グロウ

JAZZ Vocal 2

2005年10月11日

after_glow.jpeg Carmen McRae / After Glow

 今日はカーメン・マクレエの代表作の一枚『アフター・グロウ』です。レイ・ブライアント・トリオをバックに持ち味のしっとりした情感のこもった歌声が聞かれます。50年代Deccaに残されたマクレエの歌には心深く響くものがありますが、ようやくそうした味わいが少しは理解できるようになってきた自分がうれしくもあります。パーソネルは、カーメン・マクレエ(vo,p)、レイ・ブライアント(p)、アイク・アイザックス(b)、スペックス・ライト(ds)。1957年NY録音。DECCA。

 Decca時代のマクレエの録音にはいいものと悪いものとの差が大きい気がしますが、本作は幾分ナチュラルな音質でマクレエの声質が正直過ぎてそこが少し残念なところです。内容的には申し分のないものだけに、もうちょっとだけリバーブなりを利かすだけでもがらりと変わった深い世界が醸し出されるのにとほんと惜しまれます。

 例えば、9曲目All My Lifeに聞かれる丁寧な歌い回しには完全にまいってしまいますね。シンプルなピアノをバックにしたマクレエの歌声には聞くものを引き込む何かがあります。それは、4曲目 Little Things That Mean So Muchや11曲目 Dream Of Lifeでも同様な印象がありまして、繰り返し聞くほどに味わいが深まってくるのがわかります。これらこそ微妙な違いに敏感に反応することのできる大人のための音楽なのではないでしょうか。

 8曲目Exactly Like Youや最後の12曲目Perdidoが流れてきますとそこにはまさにジャズの洒落た小粋な密閉世界が広がっていまして、その愛すべきジャズの小空間に感謝の念に似た感情が沸いてくるのですね。カーメン・マクレエの歌はすぐにそれとわかる個性的なものですが、聞くものをその音楽に没頭させる魅力と吸引力があるように思われます。これからもずっと長く愛聴してゆくことになるのだろうなといった予感を感じさせるマクレエの歌声です。

1. I Can't Escape From You
2. Guess Who I Saw Today
3. My Funny Valentine
4. Little Things That Mean So Much
5. I'm Thru With Love
6. Nice Work If You Can Get It
7. East Of The Sun (West Of The Moon)
8. Exactly Like You
9. All My Life
10. Between The Devil And The Deep Blue Sea
11. Dream Of Life
12. Perdido

Ray Bryant(p), Ike Isaacs(b), Specs Wright(ds). Recorded in 1957.

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Carmen McRae / After Glow

カーメン・マクレエの関連エントリはこちら。
 →カーメン・マクレエ『ブック・オブ・バラッズ』


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投稿者 Jazz Blogger T : 23:32 | トラックバック

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