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キャノンボール・アダレイ/キャノンボールズ・ボサ・ノヴァ

JAZZ Sax 2

2005年10月04日

cannonballl's bossa.jpeg Cannonball Aderley / Cannonball's Bossa Nova

 今日はキャノンボール・アダレイのボサノヴァの名盤をご紹介しましょう。『キャノンボールズ・ボッサ・ノヴァ』は本当に素晴らしいアルバムです。私にとってはあのスタン・ゲッツ、ジョアン・ジルベルト、アントニオ・カルロス・ジョビンらによる歴史的名作『ゲッツ・ジルベルト』に匹敵する内容と思われます。ボサノヴァを超一流のジャズマンの演奏で聞きますとこれはもう間違いなくこの世の究極の音楽となりますね。キャノボールやゲッツはその意味では最適な人材に違いありません。パーソネルは、キャノボール・アダレイ(as)、セルジオ・メンデス(p)他。1962年NY録音。Riverside Records。

 キャノンボール・アダレイのアルト・プレイには安心して身を委ねられる円熟の至芸がありますね。こうしたボサ・ノヴァの名曲と最高の雰囲気のアレンジの下ではそうした特性が最大限に生かされると思われます。癒し系の音楽としてこれほど高級なものは他にないに違いないと私は自信を持って主張することができることでしょう。

 例えば、3曲目の「コルコヴァド」に耳を傾けてみましょう。その素敵なアルトの響きと美しい主旋律にまず心を奪われますね。そして次第にキャノンボールのアルトが複雑なメロディをいとも簡単そうに醸し出し始めますとそこには広大な桃源郷の世界がひそやかに拡がってくるのです。深くて広くて豊かな世界観が心の深奥にじわりじわりと染み渡ってくるという感じですね。アダレイさん、本当にありがとう、と感謝に似た感情の高ぶりが心の中に満ち溢れてくるのが分かります。

 ちょっと下世話な話ですが、私はこのアルバムが心底大好きで高く買っていますので、アマゾンに記された本アルバムについてのカスタマー・レビューのアダレイに対する低評価に対して本当に不愉快な気分にさせられてしまいます。本作のように素敵なアルバムを始めとしてリーダー作の多くがモダン・ジャズ史上の名作になっているアダレイのことをよくもまあ「もうひとつ冴えない」アルトとか何とか最もらしい批評ができるものかと怒り心頭であります。ジャズを心から愛する人々の気持ちを少しは考えてもらいたいと正直なところ思いますですね。キャノンボール・アダレイといえば50~60年代に当代髄一のアルト吹きと世間一般に広く認められた逸材であります。恐らくその某若無人の批評者は本当にはジャズの素晴らしさを理解していない、半端な人に違いないと私は勝手ながら確信しているのです。

 全10曲。俗っぽいと言われれば、はい、すみません、とお応えせざる得ないのかもしれません。が、しかし、そこには、真のジャズマンのみが示しうる美しいジャズ的世界が確かに映し出されているとも言えるに違いありません。キャノンボールには俗に流されるよりもさらにその上を行く上質のセンスと技術が万全に備わっているのだと私は思います。その上、ボサノヴァの心地よい異質な雰囲気に包み込まれてはいますが、その中心部にはしっかりとしたジャズ魂の存在が根深くかつ確実に内在していることが感じられるのです。そのジャズ特有の自律性が魅惑のボサと融合してこそ、音楽の有する最高の境地の一面が発現されていることを感得せずにはいられません。本当に今日もありがとうと、とにかくお伝えしたい君こそ、キャノンボール・アダレイさんですぞよ。

1. Clouds
2. Minha Suadade
3. Corcovado
4. Batida Diferentes
5. Joyce's Sambas
6. Groovy Sambas
7. O Amor Em Paz :: Once I Loved
8. Sambops
9. Corcovado - (alternate take, bonus track)
10. Clouds - (single version, bonus track)

Personnel: Cannonball Adderley, Paulo Moura (alto saxophone); Pedro Paulo (trumpet); Sergio Mendes (piano); Durval Ferreira (guitar); Octavio Bailey, Jr. (bass); Dom Um Romao (drums). Producer: Orrin Keepnews. Reissue producer: Orrin Keepnews, Michael Cuscuna. Recorded at Plaza Sound, New York, New York on December 7, 10 & 11, 1962. Originally released on Riverside (9455).

JR.comでは試聴可能です。→Cannonballl's Bossa Nova

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Cannonball Aderley / Cannonballl's Bossa Nova

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