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大前研一/日本の真実

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2005年10月09日

nihonnoshinzitsu.jpeg日本の真実/大前研一(著) 小学館 (2004/06/28)

 大前研一氏の著作にはいつもながらすがすがしいものを感じます。国家権力と真正面で対峙するその真摯な姿勢にある種の潔さを感じます。類まれな戦略思考の体現者であるご自身の頭で考え抜かれた深い洞察が自信を持って主張されているのです。その姿勢には子供じみた反権力の思想は微塵もなく、真に日本を憂える大人(タイジン)の風格が感じられます。

 毎年のように上梓されている氏の著作には政治、経済、ITなどなど国および国民が本当は真剣に考えるべき事柄について、現状の問題点や来るべき未来について、とてもわかりやすく論述されていますので、私は氏の新たな視点や興味をいつもとても楽しみにしています。世の中の諸事が氏にかかるといとも簡単にその矛盾が露呈してしまいますね。

 真の信頼されるべき知識人とは氏のように周りのしがらみをもろともせずに常に独自の合理的な視点を貫くことにあるのでしょう。世の中が見通せて論陣を張れる氏のような存在は為政者ではなく、中立的な立場で苦言や箴言を主張することを本意として余りあるほどに世に貢献できることこそまともな世の中のはずなのです。もしその核心が省みられないとすれば世の中が本当におかしくなっていることの証左となるのでしょう。

 本作はかなり踏み込んだ一冊だと思います。氏のスタンスがよく理解できますし、氏の憂いもまた痛く共感できるものです。かしこい一市井人としてこの混迷の世をいかに生き抜くか、という中年世代の命題をつくづく考えさせられます。

投稿者 Jazz Blogger T : 18:15 | トラックバック

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