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ロバート・ラカトシュ/貴方と夜と音楽と

JAZZ Piano 3

2011年11月24日

Robert_Lakatos_you&night.jpg Robert Rakatos / You and the Night and the Music

 今日は大のお気に入りのハンガリー出身のジャズ・ピアニスト、ロバート・ラカトシュのトリオ作品。研ぎ澄まされた洗練と透徹した美学を体現する21世紀を代表するジャズ・ピアニスト。美しく硬質でクールなタッチとセンスは本作(澤野工房での3作目)において匂い立つような輝きを放っています。パーソネルは、ロバート・ラカトシュ (p)、トーマス・スタベノウ(b)、クラウス・ワイス(ds)。2007年録音。澤野工房AS077。

 澤野工房はいまやヨーロピアン・ジャズといえば澤野工房というくらいに著名になった日本のレーベル。大阪は通天閣のある街として有名な新世界という下町の商店街から発祥した澤野工房。私も以前に偶然に店舗に遭遇しましたが、そのことはすでに過去エントリに書いています。→ウラジミール・シャフラノフ/WHITE NIGHTS

 さて、ロバート・ラカトシュは私にとって最近の多くのジャズ・ピアニストの中で特にお薦めのピアニストなのです。2作目の Never Let Me Go については既に本ブログにて絶賛していますね。本作は同じ路線でなのすが、サイドのベースとドラムが前回の若手でなくベテランで強力になっています。

 ラカトシュのピアノ・スタイルは、所謂エヴァンス派に分類されるち思うのですが、その魅力は静溢なクール・ビューティという点なのですね。しかも、単なるクールではなくて、そのよく歌うアドリブ・ラインはクリア・タッチで粘っこくグルーヴ感が適度にあったりと、ほんの少し聞いただけですぐに魅了されてしまうのです。美学と言えるような透徹した洗練さを感じます。

 全12曲。現代的な高水準のピアノ・トリオ演奏であることが一目瞭然です。私の好きな典型的な演奏は、例えば、5曲目の静かなバラッド Lamentですね。全編ほぼラカトシュのアドリブで占められており、前半の物憂い醒めた表現が徐々に熱を帯びて、昼間部では豊かに自由に飛遊し、終盤には美しく静かに閉じるという、結晶のように壊れそうで繊細な美学を示す5分ほどの素敵な演奏です。

 11曲目 Lotus Blossom も静かな中にひっそりとほのかに輝く青白い炎。1曲目 I Should Care や3曲目 Scandia Skies はラカトシュの得意とするミディアム・テンポの歌物。これぞジャズ・ピアノというメリハリのあるキュートな歌心が冴えています。小気味よく繰り出されてくるイディオムとその連なりには美と力が宿り、自然に流麗に下流へと流れて行くのです。

1. I Should Care
2. Fragile
3. Scandia Skies
4. Moose The Mooche
5. Lament
6. Sepia
7. The Blessing
8. Gloaming
9. Whisper Not
10. Back Home Blues
11. Lotus Blossom
12. You And The Night And The Music

Robert Lakatos : piano
Thomas Stabenow : bass
Klaus Weiss : drums

関連エントリはこちら。
 →ニコレッタ・セーケ/ア・ソング・フォー・ユー
 →ロバート・ラカトシュ/Never Let Me Go

投稿者 Jazz Blogger T : 00:10 | トラックバック

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