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ジョージ・ウォーリントン/ジャズ・フォー・ザ・キャリッジ・トレード

JAZZ others 2

2006年12月18日

carriage_trade.jpeg George Wallington/ Jazz for the Carriage Trade

 今日は白人バップ系ピアニスト、ジョージ・ウォーリントンの品格を感じさせる非常に味のあるハードバップ・アルバムをご紹介しましょう。フィル・ウッズの麗しいアルトが魅力的な全体にまろやかで上質な典型的な50年代モダン・ジャズ作品です。パ-ソネルは、ドナルド・バード(tp)、フィル・ウッズ(as)、ジョージ・ウォーリントン(p)、テディ・コティック(b)、アート・テイラー(ds)。1956年録音。Prestigeレーベル。

 50年代前後の白人バップ・ピアニストといえば、このジョージ・ウォーリントンかアル・ヘイグといったところでしょう。ともに優雅で品格のあるピアノが印象的です。ウォーリントンの有名な「カフェ・ボヘミア」では、ドナルド・バード、ジャッキー・マクリーンのフロントにポール・チェンバースのベースですが、本作では、バードとフィル・ウッズのフロントにテディ・コティックのベースという組み合わせなのですが、私はこの本作の組み合せが上品なセンスを感じて好みです。

 バードの小気味よいトランペットが最高です。ドナルド・バードってやっぱ知的な名手なのだと実感させられます。それに、フィル・ウッズが何といっても素晴らしいのですね。その麗しい音色、力強くイマジネーションに富んだアドリブ・ライン。クインシー・ジョーンズのやはり1956年の名作「How I Feel About Jazz」で初めてウッズを聞いたときに感じたあの特徴的な暖かみのあるアルト・プレイです。いつも期待を裏切らないこの時期のウッズが私はとても好きです。安定な歌い回しとその音色が病みつきになります。

 5曲目のWhat's Newは私の大好きな美しい曲。ウォーリントンの奏でる心なごむ優しいハーモニーには流石と感じ入ります。白人ベース奏者、ボブ・ハガード作曲の1938年生まれのこの曲はいかにも都会的な雰囲気のする、さりげないながらうっとりするような美しいメロディーライン。後半にウッズの切れ味鋭いアルトが満を持したように飛び込んできますと、その輝きのある響きにハッとさせられ、忘れがたい印象を残してくれます。アル・ヘイグがスタン・ゲッツと残したPrestige盤での美しいWhat's Newが思い出されます。

 本作は、Blue Note独特の音色とクセを持つハードバップとは異なる、Prestigeのバランスの良い音と文化を感じさせるジャズです。Prestigeレーベルには本作のように高水準のアルバムが数多く残されていまして、とても気になる存在なのですね。全6曲。どの曲を聞いても素敵なジャズが有するスリルが感じられます。可憐な2曲目でのウォーリントン、ウッズ、バードと続く3者各ソロの上質な解釈と表現が本アルバムの魅力を象徴していると思います。お勧めアルバムです。

1. アワ・デライト
2. アワ・ラヴ・イズ・ヒア・トゥ・ステイ
3. フォスター・ドゥールス
4. トゥゲザー・ウィ・ウェイル
5. ホワッツ・ニュー
6. バット・ジョージ

Donald Byrd (tp), Phil Woods (as), George Wallington (p), Teddy Kotick (b), Art Taylor (ds).
Recorded on Jan. 20.1956. Prestige Records.

詳しくはアマゾンでどうぞ。試聴も可能です。→  George Wallington/ Jazz for the Carriage Trade  

関連エントリはこちら。→ スタン・ゲッツ・カルテット

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