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スティーブ・キューン/亡き王女のためのパヴァーヌ
JAZZ Piano 3
2011年09月19日
Steve Kuhn / Pavane for a Dead Princess
今日はスティーブ・キューンの比較的近年の作品から一枚紹介しましょう。クラシックのピアノ小品をジャズにアレンジするという安易な企画ながら、期待以上にキューンらしい節度ある美的ピアノが香る詩的なジャズ音楽となっています。パーソネルは、スティーブ・キューン (p)、デビット・フィンク (b)、ビリー・ドラモンド (ds)。2005年NYC録音。Venus。
スティーブ・キューンのピアノが好きです。といっても70年代くらいまでの若いキューンしか知らなくてその当時の彼の数枚のアルバムのことなのですが。近年venusに吹き込まれた多くの作品はほとんど聞いてなくて実は本作が初めてなのです。
本作を手に取った理由は、個人的に最近よく聞いているクラシックのピアノ曲がずらりと並んでいたことと、やはりまだ聞いてない近年のキューンの演奏が非常に気になっていたからです。あまり期待していなかったというのが本音ではあります。
繰り返し聴いていますと、キューン往年のあの魅惑のピアニズムとタッチが少しながら感じられて、これいいんじゃないかと思われるのでした。甘いメロディをキューンはさらりと流しますね。そのあっさりとした感触の中にも、時おり見せる知的なリリシズムが品がよすぎて私は胸がキュンとなってしまうのです。
そう、スティーブ・キューンの美意識というかセンスが私にはぴったりくるのですね。上品で節度があって、押し付けるところがない、そんな凛とした佇まいの中に、静かにしかも朴訥に紡がれる何気ない音の連なりが私の琴線に触れる瞬間があるのですね。これはとても繊細なことなので、うまく説明ができませんが、分かる人には分かってもらえると思うのです。
1. I'm Always Chasing Rainbows
~Fantasy Impromptu (F. Chopin)
2. Pavane For A Dead Princess (M. Ravel)
3. Moon Love
~Symphony#5 2nd Movement (P. Tchaikovsky)
4. One Red Rose Forever
~Ich Lieve Dich (E. Grieg)
5. Swan Lake (P. Tchaikovsky)
6. Nocturne In E♭Major Op9,No2 (F. Chopin)
7. Reverie (C. Debussy)
8. Prelude In E Minor Op29.No4 (F. Chopin)
9. Full Moon And Empty Arms
~Piano Concerto#2 3rd Movement (S. Rachmaninov)
10. Pavane (G. Faure)
11. Lullaby (J. Brahms)
Steve Kuhn (p), David Finck (b), Billy Drummond(d).
YouTubeから2007年頃の演奏をピックアップしました。ピアノのタッチが実に美しいですし、紡がれる音がキューンの美学を如実に示しているように思われます。
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Steve Kuhn / Pavane for a Dead Princess
関連エントリはこちらから。
→スティーブ・キューン/エクスタシー
→スティーヴ・キューン/スリー・ウェイブズ
→スティーヴ・キューン/リメンバリング・トゥモロウ
投稿者 Jazz Blogger T : 16:08 | トラックバック
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