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スティーヴ・キューン/スリー・ウェイブズ

JAZZ Piano 3

2005年07月31日

three_waves.jpeg Steve Kuhn/Three Waves

 今日はスティーヴ・キューンのピアノ・トリオ作品『スリー・ウェイブズ』です。デビュー間もない頃の60年代70年代前半の耽美的で清澄なキューンのピアノは長く私の大のお気に入りであると同時に音楽美を感じることのできる特別な存在です。パーソネルは、スティーヴ・キューン(p)、スティーヴ・スワロー(b)、ピート・ラ・ロッカ(ds)。1966年録音。Contact.

 スティーヴ・キューン(1938~)は90年代以降も日本のVenusレーベルからアルバムを次々と製作して活躍するよく知られたピアニスト。私にとっては60~70年代の若い頃の孤高の美を示すピアノ作品が愛聴盤として特別な存在です。本作の他、以前にご紹介したピアノソロの『エクスタシー』や、コンボの『トランス』などキューンの美学を顕著に表現した作品があります。

 1曲目「アイダ・ルピノ」はカーラ・ブレイ作曲の独特のリズムとメロディを持った女優の名をとった曲。冒頭にキューンがポール・ヘインズの詩を朗読して不思議な空間を醸しながら静溢で端正な演奏がスタートします。2分あまりの短い曲ながら東洋の神秘的なるものを感じさせるような大変印象深い演奏です。

 2曲目Ah Moore がこれまた美しい演奏です。淡白な中にもほのかに漂う透徹した美意識はキューン独自の耽美的音楽観によるものでしょう。これら1&2の2曲でこのアルバムが私にとってとても特別なピアノ・トリオ作品であることが自明となります。いずれもスティーヴ・スワローのベースがおもしろい動きをしながらアクセントの基点になっていることを特記すべきです。

 レコードのB面に当る5曲目Why Did I Choose You? はボサノヴァ調のリズムの上をやはりキューンの美しいピアノがすべるように流れて行きます。カクテル・ピアノ風ではありますが、耳を澄ましてき聴きますとその淡麗な味わいはそうそうお目にかかることのできない美意識に裏付けられていることが明らかになることでしょう。感情を抑制しながらも静かに青く燃えるような美しい演奏です。

 そして、7曲目Never Let Me Go でも同様な淡いながら美しい色彩がひっそりと示されています。スワローのベース、ラ・ロッカのドラムの3者の一体感が感じられる素敵な演奏です。ほんと瑞々しくて素敵です。

1. Ida Lupino 2:35
2. Ah Moore 3:27
3. Today I Am A Man 5:57
4. Memory 2:41
5. Why Did I Choose You? 2:54
6. Three Waves 6:57
7. Never Let Me Go 3:02
8. Bits And Pieces 4:44
9. Kodpiece 0:20

Steve Kuhn Trio: Steve Kuhn (piano); Steve Swallow (bass); Pete LaRoca (drums).


詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Steve Kuhn/Three Waves

関連エントリーはこちら。
   →スティーヴ・キューン 『エクスタシー』(1974)

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投稿者 Jazz Blogger T : 09:42 | トラックバック

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