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ジャッキー・テラソン/Jacky Terrasson
JAZZ Piano 3
2010年08月26日
Jacky Terrasson / Jacky Terrasson
ジャッキー・テラソンのピアノは繰り返し聴くうちにじんわりと好きになってゆく類のジャズですね。本作はデビュー直後の渋いトリオ演奏。味があってジャズ・テイストに満ちた愛すべきアルバムです。パーソネルは、ジャッキー・テラソン (p)、ウゴンナ・オケグオ (b)、レオン・パーカー (ds)。1994年録音。Blue Note。
ジャッキー・テラソンのピアノがいいなと思ったのは以前にも本ブログでご紹介したカサンドラ・ウィルソンとのデュエット盤を聞いてからです。才人という印象がありまして、ありきたりでないこの人でしか味わえない何とも言えないいい香りとセンスをいつも感じます。本アルバムは2年ほど前に入手してじわじわと滲み込みつつ最近聞く機会が増えてきたお好みの1枚です。
地味だけれど味のあるピアノですね。渋くてクール。同世代のブラッド・メルドーやビル・チャーラップらに比して少し遅れをとっている感はありますが、決して隅に置けない優れたピアニストだと思います。聴くほどにその真価が明らかになり、魅力がいぶし銀のように輝いてくるジャズなのです。米国のジャズ界には次々と才能が現れてくるのだと感じます。
そういえば10年ほど前にNYに行く機会がありまして、ウォール街のマクドナルドに立ち寄った際に粋なジャズっぽい生のピアノ演奏が行われていたのには驚きました。プロの卵が生活のためアルバイトしているのでしょうか? その品のよいピアノに米国ポピュラー音楽界の層の厚さを感じたりしましたっけ。ニューオーリンズに行った時もミシシッッピ川の袂でテナーの練習をするそんなミュージシャン達を目の当たりにしました。
さて本作の内容ですが、全12曲、いずれも一癖も二癖もある演奏なのですね。例えば、2曲目 Just A Blues では軽やかで格好のいいブルース演奏。他で聞けないフィーリングを感じさせてくれます。静かな7曲目 I Fall In Love Too Easily の佇まいがとてもいい具合です。シンプルな音の連なりの中に豊かな歌心が感じられます。
続く8曲目 Time After Time がやはり静かに、でもリズミカルに始まりますと、気分は高まります。数コーラス過ぎた辺りからジャズ・テイストが横溢してきまして、テラソンの世界に心地よく引き込まれてゆくのです。10曲目 What A Difference A Day Made の憂いのあるメロディは、ウィントン・ケリーの名演を思い起こさせますが、テラソンはオーソドックスな中に、情に流されず淡々と弾くことで味わい深い名曲をより印象的なものにしています。
1. I Love Paris
2. Just A Blues
3. My Funny Valentine
4. Hommage A Lili Boulanger
5. Bye Bye Blackbird
6. He Goes On A Trip
7. I Fall In Love Too Easily
8. Time After Time
9. For Once In My Life
10. What A Difference A Day Made
11. Cumba's Dance
12. Sophisticated Lady
Jacky Terrasson (p), Ugonna Okegwo (b), Leon Parker (ds).
YouTubeから1本お気に入りをご紹介しておきましょう。プーランクの歌曲「愛の小径」をジャズにアレンジしたソロ演奏です。懐の深い芸術性とエンタメ色豊かな芸達者な両面が混在するテラソンらしい独特の世界です。2002年。
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Jacky Terrasson / Jacky Terrasson
関連エントリはこちら。→ カサンドラ・ウィルソン/テネシー・ワルツ
投稿者 Jazz Blogger T : 21:06 | トラックバック
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