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イーヴォ・ポゴレリチ/ハイドン・ピアノ・ソナタ 46&19番

_Classic

2010年08月22日

Concorde/MJQ Ivo Pogorelich/Haydn Piano Sonata No.46 & 19

 今夜は静かにクラシック・ピアノです。ハイドンのピアノ曲は明朗かつ清澄、アンビエント・ミュージックとして日常的に楽しんでいます。最近、本作のイーヴォ・ポゴレリチのピアノに興味を持って聴いています。その明晰なタッチ、透徹した美意識、尋常でない情念が際立っています。

 ハイドンのピアノ音楽は軽やかで心地よい音楽。そっと流しておけば場が和むといいますか、品のある音環境が形作られます。聞き流すには持ってこいのアンビエントな音楽です。もちろん、じっくり聴けばそれなりに鑑賞にも堪えてくれますね。

 ハイドンのピアノ曲にはバッハやベートーベンのような深い闇が感じられず、また、モーツアルトのような美辞麗句を並べた装飾過多でもなく、あくまで軽くシンプルかつ明朗で決して悩んで立ち止まることがないのです。どこか南欧地中海の光を感じさせてくれます。

 そんなハイドンのピアノ曲をポゴレリチが弾くとどうなるのでしょう。クリアな音質と響きが生かされて鮮明な輪郭がくっきり明確。これは素晴らしいですね。同時に、1音1音が大事にされて深い精神性が宿っているように思われます。

 ポゴレリチと言えば第1980年第10回ショパンコンクールにおいて22歳ながら尖った個性を発揮して聴衆や審査員アルゲリチの圧倒的な指示にも関わらず本選に進めず入賞を逃して話題になりました。当時の審査員によれば、楽譜通りに弾かないポゴレリチの演奏を認めるわけにいかないというようなことが要因であったようです。

 ポゴレリチは今春来日して非常に個性的な演奏を披露して物議を醸していましたね。異常に演奏時間が長く、pppやfffなど極端なほど強弱を強調する演奏であったと。曲への思い入れが強く、曲の解釈が個性的なのでしょう。

 ポゴレリチの演奏では本作のハイドンを最近よく聞いていますが、他に、ショパン、バッハ、スカルラッティ、モーツアルト、ブラームス、ラベルなども少しは聞いています。自分的には、ハイドン、バッハ、スカルラッティが好みになります。あっさりした曲を明瞭に大切に弾かれたものがいいように思われます。個性的でありすぎると好みが別れます。個性の出にくい音楽で個性が少し感じられるくらいが自分的にはちょうどよいようです。

 ポゴレリチの演奏は壷にはまると実に素晴らしいのですが、その例として下の画像をアップさせていただきました。スクリャービンのおなじみの曲が3曲演奏されています。この演奏を初めて見たのは1年くらい前のことですが、そのあまりの美しい演奏にショックを受けました。特に詩曲作品32-1の官能的な響きと同作品32-2の明瞭な輪郭と音響の素晴らしさにはポゴレリチの際立った美意識を感じずにおれません。

詳しくはアマゾンでどうぞ。試聴も可。→ Ivo Pogorelich/Haydn Piano Sonata No.46 & 19

関連エントリはこちら。→ マルタ・アルゲリッチ/ハイドン・ピアノ協奏曲ニ長調

投稿者 Jazz Blogger T : 10:37 | トラックバック

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