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バルネ・ウィラン/バルネ
JAZZ Sax 3
2008年10月05日
今日は50年代のモダン・ジャズのちょっと変わった名作を紹介しましょう。仏のテナー奏者バルネ・ウィランの若き日のリーダー作。ケニー・ドーハムやデューク・ジョーダンをパリの名門クラブ・サンジェルマンに迎えたライブ盤です。パーソネルは、バルネ・ウィラン(ts,ss)、ケニー・ドーハム(tp)、デューク・ジョーダン(p)、ポール・ロヴェール(b)、ダニエル・ユメール(ds)。1959年4月、パリ・クラブ・サンジェルマン録音。
映画「死刑台のエレベーター」でマイルスに抜擢されて一躍有名になったバルネ・ウィラン(1937-1996)20代前半時のリーダー作。ケニー・ドーハムやデューク・ジョーダンら米国の著名なハード・バッパーと組んで典型的なモダンジャズを残してくれました。本作は幻の名盤と言われていたアルバム『バルネ』に未発表4曲を加えて初CD化されたもので、私も4~5年前にCD屋さんの試聴コーナーで聞いてすぐに気に入ったのでした。
バルネ・ウィランは当時ジャズが取り入れられた「殺られる」、「彼奴らを殺せ」や「危険な関係のブルース」などの映画サウンドトラックにも参加しています。仏を代表するモダン・ジャズ・テナーと言えるでしょう。80年代以降も活躍していましたがまだまだ若いうちに逝去しています。
内容的にはやはりケニー・ドーハムの影響が色濃く、ブルージーな黒っぽいジャズ世界になっていると思いますし、パリの有名クラブでのライブということで熱心な聴衆の臨場感が伝わってきます。バルネ・ウィランのサックスはオーソドックスな正統派なのですが、尽きることなく紡がれてゆくアドリブ・ラインが魅力です。
特に未発表だったボーナス・トラックのうちの6曲目 Everything Happens To Me でのソプラノ・サックスが素晴らしい出来だと思います。溢れでる歌心が見事なのですね。続くデューク・ジョーダンのソロも哀愁があってよいです。1曲目 Besame Mucho はご存知の通りいかにもケニー・ドーハム好みの曲調ですが、やはり期待通りのきめ細やかなソロが聞かれます。ドーハムは私の好みにぴたりとくるのですね。続くウィランのソロも起伏とスリルに富んだイマジネーションある好演です。
2曲目 Stablemates はベニー・ゴルソン作でジャズ・メッセンジャーズのファンキー節を彷彿とさせるイントロですが、落ち着いたドーハム、続く幾分か異質なウィラン、そして明朗なジョーダンの各々のソロが引き継がれてゆきますとまあ独特の演奏になっていることが分ります。そして、ウィランの神経質そうな曲紹介の声とともに、ジョーダン作の3曲目 Jordu のカッコよい序奏が始まりますが、その後のジョーダンのソロがなかなか素晴らしく、また続くウィランも冷ややかに醒めつつもメロディックに歌い上げまして、ドーハムがまたいつものごとくブルージーに渋いソロを聞かせてくれるのですね。
そして、タッド・ダメロン作の4曲目 Lady Bird がとてもよい具合です。少し早めのミディアム・テンポに乗って3者のこれぞハード・バップと言える快調なソロが聞けるのですね。会場からも掛け声が起こるようないい雰囲気になってます。特にウィランのテナーはメリハリがきいて豪快ながら繊細にメロディを紡ぐ好演。
1. Besame Mucho
2. Stablemates
3. Jordu
4. Lady Bird
5. Lotus Blossom *
6. Everything Happens To Me *
7. I'll Remember April *
8. Temoin Dans La Ville * (彼奴らを殺せ)
Barney Wilen (ts), Kenny Dorham (tp), Duke Jordan (p), Paul Rovere (b), Daniel Humair (ds), Recorded on Aipl. 24&25, 1959.
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関連エントリはこちら。
→バルネ・ウィラン/エッセンシャル・バラード
→ルイ・マル/死刑台のエレベーター
投稿者 Jazz Blogger T : 18:10 | トラックバック
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