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マルタ・アルゲリッチ/ハイドン・ピアノ協奏曲ニ長調
_Classic
2008年10月06日
今日はここ数年来お気に入りのピアノ協奏曲をご紹介しましょう。ハイドンのピアノ協奏曲11番ニ長調。淡白で透明な限りなく美しい音楽。アルゲリッチのピアノは天上の音楽のように至高の高みを示しています。マルタ・アルゲリッチ(p)、イェルク・フェルバー指揮ハイルブロン・ヴュルテンベルク室内管弦楽団、1993年1月ルートヴィヒスブルク録音。
ピアノ協奏曲といえばやはりモーツァルトが真っ先に来るのですが、ベートーベンはじめシューマン、チャイコフスキー、グリーク、ショパン、ラフマニノフらの有名なものが来て、さらにこのハイドンの本作が別格の存在として私の中にはあります。
ハイドンの交響曲はあまり聞く機会がありませんが、ピアノ・ソナタと本作の協奏曲は好みになります。あっさり淡白な味わいなんです。じっくり聞き込まないとなかなかその良さが分らない薄味なのですね。でもその微妙な味覚が時に異様に鋭敏にキラ星のごとく光輝いてくることがあるものなのです。
第1楽章は軽やかな弦による主題の提示から始まります。陽光ふりそそぐ素敵な朝のイメージです。さあ今日も元気な一日のスタート。ピアノが同じメロディを奏して巧みな変奏を繰り返しながら弦楽器と一体となりながら調和ある音楽へと昇華してゆきます。
第2楽章は落ち着いた雰囲気で気品のあるメロディの主題が弦楽器により紹介され、引き続いてピアノによる同メロディのより詳しい記述。優しくて麗しく端正な曲想です。弦との会話を交換しつつ印象的な主題メロディが次々に修飾されながら展開されてゆきます。後半ピアノによる美しいカデンツァで高みに達してあるプラトーを迎えます。その美の佇まいが極めて静かで透明で清澄なのです。
第3楽章はハイドンらしい愛嬌のある主題が足早に走り去ってゆきます。気が付けばいつのまにか終っています。
モーツァルトも結構に淡白で白身魚で言えば鯛や平目などの高級魚なのでしょうが、こちらハイドンはもっと淡白な味わいでカレイやタラのように微妙に脂が旨い繊細な感じ。心静かにひっそりと一人で味わいたい音楽です。
アルゲリッチのピアノにこんなに繊細な表現力があったとは意外でした。このハイドンの協奏曲をアルゲリッチは1980年にも録音しており、私はまだ聞いていませんがそちらも定評があるようですね。また、本CDに含まれるショクタコーヴィチのピアノ協奏曲についてはコメントを差し控えます。
1.ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲 第1番 ハ短調 作品35
第1楽章:Allegro moderato-Allegro(6:03)
2.第2楽章:Lento-Largo-attacca:(8:21)
3.第3楽章:Moderato-attacca:(1:41)
4.第4楽章:Allegro con brio-Presto-Allegretto poco moder(6:39)
5.ハイドン:ピアノ協奏曲 ニ長調 HOB.XVIII:11
第1楽章:Vivace(7:26)
6.第2楽章:Un poco Adagio(7:20)
7.第3楽章:Rondo all’Ungarese.Allegro assai(4:02)
詳しくはアマゾンでどうぞ。→ マルタ・アルゲリッチ/ハイドン・ピアノ協奏曲ニ長調
投稿者 Jazz Blogger T : 22:12 | トラックバック
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