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イリアーヌ/サムシング・フォー・ビル・エヴァンス

JAZZ Piano 3

2011年11月27日

Eliane_Bill_Evans Eliane Elias / Something For Bill Evans

 イリアーヌのビル・エヴァンスへのトリビュート・アルバムです。イリアーヌの夫君はエヴァンス晩年のレギュラー・トリオのベーシスト、マーク・ジョンソンですし、イリアーヌの才能を見いだしたのはやはりエヴァンス・トリオのかつてのベーシスト、エディ・ゴメスでした。本作品はそんなエヴァンスと縁のあるイリアーヌのエヴァンスに対する静かだけれど思いの深さが伝わる素敵な一枚です。パーソネルは、イリアーヌ・イリアス(p, vo)、マーク・ジョンソン(b)、ジョーイ・バロン(ds)。2007年NY録音。Somethin'Else。

 イリアーヌに私が魅せられたのはつい最近この1年くらいのことです。ボサノヴァ関係のアルバムがどれもこれも素晴らしいので一遍に好きになりました。イリアーヌのピアノはエヴァンスのような深い思索や内省的な情念などは希薄で、あっさりとした薄味の中にエレガンスと優しさが品よく佇んでいます。ハーモニーの使い方に決して内に向かわず明るさと柔らかさがある感じです。

 ヴォーカル(というより弾き語りですが)は上手い下手とか以前にブラジル&ボサノヴァ系独特の素人然とした自然体の歌唱であり、ピアノの方も強い主張やアクが無く女性らしいしなやかなもので、特に際立ったものがあるわけでないのですが、雰囲気とかセンスが非常に具合がよくてそういった全体のバランス感覚や音楽性が優れているように感じます。

 静かに自然にゆったりと時に少し気だるく音楽を慈しむような演奏なのですね。癒し系の音楽。あくせくせずに音楽を楽しんでくださいというノリですね。押しつけや泣かせるといった強い主張が無く、それが逆に一つの特徴と言えるのかもしれません。淡々と自分がよしとするものを静かに語りかけてくる音楽とでも言えましょうか。

 全18曲。うちヴォーカル付きが6曲。3〜4分の曲が並びます。品のよい素敵なジャズがBGM的に流れて行きます。静溢でリリカルな10曲目 My Foolish Heart が好きですね。当たり前過ぎて面白みがないのかもしれないけれど。5曲目 Waltz for Debby がやはり良いですね。自然で無理がなくそこはかとなくロマンの香りが漂ってくる演奏&歌唱です。ポルトガル語で歌われる9曲目 Minha が暗めだけれどいい感じ。

 少し主張を感じるのは、エヴァンス作の有名曲7曲目 Blue in Green。 ここでの演奏はボサノヴァ調で少しリズミックに静かに流れて行きますがこんなアレンジは初めて聞くものですね。まあ悪くはないですし繰り返し聴いていますと耳に馴染んできてごく自然な印象を感じますね。これも彼女のセンスというものでしょう。 

 本作のきっかけとなったのは、エヴァンスが死の直前にマーク・ジョンゾンに託した未発表曲のオリジナル・テープ。そこには Here's Something For You とEvanesque という2曲が納めれており、前者はそのまま本作品17曲目に聞くことができます。

1. You And The Night And The Music
2. Here's Something For You
3. A Sleepin' Bee
4. But Not For Me
5. Waltz For Debby
6. Five
7. Blue In Green
8. Detour Ahead
9. Minha (All Mine)
10. My Foolish Heart
11. But Beautiful/Here's That Rainy Day
12. I Love My Wife
13. For Nenette
14. Evanesque
15. Solar
16. After All
17. Introduction To Here's Something For You
18. Re: Person I knew 

Eliane Elias(p,vo), Marc Johnson(b), Joey Baron(ds).

 YouTube から Here's Something For You をイリアーヌとマーク・ジョンソンのデュオでどうぞ。

詳しくはアマゾンでどうぞ。
 → Eliane Elias / Something For Bill Evans

関連エントリはこちらから。
 →イリアーヌ/夢そよぐ風

投稿者 Jazz Blogger T : 10:31 | トラックバック

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