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アーマッド・ジャマル/バット・ノット・フォー・ミー

JAZZ Piano 2

2005年02月11日

but not for me.jpg Ahmad Jamal / But Not For Me

 今日はアーマッド・ジャマルの代表作「バット・ノット・フォー・ミー」です。ジャズ・レコードとしては異例の大ヒットを飛ばした記念すべきアルバムです。パーソネルは、アーマッド・ジャマル(p)、イスラエル・クロスビー(b)、バーネル・フォーニア(ds)。1958年1月6日、シカゴ、パーシング・ラウンジにてライブ録音。Argo LP628。

 去年の秋にこのブログでジャマルのアルバム「Ponciana Revisited」をご紹介しています。実のところ、アーマッド・ジャマルのピアノの素晴らしさに開眼したのがここ1~2年の最近のことなのです。この「But Not For Me」も先のアルバムがあまりによかったのでその後すぐに耳にしたものの一つです。それが前回のものにもまして実に心地よいジャズです。やはりジャマルのピアノは堪らなく素敵だなあと、このブログでも早々に2枚目を紹介することにしました。

 前回のRevisitedに比べて少し寡黙な感じでしょうか。というより、本作が58年、前回が69年ですから少し饒舌になったということでしょうか。でも本質はあまり変わりません。通常の天才的なピアニストのように加齢によって平凡になってゆくというところがなくずっと同じ路線のスタイリスティックなピアノを維持しているようです。

 バップの流れとして、チャーリー・パーカーやバド・パウエルらの鋭い急速長のインプロヴィゼーションこそがその特徴としてありましたが、ジャマルのピアノはセロニアス・モンクのように打楽器の要素と音の間が誘発する微妙な感覚を生かした、従来のバップとは異質な音楽的美学を映していました。

 50年代後半マイルス・デイヴィスがジャマルのことを絶賛し、レッド・ガーランドにジャマルのように弾くように要請したことは有名なエピソードになっています。60年代前半のマイルスのモード奏法~音の間を最大限に活用した独特の雰囲気を持つあるジャズ~と一脈通じるものをすでにこの「But Not For Me」で感じとることができるようです。

 ライブ録音ということですがいつもこういう演奏をしていたのでしょう全く平静な完璧かつくつろぎの感じられるジャズ・ピアノです。全8曲。音質も良いです。6.Poincanaは当時大衆的な人気を博した口当たりのよいカクテルのような魅惑ある演奏です。1、3、5、8あたりはミディアム・スローの演奏ですがジャズの魅力を存分に味わえるエンターテイメントな世界です。ハード・バップとは全く異なるものです。エロール・ガーナーに少し近い感触の、とにかくわかりやすくて楽しめるいい音楽です。

1. But Not for Me
2. Surrey With the Fringe on Top
3. Moonlight in Vermont
4. (Put Another Nickel In) Music! Music! Music!
5. No Greater Love
6. Poinciana
7. Woody 'N You
8. What's New?

iTunes Music Store では試聴可能です。→Ahmad Jamal Trio - At the Pershing / But Not for Me Ahmad Jamal / But Not For Me

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