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ウィントン・ケリー/ケリー・グレイト

JAZZ others 2

2005年07月17日

kelly_great.jpeg Wynton Kelly / Kelly Great

 今日はウィントン・ケリーの『ケリー・グレイト』です。ウィントン・ケリーが在籍していたマイルス・コンボのリズムセクションのメンバーに、ジャズ・メッセンジャーズのフロント・ラインの二人、リー・モーガンとウエイン・ショーターが参加した人気盤。パーソネルは、リー・モーガン(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。1959.8.12.NY録音。

 ウィントン・ケリーの小気味がよくてブルース・フィーリングに満ちたピアノはジャズの持つアーシーな醍醐味をいつも湛えています。マイルス・デイヴィスも 「やつは煙草に火をつけるマッチの役割をしてくれるのさ」 と言っている通り、ケリーのピアノが響くや否や一瞬にしてその空間には深いジャズ的時空が広がるのです。

 本作はケリーをリーダーにした当時の精鋭クインテットによる典型的なハード・バップです。ケリーの魅力が映えるブルース調の曲が中心です。3曲目のミディアム・ブルース June Night などに耳を傾けますとウィントン・ケリーの素晴らしさが直に伝わってきます。マイルスの『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム』の表題曲で見せたキュートなケリーの印象そのものです。

 リー・モーガンのトランペットはいつもながら味があって全く申し分のないものです。この人はクリフォード・ブラウンほど完璧に楽器をコントロールできないようですが、少しテクニック不足のところを逆にそれをスリルのある瞬間に変えてしまうくらいに音楽的なセンスが凄いという気がいたしますね。ジャズとしてイカした演奏がどんなものかを知り尽くしていてそうしたバランス感覚が抜群なのだろうなと思います。

 そして、やはりウェイン・ショーターの新感覚が随所に示されています。しかもかなり大胆な吹奏になっています。後年のショーターを知る者としてはさもありなんというところですが、モーガンやケリーとは明らかに異質で新鮮です。当時のジャズ・メッセンジャーズのボスであるアート・ブレイキーや後年のボスとなるマイルスがその場を牛耳っているわけではないので自由に伸び々々と演っているのかなとでも思えそうなくらいです。

 全5曲。いずれも聴きどころのあるよい演奏だと思います。1,3,4曲目はブルース。2と5曲目はウェイン・ショーターの作曲。特に5曲目 Sydney はショーター色の濃い曲。この曲のみショーターのソロはなくケリーだけがブルージーな素敵なソロをとっています。個人的には3曲目と4曲目が好みです。4曲目ではチェンバースの少し退屈なアルコを聴くことができます。

1. Wrinkles
2. Mama "G"
3. June Night
4. What I Know
5. Sydney

Vee Jay Records。Wynton Kelly(p) Lee Morgan(tp) Wayne Shorter(ts) Paul Chambers(b) Philly Joe Jones(ds)。

iTunes Music Store では試聴可能です。→Wynton Kelly - Kelly Great

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Wynton Kelly / Kelly Great

関連エントリーはこちら。
 → ウィントン・ケリー『ケリー・ブルー
 → ウィントン・ケリー『ケリー・アット・ミッドナイト
関連エントリはこちら。  → ウィントン・ケリー『ウィスパー・ノット
 → ウィントン・ケリー『フル・ヴュー
 → マイルス・デイヴィス『サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム

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投稿者 Jazz Blogger T : 23:30 | トラックバック

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