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デューク・エリントン/女王組曲

JAZZ others 2

2005年07月29日

queens_suite.jpeg Duke Ellington/The Ellington's Suites

 今日はデューク・エリントンの名作『女王組曲』です。ジャズの枠を少し越えた20世紀の美しい音楽。1958年英国リーズで開かれた芸術祭に招かれエリザベス女王に謁見するという栄誉に浴したエリントンが霊感を得て本作「女王組曲」The Queens Suitesを作曲して録音したとのこと。1959年、1971年、1972年録音。

 今日先ほど夕食を採りながらTVを見ていましたらマレーネ・ディートリッヒやココ・シャネルとともにエリザベス女王のことが取り上げられていました。思わず当ブログに近いうちに書こうと思っていた本作『女王組曲』のことを思い立ち、食後すぐにレコード棚の奥深くより取りいだしてきたのでした。そしてこの1時間くらいずっと耳を傾けておるというわけでございます。

 女王組曲は1~6曲目、レコードで言いますとA面に当りまして、7~12がグーテラス組曲、13~15がユウィス組曲という構成になっています。私の場合これまでほとんど女王組曲1~6のみを繰り返し聞いてきたのでした。その中でも、特に、1、3、5と奇数番目の曲がお気に入りなのです。

 1曲目は「日没とモッキンバード」という題でモッキンバードの鳴き声をモチーフにした印象的な曲です。途中ジョニー・ホッジスの憂いのあるアルト・ソロが聞かれます。エリントンの音楽にはこの曲に感じられる何か高貴な品というものがいつも漂っているのですね。

 3曲目 Le Sucrier Velours はフランス人が甘い鳴き声とビロードのような感触の鳥に対して使う名前とのこと。このハイセンスの美しい曲調とサックス・アンサンブルの見事な調和といいますのは初めて耳にした時から長く私の心を捉えてきたのでした。この品格はエリントンのみが表現できるエリントン美学の世界でしょう。

 5曲目 The Single Petal Of A Rose バラの一片(ひとひら)は驚嘆を意味するエリントンのピアノのみによるこれまた大変美しい曲です。この曲のためだけにでもこのアルバムを手元に置いておく価値があるのではないかと私は思います。実は私もこの曲をラジオで初めて聞いて感動したときの印象が後日まで長く残って中古品を見つけたときに即、購入したというわけです。エリントン自身この曲を気に入っているようで、コンサートの最後によくこの曲を弾いたということです。

 私はエリントンの音楽が単純なジャズの枠に収まらないコンテンポラリーなものであることに常に魅力を感じてきました。その意味で本作はその種の典型的な作品です。洗練と気品に満ち溢れています。エリントンの優れた資質を感じ取ることができるのですね。勿論、他方においては、優れたソロイストを擁してよくスイングする本来の伝統的なジャズ演奏も最高水準で示すことができる側面があるわけで、その懐の深さが単なるジャズマンでなく芸術家として高く評価される要因なのだと思われます。
  
1. Sunset And The Mockingbird
2. Lightning Bugs And Frogs
3. Le Sucrier Velours
4. Northern Lights
5. The Single Petal Of A Rose
6. Apes And Peacocks
7. Fanfare
8. Goutelas
9. Get-With-Itness
10. Something
11. Having At It
12. Fanfare
13. Uwis
14. Klop
15. Loco Madi

Duke Ellington (piano); Cat Anderson, Clark Terry, Shorty Baker, Ray Nance, Cootie Williams, Mercer Ellington, Eddie Preston, Money Johnson, Johnny Coles (trumpet); Britt Woodman, Quentin Jackson, John Sanders, Vince Prudente, Chuck Connors, Booty Wood, Malcolm Taylor (trombone); Harold Minerve, Norris Turney, Paul Gonsalves, Harold Ashby, Harry Carney, Russ Andrews, Russell Procope, Johnny Hodges, Jimmy Hamilton (reeds); Wulf Freedman (electric bass); Joe Benjamin, Jimmy Woode (bass); Jimmy Johnson, Rufus Jones (drums). Recorded in New York, New York on February 25 and April 1 & 14, 1959, April 27, 1971, and October 5, 1972.

JR.comでは試聴可能です。→Duke Ellington/The Ellington's Suites

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Duke Ellington/The Ellington's Suites

関連エントリーはこちら。
   →デューク・エリントン『ブラック・ブラウン&ベージュ
   →デューク・エリントン『極東組曲
   →デューク・エリントン『エリントン・アット・ニューポート

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投稿者 Jazz Blogger T : 23:20 | トラックバック

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