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キース・ジャレット/生と死の幻想
JAZZ others 2
2005年08月14日
Keith Jarett/Death and The Flower
今日はキース・ジャレットのアルバム『生と死の幻想』をご紹介しましょう。近年はトリオによるスタンダード演奏が主体ですが、デビュー間もない頃はサックスを加えたカルテット演奏も重要な位置にあったようです。パーソネルは、デューイ・レッドマン(ts)、キース・ジャレット(p)、チャーリー・ヘイデン(b)、ポール・モチアン(ds)、ギレルミ・フランコ(perc)。1974年NY録音。Impulse Records。
恥ずかしながら私はキース・ジャレットのことあまり詳しくありません。ケルン・コンサートはじめ話題になったアルバムが70年代より多数ありましたが何となく濃いかなってずっと敬遠してきました。多少食わず嫌いなところもありますが。本作の『生と死の幻想』は学生時代から長く聞いてきた例外的なアルバムです。テナーが入って分かりやすいモダン・ジャズとして聞くことができるからです。
私の若い頃はラジオやジャズ喫茶などの限られた情報源しかなく、さらに本や雑誌、それに自分のそれまでの収集したレコードなど、そうした情報を最大限に生かしながら主に中古レコード購入によって新しい分野を開拓してゆくのでした。現在のネット上のオンラインストアやリアルのCDショップでの試聴ができる現在の状況は本当にありがたいと感じます。
当り外れを経験しながら自分の好みが少しずつ明確になってくるということもありますが、おおよそ定評のあるものを購入するよう心がけますので最初はよくないと判断して放っておいたものが何年か後にああいいじゃないかということも数多く経験しました。耳が確実に変化してゆくのですね。ですから、敬愛するジャズ評論家後藤雅洋氏も書物の中で同様の主旨のことを述べていらっしゃると思いますが、取り合えずあまりこだわりを持たずに定評あるアルバムを50枚とか100枚くらいの単位でとにかく広く浅く聞いてみるというのがジャズに入り込む最初の方法論としてはよいのかなと思います。
さて本作ですが豊かな叙情とジャズ・フィーリングがあって悪くない内容だと思います。全3曲。特に表題曲後半の盛上りがgoodです。露骨なセンチメンタルな表現だけですと重過ぎるのですけれど、適度の緊張と粘りがあって、何より美しい構築物のようなジャズに仕上がっています。土の香りのするエロティシズムが感じられ、そして、プラトー期を経てオーガズムに達するというキース・ジャレットの得意?のパターンが繰り広げられています。キース・ジャレットの演奏には総じて長いものが多くこれは多分に満足なオーガズムが得られるまでとにかくやり通すというそんな印象を持ちますが、こんなことを書けばジャレット・ファンからブーイングが出るに違いありません(笑)。
参考のために、ジャケットに記されたキース・ジャレットの言葉を下に引用しておきましょう。
ぼくらは誕生と死の間で生きている。あるいは、そうなのだと都合よく自分に納得させている。しかし、実は、ぼくらは自分たちの生のあらゆる永遠の瞬間に、生まれつつあると同時に死につつもあるのだ。したがって、ぼくらは花のようであることにもっと努めなければならない。というのは、それは毎日のように自らの誕生と死を経験しているからだ。(清水俊彦 訳)
1. Death And The Flower
2. Prayer
3. Great Bird
KeithJarrett(p, ss, perc), Dewey Redman(ts, perc), Charlie Haden(b), Paul Motian(ds), Guilherme Franco(perc).
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投稿者 Jazz Blogger T : 23:16 | トラックバック
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