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チック・コリア&ゲイリー・バートン/イン・コンサート

JAZZ others 2

2005年09月04日

in_concert.jpeg Chick Corea & Gary Burton / In Concert

 今日はチック・コリアとゲイリー・バートンのデュオの傑作『イン・コンサート』をご紹介します。スイス・チューリッヒでのライブ演奏。その見事なまでの一体感と音楽美にはジャズを超越した現代音楽の最も美しい部分が表現されているように感じられます。パーソネルは、チック・コリア(p)、ゲイリー・バートン(vib)。1979年チュリッヒ録音。ECM Records。

 基本的にチック・コリアもゲイリー・バートンもその饒舌的な話法を可能とするテクニックと音楽性でもって従来の4ビート・ジャズでは飽き足らなくてもっとスピード感のある例えば8ビートのロック・リズムでのより自由で即興性に富むジャズ音楽を目指していたであろうという点で両者が共鳴するものを感じます。さらには、そうした表現技法に留まらずに両者の親和性を最も際立たせているのが耽美的な音楽観と言えるでしょう。本作や以前のスタジオでのデュオ作品『クリスタル・サイレンス』で聞かれる調和と一体感を肌で感じれば両者に共通の土壌があることを肯定せざるを得ません。

 このピアノとヴィブラフォンの音が幾重にも重なり合い衝突しながらもあたかも一つの楽器とまごうほどに融和しつつ天上へと昇華してゆく音世界の構築美はどうでしょう。これはジャズという自由で自律的な音楽形式の中でしか育まれない類の音楽美だと思われます。お互いが奔放かつ自在に発散しながらも一方で自然に収斂されてゆくその統一性は尋常なものではありますまい。決して恣意的なものではないだけにその異様なほどの調和美には恐れながらも驚嘆を禁じえないのです。

 この種の想像を超える音楽的一体感には一種のエロティシズムさえ感じられます。お互いを本能的にフェロモンに従って引き付けあうような生来の相性の良さ、時を超越して出会うべくして出会った運命の仕儀。そんなことを思い巡らされるほどにこのライブ・アルバムで聞かれる音楽には異様なまでに不思議で美しい世界観が映し出されています。ライブであるからこそより自然な発露が導き出されたのだろうとも思われます。

 また、ECMレーベルの音はこうしたライブ演奏でも決してそのポリシーを外さないのだと納得させられます。コリアのピアノの音が透明でクリアーであたかも宙を舞うような何ともECM的なサウンドであります。音世界を自由に浮遊しているような幻想性を感じさせる素晴らしい音。ヴィブラフォンの余韻とピアノ音が微妙に共鳴する際に覚える快感は本アルバムを忘れがたいものにしてくれます。ひたすら耽美的な3曲目クリスタル・サイレンスや4曲目Tweakが私の好みに一致します。

1. Senor Mouse
2. Bud Powell
3. Crystal Silence
4. Tweak
5. Falling Grace
6. Mirror, Mirror
7. Song To Gayle
8. Endless Trouble, Endless Pleasure

JR.comでは試聴可能です。→Chick Corea & Gary Burton / In Concert

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Chick Corea & Gary Burton / In Concert

関連エントリーはこちら。
  →チック・コリア『ナウ・ヒー・シングス・ナウ・ヒー・ソブス』

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投稿者 Jazz Blogger T : 23:09 | トラックバック

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