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ロレツ・アレキサンドリア/ディープ・ルーツ

JAZZ Vocal

2005年09月07日

deep_root.jpeg Lorez Alexandria / Deep Roots

 今日は私の大のお好み歌手ロレツ・アレキサンドリアの名作『ディープ・ルーツ』をご紹介したいと思います。ロレツの代表作としてはインパルスの『グレイト』や『モア・グレイト』が有名ですが本作はその少し前に地元シカゴのアーゴ・レーベルに残した同等レベルの名品です。ジャズ・ヴォーカル・ファンにはぜひ聞いてほしいお勧めのアルバム。ロレツ・アレキサンドリア(vo)、ハワード・マギー(tp)、ジョン・ヤング(p)、ジョージ・エスクリッジ(g)、イスラエル・クロスビー(b)、ヴァーネル・フォーニエ(ds)。1962年シカゴ録音。Argo。

 ロレツ・アレキサンドリアの歌声にこれまで尋常でない魅力を感じてきましたし、これからもその嗜好は恐らくそう振れるものではないという妙に自信めいたものがあります。その理由をうまく言葉で表現するのはとても億劫なことでできれば避けたいところなのですが、ロレツの素晴らしい歌をあまり知らない少しでも多くの心あるジャズ・ファンの方々にお伝えしたいという思いのために少し書いてみたいと思います。基本的にこのブログは音楽や映画、本などの身近な趣味的経験から自分の感じたことを思うままに記述すること、その防備録と自己表現というのが主旨でありまして、あまり押し付けがましいことはしないというのがスタンスではありますが。

 ロレツ・アレキサンドリアの歌にはブルーな表現力と絶妙な音程感などにワンアンドオンリーの個性的な魅力があります。一聴すればロレツ・アレキサンドリアとすぐに分かる類の個性があります。まあ普通、一流のジャズ歌手はいずれも極めて個性的でありまして、ただ歌が上手いというだけの歌手は数あれどもう一歩先へ行くためにはそれが必須としか思えないくらいに超のつく個性を有しているものなのですね。一歩間違えれば大きな欠点になりかねない個性でもそれを絶大な魅力にするに余りあるsomethingがあるということかもしれません。

 個性的な歌手としてはビリー・ホリデイなどが典型でしょうが、このロレツはずっと一般受けする歌の上手さや声質と声量などが備わっていまして、その意味では個性が幾分希薄といえるかもしれません。そのあたりがロレツの魅力を説明しにくい要因でもあるのですが、まあとっつきやすいという点でもありますね。

 よく伸びる透き通った中低音の美しさには格別の吸引力があります。そのブルーで孤独な佇まいは一度聞けば忘れがたい印象を与えてくれます。現代に生きる人間の心の隅にある深い空洞や虚無を代弁して共感して、さらには癒してくれる、そんな救いを感じたりするのですが皆さんはいかがでしょうか。こうした思い入れははなはだ個人的な感受性の問題でありまして、私の場合はこんなふうにロレツの歌を聴いて、こんなふうにある感慨を抱くということでありましてあまり露骨に表現するのは実は非常にお恥ずかしいことではあります。

 『グレイト』や『モア』が少しよそ行きの洗練されたロレツとすれば、こちら『ディープ・ルーツ』にはナチュラルで生のロレツがいまして、スモール・コンボの伴奏のためかジャジーな内容でもあります。その意味で親近感は本作の方が上でして、当然にこちらが日頃愛超する盤ということに相なります。ロレツの巧みな息使いや微妙にコントロールされたフレージングには繰り返し聞くほどに深い味わいがあります。特に情感を湛えつつも理性的な4曲目の最初のところなどはいつもながら直接的に感情に訴えかけてきまして我を忘れてしまいますね。完全にノックアウトです。
 
1. Nature Boy
2. I Was A Fool
3. No Moon At All
4. Spring Will Be A Little Late This Year
5. Softly As In The Morning Sunrise
6. Detour Ahead
7. It Could Happen To You
8. Travelin' Light
9. Almost Like Being In Love
10. I Want To Talk About You

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関連エントリーはこちら。
  →  ロレツ・アレキサンドリア『ザ・グレイト』

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