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ジョー・パス/ヴァーチュオーソ

JAZZ Guitar 1

2006年01月22日

virtuoso.jpeg Joe Pass / Virtuoso

 今日はジャズ・ギターの名手ジョー・パスの渋いソロ・ギターの名盤『ヴァーチュオーソ』をご紹介いたしましょう。一人で深夜など自分のためだけのリラックス・タイムに満喫すべき静かでありながら豊かなジャズ・ギターの調べは音楽の一つの美学を如実に表現していると私は感じています。パーソネルは、ジョーパス(g)。1975年NYC録音。Pabloレコード。

 ギターという楽器はサックスやペット、さらにはピアノなどと比較してジャズのメイン楽器としてはそれほどメジャーな存在ではないかもしれませんが、ジャズの一角を照らしてきた貴重な楽器であることに間違いありません。その独特の雰囲気は、時に最高のジャズを演出することができたりするのですね。

 バーニー・ケッセル、ジミー・レイニー、ケニー・バレル、タル・ファーロー、グラント・グリーン、ジム・ホール、ウェス・モンゴメリー、パット・マルティーノ、パット・メセニーら本ブログに登場した著名ギタリストも数多くいますが、今回のジョー・パスは職人的技術と繊細なジャズセンスから言って私の大のお好みギタリストになります。その渋い歌い回しは実に素晴らしい。この種の内省的ソロ・ギターの原型こそはジョー・パスの本作あたりが形作っているに違いないと思うのです。

 そういえば昨年初夏に北海道は小樽の町でたまたま立ち寄ったジャズ喫茶にてほぼ同種の孤独に満ちながら豊かなジャズ・ギターを聞きましたっけ。日本人ギタリストでしたが、その醸す雰囲気はまさにジョー・パスが指し示す美学をまさにトレースしているのでした。私にとって旅先の未知の土地で孤独を密かに享受しつつ出会ったジャズは、ある意味、その旅情に最も似つかわしい音楽であったかと、今パスを聞きつつ回顧されるのです。

 見知らぬ土地で風に舞う虚ろな蝶のように限りなく自己を無に帰すべき豊穣な時間の中をジョー・パス・ライクの音楽が孤独を祝福するかのように静かに通り過ぎてゆくのでした。それは20代前後の挫折と苦悩に支配されながら無限のごとく存在する未来だけが明るい光となるあの青き孤独の香りを想い出させてくれるのでした。

 なぜかルイ・マルの映画『ルシアンの青春』でのジャンゴ・ラインハルトのギターの調べが微妙に重なりますね。ジプシー色のある派手ながら哀しい音楽がいっそう主人公の不幸な運命を照らしていました。主人公を演じた17歳の無垢の少年は映画収録2年後に不幸にも交通事故で亡くなります。

1. Night And Day
2. Stella By Starlight
3. Here's That Rainy Day
4. My Old Flame
5. How High The Moon
6. Cherokee
7. Sweet Lorraine
8. Have You Met Miss Jones?
9. 'Round Midnight
10. All The Things You Are
11. Blues For Alican
12. The Song Is You

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関連エントリはこちら。
ジョン・ジェンキンズ『ジョン・ジェンキンズとケニー・バレル』 

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