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前田マリ/猫(キャット)はジャズが好き
_books (entertainm.)
2006年02月19日
猫はジャズが好き
前田マリ(著)
晶文社(1999/12)
「CAT(猫)はジャズミュージシャンそしてジャズ狂を意味するアメリカのスラング」とのことで、本書は大のジャズ・ファンでもあり、猫の絵でおなじみのイラストレーター前田マリさんが、「ジャズってなんだか敷居が高い」、「もっと気軽に聴けたら」という人のためにジャズの楽しみ方について綴ったお洒落な本です。
前田マリさんはTBSテレビ「はなまるマーケット」にレギュラー出演していたこともある著名なイラストレーターで猫の絵を得意とされています。また、レコードのコレクションが1000枚を越える大のジャズ・ファンでもあります。本書は、「ジャズを楽しむのにうん蓄はいらない」と、猫やジャズの素敵なイラストをふんだんに使って、さりげなくジャズの魅力を伝えたとてもいい本だと思います。
ジャズ喫茶、京都の「しあんくれ~る」や「マンホール」、神戸三宮「ジャヴァ」、金沢香林坊の「ヨーク」などのことが書かれています。京都の2店は私も結構通いましたので懐かしく思いました。地元のジャヴァは一度だけ寄ったことがあります。阪急三宮の高架下にあります。金沢のヨークは全く知りません。私の母が金沢の出身ですので金沢には小さい頃よく行きましたが。以下にちょっと引用してみます。
京都といえば「しあんくれ~る」という店もあった。店のマッチには女性の顔が描かれ、Reikoとあった。ここのオーナーなのだろうか? このお店もなくなっていた。がっかりして、向いにある楽器店をのぞいてみると、店の奥に少しだが中古レコードを扱っている。 ソニー・ロリンズのレコードがあった。ジャケットいっぱいにロリンズのサイン、そして、for Reiko。 「しあんくれーる」が放出したレコードだった。
味のある話ですね。ロリンズにサインをしてもらったのでしょう。店内に飾っていたりして私も目にしていたかもしれません。それにしても、うーん、なつかしい。あの界隈の街並みが目に浮かびます。この本が書かれた1999年時点で店がなくなっていたというのはちょっと残念ですね、私は知りませんでしたが。
私もたまに行く機会がありましたがそのReikoさんらしい女性が現れるのは店を閉める夜遅い時間だったように思います。最後の一人の客になって1対1で対峙して「早く帰って下さいな」といったプレッシャーのような感じを受けたことを思い出します。芸能人のモレシャンさんのような品のある細身の美人ママというイメージです。この店はマッキントッシュのアンプにJBLスピーカーでしたね。
そのロリンズのサイン入りレコード『ソニー・ロリンズ・プレイズ・ソニー・ロリンズ』(1957)がこの本には写真で示されています。それと、それを見つけたという楽器店の中古レコードコーナー、私も学生時代に大変お世話になりました。いつも寄る中古レコード店はいくつか決まっていましてこの店も定期的に寄っていたお店の一つです。専ら中古レコードを800円~1200円くらいで買い漁っていましたから。
この本にはこうしたちょっとしたいい話と光るセンスが満載なのです。それにたくさんのCDを紹介しています。私の趣味と一致するところが結構随所にあってそうそうその通りと頷きつつページをめくるのが楽しかったですね。あと、裏表紙がクリス・コナー『This is Chris』のジャケットそっくりに前田さんご本人が写っていまして、そのお茶目な人柄を感じさせてほほえましい限りです。大好きです♪(ううっ、また絵文字)
目次
まえがきにかえて
TAKE 1 ジャズの楽しみ新発見
"ニューヨークの秋"を聴きくらべてみよう
レコードジャケットをインテリアに
おしゃれは女性シンガーのファッションから
モンクの帽子
トロンボーンが好き
メガネのジャズマンたち
ジャズでボサノバを
TAKE 2 旅先で感じるジャズ
レコードジャケット写真のニューヨークを訪ねて
ニューヨークを歩けばジャズにぶつかる
ワシントンDCでの最高の夜
パリのジャズシーン
ファドの街リスボンで聴いたジャズ
バーでうなった「サウス・パシフィック」
TAKE 3 愛しのジャズメン
モリス・ナントン
ジョニー・ホッジス
クリス・コナー
ソニーロリンズ
チャーリー・ラウズ
TAKE 4 毎日のなかのジャズ
競演ソルト・ピーナツ
Mの想い出
桜色のラジオ
猫とジャズ
ジャズ喫茶へ行こう
風呂で聴いたジャズ
ジャズでシャムパン
この一曲が聴きたい
トリオ編
カルテット編
クインテット編
ボーカル編
あとがき
詳細はamazon.co.jpでどうぞ。→ 猫はジャズが好き/前田マリ(著)
投稿者 Jazz Blogger T : 18:31 | トラックバック
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