メイン・ページ > _movies > ブリキの太鼓/フォルカー・シュレンドルフ

ブリキの太鼓/フォルカー・シュレンドルフ

_movies

2005年04月02日

buriki.jpeg ブリキの太鼓/フォルカー・シュレンドルフ

 こんにちは。今日は学生時代に一度観てつい最近レンタルDVDで見直した映画のことをご紹介しましょう。ギュンター・グラス原作、シュレンドルフ監督『ブリキの太鼓』です。1979年カンヌ映画祭パルムドール(最高賞グランプリ)受賞。出演はダーヴィット・ベネント、マリオ・アドルフ、アンゲラ・ヴィンクラー、ダニエル・オルブリフスキー、シャルル・アズナヴール、カタリナ・タルバッハ他。音楽はモーリス・ジャール。1979年ドイツ/フランス。独語。
 

buriki2.jpeg 学生時代に名画館でこの映画を観てそのリアルな映像と不可思議な設定に強烈な印象を受けました。バルト海に面するポーランドの街ダンツィヒを舞台に、3歳の誕生日に母にかねて約束していたブリキの太鼓を買ってもらい、同時に大人の醜い世界に嫌気がさして自ら成長を止めた少年オスカルの目を通して、第二次世界大戦前後の暗黒の時代をシニカルに描いた物語です。成長が止まるというのはいかにもフィクションの世界でして、ブリキの太鼓、スカートの中とかいくつかのキーワードとともに何らかの隠喩の役割があるのだと思います。リアリスティックで強烈なベッド・シーンや馬の首を使って鰻を取るグロテスクなシーンなど鮮烈な映像が随所に出てきます。

buriki3.jpeg 原著者のギュンター・グラス(1927年~)は1999年にノーベル文学賞を受賞したドイツ人小説家。本作は1959年発表の当時話題となった出世作です。受賞理由は「陽気で不吉な寓話」というもの。どんな原作かと気になりましたので、この『ブリキの太鼓』を今日実は本屋さんで立ち読みして(正確にはジュンク堂で座り読み)少しだけ感触を掴んできました。全集ものの中にヘッセらの作品とともに収められていました。全3部からなる長編です。映画では2部までを扱っているようですね。印象に残った映画のシーンのところを中心に30分くらいざっと流しまして、まず感じましたのは描写がきわめて精緻に描かれていること、それに実に奇妙で複雑な設定が施してありいかにも現代作品っぽいということです。偏執的に微に入る描写、特に性的なところは実にリアルだと思います。映画の各シーンは原作をかなり忠実にしかも細かな配慮を十分に施しながら再現しているように思われました。

 オスカル役のダーヴィット・ベネントが魅力的です(写真)。当時6才だったとのこと。そのちょっと醒めた目の輝きが実にいいです。オスカルの母親と従兄弟との情交シーンは女性の性欲が露に表現されており強烈です。オスカルの父親と若い継母とのシーンはもっと強烈でしてその際に交わされる言葉が実にリアルで印象的ですね。オスカルと継母との同様のシーンも妙にエロを感じさせるものでした。20年くらい前に見たシーンを今だによく覚えているというのは当時相当に印象深かったのでしょう。その頃見たときはさぞかしドギマギしたのだと思いますが。それに、オスカルの母に想いを寄せるおもちゃ屋の主人マルクスはシャンソン歌手のシャルル・アズナブールなんですよね(写真)。意外な人が出てきてびっくりです。役の上で自殺することになるのですが渋い役回りでした。アズナブールは結構映画出演が多いですがまさか独仏合作とはいえドイツ語の映画に出てくるとは思わないですからよく似た人がいるのだな程度に思っていたのですがキャストにその名を見て納得です。

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ブリキの太鼓/フォルカー・シュレンドルフ

ブログランキングに参加中です。よろしかったらクリックをお願いします。日々の記事更新の励みにさせていただきます。→人気ブログランキング

投稿者 Jazz Blogger T : 10:45 | トラックバック

« マイルス・デイヴィス/1958マイルス | メイン | ロイ・ヘインズ/アウト・オブ・ジ・アフタヌーン »

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://dellton.com/cgi/mt/mt-tb.cgi/548

Copyright (C) 2004-2014 MY FAVORITES All Rights Reserved.