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ビリー・ホリデイ/レディ・イン・サテン

JAZZ Vocal

2005年07月26日

lady_in_satin.jpeg Billie Holiday/Lady In Satin

 今日はビリー・ホリデイの『レディ・イン・サテン』を聞いています。声の衰えは如何ともしがたいもののオーラを発するような独特の凄みが華麗なオーケストレイションとの対比によってより際立っています。死の前年ビリー・ホリデイが自らレイ・エリスをアレンジャーに指名して録音されたものです。パーソネルは、ビリー・ホリデイ(vo)、レイ・エリス(arrange, cond)、他。1958年NY録音。

 ビリー・ホリデイ(1915~1959)は伝説のジャズ歌手ですね。44年という短い人生ながら生前すでに最高の名声を勝ち得たという意味では充実した人生と言えると思います。不幸な生い立ち、売春による逮捕、麻薬による逮捕といった常人では経験しえない人生だったかもしれませんが、それを歌に昇華することによって半世紀にも渡って後世のファンに親しまれ続けるということは十分に人生の借りを返したといえるのではないかと思うのです。

 本作はビリー・ホリデイがオーケストラ・アレンジャーであるレイ・エリスを指名し、さらに全曲を自ら選曲して製作されました。しかもビリーにとってもっともお気に入りのアルバムになったとのことです。片思いの失恋の歌ばかりをしわがれた声で淡々と歌い上げています。積年の情念とは裏腹にいともあっさりと人生を諦観したような歌唱です。それが逆に何と上手い演出になっていることでしょうか。

 美しすぎるオーケストラの響きとのギャップが大きいので最初は違和感を持ちますが聞き込むうちにその不可思議な雰囲気にも溶け込んで慣れてくるのです。特にバックの女性コーラスによる幽玄で清楚な音響を耳にしますと私はもう参ってしまいます。昔よく聞いたFMラジオのジェットストリームの世界を想い出します。若い頃はこのラジオ放送を聞いて海外旅行のことを夢見ていたのでしたよね。

 自分が歌手であればやはりこういう素敵なオーケストラをバックに一度は存分に好きな歌を歌って記録に残しておきたいと思うことでしょう。自分のキャラとはアンバランスだとかそんな些細なことは自己満足を満たす上ではあまり関係ないでしょうね。

1. I'm A Fool To Want You - (edited master)
2. For Heaven's Sake
3. You Don't Know What Love Is
4. I Get Along Without You Very Well
5. For All We Know
6. Violets For Your Furs
7. You've Changed
8. It's Easy To Remember
9. But Beautiful
10. Glad To Be Unhappy
11. I'll Be Around
12. The End Of A Love Affair - (instrumental track & overdub take 8, mono)
13. I'm A Fool To Want You - (previously unreleased, take 3, bonus track)
14. I'm A Fool To Want You - (previously unreleased, alternate take 2, bonus track)
15. The End Of A Love Affair: The Audio Story - (previously unreleased, bonus track)
16. The End Of A Love Affair - (previously unreleased, stereo, bonus track)
17. Pause Track

Billie Holiday (vocals); Ray Ellis (conductor); Miles Davis (trumpet); Urbie Green, J.J. Johnson, Tom Mitchell (trombone); Danny Bank, Phil Bodner, Romeo Penque (woodwinds); George Ockner (violin); David Sawyer (cello); Janet Putnam (harp); Mal Waldron (piano); Barry Galbraith (guitar); Milt Hinton (bass); Osie Johnson (drums); Phil Kraus (percussion). Recorded in New York, New York from February 19-21, 1958. Columbia.

JR.comでは試聴可能です。→Billie Holiday/Lady In Satin

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Billie Holiday/Lady In Satin

関連エントリーはこちら。→ビリー・ホリデイ『アット・ストリーヴィル

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