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マイルス・デイヴィス/E.S.P

JAZZ Trumpet

2005年06月19日

esp2.jpeg Miles Davis/ E.S.P.

 今夜はマイルス・デイヴィスの名盤『E.S.P.』です。60年代半ばのマイルス・グループはウェイン・ショーターを音楽監督に迎えてショーター色の濃い4部作を発表します。本作はその第1弾です。パーソネルは、マイルス・デイヴィス(tp)、ウェイン・ショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)。1965年LA録音。

 このアルバムには学生時代、京都岡崎公園に近い熊野神社そばにあるジャズ喫茶(銭湯の帰りに立ち寄るような隣近所)で初めて聞いて衝撃を受けたのでした。そのレコードのB面だったと思うのですが、今までに聞いたことのないジャズ、奥行き感のある深い音楽というのでしょうか。何か得体の知れないもの、それでいて何か共感できる美を感じ取れるのです。一見すると陰気くさい負の世界のように映るのですが、聞き込むうちに深遠で透徹した音楽美がおぼろげに垣間見えてくるのでした。

 60年代前半のマイルスはコンサート・ライブを中心として活動し、スタンダード曲を完成されたモード手法で口当たりよくかつ芸術的に料理することで高いポピュラリティを獲得してきました。そして、ショーターをレギュラーに加えて不動の固定メンバーが成立した段階で新たな局面を切り開くべく本作をスタートとするスタジオ録音を開始したというわけです。関連エントリー→『マイルス・デイヴィス/サムデイ・マイ・プリンス・ウィル・カム

 全7曲。いずれも不思議な感覚の斬新な音楽です。お気に入り曲について一言づつコメントしておきましょう。2曲目Eighty-Oneはラテン風リズムで気だるい雰囲気の曲。ショーターのテナーが水を得た魚のようにいい感じのソロを披露しています。また、3曲目はハンコックのリーダー作『処女航海』でも扱われたハンコック作のハンコックらしい流麗な好印象の曲。そして、6曲目Irisは沈静したブルーなまさにショーター的世界です。ハンコックのソロが美しい。さらに。7曲目Moodはさらに絶妙なリズムと間を持ったショーターの才能を感じさせる印象深い力作です。スパニッシュの香りと独特のリズム感が素晴らしい。そして、全体を通じて特筆すべきこととして、ロン・カーターのベースがリズムの基調を作り出しており大活躍します。このアルバムの影の立役者こそロン・カーターであろうとそう思えるのです。一方、トニー・ウィリアムスはいつもとは異なりかなり控えめに感じられます。
 
1. E.S.P. 5:27
2. Eighty-One 6:11
3. Little One 7:21
4. R.J. 3:56
5. Agitation 7:46
6. Iris 8:29
7. Mood 8:50

JR.comでは試聴可能です。→Miles Davis/ E.S.P.

詳しくはアマゾンでどうぞ。→ Miles Davis/ E.S.P.

 この65年、各メンバーは高レベルのリーダー作を残しています。ハービー・ハンコック『処女航海』、ショーター『オール・シーング・アイ』『預言者』、トニー・ウィリアムス『スプリング』、こうして並べまてみますと力作ぞろいですね。ちなみにいずれもBlueNoteでして、ハンコックとウィリアムスはBNの専属でした。

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投稿者 Jazz Blogger T : 21:24 | トラックバック

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